「うあっ……ああっ……」
王進は、視界を奪われたまま、汗に濡れた身体を微かに震わせていた。
痙攣にも似たその震えは、欲したわけでもなく、制御もできなかった。
のたうち回りたくても、それさえ許されない。
四肢も胴も、すべてを拘束されていた。
人の背丈ほどもある車輪状の金属体。その側面に、王進の身体は縛りつけられていた。
自由はなかった。動くのは、その回転体ごと。自らの意志とは無関係に、ただ翻弄される。
肌に触れる感触は、格子の粗い鉄網だった。
むき出しの皮膚が冷たい鉄に貼りつき、わずかな動きが焼けつくような刺激を生む。
胸が妙に圧迫されていた。
理由はわからない。だが、その不快な圧迫感が、羞恥の感情を引きずり出す。
そして──股間だけが、どこにも触れていないことに気づいた。
それがなにを意味するのか。
王進には、考えたくなかった。
いずれにせよ、王進にはもう、なにが現実で、なにが幻想なのかも判然としなかった。
あの瞬間から、時間の感覚が完全に失われた。
ただ、男たちの荒々しい気配に囲まれ、無数の手と異様な道具の感触で、延々と尻穴を責められ続けたという記憶だけが、鈍く焼きついている。
眠ることも、許されなかった。
意識が落ちかければ、鼻孔を焼くような薬品の臭気が、否応なく目を覚まさせる。
再び、終わることのない肛姦が始まる──。
日が昇り、沈んだのか。誰かが入れ替わったのか。それさえ、王進にはもうわからなかった。
ただ、脳髄の奥で「終わってほしい」という悲鳴だけが、ずっと響いていた。
だが、その間、一度たりとも顔に巻きつけられた革帯の目隠しが外されることはなかった。
視界を奪われたまま、王進は自分が置かれている状況を正確に掴むこともできず、ただ、無慈悲な手の群れに翻弄されていた。
ひたすらに身体を愛撫されて、無理矢理に快感を与えられ、交代で尻を犯される。
耐えることなど、とうにできなくなっていた。
肉体は擦り切れ、精神も、もう跡形もない。
生きているのか、壊されかけているのか。
その境目すら、すでに曖昧だった。
そしていま、王進の身体に、誰の手も触れていない時間が訪れていた。
赦されたわけではない。
ただ、周囲に満ちていた気配──獣のような息遣いと、押し殺した嗤い──が途絶えている。
おそらく、男たちは疲労に沈んだのだろう。
それほどの時間が、ここに流れていた。
だが、それを好機とは思えなかった。
王進の肉体は、なおも苛まれていた。
見えぬ視界の奥で、身体の奥底から疼きが残る。
しばらく前、尻穴に塗り込めていった“油剤”が、灼けるような痒みを引き起こしているのだ。
安らぎはなかった。
休息の余地も、そこにはなかった。
それは──高俅が遺していったものだった。
最初に塗り込められたときのことを、王進の肉体は今も忘れていない。
狂おしいほどの焦燥と痒み。
あのとき、あの男にこれを使われて、痒みに耐えられず、王進自ら、尻を犯してくれと言わされたのだ。思い返すだけで、喉元が灼ける。
そして、いまも、痒みが芯から疼いている。
耐えようとしても無理だった。
肉体の奥底に火が灯されたまま、王進はもだえていた。
口枷がなければ、おそらく、いまも泣き喚いたかもしれない。
尻を犯してくれと──。
そう思えるほどに、全身が、芯から引き裂かれていた。
そして──その灼熱が、眠気すらも打ち砕いていた。
疲労にまみれているはずなのに、王進の意識はなお、逃げ場を失ったまま、彷徨っていた。
「おい、なんだよ。全員、いつの間にか寝ちまってやがる。高俅様のご命令だってのに……。尻を休ませるなって言われてたろうが」
誰かの声が、沈んだ空気を切り裂いた。
ほどなくして、衣擦れとともに数人がもぞもぞと身を起こす気配がある。
