妹は無表情 作:ムッツリーニ
「おい、説明しろよ」
「デュエルしろよ?参ったな、デッキは寮に置いて来たんだ」
「何言ってだこいつ」
ちょっとした冗談で場を和まそうとしたら叱られてしまった、キチンと説明するしかないらしい。思っていたよりあっさり、ダンジョンダイブとやらも成功し訳の分からない無機質な空間に飛び出した後に誠一から詰め寄られている。
「と言ってもどっから説明すればいいのか」
「全部だよ全部。お前が何者でなんであんな力があるのか。どこの国の間者だ?目的は?あとお前戦ってる時性格変わりすぎじゃね?」
間者って、スパイ映画の見過ぎだろ。確かにちょっとばっかし特殊な身ではあるけど、俺はただの日本人だしそんな大層な目的なんてないよ・・・。ただ世界が平和になればいいなってくらいで。
まぁ、小さい頃から門の守衛みたいな変な奴らが見えていた事、それらを倒していた事。力は多分最初からあったこと、性格は、見た目も恐ろしい怪物や悪い人間と戦う際に、臆せず戦う為に仮面ライダーの仮面で演技をしていたらスイッチが切り替わるように性格が変わるようになった事なんかを噛み砕いて誠一に伝える。
「・・・外でも、スキルが使えるのか?回復は?」
「あー、スキル?ってのは分からないけど。ほら、普段から言ってたろ。縁結びの力。俺は縁を見たり、繋げたり。悪縁だったら切ったり出来るんだよ。後は眷属を作ったり?それ以外や、回復は、分からない、多分出来ないと思う」
試そうと思ったり、出来るかなって感覚があったことしか出来ないんだよな。過去に助けるのが遅れて怪我をしてしまった人も居たりしたけど、治せる気はしなかったし。
「こんなにペラペラ喋っても良かったのか」
話せと言ったのに理不尽な、まぁ友達だし、隠し事をするのは嫌だったからな。こんな学園だったら俺みたいなのもおかしく無さそうだし、むしろ話せてよかったよ。そう言うと誠一は照れた様子で俯く。
「すまん、俺はーー」
「ぬおぉっ!?」
ガシッと、視界の端で恐ろしい勢いで迫る黒い物体、全くの意識外からの攻撃に戦闘で久しぶりに焦ってしまった。
「な、コレは、天敵者!?そんな、早すぎるだろっ!?」
「離れろお前ら!女ァ!何のつもりだテメェ!」
この女、いきなり襲いかかって来たぞ!俺がアンタに何したってんだ!あぁ?って、
「てめっ、鬼かよ、守衛の仇討ちかぁ?」
「ゆ、縁?お前そいつが何に見えてんだ?俺らには、多分黒ずくめの物体としか見えてねぇんだけど・・・」
黒ずくめぇ?確かに布みたいなのは黒いけど、肌は病気みたいに白いし、角の生えてる鬼の女だろ?
「兄さんの女を見る目は確か」
「叶華、その言い方だとなんか俺がちょっとクズっぽくなるだろ?」
なんせ、俺の目には女にしか見えない。なんか俺を睨みながらコロスコロスコロスと物騒な事を言ってるけど顔は凄い美人さんだな。俺は鬼女を地面に押さえ付ける。
「誰に向かって殺すって言ってんだ?」
ペチンッ
ビクッ
『っ、コロス、コロスコロス』
ベチンッ!
女に手を上げるのは嫌いだけど、殺す殺す言われて、実際殺せるかどうかは別にしても殺しに来た女を無罪放免ってのはな。お仕置位しとかないと、またやるだろこいつ。お仕置とくれば古来からおしりペンペンと相場が決まってる。
「叶華、抑えてろ」
「分かった」
叶華に拘束役を代わって貰い、女の足を抑えて尻を突き出すような姿勢にさせる。コレ見てると、昔蓮子さんや麗華さんと初めてシた時の事を思い出すなぁ。あの時はよく分かってなかったけどとんでもないことをしでかしていた。2人は許してくれたけど、あの日の過ちは今でも俺の反省するべき過去だ。
鬼女にとっては理不尽だろうが、嫌な思い出を思い出させられた俺は鬱憤を晴らすように、気持ち神通力強めでベチベチと尻を叩く。反省するまで辞めんぞ。
ベチッ
『コロス、コロスッ』
ベチッ
『ンッ、コロ、ス』
ベチッ!
『ッ、コ、コロ』
ベチンッ!
