「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
北側、砦化した廃ビル戦、開始です
【モンスター/チルドレンズ:ゼロシックス、ゼロナイン登場】
【モンスター/甲殻裁定:マネージミット登場】
【モンスター/貪威将:ガーヨク登場】
【北側スラム廃墟街:砦化廃ビルファクトリー前/ピュアとヒーラー軍議】
北側スラム廃墟街、廃ビルを利用し砦と化したハラマセーの拠点。
ヒーラーフロストことユウヤ、ピュアガーネットことアヤ、ピュアサファイアことリサ、ピュアローズクォーツ(略称ローズ)ことアスカは。いままでの組み合わせからヒーラーを入れ替えた構成で戦いに臨んでいた。
意見の衝突、砦からの狙撃、弓を使うゾンビーによる矢の制圧射撃、正門の堅固な守り。
様々な問題を抱えながら、矢を避ける遮蔽の中に身を寄せ合っていた。
「確かにサファイアの言う通り攻城戦だね。さて、策としては上策・中策・下策だけど……」
「なにそれ? じょうさくとか、げさくとか?」
フロストの呟きに、ガーネットが意味不明な理解できない言葉と感じて喰いつく。
フロストは少し苛立った目で見返せば、ガーネットも喧嘩なら買うわよとの視線を真っ直ぐ返す。
「鰻重の、松・竹・梅、みたいに、質の違う考えがあるよ……という事」
「積極的から消極的までってことで、最善と最悪にいちお~全部備えての想定しとくって感じよね、でさ、そのあたりってどんな感じってウチらにも説明ほしいだけど、どうってとこ?」
サファイアが翻訳をガーネットの耳に届けると。彼女もあ~なるほど、と納得してくれる。
フロストが疲れたため息を漏らすと、ローズが話を進めるフォローを入れてくれ、気を取り直し説明を開始する。
「まず下策。消極的ではあるが、敵拠点の構造や周囲の地形の把握、戦力の配置のしかた、弓兵の規模、狙撃兵の精度と威力、あとできうるなら白兵戦力の確認。この情報を持ち帰り、後日戦力を整え攻略する」
「なによ、戦わずに逃げちゃうの!?」
「はいストップ……」
「あ~~はい、次、次」
偵察と情報集めに徹して、後日の攻撃の糧にする考えに、ガーネットが噛みつきにいくのをサファイアが押しとどめ。
ローズがむっとしたフロストに次を促す。
「……中策。僕の氷と…………遠距離はいないのだから、瓦礫でも投げつけてもらって射撃戦で牽制しながら対峙する。おそらく敵は僕たちを矢で足止めして、白兵戦力で包囲し、それが完了したら砦からも兵力を出して殲滅にかかるはず。対峙する場所を移動したり、こちらから包囲しにくる兵力を各個撃破してゆき、砦の直接攻略よりも敵戦力を削ぐのを中心に考え。援軍を要請しその到着を待って、増強した戦力であらためて攻略を開始する」
「援軍が出せないって時は、どうするのよ」
「その場合は下策に切り替え、戦力を温存し情報を持ち帰る」
「時間はかかるけど……手堅い」
「弓で足止めされてんのに、戦力引き連れられて囲まれたらフツーにヤバいって、だからこっちも、目の前だけ見てボーッとしてる場合じゃなくて~周りちゃんと見とくの大事なの、マジで」
無理に砦を落としにはいかず、弓兵を撃ち合いで減らし、包囲されないよう移動しつつ、逆に先に発見しての迎撃で敵の戦力を削りながら攻略に足る戦力を補充してもらう。
増援が望めない場合は、下策に切り替え情報収集と退却という手堅い戦い方。
相手に先手を譲るため、相手の狙撃の成功や、予想以上に弾幕の制圧が強かったり、包囲に出せる歩兵が多かったり素早かったりすれば、こちらの戦力が磨り潰される危険もあり。それを避けるために、援軍要請でもあるが。戦力の逐次投入ともなってしまい、最初から戦力を整え仕切り直すほうが落ち着いて戦える考えもある。
「本来、攻城戦って、相手の戦力を明らかに上回っていて成立するのだけどね……強襲って攻撃側の被害が大きくなるし。壁や防御施設を破壊できる火力。例えば大砲やミサイルだよね、さすがにピュアやヒーラーでもそういう火力はないし」
「あ~~一応ってやつだけどさ。ウチがブーストすれば、正面のトーチカとか門とかはぶっ飛ばせそうだけど~~後が続かないってやつよね~」
「ローズクォーツがその後戦わなくても済むのなら、検討に値する攻撃だね、破城槌は有効だし。城壁を上るとか……弓兵の配置の薄い側面まで回り込んでだと、相手も戦力をシフトしてくるだろうし」
「機動力では多分わたし……行くか戻るか、判断もちゃんとできるわ……きっと」
「…………それで、鰻重の松は?」
さらに深い戦術の談義を交わしあい、ローズのブーストでの破壊力、サファイアの機動力と判断力等、どんな戦いができるのかの確認を進めてゆくと。
ガーネットがおそらく上策の事であろう、極上の鰻重を要求する。
「上策は……いまから考える」
「おい……」
「慌てないでほしいな、まだ判断に足りる情報が不足している」
「…………わかったわ。じゃ、その情報、どこに取りに行けばいいの?」
「ありがとう。けどまだピュアのみんなは必要ない、これで足りる」
フロストのいまから鰻を捌くという言葉に、ガーネットがジト目になるが。不足している素材に対して、即座に集めるとの積極な姿勢を見せると。
フロストは素直な申し出に驚き、