ドロセラ・ルナータ 作:最高の肉体
長くて、細くて、白い指。
あなたのおくのおくまでとどく。
「──ッ、──♡」
ベッドの上で、背後から抱きすくめられている。あられもなく開かれた脚の内側を嫋やかな手が触れるたび、甘い感覚に身震いする。乱雑な前後運動では得られやしない、きめ細やかでしっとりした快感――それが、少しずつ重なり、高まって、果てまで上り詰めた。舌を指に絡めとられ、声を封じられた藍井撫子は、代わりに全身の痙攣で以て「それ」を彼女に伝えた。
「上手、上手よ……」
「う❤︎うゔ❤︎ 」
幼い身体がびくりと跳ねる。そのまま峠を下るまで震源地を掘り進めていた手を離すと、にちりと糸が引いた。急に熱を失った撫子は、どこか呆然と心細そうな顔をして
「……なあに、まだやってほしいの?」
「……」
頬を赤く染め、撫子はこくりと頷いて見せる。普段の高飛車な態度は鳴りを潜めて、目先にぶら下げられた快楽をねだる愛い表情に、少女は嗜虐心がぞくぞくと奮えるのを感じた。
「駄目よ。私の顔をみて、ちゃんと言ってごらんなさい」
「あ……雛お姉さま……あたくしのここ、もっと触って……」
撫子は離れた掌をくいくいと引いて、自らの秘所にあてがった。高校1年生にしてはまだ色の薄い、未発達のそこは、外気を冷たく寂しく思ってしまうほどに赤く火照っていた。
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これは、そんな前世からの持論であるが――努力とは、ナルシシズム的行為である。 自分に投資する価値……のだ。前世の私はその好循環の構築に失敗し、自己肯定感を失ったまま社会に放り出された挙句、些細なことで命を落とした。今考えてみても、やはりつまらない人生だ。
だが今世は違う。幼少の砌に鏡を覗いたその日、私は恋に落ちた。一目惚れだった。ハッキリとした目鼻立ちの、鋭く冷たい目つきと芯の通った涼やかな鼻梁の、汚れを知らぬ真白な肌の、薄くも紅い唇の、その全てが理想を超える偶像だった。私は生まれて初めて、投資する価値のある自分に出逢ったのだ。
それからというもの、私は時間の許す限りの全てを自分のために注いだ。日本舞踊だの花道だの、化粧だの筋トレだの。前世で抑え込まれていた自己愛が反動で溢れかえったかのように、私は私を心から愛し、心から好いた。私のためならなんだってしてやれたし、かかる苦労をまるで厭わなかった。
努力とは、ナルシシズム的行為である。
磨けば光る玉だと確信していて、それを磨かない道理はない。まるで信仰心の篤い彫刻師が神の偶像を彫り進めるように、私は自分の美しさを育てていった。
すると、何故か縁談が増えた。
「あの、雛さん?」
机を挟んだ向かいで、同年代の少年が首を傾げてこちらを見ている。私の顔に視線をやって、一瞬だけ視線を少し下に下げて、また何もなかったかのように目を合わせる。それをしばらく繰り返している。
親同士のつながり、いいところのお坊ちゃん。事前に一通りのステータスは紙面で確認してあったが、それでもこうして実際に顔を突き合わせねばわからぬこともあるだろうという親の意向で、私はこの少年と会うことになった。
たかだか中学生を二人捕まえて何を期待しているのだろうかと思うが、非常に残念なことに我が親は和風にして古風な──率直に言えば時代遅れな価値観の持ち主であり、女は若いうちに嫁ぐものという認識を脈々と受け継いでいる。いまだに男の跡継ぎを求めて毎晩ハッスルしていることも知っている。
「ねえ、何か言ってくれると嬉しいんだけど……」
私は無言で少年の傍に寄った。そして、耳元に顔を近づけて囁く。
「あなたが一番若かったわ」
「な、何の話?」
