「ところで、
だが、高俅は鞭を引き、今度は指先で王進の尻穴の窪みをゆっくりと撫で始めた。
「くあっ、ああっ、お、お許しを……」
いまや尻穴は、王進の肉体で最も深い性感帯だ。
高俅はこの屋敷の兵たちに、王進の女陰を犯すことを禁じ、許すのは肛姦だけと決めている。
そのため、この一箇月、王進の尻穴は繰り返し調教され、嬲られ、犯され尽くしてきた。
淫紋の呪術が重なり、王進の女体は普通の女の何倍も敏感に作り変えられている。
とりわけ、この尻穴は──。
指一本が滑り込むだけで、果てかけるほどの浅ましい肉欲器官だ。
高俅の指が奥に沈んだとたん、王進は排泄器官を嬲られて悦ぶ自分を心底呪った。
だが津波のような甘美感には、抗う術などない。
奥歯を鳴らし、全身を強張らせて堪えるしかなかった。
「脚をおろすなよ、王進。だが、口惜しいか? 元の禁軍武術師範ともあろうものが、尻穴を剥き出しにして、私に指なぶりをされているのだ。正直に申せ」
「くっ、ううっ、うっ……。く、口惜しいです……。腹が煮えるほどに……。んっ、ああっ……」
わざわざ禁軍武術師範の肩書を口にするのは、王進を徹底的に辱めるためだろう。
いまの王進にとって、かつての名を呼ばれることほど耐え難いものはない。
一方で、高俅の指は尻穴を執拗に抉り、奥へ甘い疼きを刻み込む。
どうしても、女としての声が喉を裂いて洩れてしまう。
それが、腹の底から口惜しかった。
「恥ずかしいか? 私に尻をほじられて、気持ちよくよがるのか? 股ぐらから、また汁が垂れ落ちてきたぞ。まるで小便ではないか。お前にしてみれば、私はお前を陥れて監禁し、屈辱的な性拷問を繰り返させている憎き相手ではないのか? そんな私に尻の穴を悪戯されて興奮するなど、下賎の娼婦以下ぞ」
「い、一言も……あ、ありません……。あっ、ああっ」
「口惜しいが尻穴を抉られて卑しい悦びを感じておる……。そうなのか?」
「か、感じて……ます。く、口惜しくて……、し、死にたいですが……く、狂うような……悦びを……」
掠れた声で応じるしかなかった。
どんな答えを高俅が好むか、もう嫌というほど知っている。
それに、王進自身の内側に渦巻く恥辱と無念は紛れもない事実だった。
排泄器官を指で嬲られる屈辱と、背骨を震わせる快感が、四つん這いで片脚をあげる姿勢すら揺るがせている。
「死にたいか。だが、兄上の淫紋の呪術で自殺は不可能だ。それだけでなく、この一箇月以上、餌のような粗末なものしか喰らわせてもらえんのに、その健康そうな肌艶に、完璧に近い美しい女体の体型を保っているのだ」
高俅の指が、尻穴の奥で鉤状に曲がり、肉の壁をぐいと引き上げた。
「あんっ、ああっ」
王進は、その意地の悪い痛みを快感に変えてしまい、口から嬌声が迸った。
周囲の兵がどっと嘲り笑う。
一方で、高俅は肩をすくめてくすりと笑っただけだった。
羞恥に顔を焼かれ、王進は慌てて口を噤む。
「哀れよのう……。気がついていると思うが、その淫紋がある限り、飢えて死ぬのも不可能ぞ。性病にもならん。大抵の病ははじき返すそうだ。まさに、性奴隷として長く生かすための呪術よ。もっとも、禁軍武術師範としての王進は死んだがな」
「ほう、そうなのですか、高俅様?」
一方で王進は唇を噛み、喉の奥で漏れそうな声を必死に堪える。
もうこれ以上、醜態を晒したくはなかった。
だが、すでに追い詰められていた。
高俅の指が尻穴の奥に付け根まで潜り、右へ左へと関節を曲げては荒々しく肉を抉る。
痛みとともに、肛門の奥が疼き、背骨を駆け上がる。
高俅は王進を感じさせようなどとは思っていないのだろう。
ただ嫌がらせのように乱暴に指を暴れさせる。
だが、いまの王進には、その痛みすらも被虐の興奮として逆流してくる。
我を忘れ、高俅の指に応じて、尻の奥の肉が無意識に収縮した。
淫紋の作用──。
あらためて思えば、確かに予想はついていた。
この屋敷に囚われて以来、まともな食事は与えられず、眠りも満足に許されない。
それでも、女体は瑞々しい肌艶を保ち、乳房も崩れない。
殷天もときおり、呪術の効能をほのめかしていた。
きっと、すべて本当なのだろう。
ところで、自分が死んだ、とは──?
