抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
あーし達が完膚なきまでに負けてから数日が経った。あーし達は性帝様が見つけた古びた建物でサバイバル生活を行っている。衣食住はギリギリ何とかなっているが、あーしの心はそれどころじゃなかった。壁にもたれてどこを見るわけでもなくぽけーっとしている。差し込む夕日が何か美しい気がする。
糺川
「……分かるぞ卵。心から信じていた人間に裏切られたんだもんな……」
そんなあーしを心配してか礼先輩が話しかけてきた。
糺川
「橘が任せろと言ったんだ、アイツを信じて────」
卵
「手前の尺度で考えんな、礼先輩……そんなんじゃねえよ……」
糺川
「……分かった。何かあったらいつでも言えよ」
礼先輩があーしの何を分かったのかはあーしには分からない。しかし、いつまでもこうしているわけにはいかない。少しオナニーでもして気分転換するか。と言ってもいいオカズがない。折角普段置かれない状況に置かれているのだから変わったオナニーがしたい。
卵
「そういや……性帝サマは自慰行為のプロって聞いたことがあるな」
異世界に行けるオナホを手に入れられるような人物なのだ、オナニーに関しての造形はあーしの胸の谷間より深いだろう。早速話を付けよう。
卵
「つーわけでいいオナニー知らねえか性帝サマ?」
淳之介
「ギャルが俺にオナニーについて聞いている……オタクに優しいギャルは実在したんだ……!」
卵
「手前がオタクなのは認めるがあーしはギャルじゃねえスケ番だ」
淳之介
「広義で言えばスケ番はギャルじゃないのか……!?」
卵
「麻沙音もおんなじこと言ってたぞ。ホントに兄妹だな手前等」
戦闘前特殊掛け合いを終わらせたところで良いオナニーについて話し合う。オナニーである以上過干渉はご法度だ。
卵
「無難に見せ合うってのはどうだ? 一周回って新鮮だろ?」
淳之介
「確かに王道のシチュではあるが意外と機会はないな……しかし、友達の妹をオカズにするというのはどうなんだ……?」
卵
「兄貴が麻沙音をオカズにオナニーしてると思い込めばいいだろ。麻沙音はエロいから立派なオカズだ」
淳之介
「そうかな……? そうかも……? そうだよな……?」
性帝サマも麻沙音と同じぐらいの学力らしい。あーしの口車に拉致られて納得した。
あーしはしゅるしゅると制服を脱いで下着姿になる。今回は水色と白色の横縞のちょっと幼めのデザインの奴だ。
卵
「あの日は学業放棄スタイルで登校しちまったからな……普段のあーしの下着だったら性帝サマには刺激が強すぎるからちょうどいいか」
淳之介
「うおお……! 古き良きデザインだ……! 爆発的なボディーと合わさってすさまじいギャップと破壊力を生み出している……!」
性帝サマはご満足のようだ。
卵
「折角だからお望みのシチュボも付けてやるよ。言ってみろ」
淳之介
「たとえばこんなシチュエーションがありうる。至高の快楽を得るためのオナニーを求めて、夕暮れの教室でオナニーをしていると、扉の向こうにふと、意図していない来訪者の姿が通り過ぎる。すでにほかの生徒と性交でもしたのだろうか、すでに下着姿になっている。その姿のオカズが今すぐ必要と言う訳ではないが、興奮は非常に大きい。一瞬の逡巡ののち、踵を返してきた先程の生徒がドアを開ける。俺に必要なものは、バレた時の焦りだ」
卵
「オナバレシチュで伝わるだろ。ホント兄妹でよく似るな……麻沙音にやった奴を男用にすればいいか……」
軽く咳払いをして外に出る。そして戻って来て性帝サマにわざとらしく明るく声をかける。
卵
「おっ、橘じゃん! 一人で何してんだ?」
淳之介
「と、土口!? いや、別に何も……」
あーしは背中から覗き込んで性帝サマのちんこを見る。意外とデカくて驚いた。だが今は演技中だ。感想は後にしよう。
卵
「……オナニーしてたのか?」
淳之介
「いや、これは、違くて……」
性帝サマもきっちり役に入っている。
卵
「へー……ちんこってこうなってんだ……」
淳之介
「な、なんだよ……!? みるな────」
卵
「なあなあ、出そうだった?」
淳之介
「えっ……?」
卵
「つーか、あーしに出るとこ見せてくれない?」
淳之介
「な、何で土口に見せなきゃいけないんだよ!?」
結構ガチな勢いだ。こいついつもこんな感じでオナニーしてるのか?
