※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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6-13 スペルマままの妄想か

 夢を見る。俺はバブみ保育園で光姫姉さんに戦闘服のままオギャっている。

 

 光姫

「せ、精くん? 会議とかどうしたの?」

 精

「ぱー……あぶぶ」

 光姫

「……ねえ、精くん? 本気でやっているの……?」

 精

「きゃっきゃ、うーうー」

 

 いつもの服を着ている光姫の顔は次第に青ざめていった。客観的に見てもおぞましく痛ましい光景だった。そこに卵がやって来た。

 

 卵

「……嘘でしょ、お兄ちゃん……」

 

 心が壊れた兄を見て卵は何を思ったのだろう。恐怖、怒り、失意、絶望……いずれにせよ前向きになるものは出て来なかっただろう。そこから立ち直ったのだから卵はすごい────

 

 卵

「兄貴、風紀委員長サマからお呼び出しだ。昨日の汚名を返上しろだとよ」

 

 卵に目覚めさせられて午前4時、俺は校庭に戦闘服で並んでいた。先日の腕相撲の失態を礼先輩にガチ詰めされているところだ。許してもらってはいるが、SSの空気の引き締めということで引き受けた。

 

 糺川

「飛び級のし過ぎで頭のネジまで飛んで行ってしまったようだなあ! 頭のネジを無くしながらするオナニーは気持ちよかったか!?」

 精

「サー・イエス・サー!」

 糺川

「そいつは結構! 頭のネジがなくなってもおっぱいをくれるママがいるから安心だなあ! そのままママのミルクでも飲んでちんぽからミルク垂れ流していろ!」

 精

「サー・イエス・サー!」

 

 どこか懐かしさを感じる叱咤激励だ。俺もかつては────かつては? 俺はこんな激励をSSで受けていただろうか? もっと普通の激励だったような────

 

 卵

「腑抜けてんじゃねえ! 気合い入れろ兄貴ぃ!」

 

 卵から不意打ちのビンタが飛んできた。音の割には痛くなかったが、受け身も取れず地面に伏してしまった。

 

 卵

「実の兄だろーが関係ねえ! 腑抜けていると思った奴はあーしが直々にぶちのめす! 覚悟はいいな!?」

 SS一同

「「「サー・イエス・サー!」」

 

 SS一同が統率を持って駆け出していく。卵の凶暴さが部隊が引き締めているのだ。自分の持っている物を仲間のために最大限活用している。卵、俺誇らしいよ。

 

 糺川

「大丈夫か精? かなりの音がしたが……」

 精

「なぁに、お兄ちゃんだから耐えられますよ。妹の成長が嬉しくてしょうがないですよ」

 糺川

「…………そうか。ならいいんだ」

 

 礼先輩はどこか寂し気に笑っている。何かあったのだろうか?

 

 精

「悩み事があるなら相談に乗りますよ。なにせ…………」

 

 あとの言葉が続かなかった。なにせもなにも、礼先輩だからなんだというのだ? 礼先輩は先輩だがそれ以上でもそれ以下でもないはずだ。特別扱いする理由が何処にもない。続きがないのも不自然なので適当に理由を付けよう。

 

 精

「なにせ、礼先輩ですから」

 糺川

「なんだそれは……でも、嬉しいよ。ありがとう」

 

 何で俺は礼先輩が悲しげに笑うと心がざわつくのだろう。幸せといい、礼先輩といい、俺は何か大切なものを忘れてしまったのか? 卵以上に大切なものがあったというのか?

