クラスの陰キャ美少女の弱みを握ったので、脅してエロいことをさせまくる! 作:真喜屋五木路
日曜日、学校から二駅隣の繁華街の駅前で浩人が待っていると、来島からメッセージが届いた。
『今着きました』
『分かった、西口の方にあるオブジェの前で待ってるから』
浩人はそう送って駅の方を見るが、今日は日曜ということもあってか出てくる人も多い。来島は背も低いしこちらから探すより、来てくれるのを待った方がいいだろうか。
そう考えながらも何となく西口の方をぼんやりと眺めていた浩人の方へ、小柄な人影が駆け寄ってきた。
「お、お待たせしました……!」
「あ、ああどうも――って、ああ?! 来島か!?」
浩人は息を切らせて近づいてきた彼女が一瞬誰だか分らなかった。けれどそれも無理はない。
今日の来島日向は、いつもの陰キャ全開な学校の姿とはまるで違う印象だった。
重たげな前髪をヘアピンでサイドにきちんと留めただけ。けれども元々整った顔の来島は、それだけで可憐な小動物系美少女へと変貌していた。
しかもそれは浩人の贔屓目と言うわけでもない。現に近くを通り過ぎた男子高校生らしき三人組が、来島の方を振り返って。
「なあ、あの子可愛くない?」
「うわマジだ、あんな可愛い彼女欲しいな」
「でも相手いるっぽくね?」
「ホントだ、クソ羨ましい……ハゲろ、ハゲちまえ!」
「いや、そもそもいきなり声かけるとかナンパみたいなこと俺達には無理だって」
浩人は何気ない感じを装って、三人と来島の間に割って入った。
「あ、あの……遅れてすいません」
「いや、俺が先についたってだけで、来島が遅れたわけじゃないし」
時刻はまだ集合時間の五分前だった。因みに浩人が到着したのはニ十分前である。
(……っていうか、これだと俺が来島と出かけるのを無茶苦茶楽しみにしてたみたいじゃないか……!?)
思わず悶えそうになった浩人は、強引に話題を変える。
「あー……そういえば、今日はいつもと髪型違うんだな」
「え? あ……はい、昔からお出かけするときはずっとピンつけてるんですけど……外した方がいいですか?」
「いや、その必要はないけどさ……」
改めて来島の格好を上から下まで眺める浩人。
来島はだぼっとした白い薄手のパーカーに、大きめな茶色のショルダーバッグをかけ、下は黒のショートパンツが裾から見えるか見えないか、といった装いだった。
靴下もくるぶし丈で、大胆にスレンダーな脚を晒した、少し快活さも感じさせるコーディネートなのが意外だ。
「あ、あの……やっぱり、似合ってませんか? その……誰かと一緒にお出かけするなんて小学校のころ以来で――」
浩人が無言でジロジロと見ていたからか、来島は自信なさげに体を縮こまらせる。
そうか、中学校の時点ですでにそんな感じだったんだな……と予想通り半分、哀れみ半分といった感情を抱く浩人。
「っていや! そう言うわけじゃなくて……俺が勝手にもうちょっと私服も地味かなと思ってたからさ……」
大きめのパーカーは来島の小柄さを引き立てて可愛らしく、ショートパンツから伸びるすらりとした脚は健康的な印象を与えてくれる。
体型的にも似合っているのはもちろんなのだが、何より前髪で顔が隠されていないのが大きい。この美少女顔なら、どんな服でも似合わないものなんかないんじゃないだろうか。
「――いいんじゃないか? すごく似合ってると思う、客観的に見ても」
恥ずかしさから客観的にという言葉を添えてしまった浩人だが、それでも来島は照れたように俯いた。
「あ、ありがとうございます……ごしゅ……く、くくく、久賀、くん?」
不意に名前を呼ばれた浩人の心臓がドクンと跳ねる。
「いや、別に……あくまで客観的な意見だし」
二人の間に何とも言えない空気が流れ――来島が慌てたように切り出した。
「そ、それで……! 今日はどこに行くんですか?」
「あー、それはだな……」
浩人は今更にして、誘っておきながらなんとなく繁華街で適当にぶらつくイメージしかしていなかったことに気付く。
……なんだか浮かれていたみたいでバツが悪い。
(どうする……? 岩永あたりだとカラオケとかゲーセンとか、あとはエログッズ屋とか……って、最後のはないだろ! ……いや、来島も大人のおもちゃ持ってるし意外と――ってそうじゃなくてだな!)
