※この作品はR-18です。

読まれる日常   作:昼間寝音

20 / 22
【第20頁:交わる視線たち】

「まずは……手本を見せてあげるわ」

 

さとりはそう言って、私の隣に腰を下ろした。

お燐は、ベッドの脇に正座のような姿勢で座り、視線をさまよわせている。

 

「そのままでいいのよ。ちゃんと、見ていて」

 

さとりが囁くように言いながら、私の髪を優しく撫でる。

そのまま流れるような動きで、そっと耳たぶを甘く挟むように吸う。

 

「っ……さとり……」

 

首筋にそよいだ吐息だけで、息が詰まりそうになる。

けれどそれ以上に、私は“見られている”という感覚に打ちのめされていた。

 

お燐の視線が、確かにこちらに向いている。

見られている。私の表情も、震えも、さとりの唇も、ぜんぶ——

 

さとりの指が胸元に降りてくる。

 

「ふふ……ミオ、こんなに反応して……」

 

囁きながら、さとりの手が胸を撫でる。

指の腹で円を描き、敏感な頂点をくすぐるように撫で上げる。

 

私は、堪えきれずに小さく息を漏らした。

 

「はっ……く……」

 

「声、我慢しなくていいのよ。お燐も、ちゃんと聞いてるんだから」

 

その言葉に、私は顔を背けたくなった。

羞恥と熱が、喉の奥で混ざってせり上がってくる。

 

それでも、さとりの手は止まらない。

反対の手が太腿を撫で、指先がゆっくりと脚の内側をなぞる。

 

お燐の呼吸が、わずかに揺れた気がした。

彼女は黙っている。けれど、その瞳は、私たちをじっと見つめていた。

 

私は、逃げ場のない視線のなかで、

たださとりの指に震えながら——

見られ続けていた。

 

「さあ、お燐。次は——あなたの番よ」

 

さとりの声が、甘く、しかし決して逃げ場を与えない響きで部屋に満ちた。

 

お燐は一瞬、息を呑んだ。

耳がぴくりと揺れ、視線が揺れる。

それでも、床に突いていた手をそろそろと引き寄せ、ベッドの縁に手をかける。

 

「……あたい、ほんとに……いいの?」

 

その声は、震えていた。

同時に、瞳に宿っていた緑の光が、ゆるやかに溶けて消えていく。

 

「もちろんよ。わたしが、ちゃんと見てるから」

 

“読んでるから”とは、言わなかった。

けれど、それは最初から前提にあるものだった。

 

お燐は膝を這わせ、ベッドの上に乗る。

私の脚の傍らに腰を落とし、こわごわと手を伸ばす。

 

その指が、私の下腹部に触れた瞬間——

びくん、と腰が震えた。

 

「……ご、ごめんっ……!」

 

お燐が慌てて手を引こうとした。

だが、さとりの声が優しく、それを止める。

 

「だいじょうぶよ。ミオは、拒んでいないわ」

 

「っ……でも、あたい……」

 

「わかるでしょう?」

 

その一言に、お燐の背筋がぴんと伸びた。

恥ずかしさが、耳の先まで染みわたる。

 

私もまた、同じだった。

“触れられる”ことの感触に、“見られている”という羞恥が混ざって——

逃げ出したいのに、身体はじっとしていられなかった。

 

お燐の手が、そっと戻る。

今度は、もっとゆっくりと、私の腹筋を撫でる。

 

「……あったかい……」

 

呟いたその声が、まるで独り言のように、熱を帯びていた。

見つめられ、触れられ、読まれている。

そのすべてが、ひとつの熱に変わっていくのを感じた。

 

「ミオ……あたい、今度は優しくするから……」

 

その手が、もう少し下へと滑っていった。

 

その動きは、まだぎこちない。

けれど、熱を帯びていた。

意識的に力を抜いているのがわかる。

俺を怖がらせないように、そうしてくれているのだと、すぐに分かった。

 

指先が、下着の上から隆起を撫でた。

 

「っ……」

 

思わず声が漏れると、お燐の肩がびくりと揺れた。

 

「……ミオ、ごめん、痛くにゃい……?」

 

「ちがう……大丈夫。つづけて……」

 

かろうじて、声を返した。

羞恥が喉の奥を焼いている。

 

お燐の指が、布越しに形を確かめるように動く。

先端がぴくりと反応し、それにお燐が小さく息を呑むのが伝わった。

 

「……ここ……こんなに……硬くなるんだ……」

 

その呟きが、自分に言い聞かせているようで——

でも、それは確かに届いていた。

 

「はぁっ……っ……」

 

お燐の手が、ゆっくりと上下に撫でる。

指の腹が布の上から陰茎の輪郭をなぞり、じわじわと熱が滲み出す。

布に染みる濡れた感触が、薄く重なっていく。

 

「上手よ、お燐。……優しくて、繊細」

 

「……へへ……褒められた……」

 

