※この作品はR-18です。

読まれる日常   作:昼間寝音

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【第22頁:悦楽飼育】

さとりの寝室に連れてこられたのは、いつのことだっただろう。

 

時間はまだ昼のはずだが、分厚いカーテンがぴたりと閉じられていて、外の光は一切入ってこない。

部屋の灯りも点けられておらず、ほんのかすかに揺らめく妖力の明かりだけが、空間の輪郭を辛うじて浮かび上がらせていた。

 

明暗の曖昧なその空間で、彼女の表情はよく見えない。

ただ、第三の目だけが、じっとりとこちらを見ている気がした。

 

そんな中で、小さな盃の中で琥珀色の液体が微かに揺れた。

月光に似た光を受け、ガラスの縁が淡く輝いている。

 

さとりはその器を片手に持ち、私の目の前へと差し出した。

自分の直感は、それがただの飲み物ではないことを告げている。

 

器を受け取って鼻先に近づけると、すぐにむせかえるような香りが立ち昇った。

熟した果実と、土を這うような薬草の青臭さ。そこにわずかに混じる、鉄に似た金属臭。

嗅いだだけで舌がざらつく気がして、反射的に息を止めた。

 

「……飲みなさい、ミオ」

 

さとりの声は、ただ静かだった。押しつけがましさも、脅しもなかった。

なのに、それがもっとも“逃げ場を奪う声”に感じられた。

 

私は、器を唇に傾けた。

 

一滴目が舌に触れた瞬間、じん、と痺れが走る。

苦い。甘い。熱い。冷たい。

複雑に交錯する味の波が、一斉に味蕾を撃ち抜いてくる。

 

飲み下すたび、喉の奥に熱が走った。

液体というより、何かが生き物のように這い下っていく感触。

食道をなぞるその感覚が、胃に落ちる頃には、もう私の体の内側に巣を作り始めていた。

 

「……っ」

 

腹の奥がきゅう、と疼く。

灼けるような熱が、丹田のあたりを中心に、じわじわと広がっていく。

血が騒ぐ。皮膚の裏側で、何かが泡立つ。

 

そして——

 

明らかに異常な脈動が、下腹部に発生した。

どくん。どくん。

心臓とは別の拍動が、股間へ、背骨へ、腰椎へと伝わっていく。

 

指が微かに震える。喉が渇く。

思考の端が白くぼやけていく感覚が、恐ろしくも、どこか快かった。

 

——これは、体の内側から壊されていく快楽だ。

 

そう理解したときには、すでに遅かった。

 

「さとり……これ、いったい——」

 

震える声で問いかけたとき、彼女は小さな瓶を手に取り、そのラベルに視線を落とした。

そして、まるで読み聞かせるように、静かに言葉を紡ぐ。

 

「“鬼哭草精煎液(きこくそうせいせんえき)”。

調合責任者:八意永琳。……ふふ、地上で手に入れるのは難しいはずよ」

 

一拍置いてから、彼女は読み上げを再開する。

 

「内容量:二両六匁」

「使用法:一服、盃にて服用。摂取後三十秒以内に効果発現」

「適用対象:鬼族、その他高妖力生種」

「禁忌:人間、妖精……あらあら。あなた、該当してるわね」

「効能:性交衝動の異常増幅。性器への血流集中および分泌作用の活性化。

男女問わず、性的応答が加速し、絶頂回数が通常比で二〜五倍に達することがあります」

 

ラベルをゆっくりと裏返す。その音すらも、異様に生々しく響いた。

 

「副作用:羞恥心の鈍麻、呼吸浅化、快楽対象への執着傾向。

絶頂反復による中枢快感回路の再活性」

「警告:本品使用中は性的接触を中断しないこと。欲求残留により、精神的不調をきたす恐れあり。

信頼できる者の監視下で服用のこと。……ええ、わたしほど信頼できる相手はいないわね?」

 

彼女は瓶とラベルを静かに伏せると、こちらに向けて、ようやく微笑んだ。

その表情は薄暗がりの中で輪郭が曖昧で、それでもはっきりと分かった。

それは、愉悦の笑みだった。

 

「これから半刻……いえ、人間だからもっとかしら?

