※この作品はR-18です。

「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!?   作:白拍子

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106「ぴくにっく」

【桜市中央公園】

 

ふふふ、リサです。

ちょっと町の施設をご案内しますね。

ああ、そんなに警戒しないでください。本当に観光案内みたいなものですし、設定説明みたいなものですもの。

 

 

桜市の都市部中央に広がる桜市中央公園。

 

「都市の中で自然を感じる」

 

というコンセプトのもとに整備された、広大な総合公園。

園内に一歩足を踏み入れると、木々のざわめきや土の匂いが迎えてくれる、それはまさに都会のオアシス。

 

公園の中心部には、四季折々の植物が楽しめる路が続き。

都市の喧騒を忘れ、ゆったりとした時間を過ごせるプロムナード。

 

公園の広場は、桜市の文化発信地としても有名です。

音楽フェス、野外演劇、ストリートパフォーマンス。

世界の料理が集まるフードトラックエリア

週末には多くの市民や観光客で賑わい、桜市の顔とも言える活気に満ちています。

 

 

自然の地形を活かした低山ゾーンが広がります。

岩肌が露出したワイルドな斜面。

木々が密集し、昼でも薄暗い森の小径。

小さな沢や自然のままの地形。

 

都市公園とは思えないほどの山の気配が残り、軽いハイキング気分で楽しめる人気スポットです。

遠足にも使われるんですよ。

 

 

低山エリアの頂上には、ガラスとスチールで組まれた近代的な展望台が設置されています。

桜市の街並みを一望。

夜景スポットとしても有名で。風が心地よく、デートにも最適。

ここで告白が成功すると、末永く付き合えるという、身勝手な都市伝説まで創られてしまってます。

 

展望台へ向かう道は自然豊かで少々厳しいですが、散策と絶景の両方を楽しめる贅沢なルートです。

それなりに体力も必要ですけどね。

 

 

光あれば影が刺す。

昼間こそ家族連れや観光客で賑わう、都市の象徴とも言える巨大な緑地です。

しかし、日が沈むと、別の顔を見せる──そんな噂が昔から囁かれていますね。

 

 

公園の奥へ進むほど、街灯は少なくなり、木々が視界を覆い隠してゆきます。

その薄暗いエリアは。

 

「人があまり踏み込まない静かな場所」

 

として、若い恋人たちの密かな逢引スポットになっています。

地元では半ば公然の秘密で、邪魔をしないのが暗黙の了解ですね。

一通りデートを終えて、ラブホテルに向かう前の、夕闇が覆い隠す背徳の一時を過ごせるというものです。

 

 

また、一部の岩場や茂みの奥には、スラムほど荒れてはいないものの、行き場を失った人々が簡易的な住まいを作っていると噂されています。ええ、ホームレスです。

古いブルーシート、使い込まれた毛布、小さな焚き火の跡、廃材で作られたバラック、段ボールハウス。

そんな痕跡が見つかることもあり、公園の深部で生活するホームレスの存在が語られています。

 

 

さらに外縁部の一部。人が普通に散策する道から外れた人の少ない暗がりに。

夜になると売春目的で集まり並ぶ女性達がいるとの事です。

本当に、スラムよりマシな……人たちだそうですが…………治安対策で見回りは強化されているものの、完全に姿を消すことはないらしいです。

まあ見回りも割引とかで、見逃しているのでしょうし。

 

 

昼は文化と自然の中心地、

夜は都市の抱える問題が静かに顔を覗かせる──

その二面性こそが、この街を象徴しているのかもしれませんね。

 

 

さてさて、そろそろアキラとアヤを迎えに行きましょう。

 

 

【ピクニック】

 

「ふっ来たわね」

「アヤ……果たし合いじゃないから………いえ、それも面白いかも……」

 

桜市中央公園の山間部エリア。

展望台へ向かう木漏れ日の道で、

黒の短シャツにジーンズのスカートで軽快なアヤと、白ワンピースで柔らかなリサが並んでいる。

 

「よう! 待たせたな。二人とも可愛らしいぜ。まさに行楽日和な今日この頃。俺としては両手にフラワーで幸せ満開。ついでにマン開してくれればいつでもパコれる準備オッケイだぜ!」