照れたように笑いながら、でも指は止めない。

ぴくぴくと跳ねる先端をなぞるたび、布越しに敏感な痛みと快感が交差する。

 

俺は——

 

声にならない吐息と、止められない鼓動と、

ふたりの視線に包まれたまま、

愛撫されていた。

 

読まれている。

見られている。

でも、それが——快い。

 

「もっと、ミオの気持ちよさ……見せてあげて」

 

さとりが囁いたその瞬間、お燐の指が、下着の縁をそっとつまんだ。

 

「……脱がせて、いい?」

 

さとりの視線が降りていて、許されているような気がした。

 

「……ああ。いいよ」

 

小さく頷いた私の言葉を受けて、お燐はそっと下着を引き下ろす。

ぬるりと熱を帯びた布が、下腹部を滑り、太腿へと落ちていく。

布にまとわりついていた先端が解き放たれ、ぴくりと跳ねた。

 

「……すご……」

 

思わず漏れたお燐の声。

彼女の目は、恥じらいと好奇心と興奮で滲んでいた。

 

「さわる、ね?」

 

ことわりもそこそこに、お燐の指が、根元からそっとなぞってくる。

ぬめりと脈動が交錯する。

腰が勝手に揺れた。

 

「あ……」

 

先端に指が触れる。

そのまま、そっと包み込むように手のひらが覆い、

上下に、やさしく擦られた。

 

「ミオ……あったかい……すごい……」

 

さとりは言葉を発さないまま、お燐の背にそっと手を添えた。

その掌が、まるで「いい子ね」と告げるように撫でる。

 

お燐の動きが少しずつ滑らかになる。

指の腹が裏筋をなぞり、手のひらで竿を優しく揉むように動く。

 

息が漏れる。

止まらない。

 

私は、ただの肉体の塊としてそこにあった。

読まれて、見られて、触れられて、

そのすべてが——快楽へと変わっていく。

 

「気持ちいい……? ミオ……」

 

「……ああ……やばい……」

 

お燐の手が、ぬちゃぬちゃと音を立て始める。

それを聞いた瞬間、恥ずかしさで顔を逸らしかける——が。

 

さとりの声が、静かに囁いた。

 

「もっと、ちゃんと……お燐を見てあげて。

あなたを、こんなに一生懸命にしてくれてるんだから」

 

私は、ゆっくりと顔を戻した。

 

お燐が、目を潤ませながら、私の昂ぶりを愛おしそうに見つめていた。

 

それは嫉妬でも、罪悪感でも、命令でもない。

ただひとつの、誠実な“欲望”だった。

 

「今度は……舌で、教えてあげる」

 

さとりの声が、私の耳元に届いたとき、彼女はベッドの脇に片膝をつき、身を乗り出していた。

肩越しにかかる髪が、肌をくすぐるように揺れ、次の瞬間、乳首にぬるりと舌が這った。

 

快感に抗うように、無意識に身体が逃げようとする。

けれど、さとりの小さな手がすっと伸びてきて、その動きを包み込むように制した。

そのまま、私の腕を頭上へとやさしく導く——

拘束ではない。けれど、それは確かに“委ねさせる”動作だった。

 

お燐が、太腿の間ににじり寄る。

四つん這いになった彼女の尾が、わずかに左右に揺れていた。

 

「ミオ……その……舐めるね……」

 

その声には緊張と照れが混ざっていた。

次の瞬間、ぬるりと熱い舌が陰茎の根元をなぞり上げた。

 

「っ……く……!」

 

ふたりの舌。

上下で全く違う感触が、私の身体の中で奇妙なループを描く。

 

「ふふ……感じてる。お燐、リズムはこのくらい」

 

さとりが五指で私の胸を撫でながら、舌を小さく螺旋を描くように回し始めた。

それに合わせて、お燐の舌も裏筋をゆっくりとなぞるように動く。

 

快感が、波のように重なる。

乳首を吸われながら、性器を舐められるという事実が、羞恥と熱に変わる。

 

「あたい……さとり様と、こんな……でも、ミオが……気持ちよくなるなら……」

 

お燐の舌が、先端をそっと押し上げる。

そのたびに、さとりが乳首を軽く甘噛みする。

 

腰が浮きそうになる。

快楽が一点に集まり、全身がひくひくと震えていた。

 

「ミオ……すごい……おっきくなってきて……舐めるたび、ぴくって……」

 

お燐の言葉に、さとりが笑う。

 

「読むって、気持ちいいでしょう?

