※この作品はR-18です。

水滸伝艶義   作:ドン・ドナシアン

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33  史春、卑劣漢たちの媚薬責めに屈す

「ああ、だ、だめええ──」

 

 史春(ししゅん)の裸身が、拘束されたまま震えた。痙攣ののち、がくりと項垂れ、二度目の昏倒を迎えた。

 

「はは……。拭かれている最中に二度も気をやるとはな。まったく、いやらしく仕上がってるぜ、史春」

 

 李吉(りきつ)が嘲るように言い放った。続けざまに、布と手で肌を擦っていた男たちが声を揃えて哄笑する。

 その声が耳の奥にまで突き刺さった。身体のどこかに怒りが残っていれば、叫びもできた。だが、史春の内には、もうなにも残っていなかった。

 ──すっかり、抜けてしまった。

 その場に垂れたように、史春は力を失った肢体を預けた。

 

「これで三度目ってわけだな。しかも、これだけの男たちの前でだ。まったく、恥を知れって話だぜ。あの男勝りの史春がこうなるとはな。もし、てめえがこんな淫乱だと知ってりゃ、婚約中にもっと可愛がってやったもんを」

 

 李吉が笑いながら、悪意を込めて吐き捨てる。

 その声に、史春の全身がかっと熱を帯びた。怒りで血が逆流する。

 

「よ、よくも……。こ、これは、あんたらが身体を拭くなんて言って、塗りたくった薬のせいじゃないか。女ひとりを相手に、そんなもん使わなきゃ手も出せないってのか。恥を知りな」

 

「恥だと? 何度も人前で昇り詰めるてめえのほうが、よほど恥知らずじゃねえか」

 

「そのとおりだな」

 

 李吉が嘲り、男たちが腹を抱えて笑い声を上げた。

 

「くっ……犯すってんなら、とっととやりなよ。それで、こんな場所から解き放ってくれるんなら、あたしだって、それで手を打つさ」

 

 史春は、怒鳴るように声を上げた。だが、言葉の後に続いたのは、堰を切ったような嗚咽だった。

 歯を食いしばりながらも、涙が止まらない。声が震える。目の前にいるのは、あの李吉とその手下ども。つまらぬ男たち。だがいま、彼らの手の中で、史春は抵抗する術を失っていた。

 こんな連中に穢されるのは、魂を裂かれるような屈辱だった。けれど、どのみち、身体が無事で済むとは思えなかった。

 ──だったら、終わらせたい。少しでも早く。

 その一心だった。

 

 自分をさらった男たちの前で浣腸というものをされ、立ったまま大便をさせられた。

 しかも、排便をしながら股間を責められ、糞尿をしながら気をやるという想像を絶する姿を強制的に晒されたのだ。

 

 そのあと、この男たちは、汚れた史春の身体を洗うという行為をしながら、布や手で思うままにさらに刺激を加えてきた。

 しかも、ただ布や手で愛撫をするだけではなく、五人がかりでおかしな油剤を史春の股間や胸、そして、排便の終わった肛門に塗りたくったのである。

 その油剤が、女の身体を疼かせる媚薬であることは明らかだ。

なにしろ、その油剤を塗られた箇所は、瞬く間に異様な熱を帯びた。火が灯されたような灼熱に、肌がびくついた。布でそこを拭われた瞬間、史春の身体は激しい波に呑まれる。

 どうしても、耐えたかった。これ以上、無様を晒すわけにはいかないと歯を食いしばった。

 けれど──無理だった。

 膝が崩れ、全身から力が抜ける。短く、深く、連続する絶頂の波が、二度、立て続けに彼女を飲み込んだのだ。

 

「糞を垂れながら気をやって、さすがの鉄火女も号泣してしおらしくなったかと思ったが、また悪態かい……。こうなったら、そろそろ徹底的に全員で犯すか……。そうすれば、さすがに鼻っ柱も折れるだろうさ」

 

 李吉が吐き捨てた。

 その言葉を受けて、身体を拭くふりをしながら、布で史春の肌を這わせていた五人の男たちが色めき立つ。

 目の奥に、欲望が火を灯すのがわかった。

 だが、鬼丸が前に出た。静かに、手のひらを掲げて制する。

 

