幼馴染のツノを触りたい 作:ツノ角
放課後の教室に残ったリャンちゃんと机を挟んで座ったボクは、ジッと赤い瞳を見つめる。
前も見惚れるほど綺麗だった彼女の瞳は、幼馴染の彼氏が出来てからはもっともっと綺麗に輝くようになったと思う。
クラスの男の子たちはリャンちゃんに彼氏ができたなんて知らないけど、色っぽさが増したとかエロくなったとか……色々言ってるのをよく聞いたりする。
それくらいリャンちゃんを変えるほど彼氏さんの存在が大きいんだ。
……ボクは自分が彼氏を欲しいのか分からない。
けど、彼氏がいるリャンちゃんを羨ましいって思うことは確かにある。
どうしてそんなに変われたのか、男の人の何が影響したのか、それらを知りたいと思う。
だからリャンちゃんと彼氏さんのエッチを見てヒントを得たいんだ。
「――――――ねえ、リャンちゃん」
「ん〜?」
声をかけるとスマホを見つめていた目がボクに向く。
モデルさんみたいに整った顔が傾げられて続きを促してくる。
「朝言ってた話だけど……。本当に良いの?」
「全然いいよ! ちゃんと許可とってるからね!」
指で丸を作って可愛らしくウィンクしてくる彼女からは、今の質問内容がまさかエッチの見学の再確認なんて全く予想できない。
てっきりあれから触れられることなく自然消滅するのかな〜と思っていたボクのお願いは、今朝登校してきたリャンちゃんからの言葉で一気に現実のものへとなったんだ。
『今日、エッチするから見に来ていいよ♡』
教室の隅、耳元で小さく囁かれた内容はボクが女の子じゃないと耐えられなかったと思う。
……いや、正直心臓がドキドキして股のあたりがキュンキュンしたりしたけど仕方ないよね。
でも、そっか。
この後やってくる彼氏さんとリャンちゃんがエッチするんだ……。
「……っ」
顔が真っ赤になるのがわかる。
自分からお願いしたことだけど、美少女の親友のエッチを眺めるなんて想像だけで茹だっちゃいそうになる。
リャンちゃんとは仲良しだけどお互いの裸なんて見たコトないし、ましてやエッチしてるところなんて普通なら見れるはずないもん。
……けど、今日はそれをボクのために見せてくれるんだ。
リャンちゃんと彼氏さんのご厚意に感謝しないと。
そして、このチャンスを絶対に糧にして男の人についてしっかり知るんだ!
「あ」
ボクの意気込みを知らないリャンちゃんがふと声を漏らすと同時、教室の扉を誰かがノックする音が響いた。
その音に引かれてスマホから顔を上げたリャンちゃんは、恋する女の子そのものな嬉しそうな顔で扉の方を向くと迎えにやってきた彼氏さんへと声をあげる。
「ルイ〜♡」
普段、噂話してるような男子にはかけないような甘く優しい声で彼氏さんの名前を呼んだリャンちゃんが立ち上がる。
そして、そのまま扉へと駆けていく。
ボクもそれに続こうとして思わず、聞こえた単語を理解しようとして固まってしまう。
――――――ルイ?
……え、待って。
“ルイ”ってこのクラスにも居たよね?
ボクも時々グループワークとかで話したことあるけど、確か教室の窓際の席に座ってたはず。
……いやいや、まさかね? そんなはずないよ。
そんな偶然があるわけない。ないない。
「……」
……ねえ、リャンちゃん。
彼氏さんってもしかして学年同じなの?
もしかして同じクラスなの?
もももももしかして今日、日直だった男の子?
首が錆びついたように動きが悪くなり、認めたくない現実を見るためにゆっくりと扉の方へと顔を向けていく。
「ルイ、遅いよ!」
明るい声で話しかけるリャンちゃんの声が聞こえる。
「悪い。先生の話が長くてさ」
優しく返事をする聞き覚えのある声がする。
「う、嘘だよね……」
思わず言葉を口にしながら目線を向けた先では、リャンちゃんの幼馴染であり彼氏さんだというクラスメイトのルイくんが立っていた。
――――――ボク、クラスメイトの男子のエッチ見るってコト!?
まままま待って待って! ……待って!
てっきりボクってば年上の人が彼氏なのかと勘違いしてた!
学年が違うならボクのことも知らないだろうし、エッチを見ても気にならないだろうって思ってたのに!
「る、ルイくんが彼氏さんだったんだね……」
思わず震えそうになる声をなんとか誤魔化しながら口を開く。
ま、まさか同級生ってだけじゃなく、こんなにクラス数があって人数もいる中から同じクラスで喋ったこともある男子がリャンちゃんの彼氏さんだったなんて……!
そんなクラスメイトにボクがエッチを見たいってお願いしたらことを知られてるなんて!
顔が真っ赤になっていくのを感じながらルイくんを見ると、苦笑いを浮かべて頬を掻いている彼も口を開く。
「その様子だと聞いてなかったみたいだな……。リャン、隠してたのか?」
「あ、あれ〜? 言ってなかったっけ?」
ルイくんからの質問に分かりやすいほど目が泳いでいるリャンちゃんが冷や汗を流す。
その様子からわざとではなく、リャンちゃんのうっかりだと分かったルイくんがため息を吐き出した。
「はぁ〜。それだと話が変わってくるか……」
そう言って眉尻の下がった困った顔を浮かべたルイくんは、ボクに視線を向けると申し訳なさそうに口を開く。
「俺が彼氏だと知らなかったみたいだし、今日の話はどうする? 一旦、考え直すっていうのも全然アリだと思うけど」
顔が真っ赤になってるボクに優しい提案をしてくれる。
確かにリャンちゃんの彼氏さんが同学年だったなんて知らなかったし、しかもクラスメイトで話したこともあるなんて予想外だった。
けど、今ここでチャンスを逃したらボクはずっと男の人について知る機会がないままになるかも知れない。
それならエッチを見せてくれる二人に比べたら小さいボクの羞恥心なんて捨ててしまえ!
「――――――ううん、大丈夫! むしろルイくんこそ平気なの? ボクに見られて」
ボクの返答が予想外だったらしい彼は少しだけ目を見開いた後、微笑みながら隣のリャンちゃんを一瞥する。
「まあ、恥ずかしいっちゃ恥ずかしいけど……。リャンが良いなら俺は気にしないかな」
……ベタ惚れだね。
「よーし、決定だね! 早速、出発しよっか!」
自分の伝達ミスが問題なかったことに安堵した様子のリャンちゃんが、明るい声を出しながら荷物を手にする。
それに倣ってボクも荷物を持つとリャンちゃんと並んで教室を出た。
いよいよクラスメイトのエッチ見学の始まりだ……。