 

 

 昼になり卵と一緒にマスかき氷を食べながらメインストリートを歩く。俺はマンゴー味で卵は練乳イチゴだ。

 

 精

「卵的に一番の足裏を持つ人って誰?」

 卵

「あーし的には麻沙音だな。碌に運動しないで不健康だからいい匂いがする。兄貴は?」

 精

「俺は会長だな。デスクワークと人任せの生活から生まれたブルーブラッドフットが美しいんだ」

 ニノマエ

「余は光姫さんだねえ。母性的で働いているんだなあって味がして最高なんだ」

 

 ブルーハワイ味を食べてるニノマエが参加してきた。こいつもなかなかいい趣味をしている。

 

 ニノマエ

「でもさあ、不思議なことがあるんだよ。光姫さんの足裏って日によって味が違うんだあ。なんていうのかなあ、ワインのハメルローとマルディックのように違うっていうか……」

 卵

「そこまでいったら別モンじゃねえかよ。似てるけど違うって言いてえなら焼肉とステーキのようにとかにしろよ」

 

 卵は味覚も優れているのか。俺はワインなんてグラス一杯飲んだらだいぶ出来上がってしまうのに。卵俺誇。

 

 ニノマエ

「何で違うと思う?」

 精

「普通に体調とか仕事の度合いにもよるんじゃないんですか?」

 卵

「あーしは舐めずに嗅ぐからどーでもいい」

 ニノマエ

「うーん、参考になるねえ……ありがとサンキューグラシアス」

 

 真っ青な舌を出しながら感謝されてもあまり誠意を感じない。折角卵が良いアドバイスをしたのだからもっと感謝してほしいものだ。

 

 光姫

「あっ、探しましたよニノマエさん! 一緒に壁尻プレイをする約束じゃないですか!」

 

 噂をすればなんとやら、メロンシロップのマスかき氷を片手に光姫姉さんが現れた。

 

 ニノマエ

「やあ光姫さん。いつの間に壁尻派になったんですかあ? この間は尻壁派でしたけどお? 余はどちらでもいいですけどねえ」

 光姫

「えっ? 私は前から……いや、そうじゃなくて! 行きますよニノマエさん!」

 ニノマエ

「それじゃあねえ。余は光姫さんとよろしくしっぽりやってるよお。まってよお光姫さあん。道具の点検中だからじゃ邪魔しちゃダメだよお」

 

 休暇中とはいえなかなか自由な人だ。治安管理委員会特殊戦闘部リーダーの妻を寝取るとは、俺の目をもってしても読めなかった。さて、このまま卵と見回るとするか。

 

 

 記憶を失ったっていう事実は受け止めれたけど、じゃあ何の記憶を失ったかっていうのは分からない。だから余の心がざわつく精くんや卵ちゃん、そして日替わりでざわつく光姫さんに接するようにしている。今は接して漏らさずどころか引っ張られて溢さずって所だ。溶けたマスかき氷を胃に流し込む。

 

 光姫

「さて、この壁尻オブジェに……あら、糺川さんじゃない」

 

 精くんと浅はかならぬ関係のある礼ちゃんだ。風紀委員長自らが見回りに出るとは……素敵だあ。その気苦労は余の想像をはるかに超えるだろう。

 

 糺川

「思考盗聴しただろぉ!?」

 

 相手の心中を断りなく考えるというのはある意味思考盗聴なのかもしれない、なんて考えている場合じゃない。光姫さんは何かと影響を受けやすい人だ。この手の思想に染まったら治安管理委員会がフェミニストヴィーガンの巣窟になってしまう。ここは余が一肌脱ぐとしよう。

 

 ニノマエ

「余に逢瀬の関は緩マン!」

 

 余が首から下を露出する。SHOで鍛えた肉体と余ちんちんが露になる。

 

 糺川

「うわあ!? 急に出すな!」

 ニノマエ

「やっぱり演技だったねえ。人間想定を超えた物事に直面すると素が出るのさあ」

 

 礼ちゃんがあからさまにしまったという顔をする。風紀委員長とはいえ学生、このぐらい朝食後昼飯前だ。

 

 ニノマエ

「そうそう、精くんについて聞きたいことがあったんだあ。いくつか質問いいかなあ」

 糺川

「精についてですか……私が答えられる範囲なら」

 ニノマエ

「精くんって礼ちゃんのこと好きなの?」

 光姫

「ええ!? 私がいるのにですか!?」

 

