多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
「うぉ……?」
「……たっぷり寝たな」
気付けば夢も見ないほど熟睡し、起きればエヴァが寝転びながら顔を覗いていた。
その横には数多くの漫画があり、どれだけ読んでいたかが分かる。
少しばかり疲れが残ってるのか、京之助は体は重くその場から体を起こすのに苦労した。
「あー……どのぐらい寝てた?」
「5、6時間ってところだ」
「夜寝れっかな」
頭を掻き、欠伸をするとこれから如何しようかなと悩む。
このまま時間軸を戻し、残りの三時間をレベルアップに費やすか。
それとも時間軸を少しズラし、タイムアップ前の瞬間に扉を開け戻るか、二択に一つである。
「ふんっ……調子づいてぶっ倒れるまで戦うからだ」
「いやー……戦えるとなると楽しくなって」
「それで死んだりしたら、どうするつもりだ?」
「反省します」
「そうしろ、無理に戦う必要はない。適度に休めばいいんだ」
最初の三時間ぶっ続けのダンジョン攻略をエヴァに怒られてしまった。
言われればそうなのだ。
死んでしまっては遅く、慎重に行動しなければと京之助は思い直す。
「
「あはは……結構きつかったり、性欲上昇舐めてたわ」
そう言うとエヴァに己の天高く跳ね上がった益荒男を見せつけた。
既に益荒男はギンギンとなっており、爆発寸前である。
こんな状態で寝ていれば疲れも取れず、体調も悪くなるはずだ。
何故、こんな状態になっているのかと言えばダンジョンのせいである。
ダンジョン内部でモンスターを倒し経験値が手に入るとレベルアップをする事が出来た。
レベルアップを果たせば、身体補正で体が強化され、スキルを使用する際のSPなども成長する。
このレベルが一定数まで行くと職業クラスに付け、またレベル上げをとこれを繰り返し、ダンジョン奥まで攻略していくのがセオリーだ。
問題あるとすれば、レベルアップの際に性欲も上昇することだろう。
既に京之助はレベル1からレベル7まで上がっており、身体補正のほかに性欲も上昇し限界に近かった。
それでも眠る事を優先したのは、初めのダンジョンで気を張り詰めていた結果である。
「と言う訳……エヴァしても」
「却下だ」
「何で―!?」
小学生にしか見えないエヴァであるが、黒いきわどい下着姿は魅惑的で今の状態の京之助には毒過ぎた。
ついつい手を伸ばしお尻を触ろうとするとペチンと叩かれてしまう。
これには京之助も驚く、エヴァとの付き合いは長く、ある程度絆が結ばれている。
何よりもこの学園の行く事とどのような場所であるのか説明しており、その際に土下座と幾度の交渉を得て相手をしてもいいとお墨付きを頂いていたのだ。
本来のモンスターカードであれば、有無を言わさず従えさせる事が出来るのだが、チート能力で特別製な為か原作同様の性格な上、強制的に従えさせる事が出来なくなっていた。
ようは『やりたかったらランダムな上、0.02%で落ちる可能性のあるカードを手に入れて、好感度を上げてね♡』である。
神様ふぁっきゅーであった。
その分、エヴァとは十年もの付き合いで約束もした上だった為、断られるのは予想外である。
「エ、エヴァさん?」
「いや、約束を破るとかでなく……物理的に出来ないんだ」
「どういうこと?」
「この世界には職業とレベルの概念があるからな、それに適応した形で私達も出てくる仕様なのだろう。つまりは……今の私は魔法を少し使える吸血鬼少女だ。レベル1だからな」
「……えっと?」
「学園の結界により魔力が減少していた時と同じってことだ。今の私は普通の人間に近い、身体補正のない私がお前のそんな大きな物を体に入れられる訳ないだろ」
「おおぉ……」
説明を受けて京之助は崩れ落ちた。
流石にこのまま無理矢理犯して今までの関係を崩すのは論外だ。
ならば、この憤りはどうすればいいのだと、頭に血が行かず、考えも纏まらない。
「くっ……なら口だけでも」
「まぁ……待て、それだけじゃ絶対に収まらないだろう?」
「うっ……」
「と言う訳でこれを飲め」
「OK……それを飲めば解決するんだな?」
「あぁ」
せめて口で何発かして貰おうと頑張ってみるが、それもお見通しの様で断られる。
