「まずは……手本を見せてあげるわ」
さとりはそう言って、私の隣に腰を下ろした。
お燐は、ベッドの脇に正座のような姿勢で座り、視線をさまよわせている。
「そのままでいいのよ。ちゃんと、見ていて」
さとりが囁くように言いながら、私の髪を優しく撫でる。
そのまま流れるような動きで、そっと耳たぶを甘く挟むように吸う。
「っ……さとり……」
首筋にそよいだ吐息だけで、息が詰まりそうになる。
けれどそれ以上に、私は“見られている”という感覚に打ちのめされていた。
お燐の視線が、確かにこちらに向いている。
見られている。私の表情も、震えも、さとりの唇も、ぜんぶ——
さとりの指が胸元に降りてくる。
「ふふ……ミオ、こんなに反応して……」
囁きながら、さとりの手が胸を撫でる。
指の腹で円を描き、敏感な頂点をくすぐるように撫で上げる。
私は、堪えきれずに小さく息を漏らした。
「はっ……く……」
「声、我慢しなくていいのよ。お燐も、ちゃんと聞いてるんだから」
その言葉に、私は顔を背けたくなった。
羞恥と熱が、喉の奥で混ざってせり上がってくる。
それでも、さとりの手は止まらない。
反対の手が太腿を撫で、指先がゆっくりと脚の内側をなぞる。
お燐の呼吸が、わずかに揺れた気がした。
彼女は黙っている。けれど、その瞳は、私たちをじっと見つめていた。
私は、逃げ場のない視線のなかで、
たださとりの指に震えながら——
見られ続けていた。
「さあ、お燐。次は——あなたの番よ」
さとりの声が、甘く、しかし決して逃げ場を与えない響きで部屋に満ちた。
お燐は一瞬、息を呑んだ。
耳がぴくりと揺れ、視線が揺れる。
それでも、床に突いていた手をそろそろと引き寄せ、ベッドの縁に手をかける。
「……あたい、ほんとに……いいの?」
その声は、震えていた。
同時に、瞳に宿っていた緑の光が、ゆるやかに溶けて消えていく。
「もちろんよ。わたしが、ちゃんと見てるから」
“読んでるから”とは、言わなかった。
けれど、それは最初から前提にあるものだった。
お燐は膝を這わせ、ベッドの上に乗る。
私の脚の傍らに腰を落とし、こわごわと手を伸ばす。
その指が、私の下腹部に触れた瞬間——
びくん、と腰が震えた。
「……ご、ごめんっ……!」
お燐が慌てて手を引こうとした。
だが、さとりの声が優しく、それを止める。
「だいじょうぶよ。ミオは、拒んでいないわ」
「っ……でも、あたい……」
「わかるでしょう?」
その一言に、お燐の背筋がぴんと伸びた。
恥ずかしさが、耳の先まで染みわたる。
私もまた、同じだった。
“触れられる”ことの感触に、“見られている”という羞恥が混ざって——
逃げ出したいのに、身体はじっとしていられなかった。
お燐の手が、そっと戻る。
今度は、もっとゆっくりと、私の腹筋を撫でる。
「……あったかい……」
呟いたその声が、まるで独り言のように、熱を帯びていた。
見つめられ、触れられ、読まれている。
そのすべてが、ひとつの熱に変わっていくのを感じた。
「ミオ……あたい、今度は優しくするから……」
その手が、もう少し下へと滑っていった。
その動きは、まだぎこちない。
けれど、熱を帯びていた。
意識的に力を抜いているのがわかる。
俺を怖がらせないように、そうしてくれているのだと、すぐに分かった。
指先が、下着の上から隆起を撫でた。
「っ……」
思わず声が漏れると、お燐の肩がびくりと揺れた。
「……ミオ、ごめん、痛くにゃい……?」
「ちがう……大丈夫。つづけて……」
かろうじて、声を返した。
羞恥が喉の奥を焼いている。
お燐の指が、布越しに形を確かめるように動く。
先端がぴくりと反応し、それにお燐が小さく息を呑むのが伝わった。
「……ここ……こんなに……硬くなるんだ……」
その呟きが、自分に言い聞かせているようで——
でも、それは確かに届いていた。
「はぁっ……っ……」
お燐の手が、ゆっくりと上下に撫でる。
指の腹が布の上から陰茎の輪郭をなぞり、じわじわと熱が滲み出す。
