きらきらせっくす! 作:きらきら
一週間があっという間に過ぎ去った。その間、強化人間のドゥー・ムラサメ少尉の生活はそれまでと一変していた。
まず、日常的に行われていた、苦痛を伴うNT能力の開発実験がなくなった。
これまでのように電極を頭に取り付けて電気信号で脳を弄られることもなければ、大量の薬を投与されて心と体を滅茶苦茶にされることもない。
必要最低限の栄養を摂取するだけだった錠剤食は改善され、温かい食事(といっても軍の食堂で提供されるものと同じ)を食べられるようになり、衰弱しきっていた体を回復させるために十分な休息が与えられた。
これらはすべて一人の人間の意向によるものだ。
「……こんな風になるなんてびっくり」
それはただひたすらに穏やかで平穏な日々だった。最初の頃は質の悪い冗談や、悪趣味な実験の一環ではないかと訝しんだ。
それが3日ほど続いた辺りでもしかして本当なのかと疑い、研究職員のドゥー少尉に対する軟化した態度などと併せ、1週間が経過してようやく現実なのだと事態を飲み込めた。
NT能力の開発自体は継続している。
今日もまたムラサメ研究者の強化人間開発チームが新たに組み直したNT能力開発カリキュラムに従って、簡単な検査や思考テストなどを受けてきたところだ。
しかし、その内容は以前とは比べ物にならないぐらい緩く、いずれも時間や手間や負荷が掛からない簡単なものに変更されていた。
そうやって生まれた余暇を大いに持て余して、ドゥー少尉はこれまでよりも色々な事を考える時間が増えた。
「これからどうなるのかな……」
サイコガンダムに乗ってきらきらで遊びたいという欲求は無くなっていない。
しかし、そのために心身をやすりで削られて、人格や記憶さえも壊されるような以前の日々に戻りたいかと聞かれれば回答に窮するだろう。
ベッドに寝転んでいたドゥー少尉はむくりと起き上がると、以前よりもしっかりした足取りで姿見の前に立ってそこに映った自分の顔を見た。
ぼさぼさに跳ねた髪を手櫛でどうにか整えて、むにむにと自分の頬を指でつまんで、離して、困惑した顔で首を傾げる。
「なんでボクにここまでしてくれるんだろ……?」
突然降って湧いたように現れて、瞬く間にドゥー少尉を取り巻く環境を変えたその妙な男は、彼女の顔を一目見て可愛いと言った。
だから軍のとても偉い人間と話を付けて、特殊部隊に加入して危険な任務に従事する見返りに、ドゥー少尉のことを自分のモノにしたのだと言う。
それだけ聞くと、あまりにも凄まじい行動力の化身だった。
「多分大事に扱われている……よね?」
そう思うのは、最後に会った日から今日に至るまでただの一度たりとも苦痛を与えられたり実験を強制されたりはせずに、その逆でひたすらに安らかに過ごせる環境を与えられたからだ。
経緯はともかく自分のためにここまでしてくれた相手に何も感じないほどドゥー少尉は薄情ではない。
その男から可愛いと褒められた顔を鏡に寄せて、パチパチとまばたきを繰り返し、かと思えば目を見開いて、今度は目を細めて、表情や顔つきをいろいろと変えて百面相しながらドゥー少尉はぽつりと呟いた。
「ボクって、かわいいのかな……? よくわからないや」
わからない、と言えばまさにその男についてもそうだ。なにせこの一週間、連絡もなければ一度もドゥー少尉に会いに来ていない。
もちろん、多忙ではあるのだろう。
佐官に昇進したことで地位に応じた教育を受ける必要がある。例の特殊作戦を見据えて使用予定のMSの慣熟訓練もしなければならない。教導隊の仕事だって疎かにはできない。
だから会いに来なくてもしょうがない。
そう自分に言い聞かせて、ふと会ったらどうするのだろうとドゥー少尉は頭を悩ませた。
「……あの人って、ボクと……セ……せ……せっくす! ……したいんだよね?」
いざ言葉にすると気恥ずかしくなって、ほんのり頬を赤くしながらドゥー少尉は鏡から目を逸らした。
初対面で体をまさぐられた時の嫌悪感は凄まじいものがあったが、その後は劣悪な環境を改善してくれた恩人でもあり、今ではなんだかんだそこまで拒否感を抱いていない。
「男の人の、あれが……ボクのここに入るの……?」
骨盤の上あたりを指でつついて、もう片手でお腹を撫でる。
正直あまり実感が湧かない。不安でいっぱいだ。しかし、あの男の求めに応じて抱かれることは決まったようなものなので、せめて心の準備はしておこうとドゥーは考えた。
顔を真っ赤にしながら鏡台の前に座って両脚を大きく開き、おぼつかない手つきで下着をずらして秘所を露わにする。
「ここに、あの人のアレが……」
そして恐る恐る指を這わせて割れ目をなぞると、今まで感じたことがない未知の刺激にドゥー少尉は体を大きく震わせて、小さく悲鳴を漏らした。
「ひゃんっ……!?」
慌てて指を離し、強く高鳴る心臓を鎮めるように胸に手を当てて深呼吸する。
「な、なにいまの……?」
恐る恐るもう一度、今度はゆっくりと指を動かして割れ目をなぞってみると、再び刺激が走り腰が跳ね上がる。
「あっ……んんぅっ……! んっ……」
ドゥー少尉は未知の感覚の正体を、快感であると知った。
「こ、ここ……さわると、きもちいいんだ……?」
割れ目をなぞり続ける。最初はゆっくりとした動きだったが徐々にその速度は上がっていき、ついには指の動きに合わせてくちゅくちゅと水音が響き始めた。
指の動きは激しさを増して、それに比例するように快感も増していく。
「あっ……んぁっ……あぁっ……!」
はじめての自慰に夢中になって、いつの間にかドゥー少尉は股を大きく開いて腰を突き出し、喘ぐような呼吸を繰り返していた。
「あ、あぁ……んっ……!」
そして、快感が頂点まで高まった瞬間、お腹の奥からじわりと未知の快感が溢れて、爪先がピンと伸びる。
「あ、なにかくる……きちゃう……! 」
これまでとは比べ物にならない刺激が走り、びくびくと体が痙攣して甘い嬌声を上げながらドゥー少尉は生まれて初めて絶頂した。
「あ、あぁ……んぁっ……!」
びくんっと体を跳ねさせて、脱力してベッドに倒れ込み、そのままぐったりと脱力し、蕩けた顔で天井を見上げる。
「はぁっ、はぁ……あたま、ふわふわする……」
しばらく呆然と天井を見上げていたドゥー少尉はやがて我に返ると慌てて下着を履きなおし、愛液が付着した指を洗面所で洗って服を着た。
「……なにやってるんだろボク」
自己嫌悪に陥りながら、ドゥー少尉はぽつりと呟いたのだった。