できれば彼女には幸せになってもらいたい。
することができればいいんですけどね。
足りないのです……。
足りないのです私には……。
アゾート……アゾートがあれば、私も命が……。
マスターは私を完璧な女にしたと仰いました……。
ですが足りないのです……。
私には命が……命を創ることができないのです……。
だから欲しい、アレが……アゾートが……。
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コッコッコッと、人の気がない伽藍とした食堂に柱時計の振子が揺れる音が響いていた。
古風な石造りのその部屋には文明を感じさせる電気式の照明などは一切なく、その代わりに長細く大きなテーブルの上に置かれた火の灯された蝋燭が等間隔で置かれ、薄暗くはあったが電気のものとは違う魅力的なぼんやりとした明かりが部屋を照らしていた。
そしてそんな幻想的な雰囲気の場所に、蝋燭の炎の光が届いていない闇の奥から一人の女性が現れた。
「……」
背筋を真っ直ぐに伸ばしてモデルの様に姿勢良くして現れたその女性は、年の頃は二十代前半、長身痩躯、僅かに紫がかった黒髪。
筋が通った形の良い鼻に細い顎、白い肌と切れ長の目。
まるで彫像のような美貌を放つその女性の名はダニエラ、この館の主に仕えるメイドだった。
そんな美しいダニエラであったのだが彼女にある一つの不可解な特徴があった。
「……」
彼女にはまるで大凡生物としての温かさを感じさせる生気というものがなく、その顔も先程から無表情のものから変わることがなく、まるで感情がない人形のようであった。
ダニエラはテーブルに近付くと片手に持っていた布巾で拭き始め、一通りそれが終わるとテーブルクロスの皺を伸ばして整える。
淡々とした作業をこなす彼女であったがその様は機械的で、無駄に思えるな動きがない。
やがて作業が完了したのか最後にもう一度クロスを引いて皺が無い事を確認した彼女は、虚空を見つめながらまるで目の前に誰かがいるかようにこう言った。
「マスター……食卓が整いましたのでお食事をご用意する準備をして参ります」
最後に失礼しますと言って頭を垂れると踵を返してダニエラは食堂を後にする。
向かった先は食堂の広さとは比較にならない小さな部屋だった。
そこは彼女の私室であるらしく、ベッドとテーブルのみが置かれ、その近くに窓が一つ開いているだけという無機質かつ極端に質素な飾り気のない部屋だった。
「……」
テーブルの上には桶と水瓶が置かれていた。
ダニエラはテーブルの近まで来るとおもむろに服を脱ぎ始めた。
上着、ブローチ、前掛け、肌着、順番に服を脱いでいき彼女はあっという間に一糸纏わぬ姿となる。
彼女の裸体は服を脱ぐことによってより人形、あるいは美しい彫像のような印象を更に強め、その均整の取れたその身体は官能的を通り越して芸術的ですらあった。
しかしいくらそんな人間離れした美しさを持っていても彼女が生身の人間であることは間違いなく、女性の最も身体的な特徴の一つである膨らんだ胸は、少し動く度に揺れて人形とは違う艶めかしい柔らかさがあった。
「……」
ダニエラは水瓶から水を掬って桶に注ぐと、桶の中に入っていた布を絞って体を清め始めた。
どうやら食事を用意する前に身体を拭って料理に埃が付かないようにしているようだ。
一派的な暮らしをしている者では先ずなかなか挟まない段階であることからも、彼女が高貴な生活をしている人物に使えていることが伺えた。
顔、首、腕、胸、腹……上から順に彼女は丁寧に拭いていったが、その手はある場所に差し掛かったときにピタリ止まった。
ダニエラの手は股間、女性器の上で静止していた。
ぴったりと閉じた彼女の秘所は無毛であり、まるで幼子のものの様に清楚な雰囲気があった。
「……」
ダニエラはおもむろに自らその割れ目を開く。
女性の身体の中でも特に柔らかく繊細な肉が彼女の指の力に負けて形を変える。
だが性的な興奮を感じていない秘所は、柔らかいといえど中にある花弁を守るように彼女の指の力に徐々に抵抗し、割り開いていた指が滑ると直ぐに門を閉じるかのようにまた花弁を隠してしまった。
「……」
ダニエラはまた無言で、今度はしっかり割れ目に添えた指に力を入れて固定し、残りの指でそこを割り開く。
強引に開いたその肉門の奥から表の白い肌とは対照的に華やかなピンク色の花弁がその姿を現す。
「……」
ダニエラは自ら広げた花弁をまじまじと見る。
別に自慰をしているわけではない。
その様子はただただ観察的で、まるで診察かなにかをしているようだった。
「……っ」
何か気に入らなかったのだろう。
急に眉間に皺を寄せて苦渋に満ちた顔をしたダニエラはやがて秘所から視線を外すと、まだ拭いてない箇所を拭き始めた。
その一瞬見せた顔は、ダニエラが唯一その場で見せた人間らしい表情であった事は間違いなかった。
だが身体を拭くことを再開した彼女の顔にはもうその時の表情はなく、既に元の人形の様な無表情に戻っていた。
一体彼女に何があったのか。
何に苦悩しているのか。
どうしてそこにいるのか。
それはこれから綴る彼女の記録によって判るかもしれない。
デメントのダニエラさんが大好きです。
そんな自分の為だけの作品です。