多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
特にコメントありがたいです。
少年、迷い込むの冒頭を少し改変しました。
叶馬達と会うには肆階層目でないと会えませんでした。
「そう言う使い方もあったか」
「言われてみればだよな」
時間は少し戻り、ダンジョン内部の玄室内。
そこで京之助とエヴァがカリオストロの提案を素直に賞賛していた。
カリオストロの提案の件を話してみると、その手があったかと納得し、やればいいとお墨付きをもらう。
エヴァの許可を取ると、念の為にあれこれと何が起きてもいいように準備をしておく。
通路には『どこでもラブホ』の扉を設置して、京之助に何かあっても、他の者が逃げられるように用意をした。
もし、京之助が事故で亡くなった場合、扉を出せる人が居なくなる。
ならば京之助だけでやればと思うかも知れないが、今度は京之助の落とす
「ここがダンジョン内部……怨念が凄いですね」
「うへ~……おじさんとか、最初足を踏み入れた時は怖くてしょうがなかったのに平気そうだね?」
「この程度でしたら……慣れてますので」
何時もであれば、ダンジョンに出て来ない琴子も今回は見に来ていた。
と言うのもカリオストロの作成した性欲上昇を打ち消す薬がある為に、レベルアップしても問題がなくなったからである。
「これで私もダンジョン内部で活躍できそうですね」
「おひいさまの場合は、それ以外で活躍して貰ってたけどね」
「妖怪を召喚するだけでチートだからな」
手を頬にあて、そんなことをいう琴子に京之助とエヴァは今までの活躍を思い出した。
知恵者のみでなく、様々な所で適切な妖怪を呼び出してサポートをしてくれている。
「さて、やってみるか」
京之助はエヴァ達と話したあと、軽く準備運動をしてから髪の毛を一本抜いて分身を作り出す。
「俺は如意棒だけ使用でスキルは使わない」
『あいよ、こっちは不老不死の効果がないからな。怪我は治らねーし、それぐらいのハンデないとな』
互いに如意棒を構えて、ルールの確認をし合う。
残念ながら、不老不死の効果は分身には適応されない為、時間の経過に伴い不利になっていく。
その分を補う為に、今回のルールを設定した。
「そんじゃ、やるか」
『手加減しねーからな!』
言葉はそこで途切れ、互いに如意棒を構えると走りだした。
最初の一撃は、真正面からのぶつかり合いとなる。
『「いってー……っ!」』
如意棒同士がぶつかり合うと、そのまま鍔迫り合いとなる。
その時に京之助達を互いに、如意棒を伝って来た衝撃が襲った。
今までに味わったこともない痛みが両方の腕に与えられる。
しかし、それも無理はない話である。
八トンの重量物が全力でぶつかり合ったので、その衝撃は凄まじいものだ。
むしろ、痛いだけで済んでいる京之助達の方がおかしい。
「ちっ」
『ぶつかってやんねー。こっちは怪我するほどに不利になるからな』
痛みに怯むも、直ぐに本体の京之助が接近戦へと踏み込む。
しかし、それを良しとしないのが分身体であった。
彼は、直ぐ様に後ろへと飛ぶと舌をだして挑発したのだ。
『喰らっとけ』
「だー、うざい!!」
それだけでなく、腕についていた
一つを飛ばしたのち、数秒ほど遅延でもう一つも飛ばした。
「面倒……なっ!」
『いい゛!?』
京之助は最初の飛んで来た
そして、そのまま一回転し、遅れて飛んで来た
その瞬間、
『戻れ!』
「くっ……!」
京之助は、一回転後にそのまま跳躍し、更に回ると
しかし、分身の言葉により、破壊よりも先に戻ってしまう。
目的の物がなくなり、如意棒がダンジョンの床を盛大に叩いた。
「うへ~……どんな力で叩いてるの!?」
「人の力では、到底できませんね」
ダンジョンの床は、その一撃で壊れはしなかったが、吸収しきれなかった衝撃が揺れとなって襲った。
轟音と共に訪れた揺れに、見学していたホシノと琴子は驚く。
「……十分に戦えるじゃねーか。しかも力任せじゃなくて……何かの武道を学んでるな」
「当たり前だ。体の動きに関しては、私が仕込んだからな」
京之助の体の動きは、力任せではない。