あなたの身体は、わたしを求めることしかできなくなる。

——さあ、始めましょうか。ミオ」

 

 

 

「首、出して」

 

気づけば、私はベッドの端に座らされていて、さとりは衣装棚の引き出しから何かを取り出していた。

それは、艶のある黒革の首輪だった。

金具は銀色。小さなプレートがついている。……そこには、はっきりと刻まれていた。

 

——「Mio」。

 

私は一瞬だけ目を見開いた。

だが、それを拒むことなど、できなかった。

 

彼女の指が、私の喉元に革の輪を添える。

その瞬間、皮膚が一枚、外気から遮断されたような感覚があった。

 

ぐ、と首が圧迫される。

冷たい金属の感触が、喉仏のすぐ上でかすかに震えていた。

 

「……ぴったりね。ふふ、やっぱりあなたは“わたしの子”だわ」

 

バックルが、“契約”の音のようにカチリと鳴る。

 

喉元に絡みついた革の存在が、皮膚の下へ、内臓へ、心の最奥へと染み込んでくる。

呼吸はできる。けれど、それすら“許されている”だけのことのように思えた。

 

私の中で、何かが静かに屈服した。

 

だが、それは恥ではなかった。

むしろ、嬉しかった。

自分の名前が、誰かの所有物として存在する。

 

——こんなにも、満たされるものなのか。

 

「はい、次は……仰向けになって。脚を開いて、ちんちん♡のポーズ」

 

命令と共に、さとりが指を鳴らす。

それは当然であるかのように感じられた。

 

床に仰向けになり、脚を少しだけ上げる。

すると、下腹部につーっと冷たい感触が走った。

その正体は、私の剛直の先端から溢れた、先走り液であった。

 

暗がりの中でもはっきりとわかるほど、赤く肥大化した欲望の塊。

それは栓を締め損ねた蛇口のように、粘液を垂れ流し続けている。

 

「いい子ね。うちの子の“ちんちん”、立派♡」

 

続いてさとりは、細い革紐のようなものを取り出した。

それが、何なのか理解するより早く——彼女の指が、私の昂ぶりの根元へと伸びてくる。

 

「これはね、“リング”よ。……ご褒美を、ちょっと先に延ばすための道具」

 

彼女の手つきは、やさしく、けれど容赦がなかった。

陰茎の根元に、それが締めつけられる。

ぴたりと嵌った瞬間、脈動が強調されるように鼓動が増した。

 

「これで、まだイっちゃダメ。

どれだけ気持ちよくても、わたしが“いいわよ”って言うまで、絶対に」

 

彼女の口元が、ゆっくりと綻んだ。

その笑みは、優しさと支配の混ざり合った、極上の檻だった。

 

さとりは、静かにベッドに腰を下ろした。

私の脚の間に座る形で、自然と視線の高さが逆転する。

薄暗がりの中で、その双眸だけが、わずかに光を反射していた。

 

「まずは……ご奉仕の時間よ。足から始めましょうか?」

 

彼女は片足を持ち上げると、白いフリルのついた靴下をゆっくりと、妖艶に脱ぎ始めた。

すべらせるように下ろされた布が、彼女のふくらはぎと足首の曲線をなぞり、

最後にはひらりと床に落ちた。

 

現れた素足は、透けるように白く、指先まで丁寧に整えられていた。

その足が、私の頬にすっと添えられる。

 

しっとりとした感触が、肌に広がる。

思考が鈍る中、さとりは足の指先を私の唇に押し当てる。

 

「ほら……舌、使って」

 

声は優しい。

けれど、それは命令だった。

 

私は、仰向けのまま首を起こし、そっと舌を伸ばす。

 

さとりの足は、汗の塩気と、仄かな石鹸の香りが混ざり合っていた。

それはどこか、舌の上に甘く残る。

不思議と嫌悪はなく、むしろ、何度も確かめたくなる味だった。

 

第一趾——親指のふくらみに、やや厚みを感じる。

そこを舌で撫でるたび、彼女の足がわずかに反応して揺れる。

 