「それはいけません。この史春には、まず心の底から、男を欲すると言わせねばなりません。さもなければ、珍棒は与えられないのです。奴隷にとって、男のそれはご褒美。ご褒美というのは、そう簡単に与えていいものではありません」

 

 男たちが顔を見合わせ、不満げに肩を落とした。

 だが、その仕草も、史春の裸身を布で拭く動作のままだ。

 どうしても、よがり声が出そうになるのを必死に耐える。

 

「……まあ、そんな顔をするもんじゃない。どうせ、頼むから抱いてくれって言うのに、一刻と持たないだろうと踏んでますよ」

 

 鬼丸が口の端を歪め、意味深く言い添えた。

 

「ふ、ふざけるな……。なんで、あたしが……」

 

 史春が、怒鳴るように返す。

 

「とはいえ、もう手遅れなんじゃありませんか、史春さん。あんた、自分でも気づいてるだろ。ずいぶん気に入っていたようですね、あの媚薬。あれには、肌を極端に敏感にするだけじゃない、もうひとつの効能があるんです」

 

 鬼丸が声の調子を変えた。低く、冷たく。

 

「もうひとつの効果だって?」

 

 史春は背に冷たいものを感じた。

 いや。確かに異変は感じていた。でも、信じたくはなかったから、無視する振りをしていたが、まさか……。

 

「──手っ取り早く、あんたを発情させる薬でもあるんですよ」

 

 鬼丸が、いやらしい笑みを浮かべて合図を送った。

 その仕草ひとつで、史春の裸身に群がっていた男たちが、一斉に手を引く。

 愛撫から解放された瞬間、史春の身体から力が抜けた。安堵が、全身を包み込んだ。

 

 だが──その安堵は、あまりにも短かった。

 鬼丸の言葉の意味が、ようやく身体に染みたのだ。

 肌に残された火傷のような熱。その熱とすり替わるように、別種の苦しみが史春を襲った。

 それは、身体の芯まで喰い破るような──痒みだった。

 

「か、痒い──っ」

 

 史春は、縛られたまま全身を激しく揺すった。喉の奥から悲鳴が漏れる。

 あの薬が熱をもたらすことは感じていた。むず痒さも、予感はしていた。

 だが、いま、男たちの手が離れた瞬間──初めて、それが牙を剥いた。

 刺激が止んだ途端、炎に身を焼かれるような痒みに、史春は絶望を覚えた。

 鬼丸が史春に向かって、笑みを浮かべたまま口を開く。

 

「はは……あの媚薬はな、ただ塗っただけでも充分だが、少しでも弄られたあとにこそ、本領を発揮するんです。さて──あんたの我慢がどこまで持つか、俺たちは見せてもらいましょうか。もし限界が来たら、李吉さんたちに頼むんだ。どうか皆さんで、私を輪姦してくださいってね」

 

「へえ、痒み責めってやつか。話には聞いたことがあるが、目にするのは初めてだ。この史春が、ほんとにそんな言葉を吐くかどうか、見ものだな」

 

 李吉が、面白そうに声を出した。

 

「女責めじゃ、よくある手ですよ。陳腐だと言われるくらいに。だが──効く。だから使われるんです。放置すれば痒みに苛まれ、手を加えればあっという間に昇る……。こういう鉄火女には、うってつけの薬ってわけです」

 

 鬼丸が口の端を上げた。そこにいた男たちも、それを聞いて大きな声で笑った。

 史春に塗った薬が、激しい痒みをもたらすと知った途端に、男たちの興奮が膨らんだようだ。

 

 だが、当の史春は、もはや耳に入っていなかった。

 身体の内側から、這い上がってくるような痒みが、理性を飲み込んでいた。

 逃れようもないその苦痛は、放置されればされるほど、暴力的に膨らんでいく。

 

 ──我慢しよう。

 

 そう思ったのは、ほんのわずかの時間だった。

 その痒みは、狂気に転がるほどの力で、史春の思考を打ち砕いた。

 

「さ、触って……お願い……掻いておくれ──」

 

 史春は、拘束されたまま全身を震わせ、声を張り上げた。

 

「おう、ずいぶん苦しそうじゃねえか、史春。だったらよ──俺に言うことがあるんじゃねえのか。あのとき、俺を足蹴にした詫びを、きっちりしてもらおうか」

 

