多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
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モンスターハウス。
言わずとも知れるモンスターのたまり場である。
部屋の中にみっちりと詰め込まれたモンスターの集団に襲われ、危機的な状況に見舞われる。
もちろん、跳ね返す事が出来れば、そのデメリットに見合った報酬もかなり良い。
宝箱やドロップ品が豊富に手に入る一攫千金のチャンスでもある。
死か栄誉か、もっとも分かりやすい腕試しだ。
『GAA』『GYOO』『GYAGYA!!!』
ダンジョン内部の玄室、現在モンスターハウス発生中である。
そこで小規模な嵐が発生していた。
その中心に居るのは、京之助であり、彼が武器である
既に先週までの武器を引き摺る様に振っていた彼は居ない。
流石に本家の
ゴブリンキングでさえ、京之助に近づけず、
まさに暴力の嵐であり、先ほどまでの数十匹のモンスターハウスは経った数十秒持たずに消え去る。
「……敵は?」
「先ほどので最後の様だ」
見える範囲で敵が居なくなり、京之助は動きを一旦止めると影に隠れていたエヴァへ問いかけた。
影から縫い出て来たエヴァがそう呟くと、京之助は構えていた武器を降ろして一息ついた。
「びびった。マジでびびった」
「その癖には堂々としていたではないか」
「いや、何か最初は驚いたけど……その後はこう血が騒いだと言うか何と言うか」
「ふむ」
玄室に辿り着いた瞬間、目の前にはみっちりと詰まったゴブリンキングの群れ。
もうキングとは何なのだろうと言う光景に一瞬唖然としたものの、京之助は即座動いた。
手前のゴブリンキングを一閃で倒し、それを踏み台にして中央へと飛び込んだ。
そこからは先ほどの小規模の武の嵐である。
エヴァ的にはまだまだ荒い部分があるが、ダンジョン解禁から一週間しか経ってない事を鑑みるに良くやっていると評価出来る。
精神はまだ弱い部分もあるが、泣き言も言わずに黙々と鍛錬に打ち込む姿には好感度が上がった。
「あっ」
「どうした?」
先ほどの戦闘を思い出しながらも評価をしていると、ドロップ品を集めていた京之助の驚いた声が玄室内に響く。
その声は嬉しさを混ぜたようなものであり、視線を向ければ彼の目線は床に置いている一枚のカードを見ていた。
「カードだ」
「二枚目か……あとは使えるかどうかだな」
床に落ちていたカードが拾ってくれと懇願するかのように自ら光り、光の柱を発生させている。
それをゆっくりと近づいて手に取れば、光は収まり一枚の少女を写したカードが手元に残った。
「この子は……」
「知っている奴か?」
「あぁ、知ってる。『
「……戦えるなら召喚しても損はないな」
「そうだな。今回の召喚で呼び出してもいいかも知れない。どっちにしろ
そう言ってカードを腰のホルダーに仕舞い込み、他のドロップ品を集め回る。
流石に日曜日に使い込んだお金を全部補填するには至らないが、三食食べて行くには十分なドロップ品を集める事が出来た。
こう考えるとモンスターハウスも悪い事ではないと思えた。
………
……
…
「それじゃ召喚するか」
「……そうだな」
「止めにする?」
『どこでもラブホ』の中に戻り、ベッドの手前で召喚を始めようとするも、エヴァが何処となく拗ねてるような面白くなさそうな顔をしている事に京之助は気付く。
エヴァの考えも分かるものであった。
好きな人が別の女性を呼び込むと言うのは、面白くも何ともないだろう。
京之助としては、エヴァの気持ちが収まらないなら見送ってもいいと思っている。
「いや……問題ない。どのみちパーティーの補強は必要だ。未だに参階層から下の階に行けてないからな。盾役の小娘はともかく、お前のスキルの使用方法も曖昧なままだ。
