※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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6-12 とても素股な蜜月でシた

 卵からSSで反交尾勢力トリ公を捕まえるためのイベントを開催するとの連絡を受けて、俺はとあることを画策していた。トリ公に関しては水乃月学園の生徒が関わっているからSSだけで処理しろとのことだ。トリ公兼SSである卵の負担はかなりのものになるだろう。お兄ちゃんとしてどうにかしなければ。

 

 精

「俺の妹が迷惑をかけているというなら、兄である俺が尻拭いする……このイベントの警備並びに進行には俺が関わることにします」

 

 SHO本社ビルの会議室で俺は宣言した。役員たちは特に反対することはなかった。何事もなければ自分たちの判断が正しい、卵が反交尾勢力として問題を起こせば俺の首を飛ばす体の言い理由になる、とでも思っているのだろうか。

 

 ニノマエ

「『俺の妹が迷惑をかけているというなら、兄である俺がおしりフキフキする』……かっこいいねえ」

 精

「その言い方のせいで急にダサくなったな……ともかく、その間の特殊戦闘部の指揮権限は光姫さんに渡します」

 

 光姫姉さんがフンスとやる気を鼻から表している。俺の伴侶としてそれなりに実力がついているからか、こちらに対しても反対はされなかった。

 

 ニノマエ

「SSにはSHO特別監査役がいるから僕が精くんを監視する必要はないねえ。久々に休暇貰いますよお」

 

 ニノマエがわざとらしく背伸びをする。これも反対されなかった。その監査役の2人は卵に従っているから、まともな報告は上がってこないと思う。その事情を知る余地は役員共にないだろう。会議を終えて卵に連絡する。

 

 卵

『兄貴が関わってくれるなら千九百十九人力だ。具体的に何をやるかは決まり次第連絡する』

 精

「そう言ってもらえると嬉しいよ。イベント期間は家や学園で過ごすことになるからよろしく頼む」

 卵

『んじゃ、今晩はステーキが良い。部位は兄貴のセンスに任せる。つけ合わせはポテト系じゃなきゃやだからな』

 精

「デザートも付けてやる。期待して待っていいからな」

 

 ということでスーパーでちょっといいリブロースとジャガイモとレモンを買う。まずはデザートのシャーベット作りだ。手絞りのレモン果汁に砂糖、はちみつ、牛乳を加えて混ぜる。バットに入れて一時間ほど冷凍庫で冷やす。その間にマッシュポテトも作る。蒸かしたジャガイモの皮をむいて牛乳を加えて混ぜる。滑らかになったら塩胡椒で味を調えて完成だ。そろそろ卵が帰って来る時間だからステーキを常温に戻しておく。一度シャーベットを取り出して空気を含ませるように混ぜて再び冷凍庫で冷やす。

 

 卵

「ただいまー……腹減ったぁ……」

 

 明らかにお疲れの様子の卵が想定通りの時間に帰って来た。余ったレモンで即席レモネードを作って差し出す。

 

 精

「おかえり、卵。もうステーキ焼いてもいいかな?」

 卵

「腹減って死にそうだから頼む……あ゛ー、滲みるぅ……もう一杯くれ」

 

 卵にレモネードをもう一杯渡し、フライパンでステーキを焼き始める。ステーキは牛脂とニンニクでレアに焼きあげるのが俺の流儀だ。アルミホイルで休ませている間にソースを作る。焼いたフライパンに赤ワインと砂糖と醤油を加えに詰めてバターを溶かす。ステーキを皿に乗せ、マッシュポテトを添え、ソースをたっぷりかけたら完成だ。

 

 精

「お待たせしました。『リブロースステーキ~二十代は肉なんだ仕立て~』です」

 卵

「年取ると油がキツイっていうからな。若いうちに楽しむか」

 

 2人で手を合わせて頂きますして、優雅にナイフとフォークで切り分ける。断面から滴る肉汁がもったいないから急いで口に運ぶ。赤身のうま味と噛みごたえと油のバランスが絶妙だ。ソースも肉やマッシュポテトに合って最高だ。

 

 卵

「……兄貴」

 

 卵が何か言いたげに俺を上目遣いで見る。俺はそんなのに屈するお兄ちゃんで────

 

 精

「もちろんだ。お前がおいしそうに食べてくれるなら俺はそれで満足だ」

 

 ある。俺の残りのステーキは全部卵のものだ。デザートのレモンシャーベットもあげる。俺の分は後でコンビニで適当に買えばいい。

 

 卵

「……うへへ」

 

 ちょっとぎこちなく恐怖を与えかねない笑顔だが、とても可愛らしく愛おしい。これが幸せ────幸せ、その言葉に何か引っかかる。俺には幸せに関する何かがあったような気がする。何だったっけ? 誰かを幸せにするとでも言ったのか? 卵以外の誰を幸せにするんだ?