心も、身体も」

 

私の視界が揺れる。

読まれている。見られている。

なのに、逃げたくない——

 

舌が、また同時に触れる。

 

私の中で、何かが限界を迎えようとしていた。

 

「っ……く、もう……!」

 

腰が浮き、背中が跳ねる。

絶頂の波が喉元まで込み上げ、視界が白みに染まりかけたそのとき——

 

「お燐、やめて」

 

さとりの声が、鋭く落ちた。

 

「……えっ?」

 

お燐の舌が、ぴたりと止まる。

ぬるついた唇が、名残惜しげに先端から離れる。

 

「さとり、なんで……っ」

 

私は熱にうわずった声で言いかけたが、さとりの指が唇に触れた。

 

「まだ……よ」

 

彼女の第三の目が、わずかに揺れている。

けれどそこに浮かぶのは、拒絶ではなく、導く意志。

 

「お燐。いまのあなたなら、ちゃんとできる。

“猫としての本能”を、隠さずに——晒して、委ねてみせて」

 

お燐の瞳が揺れる。

尾が震え、脚がすり寄るように動いた。

 

「……ほんとに、して……いいの……?」

 

「ええ。ミオは、あなたを受け入れる準備ができてる。

あとは、あなたが背中を見せてあげるだけ」

 

お燐はしばらく黙っていたが、やがて小さくうなずくと、

そろそろとベッドに上がり、私の前で四つん這いになった。

 

尻尾がぴんと立ち、膝が震える。

腰を突き出すようにして、ゆっくりと息を吐く。

 

「……あたい、もう、がまんできにゃ……」

 

さとりがそっと、私の背に手を添える。

その手は語る。

「これから、貫いていい」と。

 

私は、お燐の細い腰に手を伸ばした。

 

尾の根元がぴんと立ち、後ろに突き出された尻が小さく揺れるたび、

割れ目の奥がきゅうっと濡れた筋を描いていた。

 

「……ゆっくり……くる、にゃ……」

 

お燐の声がかすれ、身体がわずかに逃げるように沈んだ。

けれど私の手が腰を押さえると、彼女はすぐに戻ってくる。

——本能が、受け入れるようにできていた。

 

私は熱く硬くなった自身を、お燐の割れ目に添わせた。

とろりとしたぬめりが、先端を包み、

呼吸を合わせるように彼女の入口がぴくぴくと動いた。

 

「……っ!」

 

浅く押し込む。

ぬるりとした肉が絡みつき、

奥に導かれるたびに、お燐の爪がシーツに沈む。

 

「ひっ……あっ……! ミオのが……くる……にゃ……っ!」

 

膣壁が蠢くように私を飲み込み、

一度入れた腰を引き抜こうとすると、内側が名残惜しげに吸い付いてくる。

 

「すご……あたいのなか、そんな……ぎゅっ、って……」

 

お燐の尾が私の腹に当たって揺れる。

私は腰を動かしながら、彼女の背に手を這わせた。

 

打ちつけるたびに、お燐の尻が跳ね、

挿入の衝撃がぬちゅっ、じゅぷっ、と音を立てて響く。

 

「ミオ……ミオぉ……あたい、こんなの……っ、止まんない……っ!」

 

背を丸め、腰を突き上げながら、お燐が甘く啼いた。

私はただ、夢中で彼女を抱きしめるように突き続けた。

 

ぬるり、ぬちゅっ、と熱と蜜が絡み合い、

お燐の中が私を締めつける感覚が、強く、強くなる。

 

「っ、ふぁ……ミオ、そんなに……っ、激しくしたら……っ!」

 

お燐が甘く叫び、前脚がよろめきかける。

それでも彼女は腰を引かず、尻を突き出すようにして必死に受け止めてくる。

尻尾が私の腹に当たってはね、膣がまたひときわ強く締まる。

 

「あたいの、おまんこ、そんなに……気持ちいい、にゃ……?」

 

……その言い方は、反則だ。

甘ったれた声で、そんな単語を口にされて、平静でいられるわけがない。

理性よりも先に、腰が勝手に動いていた。

 

お燐の背中に体を預けるようにして、さらに深く押し込む。

奥を擦るたびに、お燐の喉から鳴き声のような息が漏れる。

 

「んっ、んぅ……ミオのおちんぽが、奥……届いて……あたい、変になっちゃいそ……っ」

 

打ちつけるたびに、尻がぶつかり合い、音が混じる。

汗と蜜で滑る肌と肌が擦れ、鼓動が重なる。

 

「お燐……気持ちいいか……?」

 

「うんっ……気持ちいい……っ、ミオのおちんぽが……

あたいの、いちばん奥、めちゃくちゃにしてくれるにゃ……っ!」

 

そして——

もう、限界が近づいていた。

 

お燐の中がひくひくと痙攣し始め、膣が波のように締めつけてくる。

私は、唇を噛み、必死で理性を保とうとしたが——

 

「……お燐、っ……イく、かも……っ!」

 

「あたいもっ……一緒に、っ、いきたいっ……ミオと……っ!」

 

ふたりの声が重なる。

熱が、爆ぜた。

 

全身を貫くような絶頂が、私の腹の底から突き上げる。

お燐が背を反らせて猫のように絶叫し、私はその身体を後ろから抱きしめるようにして、果てた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。