※この作品はR-18です。

抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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5-23 腰振る島にて狂犬は仲間とオホる

 "青藍・改"が空を駆ける。俺でさえ度肝を抜かれる光景だ。警備兵達も混乱している。その隙に俺が前に飛び出し一気に距離を──

 

 警備兵A

「変態どもが出てきたぞ!! 全部隊! 撃ち方、用意──ッ!!」

 

 銃口が向けられる。それはすべて俺に向いていた。一瞬、息を止める。

 

 精

「──見えれば充分」

 

 最高潮に達した集中から高速で太刀を振るう。数百というライオット弾を弾く。俺の記憶はないが体がやったと記憶している。

 

 警備兵A

「バカな!? 銃弾を弾くだと!?」

 警備兵B

「狼狽えるな! 撃ち続ければいずれは──」

 精

「──返せる」

 

 弾く角度を変える。跳ね返った弾が警備兵を撃ち抜く。

 

 警備兵A

「がっ……に、人間業じゃない……」

 警備兵B

「ま、まて! 撃ち方止め──」

 女部田

「我慢しないでいっぱい出しちゃいなよ? じゃないと──止められないよ」

 

 号令で銃撃が止まった一瞬に郁子先輩の太刀が走る。瞬きする間に警備兵が倒れていく。

 

 警備兵C

「何だこの痴女──ぐはぁ!」

 警備兵D

「うおおっ! ぶへぇ!」

 

 こんな緊迫した状況だから裸の人間がきたら意表を突かれるだろう。まして郁子先輩のプロポーションは殺人的だ。雄だったらどんな奴でも一瞬思考を奪われる。その一瞬の油断が命取りだ。

 

 精

「──行きますよ郁子先輩」

 女部田

「──合わせてね精くん」

 精・女部田

「「番の月下美人-Queen on the Knight(クイーン・オン・ザ・ナイト)-」」

 

 2人の太刀が警備兵を切り伏せていく。押し、引き、突き、逸れ、回り、跳ぶ。まるで舞うかのような太刀筋は、月光に晒された一夜限りの花のように美しい。ここにいるすべての警備兵が2輪の花に伏した。そして2人の太刀を合わせる。

 

 精

「日が昇れば枯れる」

 女部田

「だから火遊びは楽し──」

 精

「だから花は美しいですよ?」

 女部田

「もう……つれないなあ……」

 

 言っている場合ではない。今はどんどん押していかないと。戦場跡地に向けてNSNS全員で進んでいく。しかし、前から後ろから警備兵がどんどん来る。天手力機構の反応が止まらない。

 

 精

「ちいっ! 面倒ったらありゃしないぜ! なんとかならないか!?」

 淳之介

「……俺と精で頂上を目指す! 他の皆は道を開いてくれ!」

 

 とんでもない命令だ。だが、NLNSをSS以上の戦力に引き上げた男の命令だ。実績から来る重みが違う。

 

 精

「お願いします! 俺と淳之介君で全てを切り開いて見せます!」

 

 何より俺の友達が言った言葉だ。信じよう。その意思が『仲間』に伝わる。

 

 片桐

「任せるわよ、会長!」

 冷泉院

「お二人とも、こちらを」

 

 片桐が煙幕を張り、会長が木と糸で射出装置を作る。俺と淳之介君はそれに向かって飛び込む。

 

 冷泉院

「土口さん、こちらを」

 

 会長が羅漢銭を構え、俺に向けて6発弾く。俺はそれを難なく受け取る。

 

 精

「渡しの六文銭ですか!!」

 冷泉院

「その覚悟を持って、活路を開いてください」

 

 俺は笑顔で会長にサムズアップで答える。そして、淳之介君と共に飛び立つ。

 

 冷泉院

「……何か言いたかったですか、礼?」

 糺川

「……あいつは必ず帰ってきます」

 冷泉院

「では、土口さんが帰ってくる場所を私達で守りましょう」

 女部田

「よーし、張り切って、うわー!? トーカちゃん、服が!!!」

 冷泉院

「安いものです。服の一着ぐらい……」

 

 

 一気に跡地の外観までたどり着く。ほぼ無傷で来られている。前にいる警備兵達は今まで戦ってきた奴らと雰囲気が違う。少しはましな奴らか。

 

 精

「……切り札は温存しないぜ! 淳之介君、自分の身の安全だけ考えな!」

 淳之介

「アレを使うのか! 任せろ!」

 

 淳之介君が俺の視界から消える。

 

 精鋭警備兵A

「ここで警備を任されている者たちはなぁ、ずっと防人様の元で働いている──」

 精

「天手力機構、『不俱戴天』形態起動」

 

