抜きゲーみたいな島に住んでいる狂犬はどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
卵がとんでもない事を発言した。左手だけで十分? 確かに私個人の実力は高い方ではないが、それでも利き手じゃない方の手1つで止められるほど弱くはない。
卵
「空いた右手でオナってるから……興奮させてくれよ、風紀委員長サマ」
そう言って卵は右手で股間を弄り始めた。不意打ちを狙う作戦か? 腰を落としてしっかりと構える。
卵
「んっ……はぁ……なんだよ、風紀委員長サマもオナりたかったらご自由にどうぞ?」
精の精液で自慰をした事があるから分かるが、アレは本気で感じている時の声だ。
糺川
「……吐いた唾をのむなよ!」
ならその隙を遠慮なく突かせてもらう。卵の右側に回りこみ────
卵
「分かりやすい動きだな、んぁ……」
すでに卵の左手が伸びていた。しゃがんで躱し────
卵
「だから、んぅ、分かりやすいって……」
私の首にトンと卵の手刀が当たった。
糺川
「…………は?」
卵
「せめてイクまでは、ぁん、持ってほしかったぜ……」
卵の自慰の片手間に負けた。自分でも何を言っているのか分からないがそうでしかなかった。
卵
「ちょっとイクから……それまでに人目のつかない場所を考えておいてくれ……んん……」
卵は何を話したいのだろう。とりあえず例の時間に浴場に来るように伝える。絶頂の潮吹きで答えた。
卵
「っあー……分かったその時間に欲情していればいいんだな……」
糺川
「欲情しているかどうかはどちらでもいいが、寮の浴場に来るんだぞ?」
卵
「ついでに他のBIG4も呼んでおいてくれ……」
糺川
「……理由を聞いてもいいか?」
卵
「あーしの勘が正しければ4人には共通点があるはず、とだけ言っておく」
謎の返答の割には指定の時間の5分前に卵はやって来た。卵体はかなり鍛えられていて、スタイルも抜群だった。裸で髪をまとめてタオルで覆っている姿だからか普段の横暴さは微塵も感じられない。
淳之介
「うおっ……筋肉におっぱいがついている……」
女部田
「卵ちゃんったらセックシー! よっ、『反逆の緑髪』!」
冷泉院
「その緑髪が見えないのが残念ですね。長い髪を濡らしてしまうと乾かすのが大変ですよね」
卵
「その髪を一度でも自分で乾かしたことがあるのかよ会長サマ?」
卵は軽く体を流し湯船にザバンと乱雑に入る。
卵
「さて、あーしの話なんだが、まずはあーしの簡単な要望に答えてもらいたい」
糺川
「……もう少し頼み方ってものがあるんじゃないのか?」
卵
「敬語は敬意を払いたい奴にしか使わない主義なんでな」
かなり暴論じゃないかと思ったが話が進まなくなるから一旦流す。卵は橘を殺すような目つきで睨みつける。
卵
「まずは性帝サマからだ。あーしを呼んでみろ」
淳之介
「えっ……? ら、卵ちゃん……?」
卵
「次は風紀委員長サマ。どうぞ」
糺川
「……卵」
卵
「次は中隊長サマ」
女部田
「……? 卵ちゃん?」
一体卵は何をさせているのだろうか。呼び出し音声集でも作るつもりなのだろうか?