 李吉が、ゆっくりと史春に近づく。

 そして、鼻先を寄せると、ふっと乳首に息を吹きかけた。

 

 ──それだけで。

 

 乳首に焼け爛れるような痒みが走り、史春は声を押し殺す間もなく、泣き出した。

 

「お、お願い……もう我慢できない……。謝る、謝るから……いままでのこと、本当にごめんなさい……だから、これだけは、許して……」

 

 涙が頬を伝い、史春は、泣きながら叫んだ。

 

「わかった、わかった……じゃあ、掻いてやるよ。これでな──」

 

 李吉が、薄ら笑いを浮かべながら、背後に隠していた道具を史春の前に差し出した。

 それは、一本の刷毛だった。

 史春の目が、見開かれる。

 

「ほら、これでいいか?」

 

 李吉がその刷毛で、史春の突き上がった乳首をひと撫でした。

 

「はうっ……」

 

 史春の身体が跳ねた。

 乳首を掠めた刷毛の感触が、全身に波紋のように広がった。

 だが、刷毛が離れた瞬間──その場所に、さらに強烈な痒みが襲いかかる。

 

「あ、ああ……こんなの、ない……。もっと強く、刺激して……李吉……お願い……」

 

 声が震え、涙とともにこぼれた。

 さっきまで、あの男に触れられることなど、死んでもごめんだった。

 だが、いまは違った。

 もっと激しく──身体の奥を抉るように、求めていた。

 何かに貫かれたくて、どうしようもなくなっていた。

 ──このままでは、本当に壊れてしまう。

 鬼丸が声を上げた。

 

「さあ、みなさん、順番に刺激してやってください。反応のあった場所には、さっきの薬を塗り足すんです。そうすれば、その箇所が性感帯として刻まれる。身体が快感を覚えてしまえば、次からは薬が要らなくなる」

 

 男たちが、手に刷毛を持って史春の周囲に集まってくる。

 それを見ただけで、史春の背筋に冷たいものが走った。

 恐怖が、胸を叩いた。

 

 六人の男たちが、刷毛を手に史春を取り囲んだ。

 それぞれが、順番に──史春の性感帯を探すつもりだった。

 刷毛で、全身のあちこちを撫で回す。

 

 痒みに苛まれていた箇所を無視され、ほかの部位をくすぐられる苦しみに、史春は全身を震わせた。

 だが──首の後ろから耳の裏を撫でられたとき、耐えきれずに声が漏れた。

 

「あっ……」

 

 即座に、その場所へ油剤が塗りこまれる。

 

「はぐっ……ううっ……」

 

 薬が沁みた。

 その直後、同じ箇所を刷毛で軽くなぞられる。

 

 瞬間、身体が跳ねた。

 喉から漏れたのは、悲鳴か、喘ぎか、もはや区別がつかない。

 

 それ以前の刺激とは、まるで別物だった。

 油剤を塗られたあとでの刷毛責めは──

 史春の感覚の奥深くまで入り込み、快美感の嵐を巻き起こした。

 

 咄嗟に、叫びが突き上げた。

 ──まずい。

 史春は、胸の奥で本気でそう感じた。

 

 この薬剤を使われ続ければ、自分の身体は、どうにかなってしまうかもしれない。

 理屈ではなかった。

 ただ、身体がそう叫んでいた。

 押し寄せる快感が、それほどまでに強烈だった。

 

 これ以上、媚薬を塗られたくない。

 史春はそう思い、歯を食いしばった。

 表情を消した。

 だが、刷毛の刺激までは、さすがに耐えられなかった。

 次に襲ってきたのは、無防備な脇だ。

 

「あっ……はあああっ」

 

 声が漏れた。

 背筋が跳ねた。

 骨の奥まで突き刺さるような愉悦が、全身を突き抜けた。

 男たちが笑いながら、その箇所に薬を塗り足す。

 

 そして、探索は続いた。

 二の腕から肘、腰の括れ。

 内腿。膝の裏。

 拘束された足の指のあいだまでも、刷毛が潜り込む。

 ほんの僅かでも反応があれば、そこへ薬が加えられた。

 

 ──やがて。

 

 史春の身体は、薬剤の塗られていない場所を探すことすらできなくなっていた。

 