布に染みる濡れた感触が、薄く重なっていく。
「上手よ、お燐。……優しくて、繊細」
「……へへ……褒められた……」
照れたように笑いながら、でも指は止めない。
ぴくぴくと跳ねる先端をなぞるたび、布越しに敏感な痛みと快感が交差する。
俺は——
声にならない吐息と、止められない鼓動と、
ふたりの視線に包まれたまま、
愛撫されていた。
読まれている。
見られている。
でも、それが——快い。
「もっと、ミオの気持ちよさ……見せてあげて」
さとりが囁いたその瞬間、お燐の指が、下着の縁をそっとつまんだ。
「……脱がせて、いい?」
さとりの視線が降りていて、許されているような気がした。
「……ああ。いいよ」
小さく頷いた私の言葉を受けて、お燐はそっと下着を引き下ろす。
ぬるりと熱を帯びた布が、下腹部を滑り、太腿へと落ちていく。
布にまとわりついていた先端が解き放たれ、ぴくりと跳ねた。
「……すご……」
思わず漏れたお燐の声。
彼女の目は、恥じらいと好奇心と興奮で滲んでいた。
「さわる、ね?」
ことわりもそこそこに、お燐の指が、根元からそっとなぞってくる。
ぬめりと脈動が交錯する。
腰が勝手に揺れた。
「あ……」
先端に指が触れる。
そのまま、そっと包み込むように手のひらが覆い、
上下に、やさしく擦られた。
「ミオ……あったかい……すごい……」
さとりは言葉を発さないまま、お燐の背にそっと手を添えた。
その掌が、まるで「いい子ね」と告げるように撫でる。
お燐の動きが少しずつ滑らかになる。
指の腹が裏筋をなぞり、手のひらで竿を優しく揉むように動く。
息が漏れる。
止まらない。
私は、ただの肉体の塊としてそこにあった。
読まれて、見られて、触れられて、
そのすべてが——快楽へと変わっていく。
「気持ちいい……? ミオ……」
「……ああ……やばい……」
お燐の手が、ぬちゃぬちゃと音を立て始める。
それを聞いた瞬間、恥ずかしさで顔を逸らしかける——が。
さとりの声が、静かに囁いた。
「もっと、ちゃんと……お燐を見てあげて。
あなたを、こんなに一生懸命にしてくれてるんだから」
私は、ゆっくりと顔を戻した。
お燐が、目を潤ませながら、私の昂ぶりを愛おしそうに見つめていた。
それは嫉妬でも、罪悪感でも、命令でもない。
ただひとつの、誠実な“欲望”だった。
「今度は……舌で、教えてあげる」
さとりの声が、私の耳元に届いたとき、彼女はベッドの脇に片膝をつき、身を乗り出していた。
肩越しにかかる髪が、肌をくすぐるように揺れ、次の瞬間、乳首にぬるりと舌が這った。
快感に抗うように、無意識に身体が逃げようとする。
けれど、さとりの小さな手がすっと伸びてきて、その動きを包み込むように制した。
そのまま、私の腕を頭上へとやさしく導く——
拘束ではない。けれど、それは確かに“委ねさせる”動作だった。
お燐が、太腿の間ににじり寄る。
四つん這いになった彼女の尾が、わずかに左右に揺れていた。
「ミオ……その……舐めるね……」
その声には緊張と照れが混ざっていた。
次の瞬間、ぬるりと熱い舌が陰茎の根元をなぞり上げた。
「っ……く……!」
ふたりの舌。
上下で全く違う感触が、私の身体の中で奇妙なループを描く。
「ふふ……感じてる。お燐、リズムはこのくらい」
さとりが五指で私の胸を撫でながら、舌を小さく螺旋を描くように回し始めた。
それに合わせて、お燐の舌も裏筋をゆっくりとなぞるように動く。
快感が、波のように重なる。
乳首を吸われながら、性器を舐められるという事実が、羞恥と熱に変わる。
「あたい……さとり様と、こんな……でも、ミオが……気持ちよくなるなら……」
お燐の舌が、先端をそっと押し上げる。
そのたびに、さとりが乳首を軽く甘噛みする。
腰が浮きそうになる。
快楽が一点に集まり、全身がひくひくと震えていた。
「ミオ……すごい……おっきくなってきて……舐めるたび、ぴくって……」
お燐の言葉に、さとりが笑う。
「読むって、気持ちいいでしょう?
