といっても今回は“ちょいジャブ”程度。ですが、内容はかなり人を選びます。
時系列はバラバラ。
設定も整合性もなく、ただ作者の性癖と欲望に従って構成されています。
ベル受け、屈辱、支配、そして命令。
優しさに包まれながら、逃げ場を失っていく彼の姿を淡々と描いています。
ご注意:
R18/NTR風味/男性受けが苦手な方はご遠慮ください。
そういったものが「大好物」の方は、ぜひ。
――見たくなかった。
それなのに、まぶたは閉じられなかった。耳も、聞こえてはいけないものばかりを正確に拾い続けていた。
肌と肌がぶつかる音。ぬるりと濡れたものが擦れる湿音。律動に合わせて揺れる空気。
そして――
「んっ……ふっ、ん……く、ぅ……ぁ、あっ……!」
声が、漏れていた。
最初は息のようなものだった。だけど、それがだんだんと声になって、断片になって、そして明らかに“感じている”とわかる音へと変わっていった。
息を呑む暇もなく、再び聞こえてくる。
「ふ、ぁ……あ、んっ……もっと……そこ、だめ……んぅ……」
耳を塞ぎたくなった。けれど、縛られた腕ではそれもできない。
視界の中には、アイズの背があった。金の髪が揺れ、何度も前へ突き出されるように身体が跳ね、そして腰が沈むたび、彼女の口元からまた声がこぼれる。
「や、あっ……んんっ……っ、くる……もっと……」
それは明らかに拒んでいない。快楽の波に身を任せて、甘く溶けていくような声音だった。
ベルは、目を閉じようとした。でも、できなかった。
目を閉じても耳が塞がらず、耳を塞げずにいるうちに、脳裏に焼きついた“声”が、今もそこにいる彼女と、完全に重なってしまった。
奥に打ち込まれるたびに聞こえる、
「ぱちゅっ、ぬちゃっ、くちゅっ……」という音。
そして、それと一緒に――
「くぅっ……あ、ん……もっと……入って……カイル……」
その名を口にするのを、確かに聞いた。
そして、その直後――一瞬、沈み込むような動き。動きの終わりと共に、アイズの身体がぴくんと跳ねて、深く押し込まれる。
「っ――ぁ……ああ、っ……!」
声が、止まった。
息が、詰まるように短く鳴り、そのまま、全身がぴたりと静止する。
空気が変わった。
そこにあったのは、満たされたという気配。何かが注ぎ込まれていると、そうわかってしまう温度と沈黙。
ベルの背筋がぞくりと震えた。
(……出された……今、確実に……)
逃げたい、見たくない。でも、それは確かにそこにあって。アイズの奥が“受け止めた”その瞬間が、すでに視界にも、耳にも、匂いにも染みついていた。
その余韻が空間を満たす中、ゆっくりと、アイズの呼吸が整っていく。そして――ぬるりと腰を引いたかと思えば、今度は何の躊躇もなく、彼女の身体がベルの顔の上へと移動する。
何の言葉もなく、ただふわりと腰を落とす。柔らかく、温かい彼女の肌が、唇に触れた。
逃げようとした反射は、後頭部に添えられた手によって封じられる。
「……ちゃんと舐めて。ベルの舌じゃないと、奥……届かないから」
囁く声は甘く、どこまでもやさしく。でもそれは、逃れられない命令だった。
鼻先に漂う、甘く湿った香り――その奥にあるのは、さっきまで交わっていた“残り”の匂い。
次の瞬間、ぬるりとした液体が舌の上に落ちた。重く、ねっとりとしていて、喉に落ちることを拒むように舌に絡みつく。
(うっ……やだ……)
舌を引いた瞬間、アイズの腰がほんの少し沈む。逃げ場は与えられない。
奥がぴくりと震えたかと思えば――
「くぽっ……っ、ぬちゅ、ぶちゅっ……!」
空気の混じった音が、直接耳元に響いた。内圧に負けて、何かがこぼれ出るような、生々しい音。
続けて、「どろっ……と、ぬる……っ」
舌の上に、一塊の重たい液体が、ぶちまけられるように流れ込んだ。
喉へと押し寄せるその感覚。ひとつ、ふたつ、時間差で連続して落ちてくるそれは、粘りと熱をともなっていた。
「っ……あ……まだ、こんなに……」
アイズの息がわずかに乱れ、そして、囁くように言う。
「……カイルの、ほんと……量、多すぎ……っ。奥……全部、溜まってる……」
そのまま彼女の腰が深く沈み、「ぬちゅ……ぶちゅっ……」という音がまた重なる。
(やめて……その名前、今……言わないで……)
喉が跳ねる。拒絶しても、流し込まれる。
味、匂い、熱、音、すべてが重なって、ベルの舌に、鼻に、目に、心にこびりついて離れなかった。
「ね、どこまでできるの? まだ……いけるよね?」
その一言で、また舌が動いてしまう。
外縁をなぞり、膣の皺を押し広げ、溜まった粘液をぬめりごと掬い取るように舌先を差し入れる。
くちゅっ、ぴちゃっ、ぬちゃ……音が空間を濡らし、粘液が顎を伝って垂れていく。
また、「ぶちゅっ……どろ……っ」と落ちてきた。もはやそれは、零れているのではなく――押し出されていた。
飲まなければ、呼吸ができない。舐めなければ、終わりが来ない。
飲みたくないのに、飲んでしまう。それが“誰のものか”、アイズの口から名指しされたことで、逃げ場は完全になくなっていた。
やがてアイズが静かに腰を上げる。密着が解かれた瞬間、ベルの膝が崩れた。
拘束された手では支えきれず、そのまま床へと前に倒れる。額が冷たい床に触れる感触だけが、現実だった。
(……終わったのか……)
喉の奥に貼りつくぬめり。口の裏に張りついた味。全部、僕の意志とは関係なく、受け入れてしまった痕跡。
涙が落ちる。嗚咽が漏れる。情けない音が、誰の耳にも届かぬように床に吸い込まれていく。
(僕は……)
自分というかたちを思い出そうとする。それだけが、壊れないための最後の足場だった。
アイズの気配が、静かに遠ざかっていく。
ゆっくりと、足音がふたつ。ベルの背後で小さく、でも確実に鳴っていた。何も言葉を交わさず、アイズとカイルは部屋を出ていく。
ドアがわずかにきしみ、閉まる音が響いた。
その余韻が静まりきる前に、背後から柔らかな声が落ちてきた。
「……また、お願いするね」
それはアイズの声だった。やさしくて、壊れそうなくらい澄んでいて――でも、確かに命令だった。
アイズはふっと微笑み、カイルの腕に甘えるように寄り添いながら歩き出す。
わずかに身体を預けるその仕草に、行為の余韻がまだ身体に残っていることがにじんでいた。
カイルは何も言わず、彼女の腰にそっと手を添える。
そしてふたりは、静かに部屋をあとにした。
床に涙と白濁が混ざる中で、僕はただ、声もなく泣き続けた。
――それでも、自分は壊れていない。そう言い聞かせながら、粘り気の残る呼吸を、ひとつ、またひとつ、繰り返していた。