一人の男が近づき、王進が括りつけられている鉄枠に手をかけた。
軋みとともに、格子の枠が動かされる。
無抵抗のまま、王進の身体は回転し──、尻が天井を仰ぐような姿勢へと変えられる。
止まった。
それだけで、全身が晒されたような感覚に襲われる。
次の瞬間、あの灼けるような痒みの芯の肛門に、男の指が触れた。
王進は、目の奥で火花が散るのを感じた。
「うああっ、あああっ」
全身に鋭い衝撃が走った。
肛奥の一点が荒々しくなぞられ、痺れるような熱が背骨を駆け上がる。
──これは、薬のせいだけじゃない。
王進は、薄々気づいていた。
すでに、自分の身体はかつてのそれとは違う。
それが筋肉や神経の奥にまで入り込み、肉体そのものを変えてしまっているのだ。
否応なく、受け入れるしかなかった。
「どうだい、王進先生。武術の稽古で世話になった礼ってやつだ」
男の声は、どこか愉快そうだった。
背後から伸びた手が、王進の自由を奪ったまま、尻穴の中を探るように動いている。
不意打ちのような刺激に、全身が震え、呼吸が止まりそうになる。
「う……っ……ああ……」
堪えようとしたが、唇を抜ける声は、すでに男のものではなかった。
自分の喉から発されたものとは思えず、王進はその事実に、さらに深く打ちのめされる思いだった。
言葉を噛み殺そうとするが、尻をなぶられる甘い刺激が、それを許さなかった。
身体の芯にまで届く疼きが、理性を削り取っていく。
女のような声音を拒もうとすればするほど、身体は裏切るように熱を持った。
「相変わらず、いい声で泣くじゃねえか、先生」
男が笑った。声に嘲りと、妙な甘さが混ざっていた。
「想像以上だな。お前の身体、すっかり淫らに仕上がっちまってる。もう男の形はしてねえ。見ろよ、その尻。責められるたびに震えて、悦んでるじゃねえか」
言葉の刃が、王進の耳に突き刺さる。
だが、その苛烈ささえ、いまの王進には否定できない。
男が、鼻で笑った。
その笑いに、底の知れない不気味さが宿っていた。
「……喋っちゃいけねえんだったな」
王進の意識が、そこでようやく浮上する。
喋っちゃいけない? なにか、妙だ。
だが、確かに、身体の感覚が、数日前と違う。
骨の芯が細くなったような、どこか重心が違うような違和。
それに──髪。
肩にかかる重みがある。こんな長さじゃなかったはずだ。
高廉の言葉が脳裏をかすめた。
女体化──あの呪術。
あれは、ただ淫らにされるだけじゃない。
身体も、心も、根こそぎ塗り替えられていく。
いま、王進の内側で、なにが起きているのか──自分でも、もう確かめる術がなかった。
「ひあっ、ああっ」
だが、思考は、そこまでだった。
拘束された身体が、突如として跳ねあがる。
王進は、喉の奥から声を漏らした。
男の手が、回転体に密着した王進の胸元へと割り込んできたのだ。
乱暴に差し入れられた指が、躊躇なく膨らみを揉みしだく。
胸が、溶けていくようだった。
あふれかえる熱とともに、戸惑いが、胸郭の奥底を叩く。
──そんなはずがない。
そんなものが、自分の身体にあるはずがない。
だが、現実だった。
他者の指が、まさしく女の乳房にあるような膨らみをとらえていた。
王進は、理を超えた驚きに、しばし言葉を失った。
「ははは、こっちも気持ちいいかい、先生? 尻とどっちが気持ちいいんだ? さすがにあんたの尻穴の気持ちのいい場所は覚えちまったぜ。ここが気持ちいいんだよな」
男は王進の尻穴の奥側で反対側に男根のある場所に近いところを強く擦りだす。反対の手で王進の胸を揉みながらだ。
「あがああっ、はがああっ、ああああっ」
身体の奥で、なにかが一気に突き上げた。
王進は、全身を反り返らせた。
射精感が、頭の芯を焦がしていく。
