「冗談ではない──。お前は、わたしを助けてくれたのではないのか。わたしをさらって犯した山賊から救うてくれたのは、涙が出るほどありがたいと思っておったのに、そのわたしを犯させろいうのは、そこで死んだ大虎と同じではないか」
女が声を震わせた。
怒りの色が滲んでいる。
思ったよりも、気の強い女だった。
ますます、
武松は気に入った。
山賊に嬲られて、心まで潰れる女よりも、ずっといい。
「なにを言うか。じゃあ、勝手にしな。言っておくが、大虎どころか、この界隈じゃあ本当の人食い虎も出る。
武松は嗤った。
「くっ……。き、貴様、人の弱みにつけ込んで……」
女が歯を噛みしめた。
そして、ぷいと背を向ける。
崖面の清水の方へ、胸巻きと股布だけの姿で歩いていく。
「おい、どこに行く」
武松が声をかけた。
「身体を洗ってくるのだ。小屋で待っておれ」
振り返りもせずに、女は答えた。
武松は、小さく笑った。
足が弾んだ。
山小屋に駆け込む。
思ったより、中は清潔だった。
酒の臭いも埃の匂いもない。
どうやら、賊どもは物置に使っていたらしい。
半分には、大小さまざまな荷が無造作に積まれていた。
追剥で集めた衣類の山もある。
武松は乾いた毛布を何枚か引きずり出し、荷のない側に拡げた。
あの女の服は、きちんと畳んで衣類の山から離して置く。
積み荷の奥から、何本かの紐帯も見つけた。
それも手元に集める。
あとは、待つだけだ。
武松は、自分も服を脱いだ。
股布一枚。
谷水の音が、耳に沁みた。
しばらくして、女が小屋に入ってきた。
女は、床に拡げた毛布の上で、にこにこしながら胡坐をかいていた武松を一瞥し、「はあ」と大きく嘆息した。
だが、武松の横に来て、諦めたように正座で座る。
近くで見る女は、やはり色気があった。
歳は四十……。
いや、もっと若いかもしれない。
胸巻きに包まれた乳房は、品よく盛りあがり、腰の線は優雅で優美だ。
括れる部分は細く、腰回りにはしっかり肉が乗っている。
股布から伸びる太腿の、なんとも言えぬ官能。
いままで相手にしてきた商売女とも違う。
どこかに気品があった。
分限者の家で育ったのだろう。
このあいだ寝た小役人の女房も上物だったが、こいつはそれ以上だ。
そんな女を、抱ける。
武松は、有頂天だった。
女の股布に手を伸ばした。
とにかく、そこに包まれている陰毛を見たかった。
いや、陰毛だけではない。
その奥の女陰、肉芽、亀裂の奥の奥まで、目に焼きつけたかった。
どんな道具が隠されているのか──。
乳首は小さいのか、大きいのか。
乳輪の色は、どのくらいか。
欲が、喉の奥で泡立つ。
武松は女を抱きすくめた。
股布の結びを解く。
背に回した手が、胸巻きの端を探り当てる。
ゆっくりと、解いていく。
「ま、待て、待て……がっつくな。ちゃんと抱かれてやるから……。なんか怖いぞ……」
女が両手で武松を押し返した。
「な、なに言ってんだ──。こんなにきれいなあんたを前にして、落ち着いてなんかいられるかよ」
武松は、紐の解けた股布と胸巻きを女から剥ぎ取った。
女の全裸が、目の前に現れた。
「おおっ……」
思わず声が漏れた。
胸巻きの下から現れた乳房は、まさに美乳だった。
年齢のわりに垂れもなく、むしろ上を向いて張っている。
お椀のように真ん丸だ。
武松に揉みしだかれるのを待つように、妖しい色を放っている。
乳首も、乳輪も小さい。
武松の大好物だった。
むさぼりつこうとした。
「お、落ち着けと申しておろうがっ──」
女は身体を横に逸らし、するりと武松をかわす。
胴を捕まえようと伸ばした武松の手の甲を、ぴしゃりと叩いた。
「いてっ、なにすんだい」
思ったよりも強く叩かれて、武松は思わず手を引っ込める。
声が漏れた。
「そんなに乱暴にせんでも、ちゃんと抱かれてやる。わたしも約束は守る。だが、お前も約束は守れ。わたしを抱いたら、応北の城郭まで連れていけ。よいな? 約束を違えて、わたしを捨てていったりしたら、わたしはお前のところに化けて出て、死ぬまで呪ってやるからな」
女は両手で乳房を覆い、裸身を隠したまま言った。
「おう、約束するぞ。あんたになら、呪われてもいいかもしれんがな。とにかく、俺に二言はない。礼金なんざ、要求しねえ。旅の路銀は俺が面倒みる。山賊から取りあげたものもある。大切にする。だから、お前を俺に寄越せ」
