「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
お気に入り150到達、ありがとうございます!!
【朝:サクラ寮1F食堂/朝食/?????視点】
朝の食堂に足を踏み入れた瞬間、思わず笑みが漏れちまった。
ほう、これが今の時代を戦う面構えか。
給仕のメイドが驚愕と恐縮が顔に出している、まあ予定外の事だからしゃあねが、もちっと落ち着いてほしいぜ。
さっさと朝食を頼み席に着く。
真正面のカオリが、驚きにナイフとフォークの手を止めた。
おいおい、みんなもっと肝を据えねーと、これからやっていけねえぞ、まったくどいつもこいつも。
さてと、片側を見ると。
アキラとアヤは厚切りトーストに目玉焼きを前に、熾烈な争いが火花を散らしてやがる。
「黄身はとろとろが至高だろ!」
「は? よく焼くに決まってるでしょ!」
「とろっとしてこそロマンだろ!」
「ロマンで食べ物語らないでよ!」
アキラは半熟目玉焼、アヤはサニーサイドアップで、まるで代理戦争のように皿の上で火花を散らしてやがる。
いいねえ、男とか女とか関係なく本音で争えるってやつは。
確かに目玉焼きの黄身の焼き加減はこだわって当然だ。
熱々のとろみのある濃厚な黄身は確かにロマンだが、歯ごたえのある火の通ったハードさもまた味って事だ。
隣のリサというお嬢ちゃんはもう慣れたもので、止めようともしねえ。
「昨日のワイン……まだ少し残ってる……ふふふ……これもまた夢見心地」
リサは茶粥をゆっくりすくいながら、ほんのり頬を染めているときた。
ふむ、若くて澄ました感じながら、濁りを隠さない。
そんな娘がほのかな酔いを朝に残したまま、上品に粥をいただくのは、ある種の色香が漂ってやがる。
朝っぱらから、アキラとアヤの目玉焼き戦争の観劇を肴にして楽しんでいる所は、相当よい関係を築いているってやつだ。
「体型維持って、朝から大変っしょ」
そして派手なピンクの髪に見た目はギャルでございというアスカは、シリアルとサラダか。
見た目は軽いが、あの娘、分かってやがるな。
朝に重すぎず、軽すぎず。糖質と食物繊維で整え、戦う前の身体づくりとしては理にかなってる。
アキラたちの様子に苦笑いしながら、対岸のユウヤ達をしっかり見てやがる。
こういう隙の無いやつが締めているのは、ほんと強いぜ。
「失礼───っ!?」
ほう、あのユウヤという坊主、やるじゃねぇか。
俺が入ってきた瞬間、焼き魚をほぐす箸を止めずに、目だけで状況を読みにくるとはな。
何か話を切り出そうとしてたようだが、俺が来たことで迷いが出てひっこめちまったな。
ごまかすように醤油を取るその仕草がまだまだ若いねえ、わかりやすすぎる。
まっ俺の正体を察する所は見事だが。視線で探るってやつは意外と気づかれるものだぜ。
「……ん……おいしい…………」
ケイというお嬢ちゃんは、大盛りの麦飯にとろろ、卵焼きを二人前。
ゆっくり、たっぷり、いやあ、いい食いっぷりだ。
幸せそうに頬張っている女の子ってやつは、見ているだけで癒やされるぜ。
まさに、いっぱい食べるキミが好きって可愛さだよなあ。
「へっ、あいつら、今日も元気だな!……こく」
こっちはこっちで、豪快にハンバーガーを齧るじゃないか。
アキラたちに突っ込み入れながらも、俺が入ってきた瞬間、即座に鋭い目をぶつけてきて。ユウヤとは目配せで状況を流すのを理解しやがった。
ヒナタって娘は、さすがこの時代のスケバンってとこだな。
まったくあの感じ、あいつを思い出すじゃねえか。
喧嘩っ早くて情に厚く、仲間の危機には真っ先に飛び込むスケバンだった。
「オートミール……ヤサシイ味デス……」
あの外国人の娘……というには、かなりの体躯だな。
器がでかくても心がそれについて行くわけがないし、メンタルも普通の女の子だ。
しかも留学生ってだけで大変だ。言葉も文化も違う、周りが悪気なく騒いでても、心のどっかで自分は外側だって思っちまう。
まあそこんとこは、もっと大枠から───
………………ちっ
傍にいても仲間じゃない。
孤独の壁を張り巡らせて、ひたすら耐えて頑張ってしまい───優しさに寄り添い合うことも罪に感じてしまうってやつを、俺は何もわかっちゃいなかった。
この連中は、見過ごして放っとくような薄情者じゃねぇ。
きっといずれ、あの輪の中に入っていく、入れてゆく。
「いただきます………………ぽり」
「ミナミくん……その……もっと……いっぱい、おいしく食べなきゃ……野菜は大事だけどスティックだけというのは、ちょっと、と思うの……」
「…………努力します……」
おいおい、ミナミ。
女の子に心配されてるぞ?