卵
「じゃあ、見せてくれなきゃ橘が教室でオナニーしてたこと皆に言っちゃうぞ?」
淳之介
「うっ……! み、見せればいいんだな……?」
卵
「早く出さなきゃ淫スタで投稿しちゃうぞ~?」
淳之介
「わ、分かった! 出すから見てろ!」
性帝サマが肉棒を激しく扱きあげる。やり取りの間でそれなりに勃起していたようだ。しかし、あーしは『反逆の緑髪』。やるならとことんやりたい。
卵
「ほらほら~♪ 生のおっぱい見せたげよっか~?」
淳之介
「っ!」
バルンと胸を突き出すと性帝サマのちんこがビキビキと大きくなっていった。効果覿面のようだ。
卵
「それとも~……まんこの方が良いかな~?」
淳之介
「っ!!!」
パンツに手をかけるとこれまた分かりやすくちんこと手で反応した。分かりやす過ぎる。もっと煽ってやろう。
卵
「ウソウソ! 橘なんかに見せるわけないじゃん! あーしのおっぱいとまんこはそんなに安くないぞ~?」
淳之介
「ちくしょう……!!! 期待させるだけさせやがって……!!!」
あーしに煽られて性帝サマは心底悔しそうで嬉しそうだ。房中術として学んだ言い回しだが、男の考える事はよく分からない。
卵
「ほらほら~、早く出しちゃいなよ~? ぴゅっぴゅ~って♪」
淳之介
「クソっ!!! 見てろ!!! お望み通り出してやるからな!!!」
そして性帝サマは天まで届く勢いで射精した。ぴゅっぴゅ~などと可愛い感じではなく、どびゅるるると噴き上げるような、心の底から射精しているような、水引があーしでオナニーした時のような射精だった。
淳之介
「────っああ…………こんな射精をしたのはあのオナホ以来だ……」
卵
「あーしに煽られながらそのオナホ使ったら元の世界に戻れるんじゃねえか?」
淳之介
「いや、世界を超えるのはあのオナホじゃないと無理で────待てよ、これならいけるんじゃないか……!?」
性帝サマは何か思いついたらしい。何を思いついたのかはどうでもいいが今度はあーしのオナニーを見てもらう────精液の匂いの中に女の匂いが混じった。誰かがやって来る。これは琴寄の匂いだ。
匂いの方向を向いて、まだいない琴寄に声をかける。
卵
「何の用だ琴寄?」
淳之介
「え?」
琴寄
「……相変わらずお見事です、土口様」
気まずそうに顔を赤くした琴寄が現れた。下着姿のあーしとズボンを下ろしている性帝サマと天井に着いている精液────もしかしたら琴寄は性帝サマとあーしがお楽しみ中だったと思ってるのかもしれない。
卵
「性帝サマがあーしに言い寄ったわけじゃねえ。あーしから誘ったんだ」
琴寄
「さ、左様でございますか……その、女性の方も色々大変でしょうから……」
淳之介
「待ってくれ文乃、違うんだ文乃、俺は卵ちゃんと相互オナニーをしようとしていたんだ」
卵
「やめとけ性帝サマ。文乃は
戦闘後特殊掛け合いを終わらせて、性帝サマが文乃に協力してきた事情を聞いた。水引には邪鬼が住んでいて、助けられるのは自分しかいないという。心底イラついたから少しきつく当たってやろう。
卵
「手前に水引の何が分かるんだよ。大切な物も失ってねえくせに水引を────」
淳之介
「待つんだ卵ちゃん……文乃の母親は青藍島に殺されているんだ」
なんでも琴寄は県知事サマと出資者のクソ爺の娘の間に出来たの隠し子で、そのいざこざに巻き込まれて琴寄の母親は病床に伏せてなくなったという。
淳之介
「それでもドスケベと非ドスケベ者が共にいられる世界を、お互いが共存できる世界を作ろうとしているんだ」
性帝サマからの発言に驚きを隠せなかった。当の琴寄は少し驚いた顔をしているが、特に否定もしていない。あーしは嘘は言っていないと判断した。故に琴寄の態度が解せなかった。
卵
「……何で共存を望むんだ?」
琴寄はその紅に澄んだ瞳であーしを見つめながら話し始めた。
琴寄
