クラスの陰キャ美少女の弱みを握ったので、脅してエロいことをさせまくる! 作:真喜屋五木路
「――本当にごめん、日向。まさかここまで動けないほどしてしまってたとか……」
時刻はいつの間にか夕暮れになっていた。
空には濃紺のベールが中ほどまでかけられ、夕日は今にもビルの谷間に呑み込まれようとしている。
あれから数時間、まだ日向は足腰に力が入らない状態だった。
「わたしこそごめんなさい……その、動けなくなっちゃって。おまけにおんぶしてもらっちゃって……」
背中に背負われた日向の声が申し訳なさそうに、けれどちょっと嬉しそうに、浩人の耳元に吐きかけられる。
「それは日向が謝る必要ないって、俺が暴走してやりすぎたのが原因なわけだし……それより、パーカーとかは大丈夫そうか? 背中、結構な染みになってたけど」
「一応、鞄に隠れるようにはしてますから、大丈夫だと思います……多分」
少し自信なさげに日向の体が小さく震える。それが興奮でなく誰かに見られるかもという恐怖に依るものなのは浩人にも分かっている。
日向は見られる”かも”には興奮しても実際見られるのは怖いのだ。今度から場所はちゃんと考えてあげないといけないだろう。
「あー、なんだ……これで安心できるか分からないけど、万一バレても日向にちょっかいとか射精させたりしない。ちゃんと俺が守ってやるから」
「……っ、ご主人様……」
浩人の首に回されていた日向の腕に力が入り、背中に柔らかな膨らみの感触がより強く押し付けられる。
「だって、日向は俺の彼女なんだからさ。だから、髪の毛一本たりとも俺以外の男に触れさせる気はないから」
「はい……っ!」
日向は嬉しそうな声で首に首を絡めてきた。
しっとりと濡れた肌が吸い付いてきて、浩人の心臓が怪しく跳ねる。
「あー……だからその……日向も俺のこと、ご主人様じゃなくて名前で呼んで欲しいんだけど。一応、彼氏なんだしさ」
「え、あ……そう、ですよね……! これからは人前で呼ぶこともあるかもしれないし……それじゃあ、ひ、ひひ、ひろと……様」
「いや、さすがに様呼びは勘弁してほしいんだが」
「あぅ……ひ、ひろと……くん?」
恥ずかしそうな声が浩人の耳朶をくすぐる。そこから幸せが全身に広がっていくようだった。
「ああ、改めて恋人としてよろしくな、日向」
「は、はい……えへへ、こちらこそよろしくお願いします、浩人くん……」
嬉しそうに名前を呼んでくれる日向のことが愛おしくて、けれどだからこそ少し胸が痛い。
「それで、改めてなんだけど……今日みたいな無茶はもうしないって約束する。一歩間違えたら日向が誰かに見られるようなさ。だから日向も今度からは本当に嫌なら無理に命令に従わなくていいっていうか……俺ももう、脅して命令とかはしないからさ」
……いや、そもそも今までだって日向が拒否すればいつでも逆らえたわけで。
気付いてしまうと、今まで命令していた自分が滑稽にすら思える。
「……俺も、今度からヤりたいときは普通にお願いすることにするから、もう恋人同士なんだしさ。
だから日向も気が向かない時は――」
「そ、それはイヤです!」
日向のらしからぬ大声にビクッとしてしまう浩人。
日向自身も自分でそんな声が出ると思っていなかったのか、慌てて「ごめんなさい」と謝って――けれどどうしてもこれは譲れないとばかりに言葉を続けてくる。
「あ、あの……浩人くんの彼女になれたのは嬉しいんですけど……けど、やっぱりご主人様にはご主人様でもいて欲しいっていうか……」
「……日向、お前本当にドMなんだな」
「あぅ……それは、その……だって浩人くんとする時はずっとそんな感じだったから……」
「つまり俺の責任でもあるってことか……」
もじりと日向が体をよじらせる。恥ずかしそうに、けれど我慢できないというように。
それに、Sな浩人にとっても今までの関係を無条件に手放すのはちょっと惜しかった。
日向を脅してやらせること自体に快感を覚えていたのは否定できないし、できれば応えてやりたい。
けど――
「――やっぱり今までみたいな証拠もなしに脅してっていうの明h、気付いてしまうとちょっと気恥ずかしいというか間抜けに見えてな……」
浩人は赤くなった頬を掻く。
「それじゃあ浩人くんは、わたしを脅せるネタがあれば、今まで通りにしてくれるって約束してくれます……?」
「まあ……それは、そうだな。日向もされたいってことなら」
「それじゃあ――」
日向が耳元で囁いてきたアイデアに、浩人の喉がごくり、と鳴った。
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