冷泉院
「……なるほど。これはうっかりしていましたね」
淳之介・糺川・女部田
「「「えっ?」」」
桐香様は何かに気付いたようだが私には全く分からない。橘と郁子も同じようだ。
卵
「それじゃ手前はあーしをどうやって呼ぶんだ、会長サマ?」
冷泉院
「────
その言葉を聞いて今更気づく。SSにはもう一人ランがいる。花丸凛の姉である花丸蘭だ。もしSSで土口卵をランと呼んでしまったら、状況によってはどちらを呼んでいるのか区別がつかない。そして精は飛び級をしているためすでにSSにはいない。だからこの世界のSSだったら卵の事は土口と呼ぶのが普通だ。精が卵と言い続けていたので私も自然とそう呼んでしまっていた。
卵
「どうも最近手前等の様子がおかしいと思ったら、誰かが成りすましていやがったか……バブみ保育園のお遊戯の方がまだ見てられるぜ?」
女部田
「……これは間違いなく精くんの妹さんだね。観察力半端ないよ?」
淳之介
「……情報不足だったか……」
冷泉院
「いえ、情報はすでに手に入れていました。もう少し冷静になればよかっただけです」
糺川
「……ここまで来て抗うつもりはない。どうするつもりだ?」
卵はSSに対してかなり反抗的な態度を取っている。性帝並びにBIG3がいつの間にか別人になっているという情報があれば、SSを自在に動かせるだろう。しかし、卵はため息をついて首を横に振った。
卵
「まあ、手前等が誰だろうと本物が何処にいようがあーしにはどうだっていい。本題は────
その発言に私達は驚いた。卵とあまり関わっていない私達ならともかく、卵と長く関わって来た精が卵の前でからボロが出すとは思えない。
卵
「あーしを見て大泣きしたり、『反逆の緑髪』や性帝サマのことをほとんど知らなかったり……そのへんは記憶障害で片付くとしよう。だが、昨日のクソ凛をイラマチオしてた時の発言は見逃せなかった」
淳之介
「何がどうなればそんなことが起きるんだ?」
糺川
「精は凛を心底嫌っていたからな……憂さ晴らしじゃないか?」
女部田
「精くんのイラマかあ……きっと激しいんだろうなあ……いいなあ……」
卵が話の腰を折るなと心底嫌そうな顔で睨んできたので私たちは黙った。
卵
「その時に兄貴は『委員長の喉まんこは締まりが良いですねえ!』と言っていた」
淳之介
「凛の方は委員長じゃないんじゃないか?」
女部田
「多分、凛ちゃんを蘭ちゃんとして扱ったんじゃないかな?」
糺川
「……精ならやりそうだ。しかし、そうだとしたらおかしな発言ではないと思うが────」
冷泉院
「
卵
「流石会長サマ。相変わらずは頭だけはよくできてるな」
この世界の精が飛び級で卒業しているとなれば、蘭との面識がないだろう。知ってる情報を知らないならともかく、知っているはずがない情報を知っているとなれば、別人であることを疑ってもおかしくない。まして私達BIG4が別人に成りすましていると疑っているならなおさらだ。
卵
「数日で5人も人間が別人に成りすましている。なのにその出来はよく見ればわかる程度のもの。SHOが絡んでいるならもっとましな奴をよこす。その道のプロがいるからな────何があったか教えてもらおう。それがあーしのしたい話だ」
私達は卵にオナホによって平行世界からやって来たと素直に伝え、元の世界の事情も話した。卵は苦虫を噛み潰して飲み込んだような顔で私たちを睨んできた。
卵
「…………嘘をつくならもっとましな嘘をつく。それに『ありえないことを除けば、残ったものがどんなに信じられなくても真実だ』という兄貴のお気に入りのビシャーコック・ンホォムズの名言がある」
精
「卵ちゃんもそれ読んでるのか……」
卵
「あーしはケツマン刑事が好きなんだがな」
女部田
「うーん、流石兄妹……似るところは似るね~」
冷泉院
「もしかしたら性癖も似ているかもしれませんね。土口さんのフェチって何ですか?」
卵
「足裏と匂いだ」
確か精は足裏と陰毛と言っていた。癖からも兄妹の繋がりを感じる。
卵
「……話が逸れた。それで手前等は元の世界に戻りたくて、兄貴は元の世界ではあーしが死んでいないからこの世界に居続けたいと」
糺川
「……卵は元の精を取り戻したいか?」
卵の意志確認するという意味で聞く。卵が元の兄貴が良いと言ったら精も少しは考えを変えるかも────
卵
「…………今の兄貴が良い」
卵が表情を暗くして呟いた。その顔は以前精が見せてくれた、卵の動画の時の儚げな少女の顔だった。
