多元世界ヒロインズ 作:ころろこ
『
虚構推理に登場する主人公にしてヒロインである。
良い所のお嬢様であり、十一歳の時に妖達に誘拐され、彼らのトラブルを相談、解決する『知恵の神』になる事を求められた。
彼女はこれを承諾し、神になるため右目と左足を失い『一つ目一本足』となる。
主な役目は、彼等のトラブルを人間と妖、双方が納得する形で調停する事だ。
性格はというと冷静でありながらも欲望に忠実な子供らしさを残した子だ。
心は言わずがな、十一歳でしっかりと物事を判断した上で障害を負う事を承諾する完成された精神性を持っている。
能力的には知恵の神を名乗る、もしくは頼まれている事から見ても知識が豊富で頭の回転が早い知恵者だ。
なお、トラブル解決時に冷徹に対処することもあり、可憐で苛烈な為、頼りになる反面恐れられてもいる。
「と言うのがこの子」
「確かに文官としての才能がありそうだな」
何時もの『どこでもラブホ』の中で京之助とエヴァは一枚のカードを前に頭を悩ませていた。
悩ませている内容は、新しく手に入ったカードの使い道をどうするのかと今後についでだ。
「使い道は今のところ召還一択しかないだろう」
「そうだけど、職業がどうなるかが怖いな。絶対『知恵の神』になるでしょ、文官と同じことが出来れば嬉しいけど……神様関係は職業上精神がそちらに引っ張られる可能性が否めない。あとこの子を召還すると三人で同棲することになるんだよな」
「頼るときだけ召還はどうだ?」
「エヴァだったら、それどう思うよ」
「むっ……」
京之助の言葉にエヴァは辺りを見渡し、部屋の中を確認した。
勿論、確認する必要もなく、二人で生活するのが限界だった。
しかも、仲が良い訳でもない住人が増えるのだ。
トラブル発生の予感しかしない。
「そうなってくると……
「……」
そう言って京之助は、空中に絵を描くように指を動かす。
すると彼の目だけに見えるステータス画面が現れた。
名称:須王京之助
階位:1
種族:『
職業:『※※※※見習い』
能力:『
スキルポイント:1
能力の強化
Level:1『
→Level2経験値公平化、自分と仲間のステータス補正5%→10%
Level:1『どこでもラブホ』
→Level2部屋の増築、施設の追加
見て分かる通り、転職した際にボーナスポイント貰えて能力の強化に使えることが判明した。
今のところ、多元世界なら戦闘面でラブホなら日常面で便利になる。
ついでに言えば、よく分からない職業にもなってしまった。
残念ながら、主人公の様に職業を選べるわけではないのだ。
こればかりは主人公が羨ましいと京之助は思った。
「選ぶなら多元世界だ」
「えーと……その心は?」
悩んでいると黙り込んでいたエヴァが、急にそう言った。
何やら焦る様に京之助の服を掴み、睨みを利かせてくる。
そんなエヴァに気押されながらも、京之助は理由を聞いてみた。
「二人で問題ないのに今必要か?目標と言う目標もないだろ。それにこのままだと私とぼーやのレベル差が深刻な事になるぞ」
「……確かにそうだよな。経験値公平でレベルアップを早めた方が楽か?でもそれだと俺はヒモになってエヴァが大変じゃ」
「一人や二人問題ない。ぼーやはぼーやの役割を頑張って貰えばいい」
そう言って、エヴァは怪しげな瞳を京之助のとある場所に向けた。
そんな視線を受けた京之助は回復剤になった気分を味わう。
あれ、おかしいな、ハイスクールハックアンドスラッシュの世界だと逆ではと思うも、役得なので結局は流されることを選択したのだった。
実際に原作でもSPを回復させる為に行っていた正しい行為なのだと自分を納得させる。
更に言えば、エヴァの言う事も理解できた。
確かにこの先に進むなら確実に『文官』の職業は要るだろう。
それでも現状においては必要かと言われれば、居たら便利ぐらいである。
適当にダンジョンをほつき歩き、下の階層があれば降りてみると言う脳金プレイ中だ。
四月いっぱいは適当にレベルを上げつつ、のんびりと下を目指すのが目標である。
何しろ、この学園は五年制で先はまだまだ長い。
主人公の周りに居ればまた違うのだろうが、彼等との関係性をどうするのかも未定である。
最悪の場合は、『どこでもラブホ』の中で引き籠って主人公を応援するつもりだ。
「まぁ……のんびりでいいか。主人公達との関係も決めてないし」
「あぁ、確か雷神の血を引いていると言う奴か」
「結構でたらめな奴。見てる分には楽しいけど、戦いたくはないな。俺だけだと絶対に負ける」
「……そうか」
そんな会話を続けながらも『
京之助は腕を回し、手を握り、体の調子を確かめてみた。
補正が5%から10%に上がったことにより、少しばかりであるが体を動きが良くなっている事が実感できる。
「よし、それじゃレベル上げ行くか」
「何だ。まだ上げるのか」
「経験値公平化も試したいし、さっさと転職して職業が何なのかも知りたい。『
「……あぁ、そうか」
「『
身体能力が上がったことにより、やる気が湧いて来た京之助は楽しそうに準備を始める。
そんな彼を見てエヴァは謎の職業の事に関して知っていることを話そうか、話すまいかと一瞬だけ悩んだ。
と言うのも実は、京之助の職業に関しては彼の
ならば何故教えないのかと言うと単純に何時気付くのかと見ている方が楽しそうだし、分からない方がやる気を出すからである。
人と言うのは謎があると解きたくなる生き物なのだ。
現に京之助は解き明かそうと一生懸命であり、ここで正体を教えても水を差すだけだろう。
何よりも、エヴァの考えが正しければ、京之助が次の職業になるにはレベル上げだけでは無理なものである。
今現在の使いこなそうとやる気になっているのは先を見ればいい事であった。
「何時気付くか……と言うか人の身で持つな」
エヴァは、重そうに棒を持っている京之助を見て呆れた。
何しろ彼の持つ棒は、人の力では持つ事が不可能であり、とある物語の主人公の武器なのだ。
そんな武器の名はーー『