抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
来たるドスケベ遊園地遊具撤去日、NSNSの出撃メンバーが集う。
精
「まずは俺が先陣を切って注意を引く……」
淳之介
「そして俺が口上の始めを言う……」
糺川
「そしたら精が口上を続けていくから、私たちも続く……」
女部田
「いやー、ちょっと不謹慎だけどワクワクしちゃうね。私達悪い人ですって宣言するようなものでしょ?」
畔
「存在感がほしいと前から言っていましたけど……こういう形で得られるとは思いませんでした……」
片桐
「ビッチの奈々瀬からNSNSの奈々瀬になるのね……いいのか悪いのか分からないわ……」
渡会
「でもでも、皆でNSNSになるからお揃いだよ!」
わたちゃんと会長と文乃ちゃんは淳之介君の家でお留守番兼サポートだ。アリアドネ・プロトコルに加え俺の新武装のサポートもしてもらう。
精
「……ラブホールシスターズから連絡が入った。そろそろ始まるぜ」
まずはやられ役として仙波姉さんと花丸委員長に戦ってもらう。そこに俺達NSNSが現れるのだ。
精
「行くぜ──作戦コード『完全超悪』……悪逆非道に青藍島を取り戻すぜ!!! NSNS、
俺はフルフェイスヘルメットを被って駆けだした。ドスケベ遊園地ではラブホールシスターズが、10人以上の男たちに警棒で滅多打ちにされている。丸くなって防御に徹しているがアレは痛いあろう。俺は男たちに向けて銃弾を放つ。異常事態に気付いた男たちがこちらを振り向く。
警備兵A
「なんだてめぇらはぁ!!」
一同がこちらを向いたところで淳之介君の口が開く。
淳之介
「なんだてめぇらはぁと聞かれたら……弔鐘の代わりに聞かせてやろう」
精
「一つ! 非道なアクメを憎み!」
淳之介
「二つ! 不思議なチン毛を追って!」
畔
「三つ! 美岬がミサっと解決!」
糺川
「四つ! 良からぬズチュウ♡のアクメを!」
女部田
「五つ! イクがイクっと解決!」
渡会
「六つ! むべべむべむべむべむべべ!」
片桐
「七つ! 奈々瀬がナナっと解決!」
全員
「「「「「「「"NSNS"!!!──No Sex No Seiran!!!」」」」」」」
精
「総員、盛りの準備をせよ!!!」
俺達NSNSの初口上が決まった。
精
「これテンション上がるなあ!!!」
淳之介
「話し合って決めた甲斐があったな!!!」
女部田
「でもアクメが二つなのはともかく、名前と解決が三つあるのは被りすぎじゃない?」
片桐
「いくら急ごしらえとは言え雑過ぎるのだわ……」
畔
「では、全員の口上にアクメを入れるのはどうでしょうか!」
糺川
「ヒナミの口上は『むべりむべむべむべむべる』じゃなかったか?」
渡会
「うーん……難しくて言いにくいなあ……」
どうやら口上には改良の余地があるらしい。口上の骨組みはあったものの、作戦会議の後に今朝の話し合いで作ったものだから仕方がないか。
警備兵A
「……遊園地のヒーローショーのつもりか? こいつらもやれ」
警備兵の一人の指示によって警備兵が陣を組んで襲ってくる。俺はヘルメット越しに悪魔的笑いを浮かべる。
精
「俺たちがヒーロー……? 違う、俺たちは"NSNS"だ!」
淳之介
「"アリアドネ・プロトコル"起動!」
精
「"
時はアサちゃんに依頼をするためヘルメットを預けた時に戻る。
精
「やあ、アサちゃん。いきなりで申し訳ないんだけど──これで俺用のアリアドネ・プロトコルみたいなの作れない?」
麻沙音
「んー……システムそのままで流用して、シールドをゴーグル代わりにすればできますね……でも、どうして必要なんですか? 土口さんの実力だったらいらないんじゃ……」
精
「慢性外傷性脳症の進行が思ったよりやばくてな……このままいくと補助具なしじゃマトモに戦えなくなる」
思考能力の低下、人間性の変化、まだ耐えられる程度の意識障害……はっきり言って戦うのは止めた方がいい。
精
「でも、俺は戦わなきゃいけない。皆のために……いや、皆を守りたいという
約束しておいて守れないなんて二度とごめんだ。誰かの手を借りてでも守って見せる。そのためだったら頭でも何でも下げる。
麻沙音
「……分かりました。ただ、このシステムはオペレーターが必要です。私は兄を担当しなければいけないので別の人が──」
精
「いますよ。手綱を……いえ、
そして家に帰ってプリンを食べ終えた後の作戦会議の時になる。
冷泉院
「相手方も本気で挑むでしょう。しっかりと作戦を練らないといけませんよ?」
精
「その作戦ですが……ちょっと会長よろしいでしょうか……」
思いついた作戦を会長に耳打ちする。
精
「会長が遠隔で現場の情報を見て、俺を操るというのはどうでしょう?」
笑顔で頷いてくれた。後はアサちゃんからの完成報告を待つだけだったのだが、アサちゃんは俺の無理難題を1日で完成させた。
