「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
リサの両親とも医師です
【夕方:リサ/高級国産車】
黒く磨かれた国産高級車が、傾きかけた光を受け、静かに滑るように走っていた。
運転席にはリサの父。
白衣ではなくスーツ姿だが、背筋の伸びた姿勢と無駄のない動きは、病院での厳格さそのままを映している。
後部座席にはリサと母。
母は柔らかい表情をしているが、その奥には医師としての冷静さが宿っている。
車内には、病院の廊下のような静けさが漂っていた。
「リサ、私は、今回の入寮には反対だ」
「知ってる……」
父は前を向いたまま、低く落ち着いた声で言った。
リサは窓の外を見たまま、短く返す。
「でもね、リサ……わたしは、あなたが経験を積むのは悪くないと思っているの」
母が、少しだけ声を和らげて続け、父は眉をひそめる。
「お前は甘い。リサの関心の強さを、見て見ぬふりはできない」
「父様……またそれ? わたし……別におかしいことしてない……」
「確かにしていない。だが興味の向け方が危うい。医師として、父として、見過ごせるものではない」
「思春期の関心自体は自然なことよ。ただね、あなたは少し、境界線の引き方が独特なの。それを父様は心配しているの」
リサはわずかに眉を寄せ、不愉快を表す。
父は冷静な声で本質を容赦なく突き、母は静かに言葉を添える。
リサは唇を噛んだ。
「幼い頃の誘拐事件の前に、もっと家庭を顧みるべきだった。私も、それはわかっている」
「あなたに寂しい思いをさせたのは事実よ。仕事が忙しいからといって、十分に向き合えていなかった」
父様はハンドルを握る手に力を込めた。
母様も静かに頷く。
リサは、その言葉に胸が少しだけ痛んだ。
(わたしは、別に……自由にできる時間が多い方が気が楽だったし……でも…………でも……)
「だからこそ、今回の入寮は慎重であるべきだと思っている。家族以外の男性がいる環境で生活するなど……危険が多すぎる」
「父様……わたしを信用してないの?」
父は続ける。
リサは思わず声を荒げてしまう。
「信用している。だが衝動は信用していない」
(図星……でも、言われたくない……)
父の……肉親だからこそ言われたくない指摘に、リサは言葉を失った。
【リサの部屋】
リサの部屋は、ぱっと見ればどこにでもある女の子の部屋だった。
白いカーテン、整えられたベッド、机の上には勉強道具と、几帳面に並べられた医学書。
壁にはアヤやアキラとの写真が飾られ、古ぼけたぬいぐるみが一つベッドに置かれている。
外側だけ見れば、 真面目で知的な少女の部屋にしか見えない。
父と母は、リサが触手城に攫われ失踪した数日の間。
失礼を承知でわが娘の部屋に入る。
親友のアヤとアキラに問うても、色よい答えはなく、彼女達の実家にも厄介になっている様子が無い。
状況を進展させるためにも、勝手ながら私室に入り、失踪の原因や行き先のなにかを掴めるならと、親として必死にならない方がおかしい。
だが───医師である父と母の目には、別の層が見えてしまう。
本の偏り
机の端や本棚に積まれた本は、一般的な医学入門書に混じって、生殖医学・発達心理学・内分泌学といった専門性の高い分野が多い。
それ自体は悪いことではない。むしろ知的好奇心としては優秀だ。
しかし──
思春期の少女が自然に選ぶ範囲を、明らかに越えている。研究としても異常だ。
父様は本の背表紙を見ただけで、なにが娘の興味にここまで歪みが生じたのか? 欲望と知識欲の融合は、胸の奥に小さな警鐘が鳴る。
ノートに記された、観察記録のような几帳面さ。
机上のノートには、人体の成長やホルモン変化についてのメモが細かく書かれている。
内容は学術的であるが、表現と考察に性的に露骨な部分が顕著であり。
これは──
「興味の向け方」が、医学生のように鋭すぎるのと、興味本位の暴走が深入りしているとしか見えず。