第二趾、第三趾……。

一本ずつ、私は愛おしむように唇でくわえ、舌で裏側をなぞる。

 

とくに第四趾と第五趾の間には、やや蒸れた体温が残っており、そこに舌を差し入れたとき、自分がさとりの排熱すら慈しんでいることを実感する。

 

「ふふ……そこ、くすぐったいわ」

 

声をかけられるたび、私はさらに熱心に奉仕した。

舌の動きを変える。巻きつけ、吸い、弾く。

足指が濡れていくのが分かる。

それが、自分の唾液であることが嬉しかった。

 

「あら……こんなに丁寧に舐められたの、初めてかもしれないわ」

 

その言葉に、胸が跳ねる。

まるで、“選ばれた飼い犬”のような誇らしさが込み上げた。

 

舌先で指と指の間をなぞり、爪の際をぺろりと掬い上げる。

足裏の膨らみを吸い上げ、甲の筋を沿って舐め上げていく。

 

舌がしびれる。唾液が溢れてくる。

息が荒くなり、喉の奥が熱を持つ。

 

けれど、やめられなかった。

 

舐めれば舐めるほど、“飼われる悦び”が濃くなっていく。

それは快楽というより、陶酔だった。

 

「よしよし……いい子。

舐め方まで、わたし好みに育ってきたわね」

 

その言葉に、背筋がぞくりと震えた。

まるで、尻尾をちぎれるほど振ってしまいそうなほどの、喜びの奔流。

 

奉仕することが、ここまで満たされることだとは、知らなかった。

 

私は止まらず、最後の指をくわえる。

口の中に収めて、ぬらぬらと舌で転がし、時折、吸い上げる。

しゃぶるたびに、足指がくちゅ、と音を立てた。

 

「ん……ふふ、いいわよ。

でも恥ずかしいとは思わないの?

ああ、そうか。もう、“羞恥心”なんて、溶けちゃったのよね」

 

その言葉が、なぜか心地よかった。

言われている内容が屈辱的であることすら、どこか遠くのことのように思えた。

 

「次は……こっちね」

 

そう囁いたさとりは、私の両脚をそっと抱え上げた。

太腿の裏に柔らかな手が回され、自然と腰が持ち上がる。

 

「……ここ、見せて」

 

肛門に触れる——その予感だけで、腰がびくんと跳ねた。

 

「ふふ、反応がいいわね。触ってもいないのに」

 

さとりの指先が、指の腹で何度か優しく円を描いた。

膣ではない。射精するための出口でもない。

けれど——感じてしまう場所。触れられたくないのに、触れてほしい場所。

 

舌がそっとそこに触れたとき、私の脳裏に火花が散った。

 

「あ……っ、う……っ」

 

柔らかく、湿った舌が、外縁をなぞる。

円を描くように、ゆっくりと、執拗に。

肛門のしまりが反射的に動くたび、舌がじゅるりと押し返される。

 

触れられるはずのない場所に、愛撫が与えられるという倒錯。

舐められるたびに、恥ずかしさが皮膚の裏にじわじわと沁み込んでいく。

でも、止まらない。いや、止めてほしくない。

 

舌が蠢くたび、肛門の筋肉がひくひくと収縮し、奥の感覚がむず痒く膨張していく。

 

「あら、奥がいいの? 贅沢なこと。

でも、そうね。……あら、これがちょうどいいわ」

 

さとりの視線が、私の下腹部を一瞥した。

腹の筋に溜まっていた透明なべとべとの液。

私の肉棒が垂れ流したそれを、指先で丁寧にすくい取る。

 

そのまま、指は肛門へと触れる。

少しずつ、慎重に、けれど確実に、押し広げ、奥へ奥へと進んでいく。

 

「力を抜いて。いい子……そう、そうよ」

 

第一関節。

第二関節。

 

ゆっくり、ゆっくりと侵入してくる指に、体が適応していく。

いや、迎え入れてしまっている。

 

「奥、触ってもいいかしら?」

 

返事など必要ない。すでに心も身体も、彼女に開かれていた。

 

