※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

68 / 124
5-05 ポロリ誘拐

 巡回の開始ポイントにつくと、珍しく淳之介君先にいた。多分、SSの情報をNLNSに報告していたのだろう。まあ、大した情報でもないしいいか。今夜も三人で巡回だ。

 

 淳之介

「しかし……最近はSSの訓練に熱中しすぎだなあ……」

 精

「俺としては嬉しい限りだがね。このままSSに入ってくれない?」

 淳之介

「それはNLNSのメンバーを裏切ることになるから却下だ」

 吹子

「……?」

 

 吹子ちゃんがNLNSとは? と言いたげな顔をしている。

 

 淳之介

「……ああ、俺はNLNSっていうチームを組織しているんだ」

 

 忘れてはいけないことだ。淳之介君は反交尾勢力でSHO並びにSSに敵対している。俺が個人的に見逃しているだけであって、立派な条例違反組織だ。しかし、俺が羨ましく思うほどにメンバー間の仲が良い。それぞれの悩みを理解し、支え合っている。そう言う奴らは許してやりたいもので──

 

 淳之介

「……よかったら、吹子もNLNSに入らないか?」

 吹子

「え……?」

 

 淳之介君らしいいい発言をした。

 

 精

「そうだぜ。吹子ちゃんもなんかの事情があるんだろ? そういう事情持ちなら淳之介君が専門家だぜ?」

 淳之介

「設備もメンバーも楽しくて愉快だ。明日にでも基地に──」

 吹子

「……わたしが、いると……きっと皆さまに、ご迷惑をおかけしますから」

 

 吹子ちゃんは首を横に振って断った。俺も無理強いをすることはできない。事情がある人間に無理なことをさせてはいけないのだ。

 

 淳之介

「おっと……すまない、失礼する……仁浦氏が拉致──!?」

 精

「なるほど……淳之介君相手はヤクザだ。俺たちが出るのは危険──」

 

 今日はSSのデモンストレーションがあった。つまり、トップ層はこの島にいない。そもそも、そんな非常事態なのに俺の端末に連絡が来ていない────かなりマズい状態だ。

 

 精

「──悪い。今日の見回りは二人でやってくれ」

 

 俺はビーチへと向かい走り出した。

 

 

 恐らくあのヤクザ連中が運び出す以上、港からの正規ルートで行くことはない。小型ボートか何かで運び出すだろう。桟橋に見慣れたむらさきピンクの髪が見えた。その傍らには4人のSHOガードマンがいる。

 

 精

「仙波姉さん! 状況はどうなっていますか!?」

 仙波

「あら精くん……拉致は順調に進んでいるわ」

 

 そういえばこの人も淳之介君並にバカだったか。おかげで状況がよく分かった。すでに仙波姉さんはSHOから離反し、ここにいる他の4人も同じと考えていいだろう。そして、俺もこの作戦の協力者だと誤解している────-勝負は一瞬だ。

 

 精

「今度ココアご馳走するので……仙波姉さん、お許しください!」

 

 俺は4人のガードマンの脳天に弾丸をプレゼントし、そのまま仙波姉さんに腹パンを決める。直前で仙波姉さんが俺の腰に蹴りを入れてきたが、腰につけてた端末が盾になってくれた。

 

 仙波

「うっ……」

 精

「……いくら非常時とは言え、妙齢の女性の腹を殴るというのはやりすぎか──」

 ヤクザA

「"手引者"が、すでに、くっ──このガキが余計なことを!!」

 

 後方から銃を引き抜く音が聞こえる。仙波姉さんを心配していたせいで反応が──

 

 淳之介

「俺の友達に手を出すな!」

 

 淳之介君がヤクザをタックルで吹っ飛ばす。そしてスナイパーライフルの音が響く。

 

 淳之介

「精、大丈夫か!?」

 精

「……君と吹子ちゃんのおかげでな。さてさてさーて……Who is next?」

 淳之介

「お前は県知事を頼む! 俺はボートを追う!」

 精

「アイアイサー!」

 

 俺は県知事を囲むヤクザ達に近づく。

 

 ヤクザA

「このガキ……若頭代行が言っていた要注意人物だ!」

 ヤクザB

「関係ねえ! こっちには本物の銃があるんだ! ビビって漏らすだろうぜ!」

 

 ヤクザ達が銃を構える。やつらには悪いが、銃と手が見えれば避けるのは容易い。弾を回避し距離を詰める。

 

 ヤクザA

「何だコイツ!?」

 ヤクザ

「に、人間じゃねえ!?」

 精

「『金色の狂犬』と呼ばれてはいるが人間だ──さァ、交わり乱れて狂いましょう?」

 

 愛刀ティラミスをご馳走する。切っ先や刀身がヤクザ達の顎を捕らえ、脳震盪を引き起こさせる。倒れたヤクザを波打ち際に蹴り飛ばして県知事に近寄る。

 

 仁浦

「ぅ、んんぅ…………」

 精

「男優みたいな声出すなよ。仮にでも県知事だろうが」

 仁浦

「実際に県知事なんだがな……」

 

 意外と余裕そうだ。じゃあいいかと辺りを見回す。淳之介君と吹子ちゃんはどこかに行ったようだ。待機中のSHOやSSがやっと来たから俺に任せようということか。任せろ。君の活躍を郁子先輩のおっぱいぐらい盛って話してやるからな。あと、タブレットぶっ壊れたから修理出さないと。