──また、くる。
羞恥と快楽が、交差する。
千切れるほどの屈辱が、皮膚の下で脈を打ち、脳が焼けるような熱に、全身が呑まれていく。
王進の身体が、がたがたと震えた。
意思では止められない。
欲望から逃れられない。
「おっと、お預けだ、先生」
──その瞬間だった。
全身を貫くような衝動が、頂点に達しかけた、その刹那。
男の手が、すっと離れた。
愛撫が、断たれたのだ。
王進の胸に、苛立ちが奔った。
寸前で奪われた快楽。
追い詰められた獣のように、身体が疼いた。
「ああっ」
「どれ、高俅様の掻痒剤を塗り足してやるぜ。だから、俺の精液を注いで欲しくなったら言いな。そうすれば犯してやるぜ。雌犬の王進先生よ」
男は再び王進の肛門に指で油剤を塗ってくる。
「んごおおっ、んごおおっ」
冗談ではない──。
塗られれば塗られるほど、掻きむしりたくなる衝動が皮膚の奥から立ち上がる。
それがどういうものかは、すでに骨身に染みていた。
逃れられない。
そして──。
その痒みを鎮める手段が、いま男が口にした通りであることも、この二日のあいだに、いやというほど刻まれていた。
まるで、呪術だ。
否、まぎれもなく呪いだった。
王進は、わかっている。
この理不尽な仕掛けに、何度、跪かされたか。
自ら懇願し、肛姦を求めさせられた。
思い返すだけで、血が逆流しそうだった。
──屈辱。その一言では足りない。
だが、それを超える痒みが、王進を追い詰めたのだ。
男としての尊厳も、武術家としての矜持も、すべてを叩き潰すのが、この痒み責めだった。
──それが、また。
王進は、球体の口枷を噛み締めた。
音がしそうなほど、奥歯に力を込めていた。
「ほら、なんとか言いな、先生。また、あんたの口からみっともなくお強請りする言葉を聞きてえぜ」
男の手が、王進の口枷を外した。
その刹那、口元から涎がどろりと流れ落ちる。
王進の顎が、わずかに震えていた。
「ひ、卑怯よ──。い、いや、卑怯だ……。こ、こんなこと……。わたしに……い、いや、俺に……。そ、そもそも……な、なんの恨みがあって……?」
言葉が乱れる。
口をついて出たのは、女の言葉だった。
焦ったように男言葉へと言い換える。
だが、それがどこか、不自然だった。
──なにかが、狂っている。
自分の中で、なにかが、確実に変わり始めている。
それが、なにかはわからない。
だが、それを認めた瞬間に、底の見えない恐怖が押し寄せてきた。
言葉にすることもできない。
ただ、王進の胸に、ひとつの予感が巣くっていた。
もう、元には戻れない──そんな予感だった。
「おう、なにか面白いことをしてんじゃねえか。俺もやらせな。こんな綺麗な雌様を好きなように苛められるなんて、生涯ねえくらいの面白い仕事だ。これで給金も弾んでもらえるんだから、居眠りしている場合じゃなかったな」
横手から、新たな気配が近づいてきた。
王進を嬲っていた男に、さらにもうひとりが加わったようだ。
「抜かすな。いつまでも寝てたくせに。高俅様がいつ戻ってくるかわからねえのに、気がついたら放置されてたんだぜ。快感漬けにして、絶対に休ませるなというご命令だったのによ」
「悪いな。まあ、俺もこの先生には武術調練でかなり世話になっててな。棒で起きあがれねえくらいに叩かれたのは、一度や二度じゃあねえ。一緒に参加するぜ」
新たに現れた男が、声に嘲りをにじませて笑った。
禁軍の武術調練──。
王進は、その場で兵士だろうが将校だろうが容赦しなかった。
そのときの憎しみを、今になってぶつけてきているのだろう。
だが──。
誰なのかは、まるで思い出せなかった。
どの顔も、どの声も、記憶にない。
その瞬間。
痒みが、再び尻の奥から噴き上がってきた。