指先が、ある一点に触れる。

ぴく、と腰が跳ねた。

 

「……ここね」

 

前立腺——男の奥のスイッチ。

一瞬、目の裏で火花が散った。

 

「ん……ひゅっ、あ……っ!あっ、そこっ……!」

 

指の動きが変わるたび、快感の波の質が変化する。

 

ゆっくりとした責めには陶酔が。

一点を突かれるときには衝撃が。

揉み解されると、もう声にならない声が漏れていく。

 

肛門の中が、指を押し出すのではなく、“吸い込む”感覚に変わっていた。

 

「あら……イきそう? でも、ダメ」

 

彼女の声はどこまでも冷静で、どこまでも甘くて、どこまでも意地悪だった。

 

私の前立腺が、もう“存在してはいけないくらいの快楽源”になってしまったことを——

彼女は、完全に知っている。

 

そして、その上で、許さない。

 

それがたまらなかった。

 

さとりの細い指が、前立腺を——

撫でる。擦る。叩く。押す。

 

「このまま射精したい?

射精したい。したいわねえ?」

 

軽薄で表面的な、共感の響き。

私の心の中には、もはや小さな爆発の連鎖とでもいうべき快感が渦巻いている。

それを読んでいてなお、さとりは。

 

「まだ、ダ~メ♡」

 

心臓はどっかんどっかんと大太鼓を叩くような衝撃に合わせ、血液を送り出している。

その殆ど全てが集まっているであろう、陰茎では。

根元に嵌められた革のリングによって、睾丸からこみ上げる精液を堰き止められていた。

もう何もかもが破裂寸前。

 

それなのに、彼女の指の動きは止まらない。

ときに優しく円を描き、ときに唐突に突き上げる。

その動作ひとつひとつに対応するように、私の喉は悲鳴にも似た喘ぎ声を上げた。

 

「あら……こんなにナカが良いなんて。まるでメスね」

 

言葉の一つ一つが、甘く、鋭い。

責められているのは身体だけじゃない。意識ごと、弄ばれている。

 

「……うふっ、うふふふ。かわいい。まだイかせてないのに、泣いてる」

 

ぐり、と強く押し上げられた瞬間。

ひときわ大きな快感の爆発に合わせて、身体が大きく跳ねる。

肛門が強く収縮し、さとりの指をひり出すそれが、第二波であった。

 

「ふうん。お尻だけで、イっちゃったのね。勝手な子。

首輪だけじゃ、足りなかったかしら」

 

彼女は枕元に手を伸ばし、革製の細い帯を取り出した。

その端を首輪の金具に、カチリと取り付ける。

犬の散歩に用いるような、リードであった。

 

「これでようやく、“本当にわたしのもの”って言えるわね。

もう勝手にどこにも、イっちゃ、だめよ?」

 

さとりはそう言って、軽くリードを引いた。

 

「……あら、あなたのせいで指が汚れちゃってるわね」

 

その声は、嘆息のようで、どこか楽しげだった。

 

「責任もって、——綺麗になさい?」

 

目の前に差し出されたその指に、私は何の疑問も持たず、口を開ける。

舌を出し、ねっとりと指を包み込むように舐めとる。

 

「ん、上手。やっぱり、飼い主の言うこと、よく聞くのね」

 

さとりは微笑んだ。

 

尻穴から指が抜かれたあとの、なんと空虚なことか。

それでも、陰茎の熱はまったく衰えなかった。

いや、それどころか、ますます疼いている。さとりに触れてほしくて、仕方がない。

 

目の前にいるのに、彼女は手を伸ばせば届く距離にいるのに、触れることができない。

 

「ダメよ。勝手に動いたら——減点。

でも……見ていて、いいわよ」

 

その一言だけで、喉が鳴った。

 

さとりの指が、衣の留め具にかかる。

 

上着の第一ボタンが、はずされる。

ついで、二つ目、三つ目と、滑らかな動作で下に向かって順に解かれていく。

暗がりの中でも、彼女の肌は白く、ほのかに輝いて見えた。

 

