※この作品はR-18です。

クラスの陰キャ美少女の弱みを握ったので、脅してエロいことをさせまくる!   作:真喜屋五木路

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第二十三話、お礼と興味

寝起きで手に取ったスマホに来島からの連絡が入っていたのは、翌日のことだった。

 

『今日のお昼って、お時間、空いてますか?』

 

普段メッセージのやり取りは浩人が起点になるので、少し面喰いつつも返信を打つ。

 

『空いてはいるけど……なんだ来島、まさか自分の方からヤられたいってご主人様を呼び出すつもりか?』

『い、いえそうではなくて……渡したいものがあるので、お昼休み、一番に資料室へ来てください!』

 

来島にしては珍しく「来てくれませんか?」ではなく「来てください!」という押しが強い文面に、浩人は驚きながらも『了解』と返事を送る。

送って、改めて何か来島から渡されるような物があるかと考えてみるが、まるで思いつかない。

かと言って一度了解した以上、改めて訊くのもなんとなく気が引け――

結局、午前の授業の間ずっとその事が頭の端に残り続けていた。

そしてようやくの昼休み、浩人は購買の戦利品袋を片手に資料室へと向かっていた。

やきもきした思いを一刻も早くはらそうと資料室に向かいたいところではあったが、昼食べないと午後が持たない。そんなわけでいつもより更に早足で、購買の昼食競争を勝ち抜いてきた帰りであった。

 

(全く来島のやつ、何なんだよ一体……)

 

これで大した用事じゃなかったら、昼休み中ヤりまくってやるか? などと考えながら浩人が資料室のドアをノックすると、待ちかねていたかのように鍵が外され扉が開いた。

 

「あ……来てくれたんですね、ご主人様!」

「――っ、ああ」

 

浩人が一瞬言い淀んでしまったのは、ぱぁと満面の笑みを咲かせて見上げてくる来島の顔が眩しく、可愛すぎたからだ。

 

「えーっと……それで、渡したい物ってなんだ?」

「はい、実は――」

 

――が、資料室へ入った浩人を見た瞬間。来島の声から明るさがなくなり、言葉尻が消え失せるように言い淀む。

あまりのテンション急落っぷりに、思わず自分が何かしたのかと焦ってしまう浩人。

 

「ちょ……!? な、何か悪かったか……?」

「い、いえ……その、ただ……購買行って来たんだなって……」

 

どうやら浩人ではなく、持っていた購買の袋を見て元気をなくしたらしい。

まさか昼休み一番にとは言われたが、購買にすら行く前に来いということだったとは。

けれど購買に行ったせいで渡すのに支障が出るものってなんだ――と、そこで長机の上に並んだ二つの包みが浩人の目に入った。

 

「あ、あの……実はご主人様の分もお弁当を作ってきたんですけど……」

「いや、どうしていきなりそんなことを」

「あの、えと……昨日助けて貰ったお礼というか、名前を使っていいと言ってくれたお礼というか……」

「それは俺の為でもあるからいいって言っただろ?」

「で、でも……! わたし、ずっと昔から断るの苦手で悩んでて……それで、本当に助けてくれたのが嬉しくて……本当に、ありがとうございます……!」

 

指先を不安そうに胸の前で擦り合わせながらも、来島は浩人の目をじっと見つめて離さない。

来島がそれだけ深く悩んでいて、それだけ深く感謝しているのだということは浩人にも十分に伝わった。

 

「――わかった、どういたしまして。ただ、せっかく名前まで貸すんだから、断る時はビシッと断れよ?」

「は、はい……!」

 

来島は少し元気を取り戻したのか口角を持ち上げ――けれどすぐに苦笑へと戻す。

 

「だから少しでも何かしたくて……と思ったんですけど、迷惑、でしたよね……えへへ」

 

来島はそう言いながら気まずそうにお弁当の包みを自分の背で隠すよう、一歩横へと動いた。

あまりに自信なさげなその仕草に、浩人はため息をついた。

 