しっかりと相手の動きを見て、その流れを殺さずカウンターを決める合気道が軸となっている。
と言うのも師匠のエヴァが合気の達人であり、幼い頃からずっと教わっていたお陰だった。
『いや……えぐっ、こうして敵になると怖いんだけど!』
「
互いに喧々と騒ぎ立て、互いに立ち位置を変えながらも戦いを続けていく。
………
……
…
「っ!」
『取ったぁぁぁぁ!!』
怪我を治す事が出来ない分身であるが、装備と数あるスキルで意外にも粘る事が出来ていた。
少しずつ怪我は増えているが、まだ動けている。
そんな中で、一瞬の隙を抜って
しかし、本体の京之助は右腕を犠牲にし直撃を避ける。
「ミスっ……た!」
『これで決まらないのか……』
本体が腕を失うも、その腕も徐々に形を取り戻している。
それを見て、分身体は冷や汗をかく、こうして不老不死の相手と戦っていると嫌というほど戦いづらい相手なのだと理解させられたからだ。
『くっ……『
その上に本体である京之助の動きが、段々と良くなってきている。
目が赤くなり、元々あった合気の動きから、野生じみた動きも加わって動きが読めないのだ。
どう見ても覚醒している状態である。
お陰でこうして空を飛んで上から攻撃をしないと、対等に戦えない。
それも分身に注がれたGPの分のみで時間制限付きである。
「これなら……っ!『伸びろ!』如意棒!」
『悪いけど離れさせてもらう!』
そうしていると、本体の京之助は如意棒を伸ばし、先に捕まり接近を試みてくる。
それを分身体は、冷静に離れた。
この戦法は何度もしてきたもので慣れたものだ。
「更に『伸びろ!』」
『なぁ!?』
しかし、今回は違った。
高く天井付近まで登ると如意棒の先を分身体に合わせ、もう片方の先を天井に当て伸ばす。
そうする事で本体の京之助は、空に浮かんでいる分身体へと急接近したのだ。
この動きにはついて行けず、気付けば拳を構えている本体の京之助が居り、体に直撃を喰らって吹き飛んだ。
この一撃は耐久値を全て持って行くのに十分な攻撃であり、壁にぶつかると分身体は消えた。
「はぁ……」
そのまま空中でくるっと回り、地面に降り立つと分身体の記憶が統合された。
これこそが、今回の修行法の最大の恩恵である。
自分と戦った記憶が同時に二つも手に入るのだ。
これ以上にないほど隙の無い修行法であった。
「……あぁ?」
記憶の結合が終わり、京之助は消えて行った分身体の元へと歩み寄る。
元は自分であるが、何となく敬意を払いたくなったのだ。
それと同時にもっと戦いたかったという気持ちが中途半端に残ってしまった。
まったくもって戦い足りない。
もう一度、身外身を使おうにもGPはなく回復するまで待たないといけない、残念である。
「ねぇ、誠一?」
「……なんだ。麻衣」
「謝って」
「ごめん……まじでごめん!」
「ね、姉様……これ駄目です!即撤退です!」
「……っ!」
「「ど、どうかお鎮まりにっ!!」」
近寄って行くと、その近くの通路で騒ぐ一団が居た。
疲れていたせいもあり、まったくもって気配に気づく事が出来なかったのだ。
誰だと思うと叶馬のパーティーであり、ふと思い出す。
そう言えば、叶馬と戦う約束をしていたと。
「よぉ……また会ったな」
「然りっ!」
それを思い出すと不思議と戦意が湧いて来た。
続きが出来る相手がいたと、このままどちらかが果てるまで戦おうと如意棒を構える。
叶馬もまたやる気に満ちており、
何か考えがあっての事ではない。
本能が戦えと叫ぶのだ。
『リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!!』
「うん?」
「むっ」
『花の香りよ、仲間達に元気を、活力を、健やかな風を……
さぁ、ぶつかり合うぞと言った時であった。
二人を包むように春風が通りすぎていく。
それだけで京之助の心は静まり、疲れ切っていた頭の中がすっきりとする。
「飲まれるな……馬鹿者」
「エヴァ?」
先ほどまでの戦意は完全に消え去った。
叶馬から目を離し、後ろを振り向けば、氷で出来た花を持ったエヴァが呆れた様子で立っていた。