※この作品はR-18です。

クラスの陰キャ美少女の弱みを握ったので、脅してエロいことをさせまくる!   作:真喜屋五木路

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本日先にもう1話投稿してます、読み飛ばしにご注意ください!


第二話、鞄の中からこんにちは

「はぁ……何が『それじゃあココ適(・)当(・)に(・)掃除しといてくれ』だ」

 

既に掃除開始から三十分は経っている。滅茶苦茶長い時間拘束されているという訳でもないが、適当にとか言うものだからてっきり十分十五分あたりで終わると思っていたのだ。そりゃあ担任へ恨み言の一つや二つも言いたくなるというものだ。

ナカセンに頼まれた仕事というのは資料室の掃除だった。

口頭で聞いた時は資料室の有様など知らなかったし、まあ適当に薄く積もった埃を払えば終わるだろうと思っていたのだが、入った瞬間それが甘すぎる予想だったと思い知った。

床の上に散らばる引っ越し直後じみた段ボールの群れ、中央の長机を灰色に変えるまで積もった埃の山、果ては何故か体育で使用するようなマットまで……。

 

一見しただけで適(・)当(・)に(・)終わる作業でないことは明らかで、浩人は今日の当直に当たってしまった事を恨まずにはいられなかった。

 

「とはいえ……まあ多少は見れるようになったか」

 

散乱していた段ボールは入る分だけ両脇の棚に突っ込んだし、そうでないものも何とか端っこに積み上げた。お陰で最初足場もなかったのが、中央に鎮座する長机の周りを普通に歩けるくらいにはなっている。

薄暗かった窓も、充分な光を屋内に招き入れるようになったし、長机は本来の茶色い木目がしっかりと確認できる。

体育のマットは――まあ、うん……どうしようもないので棚に立てかけただけだけど。

とはいえ元の状態を考えれば十二分に綺麗になったと言えるだろう。後は最後に床を軽く雑巾がけして――浩人がそこまで考えた所で、ガラッと入り口の引き戸が押し開けられた。

入ってきたのはバケツを両手に持った来島である。

 

「み、水……換えてきました」

「おー、ありがとう来島さん。後は床雑巾がけしたら終わりにして、中崎先生が来るまでだらだらしてようぜ」

「えっ……まだ棚の中とか……い、いいんでしょうか……?」

 

来島は生真面目な性格らしい。いや、馬鹿を見るタイプの真面目さというべきか。

 

「いいっていいって、だって中崎先生が適当でいいって言ったんだからさ。むしろやりすぎまであるな」

「そ、それなら……」

 

来島は頷いてバケツを端に置き、二枚ある雑巾の片方を手渡してきた。

 

「あ、その……洗ってきたので、どうぞ」

「助かる、ありがとな」

 

何気ない様子で雑巾を受け取りながらも、浩人は内心で安堵していた。

 

(ここまでの様子的にも、手渡しする距離まで近づいてくれるのからしても、多分朝の会話は聞かれてないっぽいな……)

 

今の所彼女から極端に避けられたり、距離を取られたりということはされていない。

 

(もし岩永との「脅して――」なんて聞かれてたら、それこそ軽蔑どころか警戒されててもおかしくはないからな……)

 

ましてや、妄想が思わず口をついた「ちょっと地味めで気弱そうな子とか狙い目か……」というのを聞かれていたら危なかった。何せ――ちらりと来島を見る。

こう評するのは失礼かもしれないが、来島は丁度その『ちょっと地味めで気弱そうな子』だった。

普段からあんまり喋らないのか声は小さめでつっかえることも多いし、自信なさげな猫背に俯かせがちな視線、制服もブレザーを規定通りに着ているといった感じだ。セミロングの髪の毛こそちょっと毛先をふわっとパーマさせていたり、片もみあげに緑のメッシュを入れていたりとオシャレを頑張っている感もあるが、それも地味な子がちょっと頑張っているようにしか見えない。

……いや、『だいぶ地味めで気弱な子』と言った方が適切ですらありそうだ。

 

(まあ内心実は引かれてる――ってこともあるかもしれないけど、それを言い出したらもう悪魔の証明だからな)

 

少なくとも避けられないだけで合格点である。後はあんまり言いふらしたりするようにも思えないし、そういう意味でも大丈夫だろう。

――と、床を雑巾がけしながらそんな風に別のことを考えていた意識は、突如現実へと引き戻される。

どんッ、バラバラバラ――! 何かがぶつかった音に続いて、丁度目の前へと教科書やノートが降ってきた。

 

「あっ……ご、ごめんなさい……!」

 

顔を上げると、来島さんが肘を手で押さえ、顔を顰めながらもわたわたと慌てていた。

多分、机にぶつかって、その弾みで上に乗っていた来島さんの鞄が倒れたのだろう。しかも運悪くチャックが空いた状態で。

 

「当たったりしてないからあやまらなくてもいいって、それより来島さんのほうこそ大丈夫か?」

「は、はいぃ……」

 

全然大丈夫そうじゃなかった。まだ眉をぐにっとしかめている辺り、肘の骨をぶつけたんだろう。

 

(あー……多分ファニーボーンやったのか、痛ったいよな、アレ……)

 

痛いくせに痺れて感覚がないのがまた質が悪いというか。

浩人は内心来島に同情しながら、彼女の代わりに教科書を拾い上げる。

 

「あ、その……っ、だ、大丈夫ですっ……自分でやりますから……!」

「いや、いいってこれくらいさ、俺の方が近いし」

 

来島がいるのは浩人から見てちょうど長机の反対側で、わざわざ回り込ませるのも何だ。

それに落ちたといっても教科書とノート数冊ずつ程度。二、三往復で全部鞄に戻せると、妙に慌てたように見える彼女を横目に作業を進めて――

ぼとり、とそれが最後に拾い上げた教科書の間から地面に転がった。

大きさは消しゴムくらいの楕円形、色はドぎついドピンク。

まずこんなところに落ちているはずのないそれに、見間違いかと何度か目をしばたたかせて、おまけに擦って――結果は変わらなかった。

床の上に転がっているのはピンクローター。実物は初めて見るが、十八禁的映像作品で何度か見たことがあるから間違いない。

 

(何故? 誰が? どのように? どうやって?)

