「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
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【午前中:ヒナタ/スポーツカー】
午前の針が進むサクラ寮の前に、甲高いエンジン音が響き、真紅のスポーツカーが滑り込む。
跳ね上がるドアから、南米系の陽気で美しい褐色肌の女性が降り立つ。ヒナタの母だ。
その後ろから、長身で母と同じ褐色肌の少女──ヒナタが荷物を抱えて続く。
「おふくろ、やっぱこれってさ、派手すぎるって」
「なぁに言ってるの、ヒナタ。入寮の門出の日はなんだから、華やかに決めるに決まってるものよ!」
ヒナタが眉を寄せると。母は笑いながら背中をバシバシと叩く。
「ようこそ、サクラ寮へ。歓迎いしますわ」
「よう、二番手はヒナタか。よろしくな! それにしてもすっげえ車!」
「真っ赤だし! かっこいいし!」
「ハハハハハ! そうでしょ! かっこいいでしょう!」
カオリが流麗な挨拶でヒナタを迎え。
アキラとアヤはヒナタに挨拶した直後、乗りつけたスポーツカーに見入ってしまう。
ヒナタの母も明るく自慢を隠さない。
【母と娘】
「ちっまったく、派手すぎんだよ、おふくろは……あ~これから、おふくろもあっち行くんだろ? またしばらく会えねえし、ちょっといいか?」
「ん~なになに?」
荷物を降ろすと、ヒナタはまた日本を離れることになった母に向き直る。
カオリたちは察して、少し離れた距離を取る。
「おふくろ。あたしさ……最近、ちょっと変わったんだ」
「ん? どうしたの?」
「この肌も、背の高さも……全部イヤってムカついてさ。混血だからっていじめられたのもあって、強くならなきゃって、暴れまくってた。いやまあ今でもそのまんまぽいけどさ」
ヒナタは少し照れながら、けれど真剣に言葉を選ぶ。
母はにこやかに聞いている。
「でもよう、そのなんていうかさ、仲間ができて、あたしのこと、ちゃんと見てくれるやつらがいてさ、この体も悪くないって思えるようになったんだ」
母は目を細め、ヒナタの頬に手を添えた。
「ヒナタ。あなたはずっとずぅっと綺麗なのよ。ただね、それを信じられなかっただけ、おバカさん」
「ば、ばかはね~だろってもう。あたしはさあ、その、まだまだだけどさ。でも、前よりはその……自分を好きになれた……ってやつかなって」
「それで十分よ。自分を好きになれるって、すっごく大事なことなんだから」
母の言葉に照れと恥ずかしさが湧き上がってしまう。
母はヒナタの肩をぽんと叩く。
「寮生活、楽しみなさいね。かわいい女の子もいっぱいいるんでしょ?」
「お、おふくろ!」
「ふふっ、いいじゃない。誰を好きになっても、私は応援するわよ。女の子でも、男の子でもね」
ヒナタは耳まで赤くなるのを、カオリ達は遠目でも確認できてしまう。
これがユウヤ達であれば、珍しいものが見れたと。しばらく話のネタにされているであろう。
「そ、そういうのは……そのっあたしの勝手だろ……」
「もちろんよ。ただし──ハメを外しすぎないこと。共同生活なんだからね」
「わ、わかってるって!」
母は指を一本立て、ヒナタの怯む様子を可愛らしいと見つめる。
カオリとアキラとアヤは、ガーデンパラソルの日陰の中テーブルでお茶しながらの、母と娘が別れるシーンの観劇である。
「それと……あの子。ユウヤくん。あの子とは、いい感じなんでしょ?」
「……! ああ、そだよ」
即答しつつも、つい目を逸らしてしまう。
「はいはい。でもね、もしそうなら、ちゃんと気をつけなさいよ。お母さんもね、若い頃いろいろあったからわかるの、避妊はちゃんとしなさいね」
「おふくろおおおおお!!」
母は豪快に笑った。
【ヒナタ/入寮】
笑いが落ち着いたあと、ヒナタは少し真剣な顔になる。
「おふくろ。あたしさ、寮に入るの……ただの生活のためだけじゃないんだ」
「うん、な~んとなくだけどね、わかってるわ」
「これから……ちょっと大変なことがあって。言えないけど……けど、あたしは逃げねえ。仲間と一緒にちゃんと向き合う。そのために入寮する」
母はヒナタの両肩を掴み、まっすぐ目を見る。
「ヒナタ。あなたが決めたなら、それでいい。あなたは強い子よ。でもね──強い子ほど、誰かに頼っていいの。ひとりで背負っちゃ、絶対だめよ───」
母は優しく抱きしめる。
ヒナタは、母の胸に顔を埋めながら小さく頷く。
