多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
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「……どこだっけか」
お昼も終わり、午後となる時間帯に京之助は珍しく、学園の中を歩いていた。
珍しいと言うのは、京之助は教室、トイレ、購買部、食堂、聖堂以外に行くことがないからである。
何時も必要最低限の動きでなるべく学園内を歩かない様にしていた。
と言うのも、この学園は歩けばR-18のゲームかと言うほどにエロイベントに当たる。
トイレは勿論の事、担任が専用で使っている教室から何から何まであんあんぱんぱんと聞こえてくるのだ。
別にそれは構わない、好きな人と好きなだけやればいいし、そう言う学園だと分かっている。
そこまでは京之助も気にはしない。
「いやっ!やめっ!」
「……」
ようやく目的の場所が何処にあるのかを思い出し、其方へと向かってとことこと歩いていると、誰かの声が聞こえた。
その声は女性で悲痛な叫びとなって周りに響き、京之助は足を止める。
そして、空を暫く見上げた後にため息を付いて、足先を目的地とは別の方向へと向けた。
「二年生の癖に初々しいな?」
「あそこは固まって動くから弱くても面倒なんだよ。だから襲えねーのよ。うぜー」
「確かにうぜーよな。うぜーし、こりゃ迷惑料貰っとかないと」
「ぐっ……」
声の方に歩いて行けば、一人の女子生徒を三人の男子生徒が襲っていた。
女子生徒は泣きながらも必死に抵抗しており、周りの男子生徒は逆に楽し気に裸に剥いている。
誰が見ても犯罪であるが、この学園であれば普通に行われている事であった。
治安部隊に見つかればしょっ引かれるが、その程度であり、見つからなければやっても良いとなっている。
とことん力のない者に厳しいのがこの
「それじゃ、一番乗り~」
「あっずっけー、こっちは服剥いてるってのに」
「うんじゃ、俺二番」
「おいおい、俺最後かよ」
「っーー!!」
一物を秘部に擦り付けて濡らすと、そのまま一人の男子生徒が女子生徒に突っ込もうとしてーー踏み潰された。
「おぎょぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
遠慮もなしに正常位で突っ込もうとした一物が、金玉と共にぐりぐりと踏み潰される。
その痛みと言ったら表現が出来ないほどで、男子生徒は天国から地獄へと叩き落された。
目玉は飛び出すのではないかと言うほど盛り上がり、涙に鼻水、唾液が一瞬で噴き出して顔を汚くし、口も大きく開いて舌を限界まで出している姿はまさに蛙のようであった。
「……」
「はえ?」
「え?え?」
暫くするとその男性生徒はそのまま目をかっぴらいたまま、後ろに倒れて痙攣した。
そんな様を見てつるんでいた残りの二人は何が起きたのか分からず、踏み潰した男ーー京之助と倒れた男子生徒を交互に見る。
「て、てめー何してん……がっ!?」
「……」
「ぎょああああああああああああああああああああああああ」
二人目がようやく何が起きたのかを把握し、京之助へと啖呵を切るも姿勢が悪かった。
女子生徒を抑える為に座り込んでいた為に、立っている京之助の足蹴りを避ける事も迎撃する事も出来なかったのだ。
顔面を蹴られた後に、最初の一人と同様に一物を思いっきり踏み潰された。
二人目も一人目同様にすぐに体が痙攣し、命の危険を訴えるも救いはない。
「ひぃーーーーっ」
三人目は、そんな二人を見てすぐに逃げ出そうとするも、ズボンを履かずにいたせいでお尻丸出して四つん這いでしか移動出来なかった。
そんな移動をすれば、お尻を後ろから蹴られその場に倒れ込み、そのまま一物を踏み潰される。
その後は、先ほどと同じだ。
「……はぁ」
正直言えばこれだけ遠慮なしにやると死人の一人や二人は出るだろう。
しかし、この男子生徒達は不思議にも誰一人として怪我もなく、死んでもいなかった。
それは何故かと問われれば、昨日のレベルアップで手に入れた京之助のスキルが発動しているからである。
斉天大聖のスキル『