母はページをめくりながら、娘の知性と、その裏にある強すぎる異常な関心の傾向を感じ取る。
まるで自分の体を解剖するように、性的な変化を詳細に描写した文章───湿った生殖器の反応、脈打つような欲求の波。そんな生々しい言葉が、少女の筆致で綴られている。
さらに踏み込んだ発掘。
本棚に一応すぐに目に晒されないよう、奥に収納された書籍。
年頃の男の子なら、数冊は隠し持つであろう、成人向けの書物がそれなりの冊数を揃え。
一部には無修正の作品や、異常性癖を扱ったマニアックなものまで、種類も豊富なのが興味の熱量を超えているとしか思えず。
引き出しやクローゼットの奥など、よりプライベートが色濃い部分は母が担当したが。
アダルトビデオ作品もまた書籍と同じく積み上げられ。
性的玩具のローターを数種類発見した時には、なんとも言えない感情ではあるが。
思春期の旺盛な自慰の実行を思えば、同性の親として、自分の若かりし頃の恥ずかしい記憶と照らし合わせ、理解を示す気持ちに整理をつける思考。
ディルドやバイブレーターを見つけた時には、さすがに驚きと焦りを感じたが。
未開封で使用の可能性がないのを確かめると、そこまで爛れた踏み込みをしていない事に、安堵の息を母はついてしまうが。
実質、使用に踏み切る前に、ピュアとヒーラーのひーりんぐにて、アキラとのセックスを経験したため。
本物のおちんちんを使用できるのに、偽物をあえて使う必要はないと、クローゼットの奥にしまい込まれただけである。
さらに男性用の、女性生殖器を模したオナホール(開封済み)まで発見すると。なんのために手に入れたのか、好奇心に対し理解に苦しむしかない。
なににせよ、性欲に満ち溢れた成人男性でも、ここまで偏って異様な品揃えをするかどうかは、個人の差はあるだろうが。
年頃の娘としては、異常な執着を感じさせ、親としては心配がもたげてしまうのは、致し方ないであろう。
リサの部屋は、少女の部屋にしては整いすぎている。
父様は医師として、診察を通じ人間の心理を観察するのを、人だけでなく環境を知る事も必要と学び。
わが娘の部屋を、こう判断する。
『外界よりも、自分の内側の興味に没頭する子の部屋』
だと。
「リサは賢い。だが、興味の向け方が極端だ。境界線を越える危険がある」
父は、部屋を見渡しながら静かに息を吐く。
「この子は優しいわ。でも……知りたいという気持ちが強すぎるのね……それも異様に、他の普通の事が興味を持てなくなるほどに……」
母は、娘の枕元にひとつだけ置かれた、古ぼけた小さなぬいぐるみを見つめる。
幼いころ、アキラとアヤと一緒に買い物したものだ。
しかしそれ以外で……購入したという、ぬいぐるみはない。
二人とも、娘が危険な方向へ踏み出す可能性を、医学的な直感で理解してしまう。
「部屋を見てくれたのは必要な事……心配かけてしまったし…………わたしは……普通に知りたいから……ただ……知りたいことが多く……深いだけ」
リサの言葉は理路整然としているが、どこか幼く頑固で、自分の興味を曲げる気がない。
父は、その頑固さが心配だった。
母は、その純粋さが愛おしかった。
リサの部屋は、普通の少女の部屋の皮をかぶった、知性と興味が異様な深淵の少女の魔窟。
そしてそれを見抜けてしまうのは、医師である両親だけだった。
【
「…………リサ、父は、今回の入寮には依然として反対だ。父としてはリサの進みたい道を、真剣に見守るのは家でもできることだ」
「これからのわたしには……必要な事。人として道を踏み外さないために……学ぶためにわたしは……行きたいのだから。その方が……父様にも母様にも迷惑をかけないから、きっと」
父は前を向いたまま、低く真剣に語る。
リサは窓の外を見たまま、淡々と、しかし真剣な熱を帯びた言葉を返す。
自分が人間社会から逸脱しないための訴えかけ。
それは、ハラマセーに身をゆだね、既にバケモノのである孫を産んだのは事実だから。