引き裂くような感覚が、思考を寸断する。
王進は、そこで記憶を辿ることを諦めた。
「ああ、か、痒い──。もう許して──。いや、許してくれ──。どうか、慈悲を──」
王進の喉が裂けそうな叫びをあげた。
言葉が絞り出される。
哀願。それは、もはや抵抗とは程遠い。
二度塗りされた肛門の感覚が、時とともに悪化していく。
皮膚の奥から、骨の裏まで痒みが這い回り、神経を食い破っていく。
──気が狂う。
誇りも、矜持も、意地も、すべてが無力だった。
限界だった。
これ以上は、持たない。
恥を噛みしめ、屈辱に沈みながら、
中和の術──精を注いでもらうこと以外、助かる術がないと知っていた。
「おうおう、慈悲かい? もっとはっきりと口にしてもらわねえとわかんねえなあ。なにしろ、先生に手酷くしごかれた出来の悪い兵だしなあ」
「まあ、そういうことだ。へへへ」
男兵たちの笑い声が、空間を冷やすように響いた。
──だが。
王進の内側で、なにかが煮え立った。
この期に及んで、憤怒が身体の奥底から噴き上がってくる。
「き、貴様ら……」
「貴様らがなんでい? みっともなく、尻穴をさらけ出しやがって」
次の瞬間、回転体がわずかに軋んだ音を立てて動く。
王進の身体が翻され、顔が床を向き、尻が高く突き出される体勢へと変えられた。
その直後だった。
左右から、奇妙な感触が一気に押し寄せる。
「くあっ、あああっ」
拘束された身体の奥から、火柱のような感覚が突き上がる。
焼けるような熱ではなかった。
妖しい。そう表現するしかない刺激だった。
ふたりの男が用いたのは、乾いた筆だったらしい。
その筆先で、肛門の周囲をくすぐられる。
──皮膚のもっと奥、理性の内側をかき乱されるようだった。
「おおっ、うああっ、はああっ、や、やめて──、ああっ」
王進の身体が、突如として硬直した。
全身が張り詰め、喉の奥から悲鳴が漏れる。
女のような声──だが、いまは、それを気にする余裕などなかった。
「や、やめてえ──。ああっ、ああっ」
「はっきり言いな、先生。けつを犯して欲しいかい? 俺たちの珍棒を入れて欲しいかい」
二本の筆らしきものが、敏感な部分を責め続けていた。
「ひあっ、ああっ、ああああっ」
王進の身体が、金属のように張り詰めた。
筋肉が引きつり、意識の輪郭が揺らぐ。
脳の奥で、なにかが焼き切れる音がした。
「犯して欲しいだろう、先生? 痒くて堪らねえだろう。そらそら、そんなに尻を振るなよ。まったく、色っぽいけつだぜ。そら、もっと逃げな。さもないとこうやって筆でくすぐられるぜ。ほらほら」
筆が、またも襲ってくる。
王進は、唇を強く噛んだ。
血の味が、じわりと口腔に広がる。
だが、もはや鍛え上げた肉体も、鋼のような意志も、
この掻痒に対しては無力だった。
──もう、限界だ。
「ああっ、そ、そうよ。お、犯して──。犯して──」
その言葉は、堰を切ったように溢れた。
王進は必死に、拘束されたまま動かぬ首を、かすかに頷かせる。
心を裂くような羞恥と、抗い難い衝動が交錯していた。
「ははは、また言いやがった。すっかりとけつで、おまんこするのが好きになったみてえだな、先生」
ふたりの男が、下卑た笑いをあげる。
そのくせ、筆のくすぐりは止まらない。
王進の理性は、薄氷のようにひび割れていった。
「ああっ、もうやめてくれ──。許して──」
「じゃあ、ちゃんと言いな。わたしは尻を犯されるのが大好きな雌犬ですってな」
筆が、容赦なく迫る。
王進は、奥歯を噛み締めた。
心の臓の奥で、何かが爆ぜた。
──血を吐くように言葉を絞ったはずだった。
それでも、こいつらには足りなかったのか。
「いやなら、好きなだけ、尻を振ってな。いつまでもくすぐってやるぜ」