 その一言にとある音声が流れる。

 

 卵(麻沙音の録音)

『お兄ちゃんは弱いよね?』

 

 その一言で、俺の内からドス黒い怒りが溢れる。

 

 精

「──っだああああ!!!」

 

 目にもとまらぬ速さで愛刀ティラミスを振るう。

 

 精鋭警備兵B

「ば、ばかな……見えなかった──」

 

 精

「ぅばっしゃあああ!!!」

 

 そしてプリンセスウィークとブラッドムーンで残った警備兵たちの脳天を撃ち抜く。

 

 糺川(糺川の録音)

『お前は『金色の狂犬』だ!!!』

 

 その音声で怒りが収まる。

 

 精

「──っはあ……頭いてぇ……改良の余地大ありだなこりゃ……出てきていいぜ、淳之介君」

 淳之介

「相変わらず化け物みたいだなお前……あれと対峙して生き延びれたのは奇跡だな……」

 

 ズキズキと痛む頭を押さえ、淳之介君を一緒に建物に入っていく。何人かの人の匂いがする。死角にも人がいるのだろう。俺は会長から渡された六文銭を構え、部屋の真ん中に飛び出す。

 

 精鋭警備兵リーダー

「──不埒悪行はそこまでだ、小僧」

 精

「まだ始まってすらいねえよ!」

 

 六文銭を全力で指で弾く。部屋中に六文銭が飛び交う。

 

 精鋭警備兵C

「ぐあっ!? たかがコインごときで!!」

 精鋭警備兵D

「俺たちを止められると思うか!!」

 精鋭警備兵リーダー

「羅漢銭とは古風なものを……だが、不意打ち前提のそれでは──」

 精

「──響き劈(つんざく)は金色の調べ、狂犬噛み刻むは渡しの六文銭──さぁ、共に三途の川を渡りましょう」

 

 羅漢銭に結ばれた糸を全力で引っ張る。瞬く間に精鋭警備兵たちを縛り上げる。

 

 精鋭警備兵リーダー

「これは……特殊、繊維──!? 貴様、いつの間に張り巡らせて──!?」

 精

「会長譲りの手品だ。さあ、淳之介君……射撃訓練のお時間だぜ!」

 淳之介

「動かない的なら外す訳がないだろ!」

 

 コリウスの銃弾を脳天に受けた警備兵たちが地に伏す。後で来られたら厄介なので両手両足の骨を折り、糸を回収する。

 

 淳之介

「……やりすぎじゃないか?」

 精

「大丈夫だ、問題ない」

 

 綺麗に骨を折ったから治療すれば元通りだろう。階段を昇って屋上に出る。そこには小柄な老人が一人いた。

 

 精

「よう、クソ老害。手前の自己満足オナニーは楽しかったか?」

 防人老人

「ふむ……果たしてここまで着たか、矜持に討ち死ぬ若者たちよ」

 淳之介

「生憎俺たちには守るものがある。ここで死んだりはしない」

 

 

 俺はふんと鼻を鳴らす。──も(・)う(・)一(・)人(・)い(・)る(・)。

 

 精

「決着をつける前に……エキストラの方も出てきてもらおうか、県知事様よ?」

 仁浦

「まったく……もう少し格好いい演出にしたかったのだがな」

 防人老人

「ひ────と、うらあぁ…………ッ!」

 

 ふっと県知事様が出てくる。クソ老害が殺さんばかりの視線を送る。その隙を逃す訳にはいかない。

 

 精

「鉄火場でよそ見するとはいい度胸だな、クソ老害!」

 

 一気に距離を詰め、拳を振るう。年に合わぬ素早い動きで躱される。

 

 防人老人

「ワシを倒したところで、いまさら条例がどうなるわけでもない。SHO本社ビルの倒壊が止まるわけでもない」

 淳之介

「それはどうかな!」

 

 クソ老害のトランシーバーが鳴る。

 

 防人老人

「────……なにっ、ビル前で暴動──」

 精

「隙だらけだぜクソ老害!」

 

 クソ老害に強烈なボディーブローをぶち込む。軽く吹っ飛んで地面に転がった。

 

 淳之介

「俺が何もしないでここまで来たと思ったか!? 我が師の名は手嶋俊英! 人心掌握のスペシャリストだ! 死の力を借りて作戦を立て、貴様と同じように、大衆を味方につけさせてもらったんだよ!」

 

 現在、NLNSの拠点では文乃ちゃんが配信をして青藍島の実態を世界に配信しているらしい。それによって青藍島民が、世論が動き、防人老人を追い詰めているらしい。淳之介君が言っているのだからそうなのだろう。

