抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
今日も今日とて出血大サービスで、条例違反者を『ギロチンの刑』に処す。
精
「何が『プラトニックラブを貫く』だ! 処女膜貫かれてから出直してこい! いいか非性産者ども! 大人しく条例に従え! じゃないと……どうなるかわかっているだろう!」
大人しく従ってくれれば、こんな酷いことをしなくて済むのに。でも、大人しく従って自分の矜持を捨てるのも大概酷いことで。だから、はやく成果を出して条例に口を出せる立場になりたい。
精
「……これからも性産行為に励むように。以上、風紀委員会からだ」
だから、こんな酷いことをしなきゃいけない。淳之介君やアサちゃんや片桐が見たら何を思うのだろうか。非性産者を黙認しながら、非性産者を罰している俺を見て、何を思うのだろうか。
精
「やってらんねえよ……こんな条例無くなっちまえば……」
生徒会室の玉座に座り、そこまで言って言葉を止める。もし、この条例がなかったら、SSもない。事故で家族を失った俺を何とか留めてくれた場所もない。この条例がなかったら俺は、命を絶っていただろう。
精
「せめて生きやすいように変えたいんだけどなあ……」
冷泉院
「でしたら、変えてしまえばいいではないですか」
いつの間にか会長が入っていた。どこまで聞かれていたのだろう。
精
「じゃあ、生徒会長の座を譲ってください。そしたら変えられると思います」
冷泉院
「ふふ、選挙を開くのも面白そうですが……やるべきことをやるべきではありませんか?」
相変わらず会長は嫌なことを言う。
精
「『反交尾勢力』ですか? まだ、接敵したことないから何とも言えないですよ」
最近、SSの話題になっている組織だ。やってることは単純で、性産行為からの逃亡だ。ただそれだけなのだが、立派な条例違反だ。しかも、SSの何名かが怪我を負っている。
冷泉院
「資料には目を通しましたよね? 何か思い当たる人物はいませんでしたか?」
精
「自分が直接見たわけでもない目撃情報は、そこまで頼りにしないので」
俺は席を立ち、会長に譲る。
精
「温めておきましたよ。どうぞ」
冷泉院
「ありがとうございます。冷えた椅子は座るとびっくりしてしまいますから」
冷泉問答を終え、俺は教室に戻る。
最近、淳之介君に新しい女ができた。ピンクの長髪とちんまい可愛さが特徴の渡会先輩だ。事情を知らない人間が見たら、ロリにしか見えないだろう。だが俺はとある事情で渡会先輩のことは良く知っている。
精
「こんにちは、渡会先輩。いつも淳之介君と礼先輩がお世話になっています」
渡会
「おお! その声は土口くんだね! 礼ちゃんとは仲良くやってる?」
そう、渡会先輩は礼先輩と仲が良いのだ。度々話に出て来るから良く知っている。
精
「ええ、それはもう。この間も特撮談議で盛り上がっちゃって」
淳之介
「なあ土口、"撃墜王"イベントに関してなんだが……お前は忙しいよな?」
撃墜王イベント。生ハメや道具を使ったプレイを規制し、コンドームを着用したセックスを推奨する。射精されたコンドームを撃墜マークに見立てて、女が点数を稼ぐ。ザックリいうとこんな感じだ。一回のセックスの時間も長くなるし、多くの場所でセックスするからSSの動員もかなり激しい。その辺りを淳之介君は心配しているのだろう。
精
「なーに、見回りながらパコパコよ。心配ゴム用さ。……アサちゃんが不安だな」
はっきり言って、この期間のセックスを避けるのはほぼ不可能だ。よほどの体調不良や事情でもない限り、断ったら指導される。『女だけど女の子が好きです』なんて事情は、当然無視される。
だから、俺の妹だって
淳之介
「出来ることなら……SSの警備情報を教えてほしいんだ」
精
「……悪い、流石にそれをやったら俺の首が飛ぶ。いくら友達やその妹のためと言えど……そこまでの覚悟は俺には無い」