母は、リサの手をそっと握り、柔らかく口を開く。
「アヤさんとアキラくんが一緒なら、母はそこまで心配していないわ。あなたにとって大切な友人でしょう?」
「おまえは甘い。リサの関心の向け方を理解していないのか? それに、ご迷惑をかけることになっているのかもしれないのだぞ」
母は微笑んでるが、父は眉をひそめる。
リサはむっとした顔で父を見る。
「父様、わたしにとってあの二人は、わたしの事をこの世界にに繋ぎ止めてくれた証……だからこそ大切に……してゆきたいのは……だめなの?」
「だめとか、よいとこではなく。危ういのかもと思う所があれば、父として、医師として、見過ごせるものではない」
父の親としては当然の懸念ではあるが、言い方が一方的で押さえつけるのを伏せようともしない物言いに、リサはさすがに不愉快と反発を露わにし、車内の空気が不穏に満ちる。
母様はため息をつきながらも、どこか含みをもたせ、その重苦しさを払拭する。
「でも……アヤさんとアキラくんとの関係、あれはそうね……協調というか……共有があるというか……ただのおともだちではないのでしょう? でなければあんなにもリサの事をほおっておけない関係を、長く続けるなんて無理よね」
「おまえ!? いやその言い方だと……曖昧な表現はやめなさい。誤解を招く」
「誤解かしら? わたしには、なんとなくそういう空気は見えるのだけれど。それにアヤさんと争い奪い合う───というわけでもないのでしょう?」
一瞬タイヤが鳴る。
父は咳払いをして、バックミラー越しに母を睨む。
「母様…………わたし……その……アヤとアキラの仲を尊敬してる……そしてその間にしっかりと迎えられた。迷って、嘆いて、間違っても───二人は手を引っ張って引き戻してくれた……」
「…………そこが問題なのだ。しかし確かに、おまえは救われているのだな」
リサは頬を染めつつも、確たる気持ちを表す。あの三人での共有───肌を重ね、汗と吐息が混じり合う生々しい快楽を思い出してしまう。
父様は深くため息をつくしかなかった。
そして娘の思う内容を、今ここで知る事ができないのは。多分親としては心を健全に保てるであろう。
【融和】
「リサ、お前は知性が高い。だが、興味の向け方が極端だ。生殖に対する関心が、思春期としては異様だ。その研究対象に、自分自身と……友人を含める可能性があることが問題なのだ」
父様は、医師らしい冷静さで、親としては言い聞かせるように続ける。
リサは言葉を失うしかない。図星すぎて反論できない。
「でもね、アヤさんが一緒なら、リサが暴走することはないと思うわ。あの子はあなたを止めてくれるわ。それに……アキラくんも、あなたを傷つけるような子ではないわね」
「おまえはあの少年を買いかぶりすぎだ。どうあっても最終的には男なんだぞ」
母は、幼いころの誘拐騒ぎを発端に、アキラとアヤとの友達つきあいの継続に。リサにとって、一生の内で得難い人間関係だと感じたからこその信頼を、アキラとアヤに感じていた。
父は即座に反論する。男親としては、どうしても娘に近い男。
しかも彼女持ちと思われる仲に、娘が入り込んでいるのは気が気ではない。
「人として見ているのよ。あの子たちは誠実よ……それに、リサの推しでしょう?」
「わたしは……アキラとアヤのこと、尊敬している……好き……でもそれは……わたしたちの間でちゃんと話し合って……決めたこと……」
「決めた? 何をだ?」
母様はやっぱりねという顔で頷く。
リサの言葉に、父は車を止める。
そのまま家に引き返しかねない空気を、母が大きく換気を流し込む。
「あなた、リサは賢い子よ。だからこそ、経験が必要なの。守られるだけでは伸びないわ。リサはアキラくんとアヤさんに頼り切っている。でも世間はそれだけじゃすまないもの、いまから少しでも広げようとリサは藻掻いている、わたしにはそう見える。確かに危ういところもあるけど、荒療治は必要ね」