「了解。蔑ろに絶対しないと誓うよ」
「ふん……してみろ。その時は氷漬けだ」
現在の攻略は実は停滞していた。
と言うのもレベルを上げるだけなら問題ないのだが、
このままでは下の階層に行くのにどれ位掛かるのかといった具合である。
更に言えば京之助の能力の使用方法が不明であり、このままでは二進も三進も行かない状態が続く。
それを打破する為にも今回の召喚には期待が込められていた。
「それじゃ……呼ぶか」
「あぁ」
『
京之助はカード二枚を指で挟み腕を前に出す、そしてキーとなる言霊を放つとカードが消えてベッドを中心に光が渦巻いた。
その光は数秒ほど停滞した後、二人の人物に姿を変えていく。
そして、光が収まればベッドの上に二人の少女が姿を現した。
一人目は前から手に入れていたカード、『
『虚構推理』の主人公兼ヒロインであり、妖達の
中学生に間違われるほどの低身長に、寝ている姿は等身大の人形と間違われるほどの美貌。
髪はミルクティー色のウェーブの掛かったミディアムヘア、右目と左足は義眼と義足であり、それこそが彼女が知恵の神である象徴である。
二人目はさきほど手に入れたカード、『小鳥遊ホシノ』。
ソーシャルゲーム『ブルーアーカイブ』に登場する一人だ。
ピンク色の長い髪の毛と頭のてっぺんにあるアホ毛が特徴。
常に眠そうにしているが、やる時はやるアビドス高等学校の三年生。
二つ名であり、元ネタとされる『ホルス』にちなんで目がオッドアイである。
ちなみにこちらも低身長で絶壁であった。
「……」
「……」
「……」
「……」
ベッドに降り立った二人を見て、京之助は何とも言えない表情となった。
と言うのも、岩永琴子の方は何故か『YES』と描かれている枕を泣きそうな顔で持っていて、小鳥遊ホシノの方はベッドに横になり、光のない目で此方を見ている。
誰かどう見てもBADEND確定後のご様子だ。
「まずは召喚に応じてくれてありがとう。須王京之助だ。自己紹介とかいいかな?」
「……岩永琴子と言います。漢字の方はカードに描かれている通りです。丁度十七歳になりました。活きがいいです」
最初に答えてくれたのは比較的に生気のある琴子のほうであった。
枕は相変わらず抱えたままで、自己紹介が始まる。
「ちなみに桜川さんはサキさんとご結婚しました」
「あー……」
その言葉だけで全てを察する事が出来た。
本来あれば、桜川九朗と言うもう一人の主人公とも呼べる相方件恋人が居るのだが、一話時点では他の女性と付き合っており、琴子は二年もの間片思い中だった。
その後、桜川九朗が妖怪変化の肉を食べた純粋な人間でない事が、付き合っていたサキにバレて別れて、その後は琴子と付き合いだして……と言う始まりなのだ。
「つまりは……サキさんの精神がつよつよだったと」
「ぐっ……正史の私が憎い!!」
京之助の言葉に琴子は持っていた枕をギリギリと締め出し、血涙を流しながら美少女が台無しの顔をする。
本来別れる予定の二人が別かれずに、本編が始まらなかったのが目の前の琴子であった。
「……えーと」
「おじさんはね~小鳥遊ホシノ。ダンジョンとか呼ばれた理由とかは知ってるけど……暫くは手伝う事が出来ないかな~。ごめんね~……傷心中だから充電させてね?」
「分かった。二階が個人部屋になってるから、ゆっくりしたいならそっちに移動してもらってもいいよ?」
「……」
ずーとぐでーとしているホシノは、京之助の言葉に対して何も反応せず。
疲れてる様子なのに移動もしない、その場で目も瞑らず空中を見続けている。
誰がどうみても病んでいた。
「……」
「きぃー!」
「……大丈夫か?これ」
「……どうしようか?」
失恋で荒ぶる琴子に心が病んでそうなホシノ。
何とも今後に不安しか残らない初めての出会いとなった。