「……うん。ありがと、おふくろ」
母は車に乗り込み、大きく手を振る。
「ヒナタ! 楽しんでね! そして──恋も愛もエッチな事も、たっぷり楽しみなさいね!」
「うっさい!! 行け!!」
スポーツカーが走り去り、ヒナタは深呼吸をひとつ大きくつく。
(よぉし。ここからが、あたしの新しい生活ってやつだ)
カオリ達が迎えるサクラ寮の玄関へ向かう、長く刻む足取りは軽やかだった。
【観劇歓迎】
サクラ寮の玄関前。
ヒナタの母のスポーツカーが去っていくエンジン音が、軽やかに空気を震わせて消えていく。
一連の様子を、少し離れた場所から観劇している四人がいた。
「ヒナタさん、ずいぶん素敵なお母様ですわ。あの別れの抱擁……まさしく映画のワンシーンですわ………うらやましくありますわね」
「なんていうかさ、あれ、完全に海外ドラマの別れのシーンだったけど、すっごく明るくていい母ちゃんじゃないか。ヒナタってさ、もっとピリピリした感じかもって思っちまったけど、あんな顔で笑えるんだな」
「すっきりはっきりしていい感じ。わかりやすいって私好きよ。そしてこれからヒナタとはいっぱいわかりあいたいって感じに、わくわくしてきたわ!」
「…………………………」
ガーデンパラソルの下で、優雅にティーカップを傾けるカオリ。
荷物を運び終えて、タオルで汗を拭くアキラ。
パラソルの外、日を浴びながらヒナタを迎えるアヤ。
昼食の準備をしながら、ちらりとヒナタの方を見るコベニ。
カオリは立ち上がり一歩前へ、スカートをつまみ一礼し。
「あらためてようこそ、サクラ寮へ。ヒナタさん。あなたを歓迎いたしますわ」
アキラとアヤも並んで立つ。
「よっ、ヒナタ。荷物、手伝うぜ」
「寮生活、楽しもう。あんたなら大丈夫!」
アキラは軽く手を挙げ。アヤは根拠のない自信と強気を発揮する。
「あたしを誰だと思ってんのよ。よろしくな、みんな!」
ヒナタは強気な笑みを浮かべ答える。
【昼:ケイ/乗用車】
サクラ寮の前に、落ち着いたセダンが停まった。
派手さはないが、どこか上品な雰囲気をまとっている。
車から降りてきたのは──
恰幅の良い優しい父と、ふくよかで柔らかい感じの母。
その間に、挟まれるようにしてケイが立つ。小柄な体が抱え下ろす、大型のキャリーバックが大きく感じさせる。
「パパ、ママ……ここでいい………………」
「ケイ……本当に大丈夫か? 寮生活は、家とは違う。他人と一緒に暮らすんだ。無理はするな。パパが荷物運んであげるぞ」
「辛くなったら……すぐ帰ってきていいのよ。家はいつでもあなたの場所なんだから」
ケイは小さく笑うが、声は少し震えている。
父は大きな手でケイの頭をそっと撫でる。母も心配そうにケイの肩を抱く。
「うん………………でもね……わたし……もっと強くなりたい………ここで……一歩、踏み出したいから………パパ、だから荷物も……一人で持っていくから………………ママ一緒に荷物……纏めるのありがとう……」
ぎゅっと拳を握りしめ、震える声で、それでもはっきりと告げる。
「そうか。ケイが決めたなら、パパは応援するよ」
「ママもよ。あなたの決心、ちゃんと伝わったわ」
両親は目を合わせ、ゆっくりと頷いた。
「それに……ユウヤも、ヒナタも一緒……マリアとも………わたし、一人じゃない………」
ケイはほっと息をつき、はっきりと笑顔を見せる。
娘の交遊関係に懸念はある。噂を聞くばかりはユウヤもヒナタも札付きの不良だ。留学生のマリアもあまり知った話がない。
しかし、ひきこもりといじめにあっていた娘に親身に接し。自分達にも礼節を持って話を行い、閉じこもっていた娘の世界をゆっくりゆっくりと外に導いてくれて。いじめを行っていた連中とも対決したとの事だ。
はっきり言って普通の友達ではない。
しかし娘を救ってくれたのも事実だ。
直接に言葉も交わし、ただの不良ではない事も感じてはいるが………親としてはどこまで行っても心配は心配なのだ。
父は、少し言いにくそうに咳払いをする。
父親としてはどうしても、娘に釘を刺さなければならない。
「ケイ………男の子とも一つ屋根の下で暮らすんだ。その場の勢いや雰囲気に流されたり、押しの強さに倒されたり、軽い気持ちで……その…………………………………間違いには気をつけなさい。」
「パパっ!!」
ケイは顔を真っ赤にして慌てる。
(やめて……! もうそれ以上に既に色々経験があるなんて………………………………絶対言えない……!)