『イッ、ヤ、ヤメ』
「辞めろ?ごめんなさいだろ、まずは」
「ねぇ、あたし達何見せられてんの?」
「分かんねぇ・・・」
白い肌が痛々しいくらいに腫れているが、この女、反省してなくね?ふんどし着けてるみたいだけど、その裏からつつーと太ももをたどって雫が落ちて来ている。
『ゴ、ゴメ・・・コロスッ!』
パァンッ!
『ヒイッーー♡』
ぽすんと、一際強く叩いた時に限界を越えたのか、鬼女は最後まで反省することなく消えてしまった。後にはまたさっきの女のカードが1枚と、女の着てた服?布切れ?が落とされている。
「天敵者を尻叩きで倒すなんて、前代未聞だろ・・・。てか倒せるのかよ、アレ」
「殴れば倒れるし死ぬだろ、生き物は。というか殺すつもりは無かったんだけどな・・・」
いや、あれは殺したと言うより、感覚的には相手の存在を塗り替えた様な感覚?多分死んだ訳じゃなく無意識でカードになりに行ったような感じだと思う。或いは俺の力に屈服したからか。
「まぁなんでもいいか。叶華、この布持っててくれ。女の着てた奴だから、俺が持つのもなんか変だろ」
「今度私にもして欲しい」
「なんて?」
「ポンと渡すのは辞めて欲しい」
あ、あぁそうか、聞き間違えか。びっくりした・・・。ごめんて。妹に鬼の服を渡し、カードは懐に仕舞う。まだちょっと怒ってるので何処かで出して説教しよう。
「(なんかあそこ、ただの兄妹って感じじゃないよね)」
「(だな、アブノーマルな匂いがプンプンするぜ)」
・・・?何やら誠一達に訝しげな目付きで見られているような気がする。そんなに俺があの鬼女を倒せたのが不思議か?外で守衛達をヤッた実績があるし、そこまで疑われる事でもないと思うが。
「内緒話もいいですが、お客さんみたいですよ」
ドスドスと、足音を隠す事も無く通路の奥から出てきたのは醜悪な逸物をさらけ出す本家小鬼。
ゴブリンだ
ブチッ
「妹になんてもの見せてやがんだテメェらァ!?」
ゴオッ!
距離は遠いが関係ねぇ!風圧で死ねっ!
ギギイッ!?
不可視の風の刃により全身を切り刻まれたゴブリンは直ぐに消滅した。
「大丈夫か叶華、嫌なものを見せたな・・・」
「大丈夫、兄さんので見慣れてる」
「叶華さん!?」
なんで見慣れてんの!?と思ったが、そう言えばお姉ちゃん達がいた時は叶華が居ても毎日の様にちんこ出してた事を思い出して顔が赤くなる。忘れていた方が良かったのに・・・!違う、アレは何も知らなかったからっ
そんな俺をみて麻衣さんと誠一のひそひそ話が1層熱を持つ、勘弁してくれよ・・・。
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「はっ!」
グギィ!
「よっ!」
ギィヤッ!?
「とー」
ひでぶっ!
縁達のパーティから幾分離れたダンジョンの中で、小鬼の醜悪な鳴き声と少女達の気合いの一声が鳴り響いていた。
「やっぱり、
「ですね、私もそう聞きました」
「コクコク」
怯える2人の少女を庇うようにして、慣れた手つきで3人は辺りのゴブリン達を始末する。
「あ、ありがとう。強いん、だね?」
「あーいいのいいの。私達はちょっとスタートダッシュ決めてるだけだから。その内追い付くわよ。もし不安なら、そのスタートダッシュについて後で教えてあげても良いし」
2人が変に敵倒すと、興奮しちゃって大変だしね。
ボソリと呟かれた言葉は、2人の少女には届かない。
「ふぉー、モンスターカード、出たー」
「マジ?やっぱり既知外領域出やすいんだ。まぁ先輩達は既知外領域突っ走ってるからもうそういうもんだって感じみたいだけど」
モンスターカード?キチガイ?頭に疑問符を浮かべる何も知らない2人、とは対称的にワイワイと3人は初めて手に入れたモンスターカードを眺めたりゴブリンの落としたクリスタルや短剣を集めたりと忙しない
。
「あんまり居座ってると天敵者ってのが来るらしいから、そろそろ移動しよっか」
「う、うん。詳しいん、だね?あれ、大丈夫?顔、赤くない?」
大丈夫大丈夫、後でご褒美が待ってるから、そう言った少女の顔は淫靡な笑みをたたえていた。
一方その頃男達は普通に死に戻りをしていた。