多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
豊葦原千五百秋水穂学園――通称豊葦原学園。
この学園を一言で言うと、セックスアンドダンジョンな学園である。
と言うのもこの学園はダンジョンに繋がる『
一週間の内に授業は午前中のみ、その中身も一般的な学業はその半分で残りはダンジョン関連の授業だ。
午後は、自分が選んだ選択式の授業かダンジョンに赴くことが推奨されている。
しかも、そのダンジョンも死に戻り可能な安全仕様と言う至り尽くせりな学園だ。
ダンジョンは分かった。
ならばセックスはと言うと其方も問題はない。
いや、正確に言えば問題だらけなのだが、問題はないのだ。
ここに入学した女子生徒は売られて来たか、世の中でも消えても問題ない人物を集めており、男子生徒の『性奴隷』のような立ち位置をしていた。
実際に入学当初に男子寮で先輩方から、お優しくも『
入学した男子達は興奮しながら
と言うエロ要素がそこら彼処にある学園である。
男子にとっては天国で女子からしたら地獄だ。
そんなダンジョンの壱層目。
そこで一人の少年が、ゴブリン相手に暴れていた。
一匹目のゴブリンを足蹴りにし転がし、二匹目のゴブリンの攻撃をプラスチック製の盾で上手く
三匹目のゴブリンが後ろから襲って来るも、それが見えていたのか体を捻る事で避け、その際に警棒をカウンターで叩きこむ。
哀れにも飛び掛かった衝撃をそのまま利用した一撃にゴブリンは吹っ飛ばされ壁にぶつかって倒れた。
三匹目のゴブリンが持っていた武器を空中でキャッチし、そのまま起き上がろうとした一匹目のゴブリンの背に投げ差す。
残りの一匹になった二匹目のゴブリンはその後、大した時間も掛からず光となって消えた。
「ふぅ……」
周りに敵が居なくなった事を確認し、少年--一年辛組所属の
顔の前に掛かる髪の毛を後ろに撫で付ければ、汗でそのままの形で固まった。
既に『ファーストダンジョンダイブ』から三時間ほどが経過している。
入学から数日後に新入生のみが初のダンジョンダイブを経験すると言う伝統行事に参加しているのだ。
本当であれば、このファーストダンジョンダイブは『死に戻り』を体験させると言う物で死に戻り推奨である。
しかし、京之助は死にもせず生き残っていた。
と言うのも京之助は転生者であり、この世界で死に戻りをしてはいけない事を知っている。
この死に戻りの行事は罠で、新入生は羅城門のエネルギー確保の為の生贄なのだ。
と言ってもすぐに死に至るわけではない。
ここで死ぬと『
更に言えば、そんな魂魄を無くした状態で本当の死を迎えればどうなるかは定かではない。
地獄にも天国にも行けず、正真正銘の消滅となりそうだ。
「きっちぃ」
ゴブリンとの戦闘を何回か終え、京之助にも疲労が溜まって来た。
このダンジョンから抜け出すには幾つかの方法があるのだが、京之助の使える手段では二つしかなく。
更に言えば、二つ目の手段は使うにしても今の状況だと悪い方向に向かう為、最後の最終手段であった。
残りは何かと言えば、羅城門は開いている時間が決まっており、時間が来ると閉まるのだ。
その際にその門から入った生徒達を自動的に追い出す。
つまりは時間一杯ダンジョン内部で生き残るしかなかった。
ちなみに言えば、京之助が解放されるまで残り三時間ほどである。
「休むか」
先も長く、休憩を取る事にした。
本来あれば、警戒しつつもそこに留まり休憩するのだが、京之助には無縁である。
と言うのも転生の際に特典を二つ貰っており、その一つが休憩にうってつけの能力であったからだ。
京之助が手を伸ばし、ドアノブを捻るような動作をすれば目の前に扉が現れる。
そして開けば、其処にはダンジョン内部でなく一室の部屋が現れた。
中に入ると大きな一部屋が出迎えてくれた。
壁はピンクや紫を基調とした物で、何故かお風呂を仕切る壁はガラス製である。
