抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
俺はたびたび礼先輩の仕事を手伝うことがある。会長の世話で忙しい礼先輩の負担を少しでも減らすためだ。今回は条例違反のカップルへの性裁を執行する。
精
「生徒諸君、よく聞け!俺たちは水乃月学園風紀委員会だ!……こいつらは我が校の生徒でありながら、能動的なドスケベセックスを避け、自分の愛する恋人のみと性行為するという"非性産的行為"を行った!」
周囲からどよめきが沸き起こる。この島では考えられない事だからだ。カップルから『愛する相手とだけセックスをしたいだけ』という反論が出てくる。
私も…好きな女の子とセックスしたいよ!なんで駄目なの!?
精
「黙れ!事の是非を決めるのは条例だ!……そして、貴様たちはそれに違反した!よって非性産者には島の条例に則り--"ギロチンの刑"に処す!」
俺が指をパチンと鳴らすと、刑が執行される。人の思い関係なしに性交が行われる。
精
「……こんな無様な姿を晒したくなかったら。日々、性産行為に励むように。ちなみにこの道具が使いたかったら、いつでもSSに申し出るように。」
俺は執行台から降りる。その時、橘兄妹を見つけた。二人共、恐れていたようだ。いつか、友人をこの台に登らせる時が来るのだろうか?それを、妹に無慈悲に見せつける日が来るのだろうか?事情があれば無理に性産行為をしなくても、許されるのではないのだろうか?
重い足取りで教室に向かう。
淳之介
「お、土口…おはよう。」
友達が浮かない顔で挨拶をしてきた。だから俺は、もっと重い話題で返すことにした。
精
「…なあ、淳之介君。君達にだから打ち明けたい話があるんだ。昼休み、アサちゃん連れてきてくれないか?」
おそらく、俺らしからぬ神妙な顔を見たのか驚いている。
淳之介
「…友達にそんな顔して頼まれたら、断れないだろ。」
約束を取り付けた昼休み、生徒会の会議室を俺の権限で貸し切った。『金色の狂犬が3Pで使いたいと言ってるんだが?』なんて凄めば、並大抵の奴らはビビッて承諾する。
精
「あれ、二人は弁当なんだ?」
淳之介
「ああ、家事代行サービスに頼んでな。」
麻沙音
「奈々瀬さんのお弁当…こいつが楽しみで学校に来ているんだ…!」
奈々瀬…片桐奈々瀬のことか。あれ、うちの学校って普通のバイト禁止じゃないか?これはいい情報を握った。『金色の狂犬』であっても、片桐とは約束がつかない。
いや、そんなことはどうでもいい。本題に入る。
精
「朝のギロチン…どう思った?」
二人はなんとも言えない顔をしている。でも、少なくとも賛同する顔ではなさそうだ。
精
「俺は正直…やりすぎだと思う。」
二人は驚いた顔で俺の顔を見ている。まさか、『金色の狂犬』がこんなことを言うと思わなかっただろう。
精
「淳之介の事情を知ってというのもあるけど…俺はこの条例に不満がある。訳はまだ話せないが…いつかこの条例を変えたい。そう思っているんだ。」
淳之介
「土口…」
麻沙音
「土口さん…」
俺がSSに入った理由はそこにある。SSで成果を出して、SHOの上の役職に就き、条例に口出しできる立場になるためだ。それを二人に打ち明ける。
精
「…昼飯時にはちょっと重すぎたかな。でも、二人になら打ち明けてもいいかなって。」
淳之介
「お前もお前なりに思うところはあるんだな。言ってくれてありがとう。」
麻沙音
「土口さんの考えは間違ってないと思います。頑張ってください。」
二人の励ましがすっと心に滲みる。ふと涙が流れる。
精
「…さあ、ここからは楽しいランチタイムだ!皆様両手を拝借!」
淳之介
「…そうだな!腹が減っては夜枷は出来ぬだからな!」
麻沙音
「早く奈々瀬のお弁当を!一食でも欠かしたら死んでしまう!」
一同
「「「いただきます!!!」」」
友達と食べる昼飯はこんなにおいしかったのか。購買で買ったものでこんなにおいしいなら、弁当にしたらもっとおいしいだろう。明日から弁当にするか。
放課後、俺は礼先輩と訓練をしていた。
精
「っだらあ!」
糺川
「甘い!」
近接格闘は礼先輩の方に分がある。俺の持っている二丁拳銃と刀では至近距離での相手はできない。そして、純粋な1年間の鍛錬の差。そこが男女や筋力の差を容易く埋める。
糺川
「どうした土口!動きが鈍いぞ!余計なことを考えるな!」
精
「何でもお見通しですね…!流石礼先輩です…!ぐあぁ!」
ついに体に一撃貰う。そこから喉元にコンバットナイフを突きつけられる。
糺川
「素手のお前になら…なんとか勝てるようになったぞ…!」
精
「…武器使ってもう一回やって良いですか?」
糺川
「それは郁子の担当だろう…!大体…そうなったら私では勝てなくなるだろう…!」
それもそうだ。礼先輩が俺に教えているのは近接格闘で、武器の扱いではない。郁子先輩が『力』とすれば、礼先輩は『技』を担当している。組み手が終わり、一息ついたところで錬先輩がぽつりとつぶやく。
糺川
「…ギロチンの件、感謝する。動きが鈍かったのは…そのせいだろう?」
精
「…礼先輩にさせるわけにはいきませんから。」
礼先輩は風紀委員長として、刑の執行権限を持っている。だが、とある事情で礼先輩はそれを望んでいない。だから、代わりに俺が執行しているのだ。
精
「でも…お礼としては足りないですね?だから…夜通しで特撮見ますよ!」
礼先輩の目がきらきら輝く。
糺川
「それなら歓迎だ!何をみる!?」
精
「デカチンジャーの一気見がいいです!」
糺川
「おお!それはいいな!最近グッズも買ったんだ!」
精
「プレミアパンパンダイから出たやつですか!?いいなー!俺にも触らせてください!」
友情もいいが、こういう上下関係もいい。なんかいい。