「聞いておるか、王進?」
「んああっ、あんっ、き、聞いております──。あああっ」
王進は思わず甲高い声を洩らした。
高俅の指が尻穴だけでなく、さらにもう一方の指で陰核に触れてきたのだ。
津波のような快感が、一気に王進を飲み込む。
「ははは、まるで女のような悲鳴ではないか」
高俅は指を嬲りながら声を弾ませた。
さらに指を足し、女陰にまで押し入れてくる。
高俅の片手が、敏感な肉芽と陰部、尻穴の奥を荒々しくかき回す。
「ひいいっ、お、お慈悲を──。い、いくううっ、いってしまいます──。い、いく許可をください──」
脳天を突き抜けるような快感が王進を引き裂く。
だが、勝手に果てることは許されない。
その掟は、全身に深く刻まれている。
必死に腰を震わせ、快感を噛み殺した。
「なんと、話の途中だぞ。耐えんか──」
高俅の声に、広間に居並ぶ兵たちの嘲笑が重なる。
羞恥で身体がかっと火照る。
そのとき、背後から殷天の平手が飛び、王進の尻たぶを容赦なく叩いた。
「脚がさがったよ──。しっかりとお上げ──」
「ひんっ」
殷天の声は、王進の背骨を氷のように締めつけた。
恐怖が骨に染みついている。
反射的に片脚を大きく持ち上げる。
「脚をおろしたいか、王進? その格好で股を愛撫されるのは辛いか?」
指が女陰から離れ、尻穴の奥だけを抉り続ける。
ほんのわずかだが、胸の奥に安堵が落ちた。
これなら、まだ耐えられるかもしれない。
奥歯を噛み、声を呑み込む。
「つ、辛いです。ど、どうか慈悲を……」
「ならんわ。恥ずかしげもなく、愛汁を垂れ流しおって。心の底から奴隷に成り下がったのう、王進」
「は、はい……。お、王進は……、も、もはや、奴隷……いえ、雌畜でございます……。うくっ、あああっ、ああ……」
息も絶え絶えだった。
尻穴の奥で指はなおも蠢く。
打ち痺れる快感に、膝から力が抜けかける。
それでも、全身の筋を総動員して、王進は必死に片脚を掲げ続けた。
「確かに、すでに家畜だな。すっかりと、殷天に牙を抜かれて情けなくなりおって。足を舐めよ、王進。犬のように舌を這わせるのだ。脚はおろしてよい」
高俅の指がようやく尻穴から抜かれた。
王進は崩れるように膝をつき、上体を伏せたまま、高俅の靴に唇を押し当てる。
ぬめる舌が、靴先を何度も舐め上げた。
「全く呆れたものよ。これが禁軍武術師範のなれの果てか。よく聞け、さっきも申したが、お前はもう死んでおる。八日前だ。お前の死体が帝都から離れた青竜河の河岸で発見された。水膨れで身体の原型は留めておらんかったがな。つまりは、お前に似せた男を身代わりにして、お前を死人にしたということよ」
そういうことか──と思った。
王進は一心に高俅の靴に舌を這わせながら、耳の奥だけを澄ませる。
「禁軍の金庫から盗んだ財は使い切って回収はできんかった。それだけでなく、逃亡のあいだに、農民を襲って財や食料を奪い、子女を犯して殺し、悪事の限りを尽くして、最後は河で遭難して死亡よ。お前の功績は生前に遡って取り消され、極悪人として記録に残す」
高俅の声は満ち足りたように湿っていた。
王進は、なにも返さない。
ただ、舌で靴の泥を啜り、黙々と足元に額を擦りつけていた。