 どこもかしこも、灼けるような性感帯。

 それと同時に、掻き毟りたくなるような痒みが、身体の芯から這い上がってくる。

 

 もう、なにがどうなっているのかもわからなかった。

 

 ただ、暴れた。

 暴れ狂った。

 

 だが、その中で、微かに残った理性が史春の心を、深く沈めていた。

 情けなかった。

 こんな男たちに、あたしは、浅ましく反応している。

 裸のまま、声を張り上げている。

 

 ──それが、なによりも、苦しかった。

 

「ふう……ぐうっ……くっ……」

 

 史春は、正面に立つ李吉を睨みつけた。

 その目は、殺意に満ちていた。

 

「どうした。そんな怖い顔しやがって……欲しいんじゃねえのか? この刺激をよ」

 

 李吉が嘲りの声を吐く。

 そのまま、刷毛を手に、史春の股間の尖りを円を描くように撫でた。

 

「ふくっ……うううっ……」

 

 史春の喉から、抑えきれない声がこぼれた。

 腹の奥が、きゅう、と締めつけられる。

 次の瞬間、自分の股間から熱を帯びた液体が垂れたのがわかった。

 

「おうおう、どうした史春。なにか、腿のあたりに流れてきてるぜ?」

 

 李吉が顎を掴み、顔を無理やりこちらに向けさせた。

 

「ひ、卑怯者……」

 

 それだけが、ようやくの抵抗だった。

 口にした自分が、情けなかった。

 

「その卑怯者に、犯してほしくて仕方ねえんじゃねえのか。だったら、言え。頼め。──輪(まわ)してくれってな」

 

 李吉が嗤った。

 男たちが、史春の周囲を取り囲み、いやらしい笑みを浮かべている。

 

「ああ……」

 

 史春は、身をくねらせた。

 いまはもう、責められるよりも、なにもされないことのほうがつらかった。

 塗られた薬が、全身に火を灯している。

 その火は、ひとときでも刺激を失えば、たちまち、焼き尽くされるような焦燥感に変わるのだ。

 

「も、もう……駄目……お願い……して……」

 

 史春が、掠れた声で言った。

 

「なにを、したいんだ? 史春」

 

 李吉の声は、徹底して冷ややかだった。

 問いかけながら、口元に意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「……したい……も、もう、これ以上いじめないで……お願い……やってくれ……」

 

 声が震えていた。

 いや、もしかすると──すでに涙を流していたのかもしれない。

 感情の制御など、とうに失われていた。

 

「だから、なにをしたいのか、はっきり言え」

 

「うっ……犯して……もう……我慢できない……。早く、輪(まわ)して……」

 

 もはや別人のようだった。

 唇から漏れるのは、あられもない懇願の言葉ばかりだった。

 李吉が応えた。

 

「わかった。してやる。だがな──その前に、毛を剃ってからだ。犯されたいのなら、男たちに頼め。あんたの毛を、きれいに剃ってくれとな」

 

 そう言い残し、李吉は背を向けた。

 史春は、黙った。

 ──そんなこと、言えるわけがない。

 

 だが──。

 身体が燃えていた。

 痒みと焦りが、全身を引き裂くようだった。

 欲情の熱が、理性を切り離していく。

 恥に震えながらも、唇が動いた。

 

「……み、皆さん……お、お願いします……。あ、あたしの毛を……剃ってください……」

 

 声が途切れ途切れにこぼれた。

 

 史春の中に残っていたものは、すでに尽きていた。

 李吉の言葉に逆らう気力もなく、口から出たのは──屈辱そのものだった。

 男たちが、どっと笑った。

 

 石鹸の泡が、静かに陰毛の上に置かれた。

 そして、剃刀が肌にあてられた。

 股間の毛を剃られる屈辱──。

 だが、それ以上に、じっと剃刀の動きを我慢する、その時間がつらかった。

 

 やがて、史春の股間は、すっかり無毛にされた。

 童女のような姿になっていた。

 毛を失ったことよりも、もっと大事なものを、根こそぎ奪われたような気がした。

 

 それでも、ようやく解放されると思った。

 この、耐え難い痒みから。

 たとえ、その手段が輪姦であっても、いまは、なによりも痒みの終わりを望んでいた。

 

