※この作品はR-18です。

「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!?   作:白拍子

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投稿して明日で一周年です!!



131「たいくつ」

【買い物できずと昔語り】

 

スラム街の北側。

建物の半分が崩れたまま放置され、風が吹くたびに鉄骨がきしむ音が響く。

いじめグループのフウカは、サイドテールを苛立たしく揺らし、耳のピアスリングの束をじゃらりと鳴らし、臍のピアスをキラリと光らせ、靴音の音をコツコツと苛立った鳴らしかたを響かせる。

 

「ハアッ? マジッ最悪、アタシのコスメ入ってないとか、ドーユーことなん?」

 

いつもの闇市の薄暗い店内。

棚には正規品とは言いがたいコスメや雑貨が並び、奥のカウンターには、年季の入った店主が腰を下ろしている。

安く早く、フウカの好みに合う裏流れのコスメが手に入る店。

今日の楽しみに危険な場所に、学校の授業もぶっちぎって、グループの付き合いも置いておいて足を運んだ。

だが今日は違った。

 

「悪いねフウカちゃん、最近、妙に締め付けられててさ。倉庫からの抜き取り、店からの横流しも、前みたいに流れてこないんだよ」

「ハァン? 何それ!? アタシが欲しいやつ、全部ストップとか意味わっかんない」

 

フウカの不満と怒りをぶちまけに、店主は肩をすくめた。

 

「スラムの浄化政策ってやつだよ。財閥が仕事を回してくれるようになって、違法な稼ぎに手を出す奴が減ってきてる。まあ、良いことなんだけどね」

「ケヒャ!? 良いこと? アタシからしたら、ただの邪魔なんだけど」

 

フウカは鼻で笑い、店主は苦笑しつつ、ふと遠くを見るような目になった。

 

「まあ、時代が変わったってことさ」

「マッタァはじまったよ、店長の昔話」

「いいじゃないか、少しだけ聞いておくれよ。フウカちゃんみたいな若い子には、こういう話も悪くないだろ」

「カヒャッ、ハイハイ」

 

フウカは眉をひそめるが、短いスカートが捲れるのも気にせず腰を下ろし、聞く姿勢を取る。

何のかんの言っても、それなりに付き合いの長い店だ。

茶まで出されれば、尻を長くするしかない。

 

「戦後の闇市ってのはね、生きるために何でも売ったもんだ。食い物、薬、服、体だってそうさ、血を売るってのもやってた。手に入るものは全部商品になったんだよ」

「ヘーへー、で?」

 

フウカはため息をつきながらも、聞く姿勢は崩さない。

 

「この辺りは大火災になってね。家も仕事も失った連中が、生きるために盗みも暴力もはじめて、まぬけから奪っては金に換える、つまり生活を買っていたわけさ」

「そして食い詰めた者、抗争の戦利品を持ち込む者、手っ取り早く金が欲しい若者……いろんな奴が、ここに物を持ってきた」

「アンタもそのいろんな奴の一人ってわけね」

「そうさ、生きるためには、綺麗事だけじゃやっていけなかった。まっ手元にちょっとした金があったから、直接分捕るんじゃなくて、捌くのを仲介して手数料っていう稼ぎを掠めとるだけどね」

「エッげつねえ~」

 

店主は指でカウンターをなぞりながら、なにか思い出すような語りに、フウカは軽く鼻で笑いながらも耳を傾けている。

 

 

「マッサッ、わかっけど、アタシが欲しいもんが手に入らないのは別問題ってやつ?」

「まともな稼ぎができるなら、あえてヤバイ事に手を出すのも減るってわけだし。以前なら見過ごされた不正も、目が厳しくなって割が合わなくなってるのだよねえ」

「チッ、つまんないし退屈! 店主の時代だったらさあ、もうちょっとさ、面白かったかなってね~」

「どうだろうかね~~その時その時代の不満や不足ってのはあるからね。その時その時の楽しみを追い求めるしかないと思うよ。フウカちゃんも若くて尖ってるんだし、取り返しのつかない事じゃなきゃやってみるしかってね」

「ソーユーのなんかこ、ね、出会わないってユッカ。今の仲間がさ、不満ってワキャないよ? けどさなんかコーアタシ自身のハジケがなんかさ、足んないんだよダキョーしたくないっていうかサ」

 

陰湿ないじめや、不良な仲間も嫌いじゃない。

まともじゃないってわかってるし、それを楽しんでる。

でもなにか自分自身に求めている渇きに足掻いている。

フウカの歪んだ青春の迷宮を、年老いた店主は若さとしか見ていない。

自分が生きるために必死に走り抜けた時代と違い、色々な可能性に満ち溢れた時代。

手に取れるものも値観も違うからこそ、老婆心にあれこれとウザく意見するより、苛立った愚痴を聞いてあげて、何か自分を変えるタイミングにぶち当たるのを見守ろうと、お茶を勧めながらかつての古い話を聞かせるぐらいである。

 

「まあまあ、そう怒らないで、また流れが戻るかもしれないし、別のルートも探してみるさ」

「ハァ、マジで退屈。なんか面白いこと起きないかな」

 