精
「いやマジか……試してみてもいい?」
麻沙音
「いいですよ。名前は決まっていますか?」
俺は親指を立てて答えた。
精
「アリアドネは海外の神話だから、俺のは日本の神話からにするぜ。アリアドネの糸を手繰り寄せる──"天手力"だ」
早速会長と一緒にシステムの練習をした。会長の生活力が皆無なのはその動作が理解できからである。つまり使い方を理解できれば十分に使えるわけで、アサちゃんの指導の下すぐにうまく扱えた。
俺の声と共にヘルメットに様々なデータが映し出される。相手の身長、武器、数、性器の状態、味方の位置……俺は瞬時にそのデータを切り捨て、意識を集中させる。
冷泉院
『土口さん、まずは右前前方からです』
右前方の警備兵の拳を蹴り上げ警棒を奪う。そして喉元を打ちのめし俺の盾にする。
冷泉院
『お見事です。次は一旦引いて郁子に任せてください』
警備兵を引きずってまた一人誘う。郁子先輩が警備兵の脳天に刀を叩き込み、また一人無力化される。
冷泉院
『すごいです。次は盾にした警備兵を左に捨てて二発頭に撃ちこんでください』
盾にした警備兵を左足元に捨て、その頭に二発弾丸を撃ち込む。それを見て足を止めた警備兵に礼先輩の弾丸が打ち込まれる。
冷泉院
『流石です。次は警備兵を蹴り飛ばして盾にして前進してください』
左足の警備兵を前方に蹴り飛ばし、警備兵たちの視線を誘導させる。その間に後ろに回っていた渡会先輩と畔が警備兵を二人ダウンさせる。
冷泉院
『最後に警備兵の前でしゃがんでください』」
一人の警備兵に突っ込んでその場にしゃがむ。警棒を空振りした警備兵の顎に片桐の蹴りが炸裂する。
精
「ジャスト85秒……全盛期の俺だったら69秒は切れただろうな」
冷泉院
『訓練次第では全盛期を超えるかもしれませんよ?』
蹴り飛ばされた警備兵が他の警備兵を巻き込んで倒れる。後には警備兵が1人ぽつねんと立っているだけだった。
俺はその警備兵に歩いて近づく。警備兵が警棒を構えた瞬間、その警棒が飛ぶ。今の発砲音はコリウスだ。
精
「……俺は道徳の授業で自分がされて嫌なことは人にしないようにと教わりました。そして君は大人数で弱者に暴力を振るっていました。ここで質問です──君はそれをされたら嫌じゃないからしたんだよね?」
警備兵が後ろを向いて逃げだしたのでその両足を撃ち抜く。転んだ警備兵に座って靴を脱がす。
精
「ここからは拷問です──とりあえず足の爪全部剥ぐか。お前の雇い主さんが実の孫娘にやったことだしな」
愛刀ティラミスを逆手に持って警備兵の脚の腱を切る。これでこいつはもう動けない。
警備兵B
「や、やめろ……! やめてくれ……!」
精
「さっきの2人もお前にそう言ってなかったか? それでお前は止めたか?」
警備兵B
「だ、だって……! お前達は、俺たちを脅かす変態の悪人で……!」
精
「じゃあお前も俺達を脅かす悪人だからやって良いな?」
警備兵B
「お、俺たちは正義なんだぞ!?」
精
「悪人が正義を打ちのめして何が悪い?」
語るに落ちた。コイツが俺に反論できる材料はたった今無くなった。
精
「悪人の方が道徳に富んでいるとか、手前達の正義も大したものだな──反吐が出る」
素手で警備兵の爪を剥ぐ。血が噴き出る。叫び声が上がる。それを肴にさらに爪を剥いでいく。
精
「よく覚えておけ偽善者! この青藍島は我らNSNSが守る! 手出しすればコイツ以上に悲惨な目に遭わせてやるぞ!」
血に染まった右手を掲げる。敵には恐怖を与え、仲間には信頼を与える最恐最悪の証だ。警備兵たちは逃げ出し、青藍島民から歓声が──聞こえてこなかった。
精
「……おいおい、守ってやったんだぜ? 礼の一言ぐらい──」
糺川
「精、流石にやりすぎだ」
礼先輩が俺の肩を掴んだ。その顔には怒りと悲しみが見える。
糺川
「危険な悪になるためだというのは分かる。だが、必要以上に虐げたら奴らと同じだ。なにより────無理をしているだろ? お前はいくら相手が憎いからと言って、こんな残酷なことをする奴ではない」
俺はその言葉につられて掲げた拳を見上げる。────震えていた。自分でも気が付かなかった。
糺川
「……放課後に反省会だ。そこで色々と話し合おう。あと、ヘルメットを一回はずしたらどうだ? いつ頭を狙われるか分からないとはいえ、いつまでも付け続けるのは辛いだろ?」
礼先輩の言うとおりだ。天手力機構を組み込む際に空調を取り入れたがそれでも暑苦しい。ヘルメットを外す。
糺川
「歯がむき出しになるほどヘルメットがきつかったのか? もう少し改良が必要だな……」
言われて気付く。歯がむき出しになっている────いや、
精
「いっつ……考えるのは止めだ。普通に学業もあるからな……」
礼先輩の手を握らないと考える事ができなくなる体になるのだけは避けないと。そのためにもまだまだ頑張らないと。