 

 卵

「…………どうしたんだ兄貴?」

 精

「いや、何でもない。そろそろデザートにするか」

 

 思い出せないということは大したことではないのだろう。俺に卵の幸せ以外を望む余裕なんてないはずだ。

 

 

 翌日の昼、イベントに向けて卵と一緒に現場を巡っている。

 

 蛇孕

「貴方はドスケベセックスを楽しんでいるのではない……ただのイキたがり、私が一番大嫌いなタイプの人間です。端的に申し上げて……ムカつくんですよ、あなた……」

 眼帯とピアスがすごい女

「淫夢子! まっ待ってくれ! 頼む……お前じゃないとダメなんだ! 一回でいい! あたしをイカせてくれ!」

 鈴口

「お断りだから孕めオラァ!」

 

 あのピアスと眼帯は学園の美化委員長だ。確か生潮(いきしお)淫(みだり)という郁子先輩とといい勝負できるエロい名前だったはずだ。それを横目で流し、卵から性帝である淳之介君のことについて説明を受ける。

 

 卵

「性帝サマの権力はそのちんこみたいにデカい。一言発せば精液の噴水が湧いて、二言発せば愛液の津波が起き、三言発せば子供が産まれ、四言発せば国ができる……」

 精

「少子化問題解決も秒読みだな」

 卵

「少子化問題は解決するが待機児童問題が加速するな。バブみ保育園がマジモンの保育園になっちまう」

 

 アソコが勃てばコチラが勃たぬ。世の中うまくいかないものだ。露店で買ったケバブみを頬張りながら考える。

 

 女部田

「おっ、土口兄妹だ。仲良く見回り中かな~?」

 ゴリマス

「2人とも強くて大きいでありますからな」

 クールフール

「精さんも卵さんも田中隊長より強くて大きいから当然よ」

 

 郁子先輩とゴリマスちゃんとクールフールちゃんがチンコバナナを頬張りながら挨拶してきた。

 

 卵

「兄貴の奢りでな。相変わらずバカ2人はバカで安心したぜ」

 

 卵が冷やしおっパインを貪りながら辛辣に返す。2人がバカなのは認めるがもっと良い言い方があると思う。

 

 ゴリマス

「バカって何でありますか?」

 クールフール

「乳児ランドの伝統的な踊りよ」

 

 いやバカとしか言えないわこの2人。

 

 卵

「前から気になってたんだけど、兄貴とゴリマスってどっちの方が強いんだ?」

 精

「人間とゴリラの種族差ってものがあるからな……素手だと勝てないかもしれない」

 女部田

「人っぽくない所はいっぱいあるけど、ゴリマスちゃんは一応人間だからね?」

 ゴリマス

「だったらアームスリリングで決めるであります」

 クールフール

「それを言うならアームストロングね」

 

 危険な腕と強い腕って何だよ。アームレスリングだ情報弱者め。俺がその気になれば県知事だってぶっ飛ばせる。ビーチに移ってゴリマスちゃんとうつ伏せになって向かい合い準備する。クールフールちゃんが審判を務める様だ。

 

 クールフール

「オンユアマーク、セッ……ゴー!」

 精

「それは陸上の掛け声えええ!?」

 

 俺の右手が砂に埋まり、砂柱が巻き上がる。ゴリマスちゃんに負けたと轟き叫ぶ。

 

 クールフール

「技あり!」

 卵

「もう一回取らねえと一本にならねえじゃねえかよ。兄貴の腕がぶっ壊れちまうわ」

 女部田

「そもそも柔道じゃなくて腕相撲だから細かい判定はないと思うけど」

 