店主は若さを眺めつつ、空になった湯飲みを手に取る。

フウカも店を辞するために背を向ける。

 

「フウカちゃん、気をつけて帰りなよ。この辺り最近危ないみたいだからね」

「ワカッテルっての。アタシ、そんなヤワじゃない」

 

店主は背中に声をかける、フウカは振り返らずに手を振る。

廃墟の風が吹き抜け、サイドテールを揺らす。

退屈と苛立ちを抱えたまま、彼女はスラムの影へと歩き出した。

 

 

【蹴り】

 

廃墟のビルが並ぶ北側地区。

風が吹くたびに鉄骨が鳴り、どこかで犬が吠えている。

フウカはサイドテールを揺らしながら、足音をコツコツ響かせて歩いていた。

 

「マジでムカつき……コスメも手に入んないし、退屈すぎて死ぬっていうか死ね」

「お~い姉ちゃん、どこ行くんだよ〜?」

「ヒマなら遊んでけよ〜?」

(ケヒャ、頭悪そ。まあ、ちょっとした暇つぶしにはなるかもだけど)

「アタシ忙しいんだけど? アンタらみたいな雑魚と絡む気ナイナイ」

 

独り言を吐いた瞬間、路地の影から数人のチンピラがふらりと現れ、体目当てのナンパの声かけにフウカは眉をひそめるが。ちょっとは退屈がまぎれるかと、すげない態度を露わにする。

そんなフウカにチンピラたちは顔を見合わせ、なぜか得意げに馬鹿笑いをし。

 

「雑魚って……お前、言うじゃん?」

「姉ちゃんさぁ、態度悪いと痛い目見るぜ?」

「い、痛いより、気持ちいいがいいだろ?」

 

短絡的で語彙も乏しくひねりも無い面白ろみもない返しに、フウカはため息をつく。

 

「……ハァ、やっぱムリムダムノウ。会話レベル低すぎてイラつく。そのへんの壁にでもシコってろ雑魚」

「テメェ……調子乗ってんじゃねぇぞ!」

「ちょっと来いよ、姉ちゃんよぉ!」

「アハ、やっぱこうなるんだ、アンタらマジ頭悪くない?」

 

その一言で、へらへらとしたチンピラたちの表情が一気に険しくなる。

フウカはつまらなさに肩をすくめる。

これはもう、ちょっと運動して退屈を紛らわせるしかないなと。

 

 

チンピラの一人が無遠慮に腕を伸ばしてきた瞬間、フウカの身体が軽く沈む。

次の瞬間───彼女の足が鋭く回転し、チンピラの腕を蹴り飛ばした。

 

「っおああぁぁあっいてえ!?」

「な、なんだ今の!」

「ヒャハ、アンタらさ。アタシに触ろうとか、千年早いんだけど?」

 

フウカはテコンドーのフォームで軽く構え、サイドテールを揺らしながら冷めた目で言う。

チンピラたちは一瞬怯んだが、勢いだけで突っ込んでくる。

フウカはため息をつきながら、容赦なく蹴りを放つ。

 

鋭く短い爪先を伸ばしたアプチャギ(前蹴り)が、先頭を走るチンピラノ顎先を捕らえ、衝撃で頭がガクンと後ろに反り、男は吹き飛び路上のゴミ箱に激突する。

同時に高く上がった脚に、ミニスカートは大きく捲れ上がり、白いレースのTバックがもろ見えとなる。

さらに体を即座に回転させ、足を高く強く振り抜くティットラチャギ(後ろ回し蹴り)が、次のチンピラの側頭部をしなる鞭のように叩き抜き、大きく横に弾かれてゆく。

ミニスカートは完全に捲れ上がり、むっちりとした尻肉とTバックの細い紐がチンピラたちの目に飛び込む。

 

「うぉぉっ! パンツ! 尻!」

「バカヤロ! 叩きのめしてひん剥けば、中身も見放題だ! おぼっ!!」

「只で見てんじゃね~よ、喰らっとけボケ!」

 

鋭く短く弧を描くバンダルチャギ(半月蹴り)の、高く上がった蹴り足に、白い布地がワレメのスジまでくっきりと判る食い込みを見せながら顔面を弾き飛ばしてゆく。

 

「この野郎~~~マジぶっ殺す!」

「ケガじゃ済ねえぜ!」

「フヒャッ! シネシネシネ!!」

 

残りのチンピラたちが顔色を変え手に獲物を。ナイフを鉄パイプ手に取ってゆくと。

フウカの動きがさらに加速し、武器をトロく構えようとしている相手に飛び掛かり、ティミョヨプチャギ(飛び横蹴り)の股間もあらわな一撃が意識を飛ばし。

着地から跳ね上がった脚がナイフを弾き飛ばし、そのまま踵を脳天に振り下ろすネリョチャギが、足先から太腿に股間を視界いっぱいに広がる一瞬の堪能の末、衝撃が脳天を貫通して倒れ伏す。

 

「フォゥ! あ~~こんな程度かぁ~マジ退屈、ま───ちょと遊べたからイッカ」

 