 

思わず5W1Hみたいな事を考えながら呆然と目を離せないでいると、横から素早く伸びてきた手が慌てたようにそれを拾い上げた。

もっとも、この部屋には浩人以外に一人しかいない。

 

「っ……!」

 

ピンクローターを拾い上げた来島はそれを隠すようにぎゅっ、と両手を重ねて握りしめ、真っ赤に染めた顔を気まずそうに逸らす。

 

「ぁ、あの……っ! 見ました……よね?」

 

流石にあの状況で見てませんは無理があった。あれだけ凝視しておいて見えてないとか、逆に気を遣いすぎて気まずくなるのは見えていた。

 

「……ま、まぁ」

 

彼女との間にいたたまれない空気が流れる。カチコチと時計の音だけがやけにバカでかく聞こえる気がした。

何でそんなものを学校に持ってきてるんだとか、来島みたいに大人しそうな女の子でもそういうの持ってるんだなとか、実際使って気持ちいいのだろうかとか、コードがついていないタイプのもあるんだなとか、本当にドぎついショッキングピンク色してるんだなとか――

――混乱した脳内を一瞬でいろんな考えが駆け巡る。

そのくせ何と言ってフォローすればいいのかという具体的な解決策は全然出てこなくて、何も言えない。

そのまましばらく。先に沈黙を破ったのは来島だった。

 

「あ、あの……これはその……っ、昨日使ったのが間違って入っちゃってただけ、で……」

 

……そうか、昨日使ったのか。っていやいやいやいや、そうじゃない!

 

「ああ、いや、うん……まあ、そういうこともあるよな」

 

本当にそういうことあるか? と常識が反論してくるが、現実に目の前で起こっているんだからしょうがない。

来島は湯気が出てそうな頭を、それこそ最敬礼より深く下げてきた。

 

「そ、その……! お願いします、このことは誰にも言わないでください……!」

 

これまでになく大きな声――といってもそれで漸く人並みくらいなのだが――を張り上げる。

まあそりゃあそうだ。事故とは言え大人のオモチャを学校に持ってきているのなんて知れたら、変態扱いは避けられない。浩人だって仮にオナホを持ってきていたら――いや、それはもう変態というか変態という名の勇者だが。

それにこのことが男子に知られたら、好奇心交じりの無遠慮な視線を向ける奴だっているだろう、例えそれが無意識だとしても。

来島が必死になるのも無理はなかった。

 

(まあどうせ言いふらしたところで逆に俺が変態扱いか、妄想と現実の区別がつかない頭のヤベーやつ扱いだろうしな。……いや言いふらす気はないけどさ)

 

高校生という半分大人である以上、ここは大人らしく穏便に無難に済ませよう。

 

「事故、だったんだろ? 誰かに言いふらしたりとか――」

 

しないから安心してと、そう言いかけたところで、真っ赤な顔をばっ、と上げた来島が覚悟の決まった目を浩人と向けた。

 

「あ、あの……っ、黙っててくれたら何(・)で(・)も(・)す(・)る(・)の(・)で(・)、どうかお願いします……っ!!」

「――っ!?!!?」

 

再び頭を下げる来島の前で浩人は絶句した。

思考がショートしたのは、この展開がまさに朝岩永と交わしたやり取りそのままだったからだ。

女の子の弱みを握って何でもさせる。

 

(――いや、いやいやいやいやいやいやいや!)

 

あれは童貞の虚しい妄想だったはずだ。創作物の中でしかありえない展開だったはずだ。

 

(ああそうか! 揶揄おうとしてるんだな! ははは、何というか意外だなぁ来島さんはそんなことするイメージ全然なかったけど! いや今日初めて知り合ったばかりだしイメージとか当てにならないなぁ、はっはっは……)

 

けれど、祈る様に握りしめられた彼女の手は白くなるくらい力が籠っていて。真っ赤に染まった顔は小さく震えていて。

とても冗談とは思えなかった。

――つまり、本当に?

思わずごくりと喉が鳴る。昏い欲望が鎌首をもたげる。

目の前の女の子に、クラスの女子に何をしてもいいのか……?

意識した瞬間、浩人の心臓がどくりと跳ねて、下半身に血液が送られる。

 

(――っ!? い、いやいやいや! た、多分ジュースおごるとか掃除変わってくれるとか、そういう系の何でもしますだって、これは! 来島さんだってそんな男の欲望をぶつけられるようなお願いは想定していないはず――) 

 

けれど、理性や良識は最早半分くらい頭の外へと追い出されていた。

 

(でも、でももし本当に何(・)で(・)も(・)してくれるとしたら?)

 

童貞にとってそれはあまりに強烈な毒だった。




お読みいただきありがとうございます!

以下こちらの都合になるのですが、この作品、途中まで一人称で書いてたのを途中で二人称に修正しているため、地の分で直しきれてない場所がある可能性があります。
もちろん投稿前含めて三回ほどは見返しているのですが、それでも「これおかしくね?」「ここ一人称やで」みたいなのがあれば報告して頂けると助かります……!
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