淳之介の言葉はもっともだ。例え非常識と言われても守りたいものは守りたい。だが俺の場合、守れるものは友情でその対価は今まであった居場所の喪失。何度も言うが、そこまでの覚悟は俺には無い。
淳之介
「だよな……すまない」
精
「……ああ、心が傷ついてしまった……渡会先輩、頭撫でてください」
渡会
「よしよし……土口くんはえらいねえ……」
この優しさは一度味わうとなかなか離れがたい。何とか引きはがし、生徒会室へ向かう。
精
「……ということで撃墜王の期間、俺は反交尾勢力との接触を図るため単独で動きます」
奴らは正体不明で神出鬼没である。だが、撃墜王の期間中は逃走頻度が多くなり出現頻度が高まるだろう。特に異議もなく可決される。反交尾勢力を捕まえたとあれば大手柄だ。さて、今までの出現場所と時間を復習するか。
単独行動二日目にして、動きがあった。市民からの緊急通報があり、俺の警戒していた場所ドンピシャだった。すぐに駆け付ける。
そこでは、一人の女が壁尻にはまっている男に向けてナイフを向けていた。俺はノータイムで女の腕を撃つ。
精
「随分と過激なプレイじゃない? 憎いからって殺すのはよくないなあ、反交尾勢力」
女
「違う! 邪魔してきたのは男の方で」
その時、銃声が響く。女はぱたりと倒れる。
精
「っ!? おい!? 大丈夫か!?」
女の様態を見る。呼吸はしている。意識がないだけだ。
精
「……武器を持って人を襲おうとしていたんだ、しばらく寝ててもらおう」
俺は壁尻にはまっている男に近づく。意外と良い体つきをしている。
精
「大丈夫ですよ。SSの『金色の狂犬』で……」
前に回りながら話しかけたが、言葉が止まる。良く見知った顔がそこにあったからだ。
精
「……淳之介君? こんなところで何してるんだ?」
淳之介
「とりあえず助けてくれないか? 色々話がしたい……」
ロックボタンを押して淳之介君の話を聞く。曰く、女の子が暴力的な行為を受けて助けに入って、
そこで逆上されてこうなったという。
精
「なるほどな……そいつは災難だった。危ないから俺が家まで送るよ」
淳之介
「すまない、恩に着る」
ビーチまで送ったところで背後から声をかけられる。
???
「はい、そこのあなたたち……確保です」
淳之介
「……え?」
仙波
「私の名前は仙波光姫。SHO広報委員会・宣伝実行部兼」
精
「治安管理委員会特殊戦闘部……ですよね、仙波姉さん」
俺は笑顔で振り返る。そこには桃色に近い紫の髪をしたお姉さんがいた。
仙波
「あら……よく見たら土口くんじゃない! そちらはお友達?」
精
「俺の唯一の友達の淳之介君です」
淳之介
「ど、どうも……」
仙波姉さんとは度々手合わせをしている。実力はともかく、実戦経験が豊富だから参考になる。
精
「さっき確保って言ってましたけど……何があったんですか?」
仙波
「さっき通報があったのよ、性産的行動を邪魔した男が現れたって……」
俺と淳之介は顔を見合わせて、話を合わせることにした。
精
「ああ、その男なら森の中で倒れてますよ」
淳之介
「俺も被害に遭いまして……土口がいたから何とか助かりました」
仙波
「それは大変でしたね……分かりました、後は私達SHOが担当します」
仙波姉さんは森の方へ駆けて行った。何とか凌いだ俺達は淳之介君の家に向かう。その途中、紫の髪をしたおいしそうな匂いのする女に出会った。
???
「あの……先ほどはありがとうございました!」
感謝の矛先は淳之介君に向いている。俺は淳之介君に尋ねる。
精
「君が助けた子ってこの子か?」
淳之介
「ああ。男3人にさっきの女1人にひどいことをさせられそうになってな」
精
「淳之介君ならやりそうだ。俺にも飛び掛かったもんなあ?」
淳之介
「アレは悪かったよ……てっきり奈々瀬が襲われてると思って……」
とりあえず、お礼は後日ということになり、解散した。
土口君はわたちゃん先輩のことをロリ扱いしない人です。