心も、身体も」
私の視界が揺れる。
読まれている。見られている。
なのに、逃げたくない——
舌が、また同時に触れる。
私の中で、何かが限界を迎えようとしていた。
「っ……く、もう……!」
腰が浮き、背中が跳ねる。
絶頂の波が喉元まで込み上げ、視界が白みに染まりかけたそのとき——
「お燐、やめて」
さとりの声が、鋭く落ちた。
「……えっ?」
お燐の舌が、ぴたりと止まる。
ぬるついた唇が、名残惜しげに先端から離れる。
「さとり、なんで……っ」
私は熱にうわずった声で言いかけたが、さとりの指が唇に触れた。
「まだ……よ」
彼女の第三の目が、わずかに揺れている。
けれどそこに浮かぶのは、拒絶ではなく、導く意志。
「お燐。いまのあなたなら、ちゃんとできる。
“猫としての本能”を、隠さずに——晒して、委ねてみせて」
お燐の瞳が揺れる。
尾が震え、脚がすり寄るように動いた。
「……ほんとに、して……いいの……?」
「ええ。ミオは、あなたを受け入れる準備ができてる。
あとは、あなたが背中を見せてあげるだけ」
お燐はしばらく黙っていたが、やがて小さくうなずくと、
そろそろとベッドに上がり、私の前で四つん這いになった。
尻尾がぴんと立ち、膝が震える。
腰を突き出すようにして、ゆっくりと息を吐く。
「……あたい、もう、がまんできにゃ……」
さとりがそっと、私の背に手を添える。
その手は語る。
「これから、貫いていい」と。
私は、お燐の細い腰に手を伸ばした。
尾の根元がぴんと立ち、後ろに突き出された尻が小さく揺れるたび、
割れ目の奥がきゅうっと濡れた筋を描いていた。
「……ゆっくり……くる、にゃ……」
お燐の声がかすれ、身体がわずかに逃げるように沈んだ。
けれど私の手が腰を押さえると、彼女はすぐに戻ってくる。
——本能が、受け入れるようにできていた。
私は熱く硬くなった自身を、お燐の割れ目に添わせた。
とろりとしたぬめりが、先端を包み、
呼吸を合わせるように彼女の入口がぴくぴくと動いた。
「……っ!」
浅く押し込む。
ぬるりとした肉が絡みつき、
奥に導かれるたびに、お燐の爪がシーツに沈む。
「ひっ……あっ……! ミオのが……くる……にゃ……っ!」
膣壁が蠢くように私を飲み込み、
一度入れた腰を引き抜こうとすると、内側が名残惜しげに吸い付いてくる。
「すご……あたいのなか、そんな……ぎゅっ、って……」
お燐の尾が私の腹に当たって揺れる。
私は腰を動かしながら、彼女の背に手を這わせた。
打ちつけるたびに、お燐の尻が跳ね、
挿入の衝撃がぬちゅっ、じゅぷっ、と音を立てて響く。
「ミオ……ミオぉ……あたい、こんなの……っ、止まんない……っ!」
背を丸め、腰を突き上げながら、お燐が甘く啼いた。
私はただ、夢中で彼女を抱きしめるように突き続けた。
ぬるり、ぬちゅっ、と熱と蜜が絡み合い、
お燐の中が私を締めつける感覚が、強く、強くなる。
「っ、ふぁ……ミオ、そんなに……っ、激しくしたら……っ!」
お燐が甘く叫び、前脚がよろめきかける。
それでも彼女は腰を引かず、尻を突き出すようにして必死に受け止めてくる。
尻尾が私の腹に当たってはね、膣がまたひときわ強く締まる。
「あたいの、おまんこ、そんなに……気持ちいい、にゃ……?」
……その言い方は、反則だ。
甘ったれた声で、そんな単語を口にされて、平静でいられるわけがない。
理性よりも先に、腰が勝手に動いていた。
お燐の背中に体を預けるようにして、さらに深く押し込む。
奥を擦るたびに、お燐の喉から鳴き声のような息が漏れる。
「んっ、んぅ……ミオのおちんぽが、奥……届いて……あたい、変になっちゃいそ……っ」
打ちつけるたびに、尻がぶつかり合い、音が混じる。
汗と蜜で滑る肌と肌が擦れ、鼓動が重なる。
「お燐……気持ちいいか……?」
「うんっ……気持ちいい……っ、ミオのおちんぽが……
あたいの、いちばん奥、めちゃくちゃにしてくれるにゃ……っ!」
そして——
もう、限界が近づいていた。
お燐の中がひくひくと痙攣し始め、膣が波のように締めつけてくる。
私は、唇を噛み、必死で理性を保とうとしたが——
「……お燐、っ……イく、かも……っ!」
「あたいもっ……一緒に、っ、いきたいっ……ミオと……っ!」
ふたりの声が重なる。
熱が、爆ぜた。
全身を貫くような絶頂が、私の腹の底から突き上げる。
お燐が背を反らせて猫のように絶叫し、私はその身体を後ろから抱きしめるようにして、果てた。