 しかし、鬼丸の命で、再び──六人がかりの刷毛が動き出した。

 史春は、声を上げて泣いた。

 泣きながら、もう一度、全身を隅々まで撫でられた。

 繰り返し──。繰り返し……・

 やっと、鬼丸の指示で、刷毛責めが終わった頃には、口から出るのは、「犯して」という言葉だけになっていた。

 

 だが、しばらく放置されると、また再開したのだ。

 刷毛責めが……。

 しばらくは、乳首や股間を避けるように、他の部位ばかりを責められる。

 そしてようやく、最初に薬を塗られた箇所への刺激が始まる。

 だが、それも──刷毛によるものだった。

 

 史春が望んでいたものとは、まるで違う。

 すすり泣きながら、うわ言のように、交わりを求める言葉を繰り返す。

 

 ──どれほどの時間が経ったのか。

 

 同じことが、何度も繰り返された。

 

 全身をくまなく責める。

 しばらく放置する。

 局所を責める。

 また放置する──。

 

 その繰り返し。

 

 史春は、欲望に狂い、声を枯らして悲鳴を上げた。

 喉が焼けつくように痛んでも、なお叫び続けていた。

 

 やがて、部屋の中に油の灯が点された。

 夜が、すぐそこまで迫っていた。

 

 ──そのときだった。

 

 不意に、両手を吊っていた鎖が音を立てて緩んだ。

 支えを失った史春は、そのまま尻を床に落とし、しゃがみ込む。

 股を閉じることはできない。膝を立てて、脚を開くような体勢になった。

 

 李吉が史春を押し倒す。

 

「自由になった腕は、頭の横から動かすな。少しでも動けば中止するぞ」

 

 李吉が言った。

 いつの間にか、李吉は下半身の衣類を脱いでいた。

 史春の両手は、手首を束ねられたまま、鎖が緩んで動くようになっていたが、慌てて史春は手を頭の横に固定する。

 熱い李吉の怒張の先端が、史春の股間に擦りつけられた。

 

「あああっ」

 

 それだけで史春は吠えた。

 身体に期待感と欲情が荒れ狂っている。

 李吉の肉棒が史春の股間の狭間を押し広げるように突き入れられてくる。

 

「ふううう──ほおおお──はああああ──」

 

 史春は絶叫した。

 待ちに待った瞬間だった。

 突き抜けるような快感が史春を襲った。

 

 律動が始まると、あっという間に史春は絶頂した。

 脳髄から脚の指の先まで一気に快感が貫き、史春は拘束された身体を限界まで仰け反らせた。これまでに味わったことのないような絶頂感だ。

 

 もう、羞恥も慎みもない。

 圧倒的な快感……。

 それだけだ……。

 

「あああうっ、はうううっ、ああああっ──」

 

 史春は全身を震わせて吠えた。

 

 しかし──李吉の動きは、まだ始まったばかりだった。

 史春の身体は、すでに一度、頂点に達していた。

 にもかかわらず──李吉の動きは止まらない。

 その律動が、史春の身体の奥を繰り返し揺さぶってくる。

 ──それに呼応するように、史春の感覚が、ふたたび昂ぶりを見せはじめた。

 

 欲情の波が、再び押し寄せてきた。

 それが、怖かった。

 もう限界を越えていたはずの自分の身体が、さらに深いところへ落ちていく。

 抗うことは──できなかった。

 

「はぐっ……」

 

 李吉の手が史春の乳房を荒々しく揉み出す。

 新たに加わった強烈な法悦に、史春はまた頭が真っ白になるような愉悦を味わった。

 

 史春は愕然とした。

 また、達した?

 続けざまに二度、昇ってしまった。

 ──そんな自分が、信じられなかった。

 

 いったい、自分の身体はどうなってしまったのか。

 もう、なにも考えられなかった。

 ただ──快感だけが、全身を貫いていた。

 

 口惜しさも、屈辱も、情けなさも、遠いものになっていた。

 あったのは、ひとつ。

 圧倒的な感覚の奔流。

 それが、すべてを押し流していた。

 李吉の律動が、さらに速さを増した。

 

「り、李吉……き、気持ちいいの……」

 

 史春の声は、泣き声と重なった。

 

 その瞬間──。

 三度目の波が、史春を一気に攫っていく。

 そして、膣の奥で熱が迸り、深く叩きつけられた感覚を史春は、確かに感じ取った。

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