多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
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「ただいまっと」
「……もうそんな時間か」
「んぁ?……おかえり~、うへへ~」
程なくして京之助は『どこでもラブホ』へと帰還した。
中を覗けば、カリオストロはベッドに寝転びスマホに夢中で、琴子とホシノは仲良く並んでお昼寝中である。
エヴァの姿はなく、部屋に籠りっぱなしのようだ。
京之助は、それを確認すると寝惚けながらも挨拶してくれたホシノの頭を通りがてら撫でて、階段を上がるとエヴァの部屋に直行した。
「エヴァー、入っていい?」
「好きにしろ」
扉の前でノックをし、声をかければそんな答えが返ってきた。
「ダンジョンの時間か?暫くはパスだといった筈だぞ」
「そっちじゃなくて、叶馬達にエヴァの事バレるかも」
「そうか……案外早かったな。それなら昨日の時点で話せばよかったか?」
机を前に何やら工作をしているエヴァに先程あったことを話せば、そんな答えが返ってくる。
特に困ることもなく、焦ることもなく、淡々とした返事だ。
「まぁ、ばらしてもよかったけど、話す必要性もなかったしね」
「貴様が勿体振った態度を取っただけだしな」
「そうだった。まだ早いとか言っちまったな。恥ずかしいな」
京之助は、エヴァのベッドに座ると昨日の事を思い出してケタケタと笑う。
そんな計画性のない京之助に、エヴァは呆れてため息をつく。
「それで、どうするんだ?」
「別段なんも、此方からは言う気がなかっただけだし、あっちが調べて答えを見つけ出す分には口出しはしないよ。それに最初の時点で漫画を読んでたら分かってたことだ」
ネギまの方は、年代でないので読んでいない可能性もあったが、続編にあたる『UQ HOLDER』は最近まで連載が続いていた作品であり、そこで目についた可能性が高かった。
「叶馬のチート能力の『
「人のステータスを閲覧できる能力だったか?」
「そ、名前から職業、その人が何に転職出来るかまで……更に突っ込めば、
「私のフルネームぐらいはバレているか」
「だろうね」
あとは誰かに『エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルって知ってる?』とでも聞けばいい、一学年に千人も居るのだ何人かぐらいは『あぁ、懐かしいね。ネギまのキャラだよね』や『UQ HOLDERでヒロインになったやつね』などの答えを返すだろう。
それでエヴァが漫画に登場する人物だと推測できるようになる。
そう遠くない未来で、叶馬達に『どういうことだ?』と尋ねられる事が予測できた。
「まぁ、害があるわけじゃないしね」
「パーティーはどうする?」
「そこは、基本別かなと……俺は俺でダンジョンを攻略したいって気持ちもあるし、ドロップ品の所有者の件でぐだぐだしそうだ」
「そうか……だとすると『
そこまで話すとダンジョンの攻略の話となる。
と言うのも拾階層目から、様々な環境を乗り越えて行かなければならなくなるのだ。
時に海を渡り、時に砂漠地帯を横断し、時に火山地帯を歩くとただただ進むのも大変になってくる。
そこで活躍するのが『
彼ら/彼女らは戦闘職としては弱いが、武器防具の作成から調整までこなし、建物や乗り物さえも作り出す事が出来る職である。
「ヒロインにあてはあるのか?」
「ないな。天才的な物作りに長けた子って少ないんだよね。大体は主人公がその役目の事が多いし」
「あとは低身長か?」
「……いや、そこは別に選んでる訳じゃないんだけど」
「その割りには、身長が百五十センチを越える奴がいないがな」
「こっちが聞きたいぐらいなんだけどなー」
今までの希望をまとめると、物作りが得意で低身長で天才と凄まじい条件となってしまった。
「あとは、乗り物を運転できれば文句はないな。私達の中じゃ誰も運転出来ないだろうしな」
「一応前世では免許は持ってたけどねー……んー」
「どうした?」
「いや……ふと引っかかるものが」