露わになっていく鎖骨、胸元の谷間、下着のレースがかすかに浮かぶ柔らかな膨らみ。

そのたびに、私の陰茎はびくびくと震え、痛いほどに熱を帯びて跳ね上がる。

 

「わたしに触れてもいいのは、“よし”って言ったときだけ。

……ちゃんと、“待て”ができるかしら?」

 

彼女は笑って見せた。

 

上着が肩から滑り落ち、ぱさりと床に落ちる音が耳を打つ。

 

続いてスカートに指がかかる。

ゆっくりと左右の腰骨をなぞるようにして、布が下へと引き下げられていく。

太腿が、膝が、ついには細い足首までもがあらわになる。

 

「ミオの目……こんなに潤んで。可愛いわ」

 

何もしていないのに、いや、“見せられているだけ”なのに、私の肉棒は限界を訴えている。

 

「わたしの身体、そんなに欲しいのね。……でも、まだ、ダメ」

 

さとりは下着越しの胸元をわざとらしく押さえ、脚を組み直す。

その仕草ひとつひとつが、焦らすように計算されている。

 

「……ほら、暴れないで。読めてるわよ。そんなに疼かせて……ふふ、見せつけてるのはどっちかしら?」

 

喉が渇く。

息が詰まる。

 

それでも——触れてはいけない。

首輪が、喉の奥でじわりと熱を返していた。

 

さとりは、私の視線をじっと受け止めながら、ふと唇の端を上げた。

 

「……ねえ。お燐とのとき、あなた、ある言葉に強く反応していたわよね?

覚えているかしら。自覚はあったみたいだけど……」

 

まさか。いや。でも。

さとりは私の狼狽を気にも留めない様子で、耳元に唇を寄せ、囁いた。

 

「“おまんこ”」

 

その声音は甘く、無邪気にすら聞こえた。

けれど、その単語が耳に届いた瞬間、意識の奥がざわりと波打つ。

 

「ふふ……やっぱり、効くのね。一つの単語でここまで心が動揺するなんて、可笑しいわ」

 

軽くリードが引かれる。

喉元がまたきゅっと締まり、陰茎がびくりと反応した。

 

「わたしの“おまんこ”……見たい?いいわよ。

だって、今、あなたの身体は髪の毛の一本からつま先まで私が管理しているの。

見えたところで、指一本触れることは叶わないんですもの」

 

言うが早いか、指を下着の縁にかけると、するりと下ろした。

 

「はい。今あなたがバッキバキにしているそれを、突っ込みたくてたまらない、

古明地さとりの、“おまんこ”よ♡」

 

卑猥な衝動は、彼女の口で言語化されることで、より大きく膨れ上がっていく。

 

「もっとよく見えるようにしてあげる。

あなたが、何を、欲しがっているのか」

 

さとりはゆっくりと近づき、仰向けのままの私の顔の上で立ち止まった。

そしてその脚をガニ股にすると、両手の指先でその花びらを——

くぱぁ、と拡げた。

そのまま床に膝をつき、その秘められたピンク色の肉は、私の鼻先数センチで止まる。

 

「ほんとの犬みたいに鼻息荒くしちゃって。ふーっ、ふーっ、って……わたしの“おまんこ”まで届いてるわよ?」

 

もう、何もかもどうでもいい。意識が混濁してきた。

 

「安心しなさい。これが最後よ。

ここに上手にご奉仕できたら、ちゃんとあなたの願いを叶えてあげるから。

だから、もう少し、頑張って?」

 

その言葉が、失いかけていた理性の原形をなんとか留める。

 

「良い子。じゃあ、腰を下ろすわね」

 

その一言に、喉が鳴った。

逃げることも、拒むこともできない。

むしろ、そうされることを待っていた。

 

さとりの影が、ゆっくりと上から覆いかぶさってくる。

太腿の内側が、私の頬を挟むように寄せられる。

 

すぐに、肌と肌の間にこもった湿度が感じられた。

汗の香り、秘所の匂い、ラベンダーの残り香が入り混じった空気が、鼻腔を満たしていく。

 