「大声で恥ずかしいこと言うなバカ!!」

「アキラが望むなら………それもいいかも……ふう」

 

そこへ、アキラがカーキのシャツジャケットに濃紺のデニム。爽やかなピクニックコーデで現れる。

二人の間に立っても違和感がなく、むしろ三人の色味が自然に調和する。

周囲でやり取りが耳に入ってしまった男性たちが、アキラに爆発しろと心中願う。

 

「確かにそれもいいが、とりあえず話し合う事をきっちりしてからだよな」

 

入寮という大事な話をしに来たはずなのに、どこかピクニックのような空気が漂う──

 

 

木漏れ日が揺れる山道は、舗装こそされているものの、ところどころ岩が顔を出し、まるで本当に小さな山へ登っているよう。

アヤは軽快な足取りで先を行き、ボディバッグを軽く叩いてみせる。

 

「おにぎり、ちゃんともってきたわよ。崩れて……ないはず」

「ほう? 石のようにかた~く、凝縮したコメの塊にはなっていないと?」

「おにぎりで撲殺されたいの? あんたは?」

「ミステリーで凶器のネタになりそうね………」

 

確かにふんわりでなく、握り固めたおにぎりは凶器であろう。歯が立たない。

 

 

リサはその後ろで、両手で抱えたバスケットを揺らさないように慎重に歩く。

白いワンピースの裾が風に揺れ、どこか森の妖精のような雰囲気すらある。

 

「サンドイッチ………ほら、昔もこうして持ってきた………」

「ふつう、卵とかハムとか、野菜よね。ちょっぴり豪華でもトンカツ」

「ローストビーフを濃厚にとか、カットしたエビフライとか、フルーツにクリームてんこ盛りとか。俺達には常識外だったな………」

「え………………違うの?」

 

サンドイッチの具の常識は、そのご家庭それぞれであり。家系の文化と歴史を表しているのかもしれない。

 

 

アキラは二人の少し後ろから、バッグパックのストラップを握り直しながら笑う。

中には温かいスープのポットと、三人分の飲み物。

重さはあるが、どこか心地よい負担だ。

 

「まっ、こういう重くてかさばるのは、男の役目ってやつだな」

「便利よね~熱々のスープが楽しめるのはいいけど、密封や保温を考えると重くなっちゃうわね」

「それに飲み物も含めれば……5キロは軽く超えているはず…………ふふふ、冷めてないスープ楽しみ……」

「おう! 楽しみにしろよなっ!」

 

バックパックの位置を直し。どうしても重くなる液体物の運搬を、アキラは担う。

 

 

「覚えてるぜ~あの時も、こ~んな感じで登ったよな。アヤが走って先に行って、リサが『こけますよ』って言ってさ」

 

アキラが遠足の時の話を懐かしく思い出し、アヤが振り返り頬をふくらませる。

 

「だって楽しかったんだもん。今もだけど!」

「そして盛大にすっころんで、パンツ丸見えにしてくれた」

「思い出すな! 記憶から消せ! 馬鹿!!」

 

思い出話に対し、罵倒が響き渡る。

リサはくすりと笑い、バスケットを抱え直す。

 

「ええ……楽しかった………あの頃は、展望台がすごく高い山の上に見えたから………」

 

アキラも頷きながら、木々の間から見える展望台のシルエットを見上げる。

 

「今見ると、そこまで高くないんだけどな。でも……なんか、あの時のワクワクは変わらないな」

 

三人の足音が、土を踏むたびに柔らかく響く。

鳥の声、遠くの街のざわめき、そして時折吹き抜ける風。

それらが混ざり合い、まるで昔の遠足の空気をそのまま再現している。

 

アヤがふと立ち止まり、振り返って言う。

 

「ねえ、あの時もさ……展望台でお弁当食べたよね。あの時みたいに食べよ?」

 

リサは微笑み、アキラは軽く頷く。

 

「もちろん。せっかく持ってきたんだしな」

 