まあ、ケイというお嬢ちゃんは食べる事にはこだわりがある娘のようだし、兎みたいな食事じゃそりゃ気を回すだろ?
食わなければ頑張れねえ、カオリを支えて大変なのはわかるが、腹を満たせねえやつは心も満たせねえ。
しかしそういう苦しい時期を乗り越えて、男は大きくなるんだぜミナミ。
「みな、朝から賑やかにして旺盛でよいことですわ。ミナミ、根を詰めるのもですが、体調を崩してはいけませんもの。寮も一区切りですし、そうですわね───滋養のあるものをいただいて、ゆっくり休養をとりなさいな」
おうおう、カオリ。
おまえが一番旺盛じゃないか?
朝っぱらからステーキをワインで流し込むのは、全員ドン引きというか、一斉に突っ込まねえのは……多分、俺がいるからだろうな。
俺も若いころは……朝からトンカツに生卵どんぶり飯とかを、ガツガツやってたよな。
今朝は塩鮭に味噌汁、ほうれん草のお浸し。
これくらいがちょうどいい。
年を取るってのは、必要なもんだけを選べるようになるってことだ。
だがよう、若い頃の破天荒さってのは、悪くねぇもんだな。
チッ、恥ずかしいぜ。
「ところで父上、朝食を同席なさるのは、なにかお話あっての事ですわね?」
やれやれ、昔を懐かしむ時間は終わりか。
さてそろそろ、父として、財閥当主として、そしてヒーラーの先人としての話をするとしようか。
このトキジロウがな。
【報酬】
「食べながらで構わん。少し話をさせてもらう」
朝食のざわめきが落ち着いた頃、切り出したカオリの声。
それに応え、トキジロウは若者たちへ視線を向ける。
低くよく通る、財閥当主としての場を支配する力のある声。
その瞬間、食堂の空気が自然と引き締まった。
「まずは───顔合わせだな。私はトキジロウ。この寮の出資者であり、お前たちピュアとヒーラーを支援する立場の者だ」
若者たちは姿勢を正す。
食事の手を止めトキジロウを注視する。無礼を働く者はだれもいないのを、トキジロウはほんの少しだけ物足りなさを感じつつ、自分と言う人物を見定めようとする探りに薄く笑って続ける。
「今の時代を戦うお前たちの顔を、この目で確かめたかった。それだけでも、今朝ここに来た価値はある」
つい財閥当主としてよりも、かつて番長でヒーラーであったころの気持ちに引っ張られそうになる。
いかんな自制せねばと内心苦笑しながら───肝心の話に入る。
「さて───報酬の話だ」
若者たちの視線が一斉に集まってしまう。
なにか聞かれる前に、流れるように言葉が続く。
「お前たちは社会人ではない。過剰な現金を渡せば、価値観を壊しかねん。それは私の望むところではない」
「だが、払わんという意味ではない。むしろ───私は確約を与える」
厳格な声だが、冷たさはない。
この場に一堂に会するピュアとヒーラー達も、言葉挟まず清聴している。それだけの威厳と経験の差が十分にありすぎる。
「まず、進学するなら学費は全額免除だ。大学でも専門でも構わん。お前たちが選ぶ道を支える」
トキジロウは指を一本立てる。
「資格や技能を取るための費用も優遇する。語学でも技術でも、将来に繋がるものなら何でもいい」
次に二本目。
「さらに───生活支援金を毎月渡す。小遣いと思って使えばいい」
そして三本目。
トレイに乗ったキャッシュカードが、それぞれの朝食傍に添えられてゆく。
「活動に必要な場合は、別途予算を組んで検討する。装備でも移動でも、必要なものは遠慮なく言え」
「まっ遊ぶときはぱっと遊べ。ハラマセーとの酷い戦いに挑むなら、休養や気晴らしは大事だし。常識の度が過ぎなければ、金が使える事は悪い事じゃない。そのぐらいの事はやってるのだしな」
トキジロウは湯呑を飲み干し、少しだけ笑う。
「お前たちはまだ若い。金で縛る気はない。だが───背中を押すくらいはさせろ。それが年長者の、いや…………先輩の務めってもんだ」
その言葉は、財閥当主のものでも、元ヒーラーのものでもなく───
若い頃、仲間を守っていた番長の声だった。
食堂の空気が、静かに、しかし確かに温かくなる。
【盟を結ぶ】
「なんというかさ、金とか立場で縛ってくるんじゃなくて、俺たちを信じてくれるってめちゃくちゃ嬉しいってことです。正直……正義の味方も、遣り甲斐だけじゃってとこもあるけど、わかりやすい人参をぶら下げてくれるのは、ありがとうございます!」
「正直、びっくり。大人って、もっと見返りとか管理とか、そういうのを押しつけてくるものだって覚悟してたし。でも……信じてくれるの、ちゃんと受け取った! ありがとうございます!!」