「なんじゃ、それは? まるで、婚姻の申し込みか?」
女が吹き出した。
「頼む。やらせてくれ。もういいだろう?」
武松は待ちきれず、手を伸ばした。
だが、またぴしゃりと手の甲を叩かれた。
渋々、手を引っ込める。
「待てというに……。とにかく、こっちも礼金は払う。身体も抱かれてやる。ただし、約束しろ。わたしは人妻だ。応北の城郭に夫が待っておる。絶対に、わたしを抱いたと口にするな。それと、わたしが山賊の首領に犯されたことも黙っておれ。わたしは、危うく賊に捕らえられそうになったところをお前に助けられた。そういうことにするぞ」
「わ、わかった。殺されても、あんたを抱いたとは言わねえ。その代わり……あんたを縛らせてもらってもいいか? 実のところ、俺は女を縛って抱くのが趣味でな……。あんたのような美人を縛って抱ければ、俺はもうこの世に思い残すことはないくらいだ。なあ、頼む──。縛らせてくれ」
武松は頭を下げた。
「はあ?」
女の呆れた声が、湿った小屋にこだました。
しかし、頭を下げている武松の上から、女の深い嘆息が落ちてきた。
「まあいい……。縛るなら縛れ。だが、わたしを本当に守れ。それと、秘密も守れ。わたしの夫は、特別に嫉妬深いのだ」
「もちろんだ。だが、あんたみたいな綺麗な女を女房にしてるなら、嫉妬深くもなるだろうさ」
武松は笑った。
「馬鹿が……。まあいい。早くせい」
女が苦笑した。
頬がわずかに赤い。
怒りではない。
武松にも、それくらいの機微はわかる。
気が変わらないうちに──。
武松は背に隠していた腰紐を手に取った。
立ちあがり、女の後ろへ回る。
「痛くしねえから、安心しろ」
武松は言った。
女は素直に腕を背に回した。
武松の手が、荒々しくも優しく、腕に縄掛けをしていく。
「……まあ、とにかく、感謝している。本当を言えば、あの大虎にさらわれたときは、怖くて死にそうだった。お前は、どうやら好色で変態だが……心根は、いいやつのように思える……。助けてくれて……ありがとう……」
女がかすかに震える声で、武松の縄掛けを受けながら言った。
武松が腰紐を選んだのは、そっちのほうが女の肌を傷つけないと思ったからだ。
山賊の荷の中には縄もあったが荒縄だった。
せっかくのきれいな肌に、痕が残るのは惜しかった。
「おう、俺で運が良かったぜ、あんた──。お前の言うとおり、俺は好色で、女を縛って抱くのが趣味の変態だが、正直者だとは思ってる。応北の城郭まで、ちゃんと送り届けてやる。安心しろ」
「夫の話をするな。こんなときに……無粋なやつめ」
女が低く言った。
武松は笑った。
武松は会話をしながら、女を縛っていく。
女は抵抗しなかった。
細い腰に両腕を固定し、二の腕に紐を巻いて胴に縛りつける。
さらに紐を継ぎ、乳房を挟むように上下に巻け、首もとで締め、左右の乳房を割る。
縛り終わったとき、武松は思わず息を吐いた。
縛る前も美しい女だと思ったが、こうして縛られてみると、なおのこと妖しい。
痕ひとつない白い肌に、紐の跡が映える。
だから、そう言った。
女は真っ赤になった。
「さ、さっきから……きれい、きれいと、いい加減にせぬか。わたしを何歳だと思うておるのだ。お前は……さしずめ二十代半ばというところであろう? わたしは、多分、お前の母親ほどの年齢だぞ」
女が、照れたように目を伏せた。
武松はおかしくて、笑った。
「母親ほどの年齢だろうと、なんだろうと、きれいなものはきれいだ。醜女は醜女だ。あんたは、とてもきれいだ」
武松ははっきり言った。
女の頬が、さらに赤く染まった。
「まあ、そうか……。あ、ありがとう……。う、嬉しいぞ……」
女が恥ずかしそうに俯いた。
「じゃあ、抱くぞ」
武松は女を押し倒した。
頬から首筋へ。音を立てて、荒々しい接吻を降らせる。
女は最初は、かすかな反応を見せるだけだった。
だが、武松の唇が首をくすぐり、乳房の裾から頂点の乳首に吸い付くようにするうちに、女の身体が小さく震え、次第に激しく身悶えするようになった。
武松も嬉しくなった。
荒い息で、ますます口づけを深くする。
だが、ふと我に返った。