 人は見た目じゃなく中身と膣内(なか)みで決まるものだから、好きな人が人が何人いてもおかしくはない。それに配偶者以外と子供を作るのはご法度だが、配偶者としか生産行為をしないというのは立派な条例違反だ。精くんと礼ちゃんがドスケベセックスをしても特におかしなところはない。

 

 糺川

「……好きだった、というのが正しいでしょう」

 

 その陰る表情から察するに、別人になった精くんと礼ちゃんは親密な関係にあって、それが何かのきっかけで別れることになったのだろう。そのきっかけはおそらく卵ちゃんだろう。精くんが明らかに動き出したのは卵ちゃんと接してからだ。

 

 ニノマエ

「……誰かを好きになるってのは時に辛いものだからねえ。その好きが届かないと分かった時ほど辛い物はないさあ」

 光姫

「ニノマエさんって好きな人がいるんですか!? 誰ですか誰ですか!?」

 ニノマエ

「光姫さんだよお。『金色の狂犬』の奥さんだから絶対に手が届かないからねえ」

 光姫

「あっ……その……ごめんなさい……好奇心でつい……」

 ニノマエ

「でも、今の光姫さんは好きじゃないんだよねえ。好きな光姫さんと好きじゃない光姫さんがいるんだよねえ」

 

 余もよく分からないがそうなのだ。今日の光姫さんはイケてないほうの光姫さんだ。なんというか、甘いだけのブドウ糖みたいな感じだ。黒糖のように香りやコクやクセのあるイケてる光姫さんじゃない。

 

 光姫

「……何ですかそれ。私が2人いるとでも言いたいんですか?」

 ニノマエ

「2人いたら1人は余の伴侶にしたいねえ。僕もそろそろいい年だし」

 糺川

「ニノマエさんはおいくつなのですか?」

 ニノマエ

「40台だよお」

 光姫

「ええっ!? そうなんですか!?」

 

 光姫さんがひどく驚いている。確か光姫さんは30代だったはずだ。10つほど上の男性から言い寄られるとこうも驚くものなのだろうか。

 

 ニノマエ

「礼ちゃんは年上イケる?」

 糺川

「まあ、プラス10ぐらいまでならいいと思いますが……」

 ニノマエ

「ぶっちゃけていうとルックス次第だよね。別嬪は三日で飽きて、附子は三日で慣れるっていうけど、本当の別嬪さんはいつまでも一緒にいられるからねえ」

 

 自分で言うのもアレだが余は顔が良い。金色の三白眼にタレ目に癖のついた金髪とアヴァンギャルドなフェイスだ。だから黒タイツと金のバタフライマスクで中和しないと、色気で愛液の天の川下りができてしまう。SHOから外さないようにときつく言われているが、いつかこの素顔を見せたいものだ。

 

 糺川

「……ずっと一緒にいた人がいるのですか?」

 ニノマエ

「さあ? だって余は記憶ないし。でも、いたような気がするような、しないような……」

 光姫

「どっちなんですか全く……壁尻の気分じゃなくなっちゃいました。普通に見回りしますよニノマエさん」

 ニノマエ

「この際一切委細承知致しましたあ。じゃあね、礼ちゃん。命短し恋せよオホれだよお」

 

 手を振って礼ちゃんと別れを告げる。後ろで性帝が壁尻オブジェに向かって何かしていたけど何をしていたんだろう。休暇中だから見なかったことにしよう。光姫さんに腕を引かれて各地を見回る。

 

 ニノマエ

「……なんかざわつくんだよねえ…………何も起きないといいけれど……」

 光姫

「私はもっとざわついています! 何なんですかニノマエさんは……まったくもう……」

 

 余が何者か。余自身にわからなかったら誰が知るというのだろう。あるいは誰も知らない方が良いことなのだろうか。

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