確かにエヴァの言う通りで、口でして貰えばそれだけで止まらず暴走しそうであった。
ならばどうすればと、もうさっさとダンジョンを脱出し、そこら辺に居る一年生を攫うかと危ない方向へと思考が進む。
それを止めたのはエヴァだ。
何やらフラスコに入った水色の液体の薬を軽く振りながらも渡してくる。
普通であれば怪しむのだろうが、特に気にせず京之助は飲み込んだ。
長い付き合いのエヴァが飲めば解決すると言うのだ、信じるほかない。
「おぉ……?」
「効いたようだな」
「……すげーけど、なにこれ」
薬は冷たく氷に近い冷水を飲み込んでいるみたいであった。
少ない量であるが薬を飲めばその効果は劇的で、京之助の益荒男は見事に鎮圧される。
先ほどまでの荒々しさはなく、エヴァはそれを見て笑いながら指で突っついた。
可愛い子に一物を突っつかれているのにまったく反応しない。
「一時的な鎮静剤だ」
「凄いな。これまだある?」
「まぁ……効果が切れれば倍になって返ってくるがな」
「……それどうするんだよ」
「それはもちろん、私のレベルを上げるんだ。流石に本番を致さないと収まらなそうだからな。協力してやる」
「よし、行こう」
「判断が早いな」
先ほどまで裸で居た京之助は的確な動きで無駄もなく服を着こむ。
その速さはエヴァも呆れるほどでどれだけ致したいのかと思う。
それと共に本気でレベル上げをしないと壊されるかもと一株の不安を抱いた。
………
……
…
『リク・ラク•ラ・ラック・ライラック!!
エヴァが詠唱を終えると、4つの氷の礫がゴブリンを襲う。
最初の礫で動きを止め、2つ目の魔法が頭を貫く形で2匹のゴブリンが光となって消えた。
「ちっ……やはり弱すぎるな」
「魔法打てる時点で羨ましいけど」
「ふんっ!これだけでSPの4割が無くなっているんだ。効率が悪すぎる」
「射手1つで1割か」
「それにこれしか魔法は使えないようだ」
あれから何匹かのゴブリンやコボルトを退治し、レベル上げを行っていく。
先ほどまで京之助1人で戦っていた為、後衛のエヴァが入っただけで戦いやすくなり、驚きを隠せない。
逆に全盛期を経験している分、エヴァは今の自分の強さに不満を抱えた。
「ネギ先生と初戦闘した時と同じ位か?」
「それよりも弱いな。魔法薬もないし、空を飛べるほどの魔力もない」
「もっとレベル上げ必須か」
「強さだけならそうだろうな。身体補正は職業が腐っても『吸血鬼』という事もあり、上りがいい感じだ」
魔力などの燃費は悪いが、身体補正は上手い事、エヴァに嵌まったらしい。
レベルが上がる毎に吸血鬼特有の牙が伸び、力や体力が上がっている。
「おい、血を寄越せ」
「あいよ」
「んっ……」
何よりも吸血鬼の能力なのか、血を吸えばHPとSP自体が回復していく。
飲む量によっては『バフ』が掛かり、接近戦でも戦えるほどだ。
拳一発でゴブリンが吹き飛んだ時を見て京之助は『もう全部あいつ1人でいいんじゃないかな』となった。
「ぷはっ……まぁ、近接もやれん事も無いが、今の私は基本的に『魔法使い』のスタイルしか出来ない。前で従者が頑張っている間に大きな一撃をかまし形勢を変える役目だ。まぁ強くなればその境目もなくなるがな」
「原作のエヴァがそれだっけか」
「そうだ。あそこに戻るまでだいぶ掛かりそうだ」
エヴァはそう言って手を何度も握り直し、体の調子を確かめた。
どうやら今回はバフが掛かり、身体能力が大幅に上昇したらしく楽し気だ。
「さっさと行くぞ。この調子だとダンジョンから追い出される前に目的のレベルまでいけそうだ」
「そりゃ……よかった。いかなかったら誘拐犯になってたわ」
「お前の場合、あの部屋でやりたい放題だからな」
最悪の予想も考えていたが、エヴァの言葉に京之助はやる気が湧いて来た。
最初こそ時間内にエヴァの体が堪えれるほどの身体補正を得られるのか心配であったが、血を吸ったことによるバフ含めれば問題なく届きそうである。
「おー!やるぞ!」
「はぁ……本格的にデメリットのない薬を作る必要性がありそうだな」
鎮静剤の効果が薄れて来たのか、目がギラギラと怪しい光を帯びて行くのを見てエヴァは薬関連に力を入れる事に決めた。
結局この後、休憩なしで全部の時間を使い切り目標まで漕ぎ着けた。