診察結果を告げるような母の声。
「男の子ひとりに、女の子ふたり。確かに普通でない関係かもしれないけど、それもまた経験。結果が出た時、リサがちゃんと納得できるなら、親として受け止める覚悟をわたしたちがもちましょうよ」
続いてやんわりとした母の説得に。父はその言葉に反論せず、納得も感じているが……父親であるがゆえ感情からの許し難さに、父自身が戸惑っているようであった。
複雑な表情で前を向き、車を寮に走らせる。
「危険な方向へ踏み出さないか心配だ。嘆くリサを見たくない」
「わたし……自分で決める。アヤとアキラと一緒にいたい。それに……自分の興味……曲げない」
「その頑固さ、頑迷さが、心配なのだよ……気をつけなさい」
若い娘の、執着にも見える頑固さに、父は深く息を吐くが、もう車を止めない。
「なら……完遂しなさい。がんばってね」
「母様……それに、父様……わたし…………いってきます」
母の静かな激励に、リサは家という護りから離れる事を両親に告げた。
【リサ入寮】
車がサクラ寮の前に停まる。
「リサ、わたしはお前を愛している。心配しすぎるほどにな」
「困ったらすぐに連絡しなさい、わたしたちはいつでもリサの味方よ」
父は振り返り、不器用ながら愛情を込め、母様は優しく手を振りにこりと笑う。
「知ってる……父様、母様……のこと、嫌いじゃない。好き」
リサは少し照れながら……真っ直ぐに答える。
両親は小さく頷いた。
リサは、父と母の車が去っていくのを見送り、ほんの少しだけ肩の力を抜いて、大きく息を吐く。
新生活、環境の激変、同世代の男女との共同生活。
ひとりきりの世界から、大きく踏み込んだひろがり。
多分……慣れるまで軋轢や支障はでるだろう、それを承知で自分は選んだのだから。
「おーい、リサ!」
アキラが駆け寄ってきて、リサの大きな荷物をひょいと軽く持ち上げる。
「持つぜ、リサには重いだろ?」
「ありがとう……アキラ」
「どうせ、最後の最後まで、おとうさんと対決してたんじゃないの?」
「そうだよなあ、リサの親父さん、すっごく頑固で心配性って感じだし。触手城の時だって、ごまかすのにどんだけ頭下げたか」
アヤも後ろから悠然と歩いてきて、呆れ半分、心配半分の顔でリサを見る。
「対決じゃない……ちゃんと話した……から…………心配は当然だけど……」
リサはむっとした顔でそっぽを向きつつ、頬がほんのりと赤い。
「話したならいいよ。リサは、言い返すときは容赦ないから……心配したのよ? 喧嘩になって家に閉じ込められたらって」
「でも、ちゃんと向き合ってきたんだよな? それなら、よし! じゃねえか!!」
アヤはため息をつきながらも、その言葉に安心したように笑って、リサの肩を軽く叩き、アキラも笑いながら頷く。
「うん……父様も母様も……最後は認めてくれたから……わたしがここで……二人と一緒に生きたいってちゃんと言ってきた。わたしはここで……学んで強くなる……」
リサは小さく頷き、言葉と瞳に力を込める。
アヤはその言葉に、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じ。
「リサ……一緒にがんばろっ!!」
明るく大きな声を、斜めに刺す陽の光の中、響かせた。
【車中の夫婦】
「クロオ先生や、キリコ先生も、あの寮に関わってくれているようだ、そちらからの話を聞くのも様子が知れるだろうし」
「確かに助かるわ、気が楽になるわね…………ねえ、あなた、弟か妹がいれば、もう少しあの子も抑制が効いたかもしれないわね。面倒をみたり気にかかれば、一般的に傾くでしようし」
「とはいえ、お互いに一人でいいかとあの時は結論づけてしまったからな…………」
「今からでも遅くないかしら?」
「試してみる価値はあるな」
リサの両親は帰宅後、久々に燃え上がりました。
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