彼女の足が両側に固定され、次の瞬間——

柔らかく湿った粘膜が、私の口元に押し当てられる。

 

「ん……♡」

 

太腿の筋が緊張し、彼女の膣口が、私の唇に密着する。

 

ぬるりと滑るその感触。

一瞬で、口内が熱を持つ。

舌を伸ばし、まずは花弁の輪郭をなぞるように軽く撫でる。

 

彼女の身体が、ぴく、と小さく震えるのが分かる。

 

「……くすぐったいわ。もっと……奥まで、舌を入れて」

 

その命令に、舌を押し入れた。

ねっとりとした粘膜の蠕動が、舌先を絡め取る。

その奥には、既に蜜がたまり、私の奉仕を待ち受けていた。

 

じゅる、じゅる……

 

音を立てて吸い上げる。

鼻先が割れ目に擦れ、秘所の熱と匂いが顔中にまとわりつく。

 

「あ……ッ、そんなふうに、じゅるじゅるって……っ」

 

さとりの喘ぎが頭上から降ってくる。

それだけで、身体が跳ねるほどに嬉しかった。

 

顔面が、彼女の快楽のための“器”になっていく。

 

いや、“それでこそ器”になれることが、光栄だった。

 

舌を回す。吸い上げる。唇を尖らせて、クリトリスを吸う。

 

「あ……あ、上手。下品……でも、上手……っ」

 

彼女の太腿の筋肉がきゅっと締まり、私の頬が挟まれる。

鼻息が止まりそうになるほどの密着感。

 

息ができない。けれど、これが幸せだった。

 

奉仕するたびに、彼女の身体が甘く震える。

奉仕するたびに、自分が「役目」を果たしていることが実感される。

 

舐めれば舐めるほど、蜜が溢れる。

それを飲み干しながら、私は確信する。

 

——ここは、わたしの“居場所”だ。

 

「そういえばさっきから、あなたの腰がへこへこ動いているけど、自覚は無いようね」

 

言われて初めて気がついたが、それは止まらない。

私の頭はこの後のご褒美を期待しすぎるがあまり、先走った指令を出しているようだった。

 

「そろそろ……限界、かしら」

 

さとりが、呟いた。

その声音には、甘さと慈しみと、ひと匙の意地悪が混じっていた。

 

「じゃあ、上手に“おねだり”できたら、ご褒美をあげる」

 

私は、間髪を容れず応えた。

 

「ご主人様……ッ、ごしゅじんしゃまぁ……さとり様だけを求めて、この、この私は限界まで昂っております……ッ

私は生涯、さとり様だけを愛するとここで誓います……♡

ですから、どうかその“証明”をお許しくださいッ!」

 

乾いた声帯を震わせて、言葉を絞り出すと、喉はヒリヒリと痛んだ。

 

「おね、がい。しま、す……」

 

ひくひくと横隔膜が痙攣し、最後の懇願は言語の体を成さなかった。

それでも。

彼女は、しっかりと“読んで”くれた。

 

「ずっと我慢して……偉かったわ、ミオ」

 

次の瞬間——

カチャリ。

肉棒の根元に巻かれていたリングの金具が外れる音が、時の封印を解いた。

 

陰茎の奥に溜め込まれていた欲望が、怒涛のようにせり上がる。

その膨大な圧力に、身体が悲鳴を上げる。

 

さとりの秘められた肉は私の口を離れ、自由を与えられた欲望の先端にあてがわれた。

 

「さあ、全部……わたしに証明して。——“よし”」

 

ズブ、ぬちゅ。

 

膣口が、私を迎え入れた。

 

いや、違う。

飲み込まれた。包まれた。吸われた。

 

鈍く、柔らかく、熱く、抵抗しながらも確かに許されていく感覚。

わたしの形に馴染んでいく。

 

「ん……ッ、ああ……っ♡」

 

彼女の声が震える。

私の陰茎が、彼女の一番深いところを押し広げている。

 

奥まで届いたその瞬間——

全身が、爆発した。

 

どくっ、どくっ、どくっ……!