三人は再び歩き出す。

荷物の重さも、坂道のきつさも、どこか心地よい。

まるで、あの日の延長線を歩いているような、そんな穏やかな時間。

 

 

そして………穏やかでない話をする時も近づいてくる。

 

 

【不協和音の支配者】

 

展望台に着いた三人は、吹き抜ける風に汗を冷まされながら、桜市の街並みを見下ろしてひと息ついた。

空は澄み、遠くまで見渡せる。和やかな風景。

 

アヤはボディバッグからおにぎりを取り出し、リサはバスケットを開いてサンドイッチを並べる。

アキラはバッグパックから、ずっしり重いスープポットを取り出す。

 

「じゃあ、とりあえず食べよっか」

「うん……いただきましょう」

「温かいから、まずはこれ飲めよ」

 

アキラが得意げにスープをよそった瞬間──ふわりと立ち上る強烈なスパイスの香り。

嗅覚を支配するその香しさに、アヤとリサの動きが止まる。

 

「……アキラ。これ、なんのスープ?」

「スパイシーなスープカレー。ピクニックって言ったら、カレーだろ?」

「いや、どこ情報よそれ!」

「あぁ………カレーに浸食されてゆく…………」

 

アヤの眉が跳ね上がる。ポニーテールも跳ね上がる。

しかしもう遅い。

アヤのおにぎりをスープに落とすとカレーリゾット風となり。

リサのローストビーフサンドにスパイスが染み込み支配し、エビフライサンドは完全にカレー風味の揚げ物へと変貌してゆく。

 

 

そして──

 

展望台の風がふわりと香料まみれに吹き抜ける中、

リサは自分の目の前のフルーツサンドをじっと見つめていた。

クリームがたっぷり、果物は瑞々しく、見た目は完璧。

そして、横にはアキラのスパイシーなスープカレー。

 

アヤが「え! なにをするつもり!?」と目で訴える中。

リサは静かに、しかし覚悟を決めた表情でフルーツサンドを一口、そしてスープカレーを──飲む。

 

「……………………………………」

 

風が止まったような沈黙。アヤが恐る恐る覗き込む。

 

「リサ……?」

 

リサは目を閉じ、まるで味覚の研究者のように真面目な声で語り始める。

 

「まず……クリームの脂肪分……スパイスの刺激と真正面から衝突事故………甘さが辛味を包み込もうとして……逆に、辛味が甘さを押し返して……双方が譲らない、口の中で戦争状態……」

「戦争って言っちゃった!!」

 

リサは続ける。真剣そのものだ。

 

「さらに……スープカレーの煮込まれた野菜の柔らかさと、フルーツの生の食感が……とても気まずい出会いをしています。どちらも主張が強く、互いに『あなたは誰』という距離感を保ったまま混ざらない……」

「そんなに仲悪いのか……?」

「ええ。 そして最後に……クリームの甘い余韻に、スパイスの香りが追い打ち。これは……不協和音………音楽で言うなら……調律前の音程の外れたオーケストラ……舌の上で甘味と刺激が尾を引き合う……ふふふふふふふふふ」

「例えが高度すぎるわよ!」

 

リサは胸に手を当て、深く息を──大きく吐いた。

 

「……結論としては……食べられなくはない、二度目はない……………ぷくくくくくくくく……これは……そういう味……」

 

そして悶絶する。

 

挑戦しなければいいのにとも思ったが。その勇気は讃えなくてはいけない。いらない勇気ではあるが。

 

「わたし……アキラのカレーに染まってゆく………」

「いやそういうの、いいから」

 

身をくねらせるなにか駄目な艶っぽさを見せるリサに、アヤは突っ込むしかなかった。

 

 

【本題】

 

そんなこんなで楽しく食事が進む中。

 

「そろそろ本題に入るとするか」

 

アキラが空を見上げながら切り出す。

その声は、さっきまでの軽口とは違う。男として、ヒーラーとして、仲間としての真剣さを帯びている。

 