母はそんなケイの反応を見て、ふわりと微笑み。
やんわりとした視線とその微笑みは。なんとなく察しているけれど語らず。でも気をつけなさいねという、女同士の静かな合図をケイは感じ取って小さく頷き、ケイはさらに真っ赤になり顔を伏せてしまう。
「もう……心配しすぎ……でも…………ありがとう。わたし、ちゃんと気をつける………………………………から……その」
「行ってきます…………」
父は大きく頷き、母はケイの手をふんわりと包む。
ケイは深呼吸をして、寮の玄関へキャリーバックを引いて向かった。
【観劇昼食】
「まあ……なんて温かいご家族ですの。ケイさん、愛されておりますわね。ようこそサクラ寮へ」
「なんていうかさ、もうちょっと内気って言うか、弱気な女の子って印象あったけど。ちゃんと前向いているよな」
「そこんとこはさ、私達も一緒に頑張るってやつでしょ! まずは一緒に筋トレからかしら?」
「自分の足でちゃんと歩いてくるってか。守られるだけでなく、一緒に戦おうぜ……ケイ」
(家族の愛情は、何よりの支えということですか。ケイさんの表情、以前よりずっと柔らかい)
少し離れた場所から観劇していた五人。
それぞれの思いで迎えてゆく。
「えっと……これからお昼ごはん………わたしも……一緒……………いい……?」
「もちろんですわ、軽くランチを取りながら、次に来られる方々を待ちましょう」
「うんうん、一緒にみんなで、楽しく食べよう」
「さっそく、同じ釜で飯を食うってやつだ」
「まっ確かにちょうどいい時間ってやつだな」
「拙者、ご用意いたします、みなさまお待ちを」
ケイは胸に手を当て、小さく息を吸った。
「パパ、ママ……大丈夫………みんながいるから」
入寮を待つ本日のランチメニュー
小さなサンドイッチの三段プレートとして。
スモークサーモンとクリームチーズ、ローストビーフと粒マスタード、卵とハーブのフィンガーサンド。味の色彩が鮮やかに。
ベーコンとほうれん草のミニキッシュが、しっかりとした食感。
季節のフルーツ盛り合わせが、彩りがよく、パラソルの下で映える。カオリ曰く「軽食には欠かせませんわ」と。
かぼちゃのポタージュを、小さなカップで舌を温めてくれて。
焼きたてのプレーンスコーンに、ベリージャムとクロテッドクリーム。軽くつまむものの基準が高かすぎる。これもう軽食じゃないよね、と心の中で突っ込みが入る。
そして複数の茶葉を用意した、紅茶のセット。
ガーデンパラソルの下、白いクロスのテーブルに並ぶのは、どう見ても軽食の域を超えている。
カオリは優雅にティーカップを持ち上げ、微笑みながら言う。
「みなさま、軽くですけど、どうぞお召し上がりになって」
(主様の軽食は、一般基準の豪華ランチに相当いたします………)
みんなが困惑する中。コベニは主君のズレに、心の中で突っ込んだ。
【ケイの個室/母からの箱】
昼食の後、荷物の運び込みにケイは自分の個室へと入る。
「あ………そういえば…………」
荷物の中に、ママから渡された無地の箱を思い出す。
「……お菓子かな………………?」
ケイは母から渡された、ママからの箱を開ける。
ぱかっ。
中には──
ぎっしり詰まった避妊具、コンドームの包み。
「~~~~~~~~っっっ!!?」
ケイは顔を真っ赤にして、箱を閉じたり開けたりしながらあわあわと慌て、かわいそうなくらい挙動不審を繰り返す。
「ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! なんでこんなにいっぱい……!? ちがっ……使う必要ないし……!! ないけど……ないけどぉ……………!!」
「この箱……どこに隠そう……!」
ケイの小さな叫びは、サクラ寮の壁に吸い込まれていき。
箱を抱え、うろうろと室内を無駄にうろつきまわる。
そうしてしばらく錯乱していると。箱の中に、小さなカードが入っているのを見つける。
『ケイへ。あなたが自分を大切にできるように。そして、誰かを大切にしたいと思った時に、あなたが困らないように。ママより』
ケイは胸の奥がじんわり熱くなるのを感じる。
ケイはベッドに腰を下ろし、膝を抱えながら小さく呟く。
「ママ……そんなの……優しすぎるよ………」
時間の経過とともに少しおちつく。
ピュアの能力として、不妊だから必要ない。けれど──
「わたし…………普通のセックスじゃ孕まないから……本当はこういうの、必要ないんだけど………でも……ユウヤと……もし、そういう……ふたりだけの時間に…………使ってみたいって……ちょっと思っちゃった…………興味……あるし……なんか……二人で使うって……ちょっと……ドキドキする………………」
ケイは枕に顔を埋めて、足をばたばたさせた。
「~~~~~っっっ!! わたし、なに考えてるの……!! でも……ユウヤも恥ずかしがってくれて、真っ赤になったりしたら、ちょっと……かわいいかも……………………だめだめだめっ……! そんなこと考えちゃ……………!」
悪戯心も少しだけ過り、ケイは自分で自分の火照る頬を押さえる。
「よし……隠そう……忘れよう……うん……………………忘れよう!」
(……忘れられるわけないけど…………)
ケイの青春は、サクラ寮の小さな部屋で、静かに、でも確実に加速していた
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