 

それは歓喜の悲鳴、一度目の絶頂。

全身ががくんがくんと震え、睾丸の奥から絞り出すように、精が放たれる。

挿入しただけで、果ててしまった。

 

それなのに。

さとりの腰は再び上昇を始める。

彼女の膣壁のヒダは私のカリを擦り、まだ精を吐き出し終わらない最も敏感な状態の陰茎から、「もっと出せ」と言わんばかりに搾り上げる。

 

これまでの地霊殿での記憶が全て、この快感で上書きされるかもしれないと思うほどの、熱い絶頂。

それが終わらないうちに、再び。

ぱちゅん。と彼女の尻肉が、私の腰に打ち付けられる。

まだ、出る。出続ける。脳が排尿かと錯覚してしまうほどの、長い長い射精。

 

「ふふふ、あははは。ずーっと脈打ってるわよ、どくどく、どくどくって。

でもミオ、散々あなたのいやらしい心を読んで、わたし……」

 

さとりは少し言い淀んで、

 

「これだけじゃ、ぜ~んぜん、足りないわっ♡」

 

さとりが腰を沈ませたまま、前後にぬるりと動き始めた。

 

——熱い。やわらかい。

 

中で絡みつく粘膜が、敏感になりきったそこを、ぬちゅぬちゅと嬲ってくる。

 

「あんなに出したのに、……まだ硬い♡」

 

言われるまでもなく、自分でもわかっていた。

脈打つたびに、さとりの中がきゅん、と締まってくる。

 

さとりの腰が、わたしの上にまたがったまま、ぬるりと揺れる。

 

射精したばかりの肉棒が、膣の中で強制的に擦られている。

通常なら、もう触れることすら許されない敏感な時間帯。

 

けれど——

それすらも、快感になっていた。

 

「はっ、ひぅっ……! んぁっ、ああっ……っ!」

 

背筋が勝手に跳ねる。

肉棒が、ぬるりとした粘膜の奥で絡め取られ、うねるヒダが射精管を絞り出すように嬲ってくる。

 

「ぴくぴくしてる……♡ ねえ、どこが“限界”なの? 教えて?」

 

さとりの声は、優しい拷問。

 

彼女の中が、さっき出したばかりの精を押し戻してくるようだった。

肉壁が“残さず飲み込みたい”とでも言うように、

一撃ごとに吸い寄せてくる。

 

「まだ、まだよ。ミオ……あなたは、わたしのためにイくの」

 

どくん、と脈打つ。

 

第二波——もう限界だったはずの身体が、再び達しようとしている。

精液が湧いてくる。睾丸がぎゅうっと縮むのがわかる。

 

「さぁ、わたしの“おまんこ”で狂って♡」

 

その一言が、爆薬だった。

 

ばちっ、と視界が弾ける。

 

「ひゃ、ぁっ……ッ!!」

 

自分の声か、彼女の声かもわからない。

 

でも、確かに果てた。

 

果てたのに、終わらなかった。

 

「ほら、ほら……まだ、抜かないわよ。まだまだ、足りないの」

 

さとりがゆっくり腰を回す。

わたしの肉棒は、そのたびに深く擦られ、絞られ、溺れていく。

 

「見て……わたしのナカで、こんなに暴れて……ミオ、気持ちいい?」

 

答えられない。

答えたら、終わってしまいそうで。

でも、終わらせてくれないのなら——もっと、壊されたい。

 

もう一度、彼女が腰を沈める。

ヒダが根元まで咥えこみ、尿道に残った感覚を全部、拡げていく。

 

わたしは、ただの“性感器”と化していた。

 

「あなたの“全部”、わたしに溶かして?

ミオは、わたしだけのものなんだから……♡」

 

その言葉に、脳の奥で何かがちぎれた。

破裂するような、最後の絶頂。

 

心も身体も——快楽の“飼育器”として、

ようやく完成したのだと実感した。

 

「わたしの、ミオ……だいすきよ……♡」

 

その言葉と同時に、最後の波が押し寄せた。

脳の奥が真っ白になったまま、私はまたひとつ、“読まれる存在”としての階段を上がった。

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