「も、もしかしたら……吸いつくのはまずかったか……。夢中でやっちまったが、旦那にばれちまうか……。あっ……そうだ……旦那の話はするなって……」
武松は口にした途端に、しまったと思った。
だが、女はぷっと噴き出した。
「お前は乱暴なのか、優しいのか、ちっともわからん男だなあ。まあ、好きにしてくれ。ただ、応北の城郭に入る手前に、
女は笑った。
武松は言葉を失った。
思わず、ぽつりと漏らした。
「あんたのような美しい女を女房にしながら、飽くなんてことがあるのか……。信じられん……」
本気で驚いた。
女が静かに微笑んだ。
「そんなに、世辞を言わんでも、ちゃんとお前の相手はするぞ。だが、わたしはもう四十四だ。若い頃には、そりゃあ、きれいだの美しいのともてはやされたこともあったが、四十をすぎれば、ただの年増女だ」
「馬鹿なことを言うな。あんたは、びっくりするくらいにきれいだ。あんたの旦那は妾を持つことができるほどに甲斐性がいいようだが、あんたをないがしろにしているのであれば、ただの馬鹿野郎だ」
武松は声をあげた。
「あ、ありがとう……」
女がはにかんだように真っ赤になった。
そして、武松に口吻を求めるように口を半開きにした。
武松はそれに応じるように、唇を重ねた。
「ん、んんっ……」
武松は女の舌に自分の舌を絡ませた。
ぴたりと唇を吸いつける。
女も、舌を差し出してくる。
むしろ、武松の舌を吸った。
しばらくのあいだ、舐め合った。
唾液をすすり合い、口の奥が熱くなる。
片手は、女の乳房を掴んでいた。
縄で締められた乳房を、形が変わるほど揉みほぐす。
女は口を吸いながら、声を殺し、だんだんと身を震わせた。
やがて、武松は唇を離した。
そのまま、口を揉みしだいていた乳房から滑らせ、指を女の官能の源泉へと這わせた。
「ふくうっ」
女が、縛られたまま身体を跳ねあげた。
股間は、すでにねっとりと蜜で溢れていた。
武松は、女の小さな乳首を口の中で転がす。
縛られた胸がわずかに震える。
指は、女の成熟した太腿をなぞり、内腿を撫でた。
「はあ……あっ……はあ……」
女が、か細い嗚咽を繰り返す。
おもむろに、指先を最も敏感な陰核に触れさせた。
「ふはああっ」
女の腰がびくりと痙攣した。
縛られたまま、左右に揺れる。
武松は口を乳房から離し、再び唇を奪う。
女の舌を味わいながら、股間にくすぐる愛撫を続けた。
肉芽を転がす指に、驚くほどの蜜が絡む。
「あおおおっ……うふうううっ……」
女が、抑えきれずに咆哮に似た声を吐き出した。
「いい女だ。見た目もいいが、こうやって肌と肌を合わせると、あんたが本当にいい女だってのがわかる」
武松は、最後に身につけていた布を取り去った。
一物は、すでにたくましく勃起している。
脈打つたび、女の熱を吸い込むようだった。
武松は、女の両腿を抱え込む。
縛られた女の身体が、かすかに硬くなる。
びっしょりと蜜に濡れた亀裂に、先端を押しあてた。
「んあああっ……ふうううっ……」
女が低く呻き、背をのけぞらせた。
武松の怒張が、女の奥に沈んでいく。
女の反応が大きくなる。
苦痛ではない。
砕けるような官能が、女の顔を真っ赤に染めさせた。
口から、あられもない声が溢れる。
縛られた両腕が、ぎゅっと背で震えた。
武松は、さらに深く突き進んだ。
強く、深く、怒張を飲み込ませる。
女の声が大きくなる。
膣の奥で、蜜が絡みついてくる。
量が増えるたび、武松の腰が熱を帯びた。
一度、奥まで辿り着くと、ゆっくり引き抜く。
入口まで戻すと、一気に突く。
最初はゆっくり。
だんだんと速く、深く。
女の吐息が、小屋の中に弾けた。
「ああ……き、気持ちいい……。き、気持ちいい……あああっ……あああっ……」
女は縛られたまま、優美な裸身を悩ましげに揺らした。
「あっ、ああっ、ああっ、いっても……、いい?」
かすれ声で問う。
武松は笑った。
腰の動きを止めない。
「いくらでもいってくれ。俺に遠慮なんざいらねえ。俺は俺で満足するまでやらせてもらう。あんたは、あんたで愉しめばいい」
律動が激しくなる。
片手は乳房を強く揉みしだく。
「い、いくううっ……」
女が呻いた。
縛られた身体がぶるぶると震えた。
武松は、その官能の姿に酔った。
そして、込みあがる欲情のまま、女の奥に白濁の塊を二度、三度と叩き込んだ。