効果は発動後、相手をどれだけ攻撃しようとも怪我をさせることもなく、死に至らしめる事もない優しい手加減スキルである。
但し、スキル使用者に多大な頭痛をもたらし、攻撃した相手も痛み自体はあると言う誰得な拷問スキルと化していた。
京之助としては原作通りの効果でない事に安堵したが。
「……陵辱とか性癖にぶっ刺さらんのよな」
『
これこそが京之助が学園内を極力歩きたくない理由であった。
女性が媚びて抱かれてる分にはいいが、無理矢理や酷い目にあってるのを見るのは心が萎えるのである。
見過ごせば、どれだけ楽しい事があっても思い出して落ち込むと悪い要素でしかない。
その癖、今回の様な事が頻繁に起きているので京之助からしたら二重の意味で頭の痛い話である。
「あ……頭いてー、このまま眠りたい」
「……あの」
「あぁ?」
「っ……!」
頭の中がシェイクされたかのようにふらふらし、頭痛がガンガンと鳴り響く。
もう目的の場所に行かずにこのまま『どこでもラブホ』内で休もうかと考えていると声を掛けられた。
声を掛けた人物は襲われていた女子生徒であったが、頭痛により少しばかり不機嫌そうな声色となってしまう。
それに怯えて、女性生徒は縮こまってしまった。
「あー……好きな所行っていいよ。じゃ」
「えっ……!?」
京之助はそんな彼女を見て、手を振って立ち去る事にした。
彼女を助けたと言うよりも、自分自身が気持ち良く過ごしたいからやったことなのである。
懐かれても困るし、構う余裕もないと言うのも本音だ。
と言うのも、この学園では男子が一人の女子を抱き続けると『隷属』と言う現象が起きる。
体がその男子専用となり堕ちてしまうのだ。
その現象は、実力の差があるほどに起きやすく、京之助レベルが抱けば一発で『隷属』してしまう可能性があった。
やり棄て御免では酷過ぎる上に、京之助の性格からして捨てる事など出来もしない。
だからこそ、この学園の女子は絶対に抱かないと決めていた。
そもそも『隷属』と言う現象自体が嫌いでもある。
幸いにしてエヴァは抱き続けても『隷属』の心配はなさそうなのでほっとしていた。
堕とすなら現象でなく実力で堕としたいのが京之助である。
「……」
「……」
本当であれば、帰りたかったが、目的を済まさないで次の日にしたら、同じ場面に出くわす可能性がある。
何とも酷い学園だと思いつつも、重い足取りで京之助は足を進めた。
そして、そんな京之助の後ろを手早く服を着たせいで所々が着崩れている女性生徒が続く。
その事に気付いてはいたが、京之助は行先が同じ方向なのだろうと思う事にした。
その後も、右に曲がれば彼女も右に、左に曲がれば左に曲がる。
服が着崩れているので通りかけた男子の目が、女子生徒へとイヤらしい視線を向けるがすぐに逸らす。
前を行く京之助が体調が悪いせいで若干不機嫌になっており、殺気が漏れ出していたからだ。
後ろの女子生徒の意図が分からず、調子も悪いわで学園なんて歩くものではないなと思ってると目的地に着いた。
「あぁ……そう言う事ね」
今日の目的地、プレハブ倶楽部棟にある『
彼女はここに辿り着くや否や、京之助の横を恐る恐る通り過ぎて小声で『ありがとう』と告げたのだ。
なんて事はない、救った人物が『
プレハブ倶楽部棟方面に歩く京之助を見て、魔除け程度に利用したのだろう。
懐かれたわけでもない事に安堵し、京之助もまた部室内に入っていく。
………
……
…
「げぇ」
「……はぁ」
『
プレハブ倶楽部棟で部室を魔改造したお店を開いており、
今日は、昨日倒した『
店内に入ると京之助の他に七人ほどのお客が居たのだ、大盛況である。
その客の一人は、入って来た京之助を見て嫌そうな表情をする……誠一であった。
誠一が居るという事は他の六人は誰やと言われれば、答えは一つしかない。
「ダンジョン……以来か」
「うむ……会いたかったぞ」
叶馬パーティーである。
あの時よりも女子が三人ほど増えており、そんな彼女達の真ん中で京之助を見た叶馬が、嬉しそうな獰猛な笑みを浮かべていた。
購買部の代わりに入ったお店は魔王のアジトだったと京之助は、心の中でもう一度ため息を付いた。