「はぁ……なに隠してんだよ」

「え?」

「弁当だよ、せっかく来島が作ってきてくれたんだから、貰うに決まってるだろ」

「で、でも……」

「これは放課後のおやつだから。昼の内に買っておかないと売り切れるから今買ってきただけで」

 

浩人はそう言って購買の袋を長机へ乱雑に置くと、代わりに弁当箱を手に取った。

 

「それじゃあ、頂きます」

「あ、は、はい! どうぞごゆっくり……?」

 

ガチガチに緊張した来島の視線を浴びながら、浩人は弁当の包みを解き、蓋を開ける。

 

「――っ」

 

開けてしばし絶句する。

下手だとか不味そうとかそんな理由ではない。

逆だ。

弁当箱の中に広がっていたのはレシピ本顔負けの光景だった。

 

(え、来島ってプロか何か?)

 

サケの切り身は皮にぷくりと焼き目が入っていて食べごろをアピールし、唐揚げのきつね色は見ているだけで唾液腺が刺激される。付け合わせの野菜も品よく隙間を彩り、出汁巻き卵は料亭で出てきそうな焦げ目のないきれいなお日さま色。

豪華な具が入っているわけではない。だが、丹精込めて作られたのは、袋麺ぐらいしか料理しない浩人にも分かった。

自然と箸を持つ手が動き、唐揚げを一口。

 

「……旨い。すごく……旨い」

 

見た目だけでも美味しそうなのに、見た目以上に美味しかった。

語彙力すら喪失して旨いBotと化した浩人の感想に、審判を待つような目で見守っていた来島は、ほぅと息をついた。

 

「良かった……口に合わなかったらどうしようって、ちょっと心配だったんですけど……」

「いや、マジで旨い……! 何だったら家のメシより旨い……!」

「そ、それは言いすぎだと思いますけど……」

 

と言いつつも、来島は頬をにまにまと浮つかせているように見える。

 

「もしかしなくても来島って、普段から自分で弁当作ってたりするのか?」

「あ、はい……わたし、料理するの好きなので……」

 

知らなかった。

昼休みに来島を呼び出すことも少なくはない。だが、呼び出さない時教室でどう過ごしてるかまでは気を払っていなかった。

予想外な来島の特技に、浩人はご飯をかき込みながらも続ける。

 

「冗談抜きで、これなら店が出せるんじゃないのか?」

「お、お店はさすがに……えへへ、動画だってそんなに伸びてないですし」

「動画?」

「あ、はい。料理動画を趣味で上げてて」

 

来島が見せてきたスマホの画面には、ずらりと美味しそうなサムネイルが並ぶ。

ジャンルも和、洋、中、エスニックと様々だ。

 

「すごいな、これ全部?」

 

料理も上手いが、多分撮影も凝っているのだろう。飛び飛びながら見せてもらった動画は、それぞれ料理が美味しそうに見えるアングルで撮られていた。

もっとも、顔出しも声もなしで辛うじて作業中の手が見えるだけという構成は、いかにも来島らしいが。

 

「す、すごくはないです……これぐらいは……」

「いや、どの動画も千再生はいってるじゃんか」

 

再生が千再生を超えるのは、確か動画全体の十%とか二十%しかない、という話をどこかで訊いた気がする。

それをコンスタントに達成できるのはかなりすごいんじゃないだろうか。

 

「で、でもすごい人は一万とか十万再生とかいってますし……」

 

けれど苦笑いを浮かべる来島は、謙遜ではなく本気でそう思ってそうで。

あれだけ美味しいものを作っておきながら、あまりの自信のなさにちょっとムッとした浩人は、焚きつけるために並んだサムネイルの中から適当なものを指さす。

 

「何言ってるんだよ、これとか滅茶苦茶おいしそうじゃん。見てるだけでも食べたいぐらいだし」

「あ、これなら……お弁当に入れられると思いますし、また作って来ましょうか?」

「えっ、いいのか?」

「は、はい……」

 

浩人の想定とは違う方向に話が転がり始めたが、とはいえまた今日と同レベルの物を食べられる機会をわざわざ棒に振るつもりはない。

 

