ふかふかダンジョンでエンジョイ&エキサイティング! 作:RAP
ケツ穴娘が死合いの感動とかなんかそういうのを全部持っていった次の日。
開拓城壁都市アイギスの一角、豪奢で階数も高い建物丸ごと一つ。
ここはSのA級パーティ『
なお真の本拠地は札束ビンタで強引に建設されたアイギス港街だ。
交通の便も良く、観光客で大変賑わっている港街でありながら、防衛能力は人類最高峰。
ユーリの子供達が全員そこで暮らしながら、セスレやメイド達の手で元気に育っている。
その建物の応接室。
部屋の外にケツ穴娘、もといナァルちゃんを待たせながら。
ユーリ(男性体)とジャンが、真剣に話し合っていた。
ユーリの後ろにはメイド姿のバーチェが控えているが、無言を貫いている。
ユーリは個人用椅子に座り、ゲンドウポーズ。真剣なまなざしだ。
「ジャン君。確かに、侯爵家の説得をもってすれば最初からナァルちゃんと結婚し、ペッサリーで
原作1巻66Pの、超シリアスなジャンが片手で顔面を押さえている図。
まさにそのポーズで、ジャンは真剣に悩んでいる。
「正直言えば、僕も似たようなことはやった。だがそれは、所有者に逆らえない処女の奴隷メイドに対して、強制的な命令で尻の開発に同意させただけに過ぎない。今回の件はそれとは比較にならない……偶然出会い、向こうからパーティ加入を望んできた巨乳の美少女が。故郷のしきたりだからと『前の処女はそのまま、他は何でもするし尻もOK』と照れ顔で言ってくる……」
「俺に対する先輩呼びと、
「素晴らしい。逸材だ。極上素材の天然美少女……だろう、ジャン君?」
パシィン。
そのまま足を組み、膝の上に手を乗せ、作画:平野耕太でユーリは語る。
「ナギもウォルも約束通りハーレム要員としてジャン君に下げ渡した。……そう、下げ渡したんだ。彼女達は僕も抱いたし、当然前の所有者であるアロの義父も抱いただろう。ナギに至っては経産婦、つまり妊娠までした……死産だったようだがね。でもそれは仕方が無い。彼女達は奴隷メイドだから、世界のシステムとしての必然だ。だが……ナァルちゃんは違う。まっさらなキャンバスだ。その口も、前も、後ろも……ジャン君の色に染め上げることができる」
「他の男が寄ってこない……Z級でありながら、専属同然……」
「専属同然、ではレイドを組んだ時に不安が残る。念を入れて専属契約を結んだ方がいい。ナァルちゃんの故郷は『都合よき伴侶を求むなら、まず自ら都合良き伴侶たるべし』という信念を抱く誇り高き土地だ。『キミは普通でいい、Z級でなくともいい』『倍の報酬を出そう』と言い出すこと自体は簡単だが、彼女には逆効果だろう。『
「そんなの……」
片手で顔面を押さえた超シリアスなジャン。
「……そんなの、興奮しちゃう……ぜ?」
「決まりだ。バーチェ、ナァルちゃんを呼んでくれ」
「かしこまりました」
バーチェは秘書として室内の会話を聞いていたが、何も聞かなかった振りをした。
扉を開け、会議室の外で待機していたナァルに声をかける。
ナァルはナァルで、突然美人のエルフに話しかけられてびっくりした。
「どうぞ、ナァル様。お入り下さい」
「え、エルフの長耳さんっす……」
「バーチェと申します。まずはこちらへ」
「やあナァルちゃん、はじめまして。冒険者のユーリです。適当にその辺に座ってね。ナァルちゃんと『ジャンパーティ』の専属契約について話し合おうじゃないか」
「は……はいっす! ありがとうございます!」
「ナァルちゃん」
先ほどまでのシリアス顔はなんだったのかというぐらい、ジャンはニコニコ笑顔でナァルに語りかける。
「『
「ナァルちゃん、冒険者学校の有料授業代も全部こちらで出そう。受けられる授業は全部受けておくといい。装備に関しては、見た目こそその辺の鍛冶屋で買えそうなものに偽装してあるが、中身は最新技術を投入した別物を提供しよう。あとで秘書に案内させるから、身体のサイズを計測させてほしい」
「何もかもありがたいっす。部屋代が無くなるのも大助かりっす」
「じゃぁ……ジャン君との専属契約、受けてくれるかな?」
「はいっす! むしろこちらからお願いするっす!」
にこにこ笑顔のナァルに対して。
ユーリとジャンは、悪い顔で微笑み返した。
バーチェは、男は女が絡むと駄目になると最近ようやくわかってきた。
『JKリフレ』が男に対して何故効果的なのかは、思考停止したかった。
* * *
「次の面接相手は来てる?」
「既に待機しております」
「丁度いい、呼んでくれ」
「かしこまりました」
ナァル同様に、バーチェのエルフ耳に一瞬だけ面食らうも。
次の面接相手は、堂々と強いまなざしで入ってきた。
さらにその後に、妙齢の女性が二人、入室してくる。
「6年、それとも7年か。……久しぶり、と言いたいところだが」
短髪にして20代後半のイケメンが、いらつくように声を出す。
「SのA級、
ユーリはニッコリ笑顔で、どうぞ座ってと手で示す。
「何年経っても薙刀の上位ランカー止まり。B級パーティ『カマセドッグス』のリーダーとして皆から尊敬されてはいるものの、A級認定は受けられない。そんな中途半端な立ち位置のカマセさんに、良いご提案をしようというだけの話です」
「ほう?」
カマセの放つ殺気に、カマセの後ろに立っていたアテウマとヒキタテーは、思わずひっと悲鳴をあげた。
「SのA級パーティ『
「
「刎ねてどうするんです。何の意味も無い」