中央には大きな丸型のベッドがあり、誰かどう見てもラブホのような作りとなっていた。
これが京之助の能力の一つ『どこでもラブホ』である。
名前はあれだが、これは大変便利な能力であった。
何処でも使える上にこの中で幾ら休憩しても、扉に入る前の時間帯に戻る事が出来る。
簡易的な倉庫に使え、ダンジョン攻略をする上で大変便利であった。
「あー……疲れた」
「待て、汗臭いからここで寝るな。せめてシャワーを浴びろ」
よろよろと歩き、中央のベッドにダイブしようとした時だ。
京之助がベッドに倒れ込む瞬間に横から蹴りが入り、憐れにもベッドの下にダイブすることになった。
「エァー……!」
「誰だそれは、私はエヴァだ。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」
あと少しで寝る事が出来たのにと、京之助は妨害してきた相手に対して恨みの籠った声を出した。
妨害した彼女の名はーーエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
漫画『魔法先生ネギま!』に登場するサブヒロインの一人だ。
元はフランスに住んでいた女の子であるが、とある事により吸血化し『
そんな彼女の漫画の立ち位置は主人公の師匠であり、主人公の父親に恋している人物だ。
最後まで主人公ではなく、その父親の方に恋しており、師匠と言う側面の方が強い。
風貌はと言うと十歳の頃に吸血鬼になった為、身長は130センチ。
髪は綺麗な金髪ロングで、膝までの長さ。
眼は吊り目のブルーであり、気の強そうなと言うか実際に強い性格をしている。
そんな他の漫画の世界の人物が何故ここにと言うと、これが二つ目のチート能力『
他の漫画小説ゲームに登場する人物をモンスターカードとして手に入れる事が出来ると言うものだ。
このダンジョンでは0.02%の確率でモンスターがカードを落とす。
そのカードを使用するとそのモンスターを召喚して一緒に戦えると言う物だ。
エヴァンジェリンことエヴァはそのチート能力の最初の特典として貰った物である。
正確には小学生の時に引いた遊〇王のパックから出てきて、驚きで唾を噴き出しエヴァのカードが涎塗れになったという出会いだ。
これをエヴァに言うと『覚えてない。もっと感動的な出会いだった』と言って取り合ってくれなくなる。
そんな彼女であるが、カードを通して京之助と会話できるが、それだけでどうやって発現させるか不明なままであった。
色々とエヴァの魔法知識を用いたのだが上手く行かず。
結局はこの学園に入った際に、エヴァのカードと似たような物を見つけ、これだと分かった次第だ。
ダンジョンに入り早速とばかしに使ってみるとこれが大成功。
見事エヴァは実体を得る事が出来、今までの反動でこの部屋に引き籠った。
何しろカード状態で出来る事が京之助との会話、視覚と聴覚の共有のみであったのだ。
その状態で十年もの間、居ろと言われると京之助でも発狂しかねない辛さである。
その為、ベッドに寝転がりジュースやお菓子を食べながら漫画を読むのは許される行為だろう。
しかし、所有者の京之助の休憩を妨害するのは如何な物かと思った。
「いや……シャワー浴びろってだけなんだが」
「くっ……」
このまま強行してもいいが、確かに汗や埃だらけで寝るのはどうかと京之助も思う。
シャワーを浴びてさっぱりとした状態で寝るか、そのまま寝るか。
考えた結果、答えは一つだけであった。
「あびてくる……」
「そうしろ」
結局はさっぱりして寝たいと言う誘惑に勝てず、重い体を引き摺る様に歩き、シャワーを浴びに行く事にした。
「あ~……」
「んー……」
シャワーから戻ると服を着るのも億劫となり、裸でベッドにダイブした。
今度はエヴァも文句は言わず、お疲れ様とばかりに京之助の頭を軽く叩き寝かせた。
京之助はダンジョンに潜って三時間が経ちようやく休憩にありつけた。