浩人は混乱気味な頭を振って、湧いてきた妙な考えを振り払う。
そもそも来島を誘ったのは、彼女が普段どう過ごしているのか知りたかったからではないか。
「……そうだな。ふだん来島が出かける場所とか行ってみたいんだけど、どうかな? ああ、もちろん嫌なら無理にとは言わないけどさ」
「え? い、いえ、そんなことは……! ただ、く、久賀くんには楽しくないかもしれないですけれど、それでもいいですか……?」
「いや、そういうことは気にしなくていいって、俺の方から頼んでるんだしさ」
「そ、それなら――」
――――――
「あ、あの……楽しかったでしょうか?」
時刻は少し遅めの昼時、二人は来島がおすすめだというクラシカルな純喫茶の一角に、向き合って座っていた。
「ああ、面白かったよ」
午前中来島と巡ったのは、調理器具店と電気屋だった。
そもそも調理器具の店なんてものがこの駅近くにあるなんて知らなかったのだが、中に入ると使い方の想像がつかない道具なんてのもあって、見ているだけで面白かった。それに、来島に訊けばちゃんと何のための道具なのかを説明してくれるのも、知識欲が満たされて楽しかった。
電気屋は少し意外なチョイスだなと思ったけれど、調理家電やカメラがあるからと説明されればそれも納得で。買うわけでもないのにパンフレットとにらめっこして性能を比較したり、カメラの映りを比較して「どっちがいいと思いますか?」と効いてくる来島の目はキラキラしていた。
浩人としては、午前中だけで普段知らない来島の一面を知れて満足である。
「むしろ俺としては質問とかばっかりしてたから、来島が楽しめなかったんじゃないかと気がかりなんだけど」
「そんなことありません! 普段、こんなに趣味の話をすることなんてないので……わたしも楽しかったです……!」
「まあ確かに、いつもより早口だったしな」
「え、あ……そうでしたか……? うぅ……」
気まずげに指を擦り合わせる来島だったが、好きなものに向き合っている時の彼女は、見ている浩人まで楽しくなるような雰囲気を振りまいていた。
「それだけ知識があるってことだしいいことだろ。教えてもらったこの店もすごくいい雰囲気だし」
浩人は食後のコーヒーを一口含んで香りを楽しむ。
雰囲気だけでなく、昼食のサンドイッチも美味しかった。もちろんこのコーヒーも。
来島は喫茶店巡りも趣味であるらしく、この店はその中でも一押しの行きつけらしい。
なんでも、動画のためにオシャレな雰囲気や盛り付けを学ぶためだとか。
ただ、いつもの席として案内されたのが、隅っこのあまり人目につかない席なのはいかにも来島らしいというか。
「い、いえ……わたしの方こそ、久賀くんが興味を持ってくれるのが嬉しくて……!」
そう言ってふにゃりと口元を緩めた来島の笑顔は、学校で見るのとは違う自然なもので。
(……何だか、来島とデートしてるみたいだな)
浩人は思わずそんなことを思ってしまう。
それこそ来島との関係が、本来は脅してエロいことをさせている、ということすら忘れて。
そんな風に気が緩んでしまっていたからこそ、浩人はつい、ずっと気になっていたことを切り出してしまった。
「なあ来島、話はちょっと変わるんだけどいいか?」
「はい! なんですか?」
「俺が来島とするようになったきっかけの、資料室でローター落としたのって、もしかして俺に見つかるようわざとやったんじゃないか?」
満面の笑みを浮かべていた来島の表情が、ぴしりと固まった。
――――――
来島日向は、自分の心臓がぐにゅりと捩れたように感じた。
(バレ、た……?)
つい、浩人が自分の話をたくさん聞いてくれたことで気が緩んでいた日向にとって、それは完全なる不意打ちだった。
思わず思考が停止する。否定した方がいいのでは? と冷静に答えを出した時には時すでに遅し。
「……やっぱり、か」
ふぅ、と浩人は息を吐き出した。
「ど、どうして……わかったんですか」
「そうだな、もしかしてそうかも? と思うきっかけになったのは二回目――保健室での時だな。あの日は俺から来島に積極的に関わるようなことはしてなかった。なのに、来島はわざわざローターのことを引っ張り出して、自分から脅されに来ただろ?」
日向は否定できない。それは事実だったから。
沈黙の肯定に、浩人は納得したように続ける。
「それから体育の時も、あんなもの入れてくるとかもう、狙って誘ってるようなもんだったしな」
「い、いえ……! アレは本当に素でやらかしてしまって……」
欲求不満だったとはいえ、ディルドを学校で入れるなんてあんまりにもなやらかしである。自分の愚行を思い出して、日向の頬は焼け落ちるんじゃないかというほど熱くなっていく。
「そ、それは何というか……すまん」
浩人も少し気まずそうに、コーヒーをちびりと飲んで喉を滑らかにしていた。
「と、ともかくだ。二回目の時は俺もヤれるってことで頭がいっぱいで、そうじゃないかと思うようになったのはつい最近だ。脅されてるわりに嬉しそうにイきまくってる来島を見て――って感じだ」
それも否定できなかった。