今のやりとりには、裏の意味がある。
俺を殺したいのならやってみろ、という威嚇と。
殺そうと思えばいつでも殺せますがなにか、というスルーだ。
「……言ってみろ」
「『カマセドッグス』の解散、及び新設する特殊部隊の隊長役の打診」
「俺のパーティの解散……だと……?」
「ついでに言うなら、アテウマさんとヒキタテーさんと結婚、ですね。他に意中の女性がいるということであれば、聞かせて下さい」
カマセは目の前に置かれている飲み物入りのグラスをユーリに投げつけそうになったが、寸前でこらえた。
一気にグラスの中の飲み物を飲み干し、ユーリを睨みつける。
バーチェは一切空気を読まず、一礼してから飲み干された飲み物を補充する。
「今の俺が何のために生きているのか、知らぬわけではあるまい」
「レッドキャップの白面金毛に妻子を殺された。だから復讐したい」
「それを知っていて何故引き抜こうとする!」
つまらないことを聞くなぁ、という顔をユーリは見せる。
「強い白面金毛に復讐を願う弱いカマセさんは、そのうち仲間全員を巻き込んで無駄死に……
「貴様ァ……!」
「言い換えれば……白面金毛以外なら貴方は勝てるんです、カマセさん」
「なっ!?」
突然褒められて、カマセは動揺する。
白面金毛に相対して『だが反応できる! かなわぬとは感じないっ!』なんて台詞返してるの、真面目にカマセさんぐらいですよ。他のモブはガチで瞬殺されてるんで。
だから一兵卒として鍛えてもいいんですが……貴方の死に対して皆が号泣する程、貴方はリーダーとして愛され、信頼を得ている。
その指揮能力、捨ててしまっては勿体ない。
「思考を切り替えてみてください。復讐の末にカマセドッグスごと全滅しても自己満足以上のものは得られない。そうではなく、白面金毛に対して出来ることを一つずつやっていけばいい。まずはセルヨーネ侯爵家の全面バックアップを受けた特殊部隊のリーダーになる。白面金毛の足を引っ張ることができるチームを率いて……連中が突然現れて人間の基地や町を襲って大勢殺すように、同じ事を。不意打ちで亜人達を殺し、姿を見せずに撤退する。カマセさん自身が白面金毛を倒せずとも、倒す力量があるものを率いて戦えば良い。そうは思いませんか?」
「……」
カマセは熟考する。パーティとしても、個人としても伸び悩んでいたのは事実だ。
「あ、あのー」
「私達とカマセさんの結婚、というのは?」
アテウマとヒキタテーが、恐る恐る声をかける。
「Z級というだけではなく、カマセさんが好きだから貴女たちはカマセさんを支えている。ただ、カマセさんが特殊部隊入りをするなら、お二人はこの後の戦いにはついてこられない。でもカマセさんは、作戦行動中に撤退すべき場面で、復讐を選択してしまう懸念がある……だから、お二人にはそんなカマセさんが帰り、安らげる場所になってあげてほしい。殺された妻子のことを忘れられないカマセさんのことを好きになってしまったのなら、そんなカマセさんを丸ごと愛してあげればいい。妻子二人の代わりに、貴女たち二人が癒やしの存在となってください。もし子供が産まれれば、天秤は余計にカマセさんを生還に傾けるでしょう。白面金毛に勝てると勘違いをしたまま、無謀な自殺をするカマセさんを引き留めることができるのは、貴女たちだけです」
ユーリの言葉を聞いて、カマセは歯がみする。
「俺じゃ白面金毛には届かない、それはわかった。メンバーは?」
「今集めている所です。目をつけている人材がいるので、必ず引っ張ってきます。少数精鋭のチームになります」
「チーム名は?」
「犬に狼と書いて、
「けんろう……
カマセは振り返り、後ろに立っているアテウマとヒキタテーの顔を見る。
二人は顔を真っ赤にするも、強い意志の宿った目でカマセを見返す。
「……いいのか? 妻子を忘れられない俺で」
「さっきユーリさんが言っていた通りです。そんな貴方だから、大好きです」
「亡くされた妻子に勝とうとかは思ってません。横に並び立てれば、と思います」
「そうか……俺の目は、本当に節穴だったようだ。情けない」
ユーリは、カマセに手を伸ばす。
「結婚を機に冒険者稼業から半引退し、セルヨーネ侯爵家が設立した輸送会社の社長に就任した。冒険者自体は続けるが、パーティ存続は断念した……表向きのシナリオはそんなところでしょうか。よろしくお願いしますよ、社長」
「いいだろう、侯爵。結婚式代ぐらいはサービスしてくれるんだろうな?」
カマセは答えて、握手をかわす。
「ふふっ、いいでしょう。セルヨーネ侯爵家は飲食店も経営してますんでね、二次会も丸ごと貸し切りをお約束しましょう。バーチェ、ブライダルプランの構想を企画案にまとめてくれ」
「かしこまりました」
「ま、部隊の特性上、裏切り者には死を、となりますので。そのへんはよろしくお願いします」
「嫁二人は、人質でもある……そういうことだな?」
「話が早くて助かります」
「ははっ、わかりやすいな」
笑顔で会話するユーリとカマセの二人だったが、アテウマとヒキタテーは結婚を喜ぶべきなのか人質となったことを悲しむべきなのかわからなくなった。
しかし、ユーリの次の一言で態度が変わる。
「もしお二人がカマセさんの子供を産んだら、新居を贈呈しますよ」
「「頑張って産みます!」」
セルヨーネ侯爵家特殊部隊・
結婚を機に、カマセさんがカマセドッグスを解散する。
そんなニュースに、アイギスの冒険者ギルドは大騒ぎになった。