 

 精

「淳之介君! 県知事様は譲る! 俺はこのクソ老害に生き地獄を味わわせてやる!」

 淳之介

「分かった! 行くぞ! 仁浦あああ!!!」

 

 県知事様に向かっていった淳之介君を見届け、倒れているクソ老害に向けて銃弾を放つ。あえて外して恐怖を募らせる。

 

 精

「手前が青藍島を憎んでいるのは良ーく分かった……だがな!!!」

 

 クソ老害が杖に手をかけたのを見て、杖を銃弾で吹っ飛ばす。

 

 精

「間違った復讐は失敗に終わるんだよ!!!」

 

 一気に詰め寄りクソ老害を無理やり起き上がらせる。

 

 精

「言っても分からねえバカには暴力で分からせるのが一番なんでなあ!」

 防人老人

「貴様にワシの何が分かる!!!」

 精

「碌に話してねえから分かるわけねえだろクソ老害!」

 

 クソ老害の顔をぶん殴って距離を取る。ヒットアンドアウェーで完全に分からせてやる。

 

 精

「たとえ相容れないと思っている存在でも関わっていくうちに分かり合えるものだ!」

 防人老人

「ほざけ……! 現実も知らぬ小僧如きが何を……!」

 精

「俺の体験談なんだなこれが!」

 

 ダッキングとスウェーでクソ老害の背後に回りラビットパンチを当てる。

 

 精

「手前は憎しみに囚われて未来が見えなくなった! 未来を見れない人間なんか死んだも同然だ!」

 防人老人

「貴様も……同じだろう……!」

 精

「勝手に同一視すんな! 俺は憎しみを糧に未来に進んだんだ!」

 

 今度は前に回り込み目潰しをを当てる。

 

 精

「老いぼれの手前の我儘で青藍島の未来をぶっ壊すんじゃねえよ!」

 防人老人

「この島の未来など……まともなものではないだろう……!」

 精

「それを決めるのは俺たちだ! 青藍島に生きる俺たちだ!」

 

 勢いそのままにクソ老害の股間にナッツパンチをぶち込む。

 

 精

「俺は!!! 俺のために!!! 俺が守りたいと思ったものを守る!!! それが!!! 俺のやりたい!!! 『金色の狂犬』だあああ!!!!!!」

 

 全力で叫び、クソ老害の顔に全力で頭突きをぶち込む。

 

 防人老人

「こ、の、わが、まま、こぞう、が……」

 精

「『やりたいようにやれ』だ。手前もやりたいようにやったんなら、誰かがやりたいようにやることを受け入れろ」

 

 

 クソ老害からトランシーバーを強奪し、叫び散らかす。

 

 精

「今すぐ工事は中止だ! でなければ俺は手前らをムッコロス!!!」

 

 勢いのあまり口が回らなかった。だが、ここから作業車が撤退していくのが見える。

 

 仁浦

「──……俺の、負け……だ……この、くそ、が、き、……」

 

 県知事様がぼやいてぶっ倒れる。

 

 淳之介

「過去しか見えない老いぼれどもが!! まだやるならかかってこい!!!」

 

 どうやら淳之介君の勝ちのようだ。未来を創るのは未来を見る者たちであるべきだ。負けた老いぼれ2人を裸にして縛り上げる。これで目覚めても邪魔することはできないだろう。

 

 淳之介

「最後までお前と一緒だったな……本当にありがとう、精。お前が友達で本当によかった」

 

 淳之介君が俺に手を差し伸べる。友達になったあの日を思い出す。俺はその手を──

 

 精

「何勘違いしてるんだ? 俺たちの戦いはまだ終わってないぜ?」

 

 振り払った。

 

 淳之介

「────は?」

 

 淳之介は相変わらずのバカ面で口を開けている。

 

 精

「全部の問題が片付いたんだ。これから青藍島は忙しくなる。そしたら────君(・)と(・)の(・)決(・)着(・)は(・)付(・)け(・)ら(・)れ(・)な(・)い(・)だ(・)ろ(・)?」

 

 俺は淳之介君に向けてファイティングポーズを取る。

 

 精

「まだ本気じゃないだろ? 本気のお披露目ができるのは……今、この時だけだぜ?」

 淳之介

「……相変わらずお前は鼻が利くなあ……」

 

 淳之介君が拳を構える。

 

 精

「──行くぜ、淳之介君」

 淳之介

「──来い、精」

 

 勝って得られるものもなければ負けて失うものもない。ただ、男の意地がぶつかり合うだけの、最高にくだらない、それでも一歩も引けない戦い──いや、喧嘩が始まる。

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