「それとも、油剤を塗り足してもいいしな」
ぞわり、と皮膚の下が逆立った。
背筋を這い上がる冷気に、王進は思わず息を詰める。
──それだけは、耐えられない。
「わ、わたしは、尻を犯されるが大好きな雌犬です──」
その言葉は、喉を裂いて飛び出した。
だが──その声は、自分のものではなかった。
高く、女のような調子。
思わず、戦慄が走る。
一体、自分は──どうなってしまったんだ……。
「ははは、そうか、なら犯してやるぜ」
ようやく、筆が引いた。
王進の身体にまとわりついていた刺激が、ぴたりと止む。
回転体が軋み、再びゆっくりと動き出した。
上半身が持ち上がり、腰が沈む。
姿勢が変わるたび、鉄の拘束具がかすかに鳴った。
男の男根がゆっくりと肛門の中に滑り込まれる。
「うああっ、うはっ、ああっ」
全身が、反射的にこわばる。
だが、尻の奥は、もはや別の生き物のようだった。
快感が、狂気のようにせりあがってくる。
痒みが消えたその瞬間。
巨大な愉悦が、じわじわと王進の全身を支配していった。
「おはああっ、ああああっ、はあああっ」
衝撃と快楽が重なり合い、王進は一気に頂点へと引き上げられた。
全身が痙攣し、拘束された肉体が震える。
──だが、なにかがおかしい。
尻を犯されながら、王進はまたもや快感を極めた。
けれど、そこには奇妙な違和感があった。
──なにかが、足りない。
すぐに気づいた。
射精感が、なかったのだ。
これまでは、快楽の果てに、下腹部が熱を持ち、
男としての器官から精が噴き出す感覚があった。
だが、今回は違う。
──出ていない。
その事実に、背筋が冷える。
自分の身体に、何が起きているのか。
確信はない。
だが、恐怖だけは、はっきりと湧き上がっていた。
いや──考えてみれば、ずっと男兵たちに犯され続けてきた。
途中から、射精の感覚は消えていた気がする。
どういうことなのか──。
そのとき、ふと気づいた。
股間から、尿とは異なる体液が、果てしなく流れているような感覚がある。
──なぜだ?
しかし、抽送が続いていた。
そのたびに、思考の輪郭がかき消されていく。
「ひおっ、ほおっ、ああっ、んあああっ」
またしても、快楽が波となって襲う。
全身が跳ね、意識が焼き尽くされるようだった。
肛門の奥で、異様な膨張を感じた。
なにが起きているか──王進にはわかっていた。
屈辱の底で、しかし、王進の内にひとつの感情が芽生える。
──安堵。
あの掻痒から解放されるかもしれない、という期待。
それが、身を裂くような羞恥と入り混じりながら、じわじわと膨らんでいった。
「おっと、ご褒美はまだだな。もう少し痒みに腰を振ってもらおう」
男が絶頂に至る直前、突如として男根を引き抜いた。
その瞬間、回転体が勢いよく軋み、王進の身体が翻る。
顔が男の方に向くようにされ、髪を掴まれて、強引に頭を持ち上げられた。
「くはっ、な、なに?」
視界は目隠しに覆われていたが、何が起きたかはすぐにわかった。
顔面に浴びせかけられた感触──それが、男の精であることは否応なしに理解された。
──飢えていた。
舌の奥が疼いた。
無意識のうちに、口の周囲に付着したそれを、必死に舐めとっていた。
男たちの笑い声が、容赦なく響き渡る。
「こうなっちまったら、あんたもおしまいだな、王進先生。うまいかい──。だが、尻の中には注がなかったから、けつの痒みはとれねえだろう。今度は俺だ。先生、また強請ってみな。尻を犯してやるからよう」
別の男が、けたたましく煽り立てた。
回転体が再び軋み、王進の尻がその男の前に晒される。
そして──また、筆が動いた。
「ああ、もう許してくれ──。犯して──。犯してください──、ひああああっ」
王進は、嗚咽混じりに叫んだ。