「母は、誰も恨んではおりませんでした……自分に強く当たるものも、陰口を利き石を投げる者も、そして父も────わたしのことと同様に、全てを愛し……父の作った島を、心から愛し、慈しんでおりました」
琴寄から嘘を言っている感じはしない。母親の壮絶な生活や琴寄自身の苛烈な人生は想像に難くない。
琴寄
「だからこそ、わたしは────この島でのすべての共存を、望んでおります」
卵
「────なんだよそれ……なんだよそれ! ふざけんな!」
その話を聞いてあーしは琴寄のことが全く理解できなかった。苛立ちが募り、憎しみが燃え上がるだけだった。
卵
「だったら手前はあーしとも共存するつもりか!? 青藍島に全てを否定されたあーしとすらも! 何時かは青藍島の全てをぶっ壊そうとするあーしとさえもか!?」
琴寄
「はい。ですから土口様も愛を持って────」
卵
「できるわけねえだろ!!! あーしはあーしを認めてくれた水引しか許せねえ!!! あーしはあーしを認めなかった青藍島は許せねえ!!!」
本心からの叫びだった。これがあーしが水引についていった大きな理由だ。あの計画で切り捨てられると分かっていても、あーしは受け入れることができた。それほどまでに青藍島が憎い。
淳之介
「……卵ちゃん。俺だって────本音を言えば、今も許せないんだ。島の人間が」
卵
「んだと……!?!?!?」
性帝サマも大切な人を奪われ、別の世界では共存できたとしても許せないという。その怒りは本物であることは間違いない。
淳之介
「だが、その人が唯一残した子が──文乃が共存をのぞむというのなら……いつかは卵ちゃんも止めるつもりだ」
どいつもこいつも何故そんな風にいられる? 憎いなら復讐をすればいい。やられたのだからやり返せばいい。
卵
「あーしには……あーしには復讐する権利があるんだよ……!!! 正当な権利を持って復讐できるんだよ!!!」
淳之介
「正当なる復讐なんて、この世には存在しない! 俺たちに正当な復讐をする権利などない! しかし、復讐をしない権利だって存在しない────!」
卵
「あるんだよ!!! 奪われた奴には奪う権利がある!!! そして次の復讐を生み出さないようにする義務もある!!! 半端に残して復讐されないように全てをぶっ壊す義務がな!!!」
淳之介
「同じ奪われた者同士理解できるはずだ! なんで理解しようとしない!?」
卵
「同じだと!?!?!? ただ奪われただけの手前等に何が分かる!?!?!? 持っていたものを奪われただけの手前等に何が分かる!!!!!!!」
怒りに身を任せて背後の壁を叩く。ボゴォと砕けて破片があーしの手に刺さる。ぽたりぽたりと血が滴る。
淳之介
「卵ちゃん!? 大丈夫か!?」
琴寄
「土口様、すぐ手当を────」
卵
「いや……いい……言い過ぎた、悪い…………ちっと冷やしてくる……」
近くに川があったはずだ。頭から水を被れば多少冷えるだろう。あるいはこの怒りに身を任せて激しくオナるのも面白そうだ。
卵ちゃんがあれほどの激情を見せたのは初めてだ。文乃も啞然と口を開いている。
琴寄
「……喜び……?」
淳之介
「え?」
琴寄
「先ほどの土口様から一瞬喜びが見えました……いつもは周りを焼く尽くさんほどの怒りと憎しみが渦巻いているのですが……」
滅多に打ち明けられない本心を言えたからだろうか。それとも別の何かに喜びを覚えているのだろうか。どちらにせよ、俺達と卵ちゃんは分かり合えそうもない。
琴寄
「……私でもあの方を救うのは不可能です。もしあの方を止めるとなると、並の存在では不可能かと思われます」
淳之介
「唯一止められるとすれば…………A世界の精か」
元の精なら誰も傷つかない方法で復讐を果たすだろう。最愛の妹である卵が間違った復讐をしようとしているなら、命を張って止めるだろう。卵ちゃんの手が汚れる前に精を取り戻さないと。