浩人とのセックスはたまらなく気持ちいいし、意地悪なことをされるとそれだけで躰が悦んでしまうのだ。それでイくなという方が無理である。
とはいえ、それでも自分では抑えているつもりだったのだ。なのに、そんな指摘されるほど嬉しそうにしてしまっていたと考えると落ち着かなくて、思わず指先を擦り合わせてしまう。
「――でだ、来島はなんでそんなことしたんだ?」
「あ、ぅ……」
正直、改めて言おうとするとなかなか酷い理由なだけに、日向は言葉に詰まってしまい――けれど、
「……来島、
目を細めた
「あ、あの……わたし、ずっとえっちするのに興味があったんです」
「まあそれはなんとなく分かる。自分で破ってしまうぐらいだしな」
「あぅ……」
改めて指摘されると言い淀んでしまう。
そんなはしたないことをしてしまったという羞恥と、そのせいで
日向はなんとかそんな考えを頭の端に押しやって続ける。
「け、けど……! その、わたしみたいな可愛くもないし暗い女がえっちなんてできないだろうって……そんな時に、ご主人様たちが脅して女の子とえっちなことをするって話してるのを聞いて、これなら……って思って」
そして何より浩人が、「――ちょっと地味めで気弱そうな子とか狙い目か……」と言ってくれたのが、日向の背を押したのだ。
この人なら、自分のことも抱いてくれるのではないかと。
けれど、それを聞いた浩人は苦々し気に口元を歪め、どんよりとした空気を纏った。
「やっぱアレ聞かれてたのか……」
まるで黒歴史を掘り起こされたかのような、自分がお母さんにオモチャを見つけられた時みたいな反応に、日向も改めて申し訳なさが募る。
「あ、あの……盗み聞きしてしまってごめんなさい」
「……いや、もうそれはいいんだ。教室であんな話はじめた俺と岩永が悪いんだからな。――ともかく、それで来島は実行に移したと」
「は、はい……何かそういう状況にできるものがないかなって考えて。そしたら、たまたまローターが鞄の中に入っちゃってて――あ! これは本当にたまたまで! いつも持ってきてるわけじゃなくて……! ――けど、だからこそ学校にこんなもの持ってきてるってバレたら弱みになるかなって」
ただ、実際には浩人がなにもなかったかのようにスルーしてくれそうになって、慌てて自分から何でもするなんて言う強硬策に走ってしまったのだが。
……確かに、これでは変態と言われても仕方ない。
「なるほど、なのに一回目はナカセンが途中で邪魔してきたから、翌日自分から脅されにきたと」
「は、はい……」
あの時は本当に、人生最大の勇気を振り絞ったと言っても過言ではなかった。
友達でもない男の子に声をかけるどころか、あまつさえ自分から腕を掴んで引っ張りこんで。
前日から続く期待と欲求不満にムラムラして判断力が落ちていたとはいえ、あまりにも大胆過ぎたと今でも思う。結果として成功したから良かったけれど。
「そんなに男とヤりたかったとか、性欲男子高校生かよ」
「う、うぅ……」
「いや、男子高校生だって妄想はするだろうけど、実際そこまで行動なんてしたりしないからな。やっぱり来島が変態ってことか」
浩人のなじりに、秘所が熱を帯びるのが分かった。
「――つまりだ、来島はあの日たまたま俺が日直の相手だったから、俺に対してセックスをするように、脅されるように仕向けたってことか?」
「は、はい……」
何一つ否定できなかった。
自分のような地味で冴えない女でもいいと言ってくれた(多少の誇大解釈はあるが)のもあるし、何より日向から見て浩人は十分にかっこいい男の子だった。
この男の子になら抱かれてもいい。そんな相手と密室で二人きり――こんな状況はもう二度とないと勇気をふり絞ったのだ。
あの時のことを思い出してドキドキと心臓が落ち着かなくなる日向。だが、そんな彼女とは対照的に、浩人ははぁ、とすげない溜息を吐き出した。
「……そうか、それが分ればいい」
「――っ」
浩人の口調はいつもより冷たく、日向は思わず身を震わせる。
(や、やっぱり引かれちゃったかな……えっちがしたいから自分から脅されにいったとか……)
我ながら改めて言葉にすると変態極まりない。
……いや、自分が変態なのは否定できないかもしれない。
はじめて浩人とセックスして以来、気付いてしまったのだ――彼に酷いことを言われたり痛いことをされると興奮してしまうことに。
現に今も、浩人から軽蔑されたのでは、なじられるのではないかと考えて、乳首が膨らみかけているのが分かる。
そんな日向の内心を見透かしたかのように、浩人は口を開いた。
「それじゃあ午後は、そんな変態な来島が満足できるようにしてやらないとな」
日向は自分の喉がごくりと動くのが生々しく感じられた。
読んでいただきありがとうございます!
先日なんとか最後まで書きあげましたので(想定より大分遅れてるけど)、確実に完結まで投稿できること、改めて報告させて頂きます!
あと5話前後ですが、最後までお付き合いいただけると幸いです!
――以下余談
元々はもうちょいデート(?)シーンは詳細に書く予定だったのですが、文字数がね……あんまり長くても……という理由でオミットされたりしてます。自分の好きなことではしゃぐ来島ちゃんの姿ェ……。