卵
「……あーしの兄貴は記憶障害を患うどころか、もう条例を変えられないと悟って人が変わっちまった。あーしには目もくれず、自分と光姫さんの世界に閉じこもって…………でも、今の兄貴は昔にすごく優しくしてくれる────
どこまでも似ている兄妹だ。この兄弟愛を見せつけられて無理やり引きはがそうという気にはなれない。他の皆も同じようなことを考えているのだろう。諦めて目を細めて笑っていた。
卵
「……だが、手前等が元の世界に戻るのには協力してやってもいい」
卵の意外な一言に私達は驚いた。特に協力する理由もメリットも無いのになぜだろうか。
卵
「理由は二つ。一つ目はBIG4からの好感度稼ぎ。あーしはこの態度だから敵が多い。だからBIG4は味方にしておきたい」
淳之介
「ここまで堂々と言われるとむしろ好感を持つよ」
卵
「そしてもう一つは……それなりの見返りを要求したいからだ。具体的に言えばBIG3ガールズとあーしと麻沙音の5Pを要求してえ」
淳之介
「アサちゃんのことも考えているのか……俺からの好感度はだいぶ稼げているぞ」
橘の好感度判定が緩すぎる。卵が麻沙音の良き理解者なのは分かるが、私や郁子や桐香様が巻き込まれていることを考えてほしい。
女部田
「うーん……あたしはいいケド……レイちゃんとトーカちゃんはどう?」
糺川
「精の妹の願いだから無碍にするつもりはない……上手くできるかどうかには目を瞑ってもらいたいが」
冷泉院
「女性同士でするのは初体験でワクワクしますね……ただ、真意を聞かせてもらっていいでしょうか?」
桐香様が卵に肉薄する。唇が触れれば卵の真意は容易くわかるだろう。
卵
「……5Pレズプレイを録画してオカズにする、で納得するか?」
冷泉院
「土口さんがそれで乗り切れると思うなら」
卵
「……あーしが……」
卵が湯船の中でこぶしを握り締める。
卵
「あーしが……
その言葉は聞き覚えがある。橘が反交尾勢力であった時に言っていた言葉だ。
橘
「まさか……卵ちゃんは……反交尾勢力のリーダ────-」
卵
「んなわけねえだろ。だが、反交尾勢力と通じているのは事実だ」
急に聞かされて驚いたが、卵には反交尾勢力に協力する動機は十分にある。同性愛が認められないこと、理解者である麻沙音が反交尾勢力であること、
卵
「手前等が元の世界に戻った後にその動画をバラまく。SSBIG4と『反逆の緑髪』が反交尾勢力と通じていたどころか体や血の関係があったとすればSSが揺らぐ」
そうされたらこの世界のBIG4では記憶にございませんという反論しかできないだろう。組織のトップがそんな反応をしたら、たとえそれが事実であっても一発アウトだろう。
卵
「そうなりゃSHOも揺らいで、最終的にはドスケベ条例を揺らがせる事件まで持っていける。そこで反交尾勢力としてあーしが動けば────手前等の世界で未遂に終わったことがあーしの世界では現実になる」
卵の実力は元の世界の精と同じかそれ以上だ。もし反交尾勢力に全面的に協力したらSHOのガードマンでは話にならないだろう。止められるとしたらBIG4や精だろうが、BIG4は動画の失態で動けないだろうし、精は卵に喜んで協力するだろう。恐ろしい計画で、この計画をわずか数日で考え付いた卵はもっと恐ろしい。
冷泉院
「……そこまで言われたら本心は聞くまでもないですね」
卵
「つーわけで、しばらくよろしく頼むぜぁ!?」
浴槽から出ようとした卵が足を滑らせて湯船に背中からダイブする。大きな水柱が立ち水面が大きく揺れる。プカリと卵が水面に浮いている。その顔は般若と鬼神と閻魔を足して三倍したような顔だった。
糺川
「だ、大丈夫か……?」
卵
「大丈夫なわけねえだろ! 髪乾かすの面倒くせえんだよ! あ゛ー! どれもこれもドスケベ条例のせいだチクショウ!」
女部田
「あたしのくせっ毛が良くならないのもドスケベ条例のせいにしちゃおうかな……」
冷泉院
「でしたら私が髪を乾かしてあげましょうか?」
卵
「手前の髪を自分で乾かせるようになってから言いやがれ!」
淳之介
「だ、だったら俺が乾かそうか? これでも女性の扱いには自信があるんだ」
卵
「下手したら手前のちんこ引きちぎるからな!?」
ぎゃんぎゃんに喚く卵を4人で宥めて髪を乾かしてあげた。BIG4を顎で使うのも悪くねえなと言っていたが、その時の笑顔は学生らしく心の底から楽しんでいるように見えた。