聞分林公園展望台前
展望台への入り口の前に陣取った私の前に、中年がやって来ました。
「おたく同類だねぇ?」
「どうでしょうか?」
不意打ちに備えて心を一段階深く沈めていく。食材500g水1ℓで腹八分手前の体格ではかなりきつい相手ですね。
「今日は別の予定がありますのでお相手は出来ません。すみませんがお引き取り願えませんでしょうか?」
「OK!んじゃぁ、展望台から夜空でも眺めッかね」
「はいはいはい、俺の屍を越えてゆけ」
「悪いねぇ」
戦闘開始です。悪い予想だけはよく当たる。まぁ、こんな日もありますよ。
半身に構えて右腕を伸ばし、守りの型で様子をみます。あの乱打は危険。歯が折れちゃいますよ。
中年はそんな私に無遠慮に歩み寄ってきました。
「そんなにきらわないでよぉ。」
「シッシッシッ」
「フン!」
「グッ」
心中で、いーーーっち!っと、リズムを取りながら相手の左肩、耳、釣鐘を狙って叩きます。
っち!のタイミングで釣鐘が当たりましたが、そのタイミングに合わせて鳩尾を狙った左ジャブを打ってきました。
プッシュパンチでもないのに、間合いを離されました。しかし、体格差がある以上助走距離が生まれたと捉えます。
前足を浮かせて倒れ込む様にし、自分の体重を腕から放出するようなプッシュ掌底で、中年を突き飛ばし……受け止め切りましたね、流石です!
バックステップを追ってこないようにバラ手で牽制します。体格で劣る以上武器が欲しいのですが、安全靴ぐらいしかありません。
「軽いけど鋭いね。でも、やっぱり体重が欲しい」
「昔からスレンダーで、太れないんですよ」
「強いのに勿体無い、ねっ!」
中年はラッシュを仕掛けてきました。見切られましたね。肘&膝受けで怯ませていますが、攻撃と攻撃の隙間がありません。
此方に覆いかぶさるようなジャンピング肘打ちを側面へ移動する事で回避し、体重が乗った打撃を打ちにくくする為に、そのまま側面へ摺り足で逃げ続けていますが、このままでは負けますね。
安全靴での前蹴りは掴まれるでしょうし、一歩進むタイミングで先手を打ってスナップを効かせて、下段蹴りをチクチク足癖悪く放ちますが、たいして効きません。
「うっとーしぃ、っよ!」
「!!」
ショルダータックル、ぶちかましのコンビネーション。ショルダータックルは後ろへジャンプ&片手掌底で受け流し、ぶちかましには、中年の顔面へ(アイアンクローめいて顔を手で覆い)玉貫き。
「ヤヲー!!」
このチャンスは逃がしません。中年の顎を狙ったジャブ。中年は絶対に起き上ってこない、前屈をするような倒れ方をしました。
私は大急ぎで(中年が来る前に、一纏めにした)荷物を持って逃げ去りました。
失敗して覚える。どうせ失敗の感触は忘れるから