「俺は入寮の話を受ける。これから戦うにも、みんなで手を携えるのは必要だ。俺達だけでできない事、届かない事も。助け合えば…………届く。アヤが助かったように」

「そうね~まっ寮に入るのは賛成。いちいち集合したりするのも手間だし、情報とか素早く共有できるのって大事でしょ。戦っているのが私達だけじゃなくて、目的は一緒なんだしね」

「賛成………カオリさんって少しズレているけど、少なくとも善人…………私達もそれを支えて、よりよい戦いができるよう話し合える場は近い方がいい」

 

アヤの迷いのない返事。リサの静かな頷きが。

即座に帰ってくる。

 

「な~~んだ、ほとんど話おわっちゃったじゃないか」

「まあね~~でも電話とか立ち話で決めて、確認するような事じゃないし」

「確認しあうの大事……賛成してくれると思いこむの危ないから………」

 

アキラが腕を組んで苦笑し。アヤは大きく頷き。リサはすれ違わない気持ちの確認を示す。

 

「まっユウヤたちもそんなに感じ悪くないしね」

「うむ、でかいおっぱいは正義だよな」

「………さすがに……怒る……………」

「いやいや冗談だって! 実際の話、命を預け合う仲にもなるんだ。仲良くなれない奴と組むわけにはいかないよな」

「そこんところは、これからだし」

「入寮してから、どんな距離を保つか……それは駆け引き………」

「まっ、こっちから仲良くなろうぜと、アピールするのは大事だって事だしな」

 

カオリにしても、ユウヤ達にしても。共闘に足る相手として、まだまだ未知。

ならば関係を寄せるのはこちらから。とはいえ、適切な距離はまだ見えない。

 

「そういえばアスカは? 誘ったけど『お邪魔できないっしょ、それにもう用事済ませてるし』って」

「あ~~悪い、先に話する機会があったので。アスカも入寮に前向きだ」

「手際がいい……よすぎ…………それもアスカだから、それらしい……わたしたちとはまた違うもの……」

 

それもまた仲間に対する信頼。

 

 

アヤは展望台の柵に手を置き、桜市の街並みを見下ろして語る。

 

「わたしね……いまここから見える風景、好きよ。けどハラマセーに侵略されたら、あの触手城みたいに街がなっちゃう………それが嫌だから、それで犠牲になる人が出るのが嫌だから。そんな自分勝手な思いで戦いたいの……」

 

アヤの眼前に広がる光景が。

触手城のような廃墟に変わり、ゾンビーが触手が、犯し、浸食し、狂わせ、繁殖してゆく。そんな理不尽な侵略に蹂躙される光景を幻視する。

アキラとリサを振り返る。

 

「アキラもリサもそれに巻き込んじゃってるかなって………」

「ば~かいうな。一緒に戦うだろ。俺だってバケモノに滅茶苦茶にされたくねえ。特にアヤとリサを。そこからはじまって救いたい人を、だな」

「……………………眩しい…………だからこそわたしは………二人と一緒に戦いたい…………もう迷わない、離れたくない……」

 

「はぁぁぁぁ~~~~私達って単純なのかしら?」

「よいことするのに難しく考えると、なんかおかしくなるぜきっと」

「それを押し付けにならないよう……気をつけたい……ふふふ」

 

アヤは大きく息を吐いて。アキラは笑い。リサが微笑む。

 

「ヒーローごっこじゃなく、ヒーローしようぜ」

「世界とか大きく考えすぎないで、街を隣人を。好きな人を守る。それでいいじゃない」

「やらない善よりも………やる偽善……」

 

三人は視線を合わせ、自然とこぼれる笑み。

 

「これからも、よろしくね」

「おう!」

「ええ……」

 

差し出した手が重なる。

展望台の風が三人の髪を揺らし、桜市の街並みが静かに広がっていた。

三人の決意は、その景色よりもずっと強く、温かかった。

 

 

【口直しにならない】

 

「やっぱりカレーの後じゃ、フルーツサンドがデザートにならないぃぃ!! まったくもう、味噌汁とかコンソメとか、そういう普通でいいでしょ?」

「わかった、次は濃厚なクラムチャウダーで」

「クリーム系でありがちで外さない選択だけど……乳製品塗れになる……………」

 

スープに関しては紛糾した。

 




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