「マジか、それじゃあ頼む!」

「は、はい……じゃあ今度作ってきますね……!」

「ああ。あ、それから今度からは食材費ちゃんと請求してくれよ?」

「え?」

「いやだって今日はお礼だからいいとして、こんなにうまいのをタダでってのは流石にな……」

 

むしろ払わないと罪悪感が湧きそうだ。

それに購買にお金を払うぐらいなら、少し高づいても毎日来島に頼みたいぐらい、浩人は彼女の料理の虜になっていた。

今まで熾烈な競争を潜り抜けて勝ち取っていた卵ベーコンサンドが、とっくにランク外評価になってしまっている程に。

 

「だから毎日じゃなくてもいいから、またちょくちょく頼んでいいか?」

「は、はい……もちろんです!」

 

好きなことを認めてもらったからだろうか、力強く頷いた来島の浮かべる満面の笑みは今までで一番輝いていて。浩人はドキリと跳ねた心臓の鼓動を落ち着かせるのにしばらくの時間を要するのだった。

 

――――――

 

その日の夜、浩人はベッドで横になりながら昼のことを思い出していた。

 

「美味かったな……来島の弁当」

 

こんなことを言っては自分で料理しない癖に何様だと詰められそうだが、正直母親の料理よりも来島の方が上手だった。

浩人は舌先で味の想い出を転がしながら独り言ちる。

 

「来島にあんな特技があったなんてな……」

 

料理が得意で、しかも動画まで出してるなんて。

今まで浩人にとって来島と言えば、学校の中で目立たず自信なさげに過ごしているイメージしかなかった。

改めて、自分が来島について何も知らないのだと浩人は思い知らされる。

 

(……けど、それも当然か)

 

来島との関係の基盤は、浩人が弱みを握って性処理をさせているというものでしかない。

……まあ脅してという割には、一度始まったら結構来島も快楽に流されて、満更でもなさそうな気がしないでもないが。

そうなるとセフレが近いのだろうか?

否、例えセックスをつけたからといって、脅しているのに友達というのは押しつけがましいか。

――けれど今日みたいに弁当を作って貰ったり、最後来島が浩人に向けた笑みなんか、まるで恋人を相手にしているかのようで。

 

(いやいやいや、俺は脅して来島に色々やらせてるんだぞ? それこそ肉便器とかオナホ扱いまでして……なのにそれはないだろ)

 

けれど一度意識してしまうと、来島のことが気になって仕方がない。

他にはどんなことが好きなのか。

休日はどう過ごしているのだろうか。

私服はどんなものを着ているのだろうか。

ちらりとカレンダーを見ると、明日明後日は土曜日曜日。

 

「……呼び出してみるか?」

 

今まで来島を呼び出したのは全て学校でで、それも昼休みか放課後か。

お互い家の距離が離れてるのもあるが、流石に休日にまで呼び出して性処理をさせるのは気が引けたのである。

けれど、今回はそういうことじゃなくて普通に遊びに誘うだけだし――

いやでも、来島には友達感覚でいるなよとか言っておきながら自分から遊びに誘うとか――

だけど、来島は友達に飢えてるところあるし意外とあっさり乗ってくるんじゃないか――

しばらく色んな考えが頭の中をぐるぐると駆け巡って。

 

「いや、いつものように呼び出せばいいか。別に呼び出したらエロいことしなきゃいけないって訳でもないし」

 

浩人は誰に言い訳するでもなくそう独り言ちて、来島にメッセージを送った。

 

『なあ来島、明日か明後日って空いてるか?』

『明日はちょっと……明後日なら空いてますけど……?』

『それじゃあ明後日空けといてくれないか』

 

既読から少し間があって、再び通知音。

 

『それは、命令……ですか?』

 

今度は浩人が考える番だった。

 

(遊びに行くんだからそれは……けど、普通に誘って断られたら……)

『――ああ、命令だ』

『分かりました』

 

そのあと数通、手早く時間や集合場所などをすり合わせて、浩人は枕元にスマホを置く。

 

「……来島とお出かけ、か」

 

浩人の口元は知らず弧を描いていた。




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