「縁談の相手よ。大学生くらいの若いひともいれば、スーツをぱつぱつにするくらい太ったおじさまもいたわ。けれどね、一つだけ共通していたことがあるの」
座る少年の太ももの上に手を乗せる。少年の握りこぶしに力が入って、鼻がふくっと動くのが見えた。まるで何かを期待してるみたい。
「私を女として見てる。自分の子供を孕む女」
「はらっ……!?」
「あなたはどう? 私の顔を見て、胸を見て、唇を見て。どう思った……?」
私が生々しい言葉を使ったせいか、それともその後先を想像したせいか。少年の首筋は汗ばみ、赤らんでいた。ふと視線を下に向けると、股座にはふっくらとした盛り上がりがズボンを押し上げている。思わず、息を吐き出すように笑いが漏れた。
「正直ね」
「いやっこれは違くて!」
「あら、そう? そうよね、お話ししただけで大きくしてしまうようなお猿さんのはずがないものね……?」
そして私は、その膨らみをズボンの上から撫でた。少年の身体がどきんと跳ねる。指先の感触が硬くなっていくのを感じながら、爪で繊維をかりかりとなぞり、指の腹ですりすりとあやす。少年は目を潤ませながら、荒い息を吐き出して快感を享受していた。
「私、期待していたのよ。同じ年代の相手なら、少しは話も合うかしらって。でも顔を合わせた途端に人の胸に目をやるなんて、失望したわ」
「僕は……そんなつもりは……!」
「あら、そう? じゃあ我慢できるはずね。我慢、我慢」
先端をからかうように擽っていた手つきを、前世を思い出しながらリズミカルなものに変えた。少年が小さな悲鳴と共に頤をのけぞらせる。パンパンにふくらんだ竿をずりずりと扱き上げ、先端を指で軽く挟んで締め付けながら、耳元で小さく「我慢」と連呼すると、少年は首を横に振った。
「もう、もう無理っ」
「まあ、早い上に堪え性の無い男。いいわ――イきなさい」
最後の一言は脳髄に届くようにハッキリと声にした。少年はスイッチが入ったかのように体を大きく振るわせ、背中を丸めて歯を食いしばる。張りつめた亀頭がどくどくと脈動し、精を放っているのが文字通り手に取るように分かった。前世では幾度も経験した感触だが、他人のを触ったのは初めてだ。私はふと気になって途中で手を放し、指先を鼻先に近づけた。ずっと前に嗅いだことのある匂いがして、思わず呟きが漏れる。
「くっさ」
「――――!!!!!」
とびきり大きな痙攣を最後に、少年はくたりと机に突っ伏した。
「出て左よ」
「な、にが……」
「お手洗い。それともあなた、パンツに染みを作ったまま私と話を続けるつもり?」
少年はバッと立ち上がり、前を隠して小走りで出て行った。
トイレに駆けていくのを見送った私は、座り直してため息を吐いた。
「全くピンとこなかったわ。てっきり、オス臭い人間が嫌いなだけだと思っていたのだけど……。あの子に体を許す私がまるで想像できない」
それは、私が前世から受け継いだらしいもう一つの特性だった。
つまり、私の性的自認は男性を基調とする部分が色濃く残っており、そこに深すぎる自己愛が絡みあったために、その辺の男を性愛の対象にすることができなくなってしまったのだ。自分と同年代の見目の良い少年ですら気に入らないのだから、もはや誰であっても無理なものは無理だろう。
番うなら女性が良い。美しく可愛らしい女性ならもっといい。だがしかし、このままでは嫁ぎたくもない相手に嫁ぎ、股を開く未来が見えている。それだけは何としても避けたい。しかし避けると言っても、この家から脱出しつつ女性と出会えて、さらには恋人を作れたり自分を磨いてあわよくば実家の干渉も振り払えたりできるような、そんな場所なんて……
……え、あるの?
たぶん藍井撫子は無知メスガキに女性の幸せ理解らセックスになると思います。
こうしてみると3,000文字って一瞬ですね。コワイ。
またストレスたまったら続き書きます。