そこまで話していると、一人その条件に当てはまる人がいた気がしたのだ。
記憶の底で微かに訴えかける何かがあった。
「あー……あの子なら全ての条件に当て嵌まるのか」
「誰か思いついたのか?」
更に深く追及していけば、京之助の脳裏に一人の少女が浮かび上がった。
脳裏に浮かんだ彼女であれば、全ての条件に合致する。
「現実に居た人がモデルだからエヴァも知ってると思う。■■で■■■■■■■■■■■■って名前の人」
「その名前は知ってるな。確かにかの■■であれば、実力は問題ないだろう。しかし、あれは■じゃなかったか?」
「そこは日本だし……」
「あー……なるほどな」
「都合よく引ければいいけど…」
件の少女をエヴァに話してみれば彼女も納得した。
実力においては文句もなく、全ての条件に当て嵌まるのだ。
しかし、そのカードを手に入れるには数あまたのランダムドロップから引き当てるしかなく、可能性が低すぎた。
「キノのようにレイドクエストの報酬であれば、可能性は……」
「いや……レイドクエストでもあの世界の事に巻き込まれるのは勘弁かな。敵も強いし、斉天大聖の力があっても戦いたくはない」
エヴァが、手に入れる方法を考えてくれるも京之助は否定した。
斉天大聖の力をもってしても、件の少女が出てくる原作の世界は怖いのだ。
こっちの『ハイスクールハックアンドスラッシュ』よりも厳しい世界である。
「私は原作を知らないが、そこまでか」
「エヴァの全盛期でもきついよ。敵によってはウルトラマン位の力が欲しい」
「よし、諦めよう」
「それがいいと思う」
試しに、作品内で登場する敵の強さを分かりやすく言ってみると、エヴァはすぐさま諦める。
流石に光の巨人達が必要なレベルの敵とは相対などしたくはない。
この後日、この時を思い出して、京之助はフラグが立ってたかと嘆くのであった。
………
……
…
『
「……初めまして、名前はなんて呼んだらいいかしら?」
エヴァと幾らか話した後に、京之助は皆を呼んで『ナルメア』の召喚を行った。
大きなベッドがあるリビングと化した部屋の真ん中で、召喚を行えば魔法陣が錬成されて、その中央に小柄な女性が現れる。
身長は百三十センチぐらいで紫色の長い髪、耳はエルフのように尖がり、頭には二本の角が生えている。
持っている武器は長い刀であり、凛とした佇まいが美しい人であった。
何よりもーー
「でかい」
「大きい」
「くぎぎ……っ」
「えっと……?」
他の四人と比べても圧倒的な重量を持つ胸のインパクトが大きかった。
エヴァやカリオストロと比べても身長はさほど変わらないのに、胸の大きさは天と地ほどである。
エヴァとホシノは自分の胸と見比べて、琴子だけが血の涙でも流しそうなほどに悔しそうにしていた。
「俺は京之助。こっちの人がエヴァンジェリン、こっちの子はホシノでそっちがおひいさま……琴子。カリオストロは知ってるよね?」
「うん!お久しぶり、カリオストロちゃん!」
「おぅ、意外と元気そうだな」
ナルメアは、知り合いであるカリオストロに近づくと嬉しそうに手を握って上下に振る。
カリオストロも知り合いという事で気安く好きにさせた。
「それで……京之助ちゃんって呼んでも?」
「構わないよ。そっちはナルメアさん?ナルメア?」
「ナルメアで構わないわ……他の子はエヴァンジェリンちゃんとホシノちゃん、それに琴子ちゃんで?」
「エヴァンジェリンちゃん……エヴァでいい」
「それじゃ、エヴァちゃん?」
「呼び捨てていい……ちゃん付けだとどこぞの芸人に響きが似てて嫌だ」
「?」
ナルメアの呼び方に対してエヴァは嫌そうにそういい、理由の分からないナルメアはきょとんとした。
某芸人を唯一知っている京之助はお腹を抱えて笑い、エヴァに睨まれる。
「ごほん……まぁ、よろしく」
「うん!お姉さんに任せて!」
エヴァに睨まれて、京之助は笑いから苦笑へと表情を変えた。
背中に鋭い視線を受けながらも、京之助はナルメアと握手を交わす。
そして、にこにこと笑うナルメアを見て、はてと京之助は不思議に思う。
今までの人と比べても、ナルメアには負の感情がなく、通常通りに見えたのだ。