 何事だと人が集まりだす。あれだけの音とともに砂柱が舞い上がったら野次馬も集まるだろう。

 

 淳之介

「性帝だ! 現場を確認したい! ケガ人はいる……か……」

 糺川

「SSだ! イベント準備中に騒動を起こす不届きもの……は……」

 

 淳之介君と礼先輩に見つかった。

 

 糺川

「……何をしている?」

 女部田

「おまんこ~♪」

 卵

「してねえだろ。どちらかといえばお腕(わん)こだろ」

 ゴリマス

「そう言えば精さんはきんぴかのおわんこでありましたな」

 クールフール

「それを言うなら……いえ、それで合っていたわね」

 

 ニュアンスはあっているがそんな可愛いものじゃない。淳之介君はともかく礼先輩の顔の雲行きが非常に怪しい。ここはニコッと笑って開き直ろう。

 

 精

「ゴリマスちゃんと腕相撲したら右腕が埋まっちゃいまして」

 糺川

「……SS総出で頑張っている時に呑気に腕相撲とは……よくないなぁ……こういうのは」

 卵

「……まあ、元はあーしの疑問が発端なんだ、あーしが謝る。悪かった、風紀委員長サマ」

 

 卵が長い髪を靡かせながら謝る。

 

 精

「いやいや、TPOをわきまえずにやった俺が悪いから……本当にすみませんでした礼先輩……」

 

 砂浜に頭を叩きつけて謝る。ザフッとめり込み熱砂が額を焼く。

 

 糺川

「…………誠意は分かった。気を付けるように」

 

 俺達の誠意が勝った。

 

 

 ビーチを見て見回りが一通り終わったので、学園で会長の書類仕事を手伝うことにした。生徒会室では会長が糸を巧みに操って事務仕事を矢継ぎ早に捌いていた。

 

 卵

「兄妹で手伝いに来たぜ会長サマ。お茶でも汲んでやろうか?」

 冷泉院

「それは嬉しいですね。でしたら卵さんが練ったココアが飲みたいです」

 精

「卵、飛び切りの奴を頼む。俺は会長のお隣で書類を捌いていますね」

 

 会長の横に立ち書類を捌く。これでもかつては桐香ちゃん係をやっていた時期がある。書類仕事もお手の物だ。会長の顔色を窺うと、首をかしげて俺を見つめていた。

 

 冷泉院

「ちょっとよろしいですか精さん?」

 精

「なん────」

 

 俺が何か答える前に会長は俺の唇を唇で塞いできた。ふわりと香る紅茶がとても会長らしい。

 

 精

「────ぷはあ……一応既婚者なのでそういうことは避けたいんですけど……」

 冷泉院

「…………ええ、そうですね……気を付けます……」

 

 会長の表情がスッキリしない。こんななんとも言い難い表情なのは初めてだ。

 

 卵

「おら、お望みのココアだ。飲め」

 冷泉院

「ありがとうございます……おいしいですけど、精さんが練ったほうがおいしいですね……」

 卵

「縛り乳首にするぞコラ」

 

 帰ったら卵にココアの練り方を教えよう。良い感じの時間になったのでお暇させてもらう。

 

 冷泉院

「今日はありがとうございました、おかげでだいぶ書類が片付きました」

 卵

「くだらねえ電話に困ったらあーしをよべ。二度と舐めた電話できねえ返答してやるからよ」

 

 二言三言目に『ケツにバイブをぶち込む』か『ちんこにバイブをぶち込む』といわれたら誰でも黙るだろう。もうちょっと柔らかな言い方も教えた方がよさそうだ。会長に一礼をし退出する。

 

 冷泉院

「──────幸せですか、精さん?」

 

 扉を閉じる間際に聞こえた会長の質問に俺は笑顔で答える。

 

 精

「ええ、この上ないほど。とっても幸せ──────」

 

 また何か引っかかる。一体何が引っかかっているのだろう。まるで誰かにこの幸せが間違ってるとでも言われているようだ。時が経てばなくなるだろう。扉を閉じて帰路に着く。今晩は何にしようかな。

 

 

 冷泉院

「……精さんはこの世界を受け入れるのが早いようですね……礼(・)と(・)の(・)約(・)束(・)を(・)忘(・)れ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)ほ(・)ど(・)に(・)」

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