多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
特にコメントありがたいです。
「なぁ……エヴァ」
「ん?」
現在京之助とエヴァは、ダンジョン内部の
街の廃墟と言っても、本物ではなく、ダンジョン内部に突如出現した場所だ。
というのも参階層から肆階層に降りると敵が様変わりし、動物や植物系のモンスターが出現するようになった。
今までと違う敵に京之助もエヴァもテンションが上がり、モチベーションが回復する。
そんな状態で進んでいると、突如景色がダンジョンから何処かの街の廃墟へと変わったのだ。
「これ……レイドかね?」
「ふむ……入った覚えはーーあるかも知れん」
『
名の通り、ソロや一つのパーティー単位で行うものでなく、大勢で挑むクエストだ。
ダンジョン階層という世界から弾き出された異物が、『異界』となりレイドクエストとなる。
このレイドクエストには幾つかの種類があり、『
『
『
『
対応する単一エレメントに特化した装備があれば難易度が低く、複数回の攻略が必要だが地味に美味しいクエストである。
『
大抵が何かの物語を題材にしており、その物語に則ってクリアをすればいい。
『
滅多にないらしいが、確認された時点で強制クエスト扱いとして総力戦になるそうだ。
「ってらしいけど……これはどれに当てはまるのだろうか?」
「……『
「その心は?」
「
そう言って、エヴァは自分の姿を改めて見てみる。
何時もの服装から大きく変わり、耳あての付いた帽子を被らされ、茶色のコートと黒のジャケット、目を守るゴーグルもセットで付いて来た。
武器は拳銃と一目見てどんな事をやらされるのか分かった。
京之助自体も、エヴァと似たり寄ったりの装備である。
「拳銃と手榴弾は発煙弾もあるのか、後はナイフが何個か、これは……折り畳み式のスナイパーライフル?」
「拳銃はリボルバータイプとオートマチックか」
武器の類も何か決められており、京之助もエヴァもまったく同じ物であった。
「これで戦えって事か……エヴァ、魔法は?」
「……『リク・ラクラ・ラック・ライラック!!
「取り敢えず、隠れよう。何時までもーー」
「っ!京之助!」
魔法が扱えない事にエヴァは舌打ちをし、そんな彼女を京之助が慰めようとした時である。
一発の銃弾が、京之助の頬を掠めて行った。
「いっつ……!」
「こっちへ来い!」
掠めた銃弾は、確かに京之助の頬を傷つけるダメージを負わせた。
掠めた頬からは熱い痛みと血が流れる。
このダンジョンに来てから久々に受けた、まともなダメージであった。
エヴァは、今までの戦闘経験からすぐさまに動き出す。
直ぐに近くの狭い通路に身を翻し、近くの家の木製のドアを乱暴に蹴破った。
そして、素早く入り込むと京之助を手招く。
京之助はと言うと、視線を撃たれた方角へと向き直り警戒しつつも腰に付けていた発煙弾のピンを抜き、そのまま地面へと落として素早くエヴァの元へと駆け寄る。
幸いにして威嚇射撃であったのか、此方の戦力の確認の為だったのか、二発目は飛んでこなかった。
「まじかー……リアルFPSか」
「ちっ……こんなレイドクエストがあるとは」
「いや、戦いらしい戦いがしたいとは言ったけどさ。銃撃戦は読めないって」
「相手の人数も不明、装備も不明。残機も不明か」
「レイドクエストなら残機無制限の筈だけど、死にたくはないな」
「……京之助、撤退だ」
「了解」
エヴァが悔しそうな表情でそう言った。
彼女からしたら、ちょっとやそっとのレイドクエストであれば京之助と己の二人でどうにかると思っていたのだ。
それが蓋を開けてみたらどうだろうか、行き成り常識の通用しないクエストがやって来て鼻っ面を折られた。
エヴァからしたら何と悔しい事だろうか。
「行けた」
「くっ……覚えていろ!」
「エヴァ……悪役じゃないんだから」
京之助は『どこでもラブホ』をどうか使えますようにと願いつつ、開けてみる。
願いは通じたようで、どうやらこのレイドクエストの効果内でも、チート能力ばかりは防げないらしく、京之助達の前に扉が現れた。
その扉を開き、京之助とエヴァは飛び込むようにして中へと滑り込んだ。
そして、扉が閉まった瞬間に一発の銃弾が扉へと打ち込まれた。
………
……
…
「助かったー」
「お早いお帰りで」
「ちっ」
『どこでもラブホ』内に入り、京之助はその場に座り込んだ。
どうやら何時にもまして緊張をしていたらしく、今になってドキドキと鳴る心臓のせいで息苦しくなる。
エヴァは荒々しく歩き、ベッドにダイブするとそのまま足をジタバタとさせた。
そんな二人を出迎えたのは、琴子である。
「苦戦でしょうか?」
「まぁ……変なレイドクエストに入っちゃって戦略的撤退」
「変なレイドクスト?」
座り込んだ京之助に琴子は、何があったのか事情を聞き出す。
「銃撃戦メインっぽい」
「ダンジョン内部で飛び道具の類は魔法以外は通用しないはずでは?意味をなしていないと聞きましたが」
「いや、一応アメリカとかが銃を使用してダンジョン攻略はしてる。確か……弾に何か細工をしてたか何かで」
「なるほど」
「あと、久々に血を流すダメージを受けて驚いたよ」
そう言って、京之助は傷を負った頬を指差して琴子に詳しく伝えていく。
何時ものダンジョン探索であれば、京之助はダメージを負う事がない。
と言うのもレベル差によって高まった身体補正のお陰でダメージが通らないのだ。
更に言えば、大抵の敵は一撃で倒れる上に相手の攻撃は避けやすいと来ている。
怪我をする方が難しかった。
「今は治ってますね」
「あっ……本当だ。さっきまで血が流れたんだけど」
「……傷はどの位の間ありましたか?」
「確か……ここに入るまでは痛みを感じてたかな」
「普段のダンジョンで怪我はどの位残っていましたか?」
「分かんない。最近は受けてなかったし」
「となると……情報を優先的に集めた方がいいでしょうね。次に戻った時に刃物か何かで自分に傷を付けて、どの位で完治するのか、それともダメージとして残るのかの把握をお願いします。それとやるなら何処か屋内で、すぐに此方に戻れるように用意してください」
琴子に相談をしていくと、次々に次に行った際に行う事を指示してくれた。
その指示を京之助は、素直に受け止める。
自分以外にこうも色々と考えてくれる人が居るのは何と心強いのかと、京之助は思った。
「それにしても……二丁の拳銃に折り畳み式のスナイパーライフルーーどっかで覚えがあるんだよな。何かの物語だっけか?」
――穿界迷宮『YGGDRASILL』、特異分界『英雄達の国』――
――様式『
――※Option Intercept 『
――※Model 『
――※Confine 『クリア』――
――※Rewards 『※※※※※※』――