フウカは叩き伏せ死屍累々のチンピラどもを見下ろし、失望の燻りを声に出す。

 

 

最初の蹴りで顎を砕かれ吹き飛んだチンピラが、ぶつかったゴミ箱の残飯を被りながらゆらりと立ち上がり、剣呑な鉄の塊を引き抜く。拳銃だ。

慌てず安全装置を外し、勝ち誇り隙だらけのフウカにゆっくりと狙いを定めた。

 

 

【チルドレンズ:ゼロナイン】

 

錆びた鉄骨と割れたコンクリート、いまだに焼け焦げが残る壁。

崩れたビルの影が長く伸びるスラム北側の廃墟街。

 

ライトグレーのパーカーでフードを深くかぶり、額に『09』の刻印。チルドレンズのよく似た顔の兄弟の中では、目つきが悪く不機嫌そうに口元をゆがめた短気で粗暴そうな顔つきと言動。

ゼロナインは不満そうに、廃墟の街を歩いていた。

 

「チッ、オレだけ手甲と脚甲っての、やっぱ地味だよな」

 

兄弟たちは派手な武器を生成できる。

剣、レイピア、戦棒、鎖、大鎌、チェーンソー、弓───

それぞれが個性を持ち、戦いで映える。

だがゼロナインは違う。生成できるのは、最低限の手甲と脚甲だけ。

 

「格闘で勝てるようにバカみたいに鍛えたけどよ、それでも、なんか───引っかかるんだよな」

「なんなんだよなあこの気持ちはよう、胸から腹までぐっすぐすに気持ち悪いぜ、どろっどろが下腹に溜まり込んでぶつぶつしてやがる」

 

戦っても、女を犯しても、晴れやかになれない。

つい最近消滅したすぐ下の弟、テンとはいつも比較されているようでうっとおしかった。

恵まれた体躯、派手で破壊力のある武器、俺様で自信を恥じずに表に出す明るく凶悪な性格。

その弟と比べて、兄弟の中でも小柄な体、最低限の武装といえる手甲と脚甲。

ワンのように優しく慕われているわけでもない、スリーのように実直で実力を示すでもない、ファイブやエイトのように賢いわけでもない、フォーやシックスのように明るく朗らかでもない、セブンやイレブンのように冷静でもない、ツーやトゥエルブのように兄弟想いを露わにしているわけでもない、なにもかもが他の兄弟たちと比べて劣っているように思えてしまう。

格闘の技を磨き、身体能力を鍛え、短気でイキった態度も、本当は舐められないための虚勢の鎧だ。

本音は───兄弟たちともっと穏やかに話したい。

笑い合いたい、肩を並べたい。

だが、そんな弱音は見せられない。

 

「チッ、余計なこと考えてんじゃねぇ、シックスアニキのとこ行くんだろ、オレ」

 

自分に言い聞かせるように、ゼロナインは瓦礫を蹴って進む。

 

 

【介入】

 

「アハ、やっぱこうなるんだ、アンタらマジ頭悪くない?」

 

女の声。

苛立ちと呆れが混じった、妙に勢いのあるフウカの声が廃墟の瓦礫を通して耳に入る。

ゼロナインは足を止め、声のする方へ視線を向けた。

崩れた壁の向こうで、ギャル風の少女が数人のチンピラを相手にしていた。

サイドテールの髪が揺れ、彼女は軽いステップで相手の動きをいなし、最小限の動きで距離を取っている。

 

「へっ……やるぅ」

 

思わず感嘆の声を漏らす。

無駄のない足運び、相手の重心を読む目、格闘家としての勘が働く。

的確な蹴りが戦意だけのチンピラを捉え、次々に叩きのめしてゆくのを、興味深そうにその様子を眺めていた。

 

だが───

最初に倒れたチンピラが、ゴミの山から這い出し、何かを取り出す。

小型の拳銃。

フウカの背中に向けて、狙いを定める。

ゆっくりだが的確な動きが、脅しではないことを示す。

気配を感じたのかフウカが振り向くと、ブレ無く向けられた銃口に目を見開く。

 

 

「おいおい、そいつはねぇだろ」

 

銃を持つ手首をゼロナインが掴み上げ、そのまま握り折る。

激痛と驚愕に歪むチンピラの顔面に、容赦なく拳を叩き込むと首が180度回って捻じれる。

 

「ダサすぎんだよ、てめえ」

 

手首を離すと絶命し肉の塊になったチンピラが、埃っぽい廃墟の地面に無造作に倒れる。

 

「クッケケ! アハ、やるう~」

 

フウカは───助けてもらったゼロナインに正対し、クセのある笑いを上げながら片足を上げ構えを取る。まだ戦いは続いているとばかりに。

 

「はっ、戦(や)る気かよ」

 

ゼロナインも構える、理由は無いが受けて立つと。

死体込みでチンピラが倒れ伏す中、フウカとゼロナインは───決闘する。

 




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目指す目標:お気に入り増加、評価・感想をいただけるよう頑張ります

次回の投稿は、6/3となり
一話の文字数が多くなる傾向になってきましたので
その後は、週二回、水曜、土曜に投稿します
以後もよろしくにです
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