 

 

 翌日の昼、先日の件知事拉致未遂に関して非常招集がかかっていた。

 

 冷泉院

「……皆さんももうご存じかと思いますが、昨夜何者かによって仁浦県知事が拉致される」

 精

「要するにそのお祝いを県知事様自らが行ってくれるって訳だ! 入って来いよ、県知事様ぁ!」

 

 俺が扉を開くとなんともばつの悪そうな顔をした県知事がいた。

 

 仁浦

「……そこで区切られると私が拉致されたことのお祝いみたいじゃないか?」

 精

「拉致されたおかげでパーティーが開けたんですから似たようなものでしょう?」

 仁浦

「……生徒会長の意地の悪さも中々だが、君の破天荒っぷりも中々だな……そこまで言われたら仕方がない。ささやかだが、昼食パーティーを始めようじゃないか! それでは、乾杯!」

 

 ということでパーティーが始まる。カルビが用意されてないパーティーなんか非常にどうだっていいが、あの場にいた立役者なので一応居続ける。

 

 糺川

「精、話は聞いたぞ。大活躍だったそうじゃないか」

 女部田

「一番隊一の出世頭になるかもね~♪」

 精

「これで将来が約束されれば話は簡単なんですけどね……」

 糺川

「仁浦様に対してあの態度を取っている間は無理だと思うぞ?」

 女部田

「そういうツンケンしたところがあるのも精くんの魅力だと思うけどな~?」

 

 先輩方との談話の中、ちらりと映った視界の端では淳之介君と県知事が連絡先を交換している。

 

 精

「……そうだ礼先輩。ちょっとお願い事があるんですけど……昨日のMVPのご褒美ということで、今日の訓練休みにしてもらってもいいですか?」

 女部田

「もちろんいいよ! そしたらイクがご褒美にいーっぱいエッチしてあげるね!」

 糺川

「お前が決めるな。まあ、それぐらい構わんが……何をするつもりだ?」

 精

「んー……マフィア焼きですかね?」

 糺川

「物騒だな……マフィンの間違いか? ……お前の作る料理は美味いから私の分も作ってくれないか?」

 女部田

「レイちゃんだけ抜け駆けしてズルい~! イクにもマフィン作って~!」

 

 いっぱい作ってあげますからと郁子先輩を何とか宥める。今夜は忙しくて眠れないかもしれない。

 

 

 休みを頂いた放課後、俺は早速哨戒に当たっていた。吹子ちゃんの匂いがする。俺の予想が間違っていなければ────大岩の上に座っている淡い髪の少年の後ろにヤクザがいた。

 

 精

「君! 伏せろ!」

 ???

「──────!?」

 

 少年が伏せたのを確認し、銃を放つ。林の陰から3人の男が飛び出してきたがそれも撃ち抜く。少年に近づいて顔を見る。淡い髪に赤い瞳────吹子ちゃんだ。

 

 精

「……俺は何も見ていないし、君も何も見ていないことにしよう」

 吹子

「……そうしていただけると助かります」

 淳之介

「大丈夫か二人共!?」

 

 まずい。淳之介君だ。このままだと吹子ちゃんの秘密がバレる────

 

 淳之介

「危ないところだったな……ここは俺たちに任せて君はあの子と一緒に安全な場所へ行きなさい」

 吹子

「か、かしこ……分かりました……」

 

 吹子ちゃんが渡会先輩と一緒にどこかに行く……バレなかったらしい。

 

 精

「少年にまで手を出すとは……奴ら相当業が深いぜ?」

 淳之介

「そのようだな……早く解決しないと──」

 精

「ああ、このまま解決しちまおう。情報ならそこに転がっているからな」

 

 伸びているヤクザの頬をぶっ叩き目を覚まさせる。

 

 精

「目覚めたばかりで申し訳ないが今からいくつかの質問に答えてもらう。協力しなかったら……」

 

 ヤクザが懐に忍ばせていた銃を拝借し脳天に突きつける。

 

 精

「お前の脳に酸素が届きやすくなる」

 ヤクザA

「て、テメエ学生か────」

 

 ヤクザの耳を掠めるように弾を放つ。

 

 精

「うっかり手が滑っちまった……今度はうっかり脳天に放ってやろう……」

 

 ヤクザの顔が青ざめていく。殺すつもりはないが、殺すつもりで聞きださないと。

 

 精

「裏風俗がある場所は"仮初の皮膜"だな?」

 ヤクザ

「……あ、ああ、そうだ!」

 精

「ありがとう。それで十分だ」

 

 素早く銃身でヤクザの頭をぶん殴る。ガクリと意識を失ったのを確認し、淳之介君に話しかける。

 

 精

「こっからはかなり危険だ。無理に来なくても────」

 淳之介

「ここまで来てそれはないだろ?」

 

 愚問だったようだ。今までの訓練と先日の一件で、淳之介君にかなりの自信がついたようだ。

 

 精

「自信と油断を間違えるなよ? こっからは一歩間違えたら死ぬんだからな。……さて、マフィア焼きを始めますか!」

 

 俺と淳之介君対ヤクザの仁義なき戦いの火蓋が切られ、幕が切って落とされる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。