アキラらしい、まっすぐで勢いのある感謝。
アヤは、照れを隠しながらも丁寧に礼を返す。
「このようなご厚意…………身に余ります……ありがとうございます。恥じぬよう努めます……」
「お気持ち、確かに受け取りました。これは支援であって束縛ではないですものね……そういうさあ、きっちり通ってる契約だし、ウチ、ちゃんと応えるってね」
リサの、多くを語らず、しかし深い礼を込めた丁重な一言。
アスカの大人びた礼節と、ギャルの覚悟を込めた、筋を通す返答を行う。
ユウヤはそっとケイ、ヒナタ、マリアへ視線を送る。
ケイは小さく頷き、ヒナタは顎を引いて、任せたと視線で返し、マリアは胸に手を当てて静かに黙礼する。
三人の意思を確認したユウヤは、トキジロウに姿勢を正す。
「僕たちは、あなた方の支援と報酬をありがたく受け取ります。これは僕たちが戦う糧になります。ハラマセーと向き合うための力にもなる。本当に、感謝しています」
声は落ち着いているが、その奥には仲間を背負う覚悟がある。
ケイがそっと微笑み、ヒナタは腕を組んで満足げに笑みを浮かべ、マリアは静かに目を伏せた。
だがユウヤは───そこで言葉を切らなかった。
「ただ───もし、戦う意義に齟齬が生じた時、まず話し合います。それでも折り合いがつかなければ……僕たちは仲間を守るために離脱することを考えています」
その言葉に、食堂の空気が張りつめる。
「ちょっと、それはどういう──」
「言わせておけ、カオリ」
カオリが思わず出した声を、トキジロウが手のひらで制する。
「ユウヤといったな それは当然の権利だ。戦う理由を見失ったまま剣を振るう奴は、いずれ仲間と共に迷走する」
番長時代のヒーラーであった時の、鋭い目が若者たちを見渡す。
「だがな──折り合いをつけるってのは簡単じゃない。青い理想だけじゃ、ハラマセーとは戦えないぞ。覚悟があるなら、その言葉を胸に刻んでおけ」
「…………はい。僕たちは、僕たちの意志で戦います。そして───あなたの支援に応えます、結果を出して」
若造に対しての厳しい現実と期待。
ユウヤは真っ直ぐにその視線を受け止め。ケイ、ヒナタ、マリアもそれぞれ頷き、共にトキジロウに向かい合う。
トキジロウは満足げに笑い、静かに箸を取り直す。
「よし、ならば食え。腹が満ちてない奴に戦いは務まらないぞ……冷めちまったがな」
過去に番長としてハラマセーと戦い抜いたヒーラー。
未来を背負う若者たちの意志が交わった瞬間だった。
【レジェンド】
「あの~~もしかしてってヤツだけどさ、その…………」
「そうだね、その……いや聞いていいのかどうか……」
トキジロウの話が一段落した後、ヒナタが冷めたハンバーガーを握ったまま、妙にそわそわと視線を泳がせ、トキジロウとユウヤを見る。
ユウヤも魚の骨を取り除くと眉を寄せ、彼にしては珍しく決断できない声を漏らす。
「なんだ? 歯切れが悪いな? 答えられることならちゃんと話すが?」
トキジロウは湯呑を置き、奇妙な態度になっている二人を見据える。
ヒナタはごくりと喉を鳴らし、意を決したように身を乗り出す。
「もしかしてですけどその、貴方は、過去にこの街で伝説の番長と呼ばれた……『狼のトキ』?」
「そんなこともあったな、もう過去の話だ」
食堂の空気が驚愕に一瞬停止する。
トキジロウは、何を当然とばかりに軽やかに答えた。
「やっやっぱりだよ。う、うわわぁ~~あたしの目の前に、伝説がいるぅ~」
「おちつけヒナタ、いやだめだ、僕もその、とてもじゃないけど落ち着けない」
椅子ごとひっくり返りそうな勢いで騒ぎ出す。
ユウヤも普段の冷静さを完全に失い、額に汗を浮かべながら言葉を詰まらせうろたえている。
「あの……なにか凄いこと……なの?」
「そうだな、ウル〇ラマンとか、仮面〇イダーとか、プリ〇ュアとかの、初代に出会ったようなものだな」
「ヨク、ワカリマセーン」
ケイの質問にアキラが答えるが、マリアには理解不能であった。
その他の面々は、あ~~となんとなく納得していた。
「大げさな奴らだ。伝説なんざ、背中に刻むもんじゃない。ただ、仲間と弱い奴を守るために暴れてただけだ。それに───守れないものもあった、いっぱいな───」
二人の現代の不良が、まるで子犬のように縮こまる。
トキジロウはその様子を見て、笑いながらも覆せない悔悟を漏らした。
ユウヤとヒナタは背筋を伸ばす。
本物の番長を前にした、若い不良たちであった。
励みになりますので、感想評価お願いいたします
目指す目標:お気に入り増加、評価・感想をいただけるよう頑張ります