「ふん、すでに腑抜けか──。これだけ侮辱してやっても、拷問の怖さがまさるか。つまらん。もう少し芯のある者と思っておったが、犬に成り下がったとあっては興醒めよ。王進よ。怒りはないのか。お前は唾棄される極悪人として名を遺して死んだのだぞ」
「く、口惜しくはありますが……、い、怒りはありません。それよりも、高俅様の足を舐めさせていただき、雌畜としての悦びが溢れてまいります……。み、みっともなく愛汁を滴らせる股が……しょ、証拠であります……」
王進は腹の奥の屈辱を噛み殺し、恭順の言葉を吐き出した。
すぐに靴に唇を押し当て、泥を舐め、犬のように舌を這わせる。
いまは耐えるとき──。
自分にそう言い聞かせるしかなかった。
「なるほど、もう犬か。ならば、そう扱ってやろう。殷天、数日以内に、兄上を呼ぶ。そのときに、王進の淫紋を解呪していただく……。殷天よ、解呪したら、次は隷属の首輪を嵌めて、隷属の縛りを刻め。兄上の淫紋の刻みがあっては、隷属化の術が刻めぬのでな」
高俅は靴先に舌を這わせる王進を見下ろしながら呟いた。
王進はわずかに息を詰める。
だが、同時に合点がいった。
この屋敷に囚われて以来、殷天はどれほどの拷問調教を与えたか知れない。
それでも、奴隷化のための隷属の術だけは一度も刻もうとしなかった。
隷属の術は、屈服した者の心に深く食い込み、縛りを刻む。
殷天の仕打ちに、王進の心が折れかけたことなど幾度もあった。
だが、施術は一度もなかった。
淫紋が刻まれているせいで、もとより隷属の術を重ねることができないのだと、いまになって知った。
助けられていたのか──。
わずかな猶予も、もう終わる。
あの地獄のような調教に耐えられる自信はなかった。
「承知いたしました。よかったね、犬。家畜から奴隷に昇格さ」
殷天の声が乾いて笑ったとき、王進の尻の奥に冷たい痛点棒の先端がすっと差し入れられた。
「ひいっ」
思わず背筋を竦ませた。
「勝手に奉仕をやめるんじゃないよ──」
殷天の声が落ちた瞬間、痛点棒が尻穴の奥で爆ぜた。
「ほごおおおっ」
王進は絶叫し、その場に崩れ落ちた。
股の奥で突き抜けた激痛が臨界を越え、次の瞬間には体の奥から体液を撒き散らし、絶頂を迎えていた。
なぜこれほどの苦痛が快感に変わるのか、自分でもわからない。
とにかく、限界を越えた痛みは、王進の理性を削り取り、剥き出しの女としての本能を引きずり出す。
苦悶が快楽の形を取り、全身を軋ませているのを、王進は歯を噛み砕く思いで感じていた。
「なんだ? こいつはお前の痛点棒で興奮して果てたのか?」
高俅の声は呆れと嘲りが混ざっていた。
「呆れた豚ですから。見てください。こいつの股ぐらはまるで失禁でもしたように淫汁にまみれておりますわ」
殷天が冷たい声で笑った。
「なるほど、豚か。いずれにせよ、墜ちてしまったのであれば、興味はない。お前たちに与える。全員で犯せ。兄上が淫紋を解いて、隷属を刻まれた淫女として三文娼館に放逐するまで好きなように扱ってよい」
吐き捨てるように高俅が言い放つと、広間に低いどよめきが走った。
わっと兵たちの喚声があがる。
何人もの手が、一斉に王進の拘束された裸体へと伸びた。
「ひああっ、ああっ、いやあっ」
こうなるのを待っていたのかもしれない──。
王進は悲鳴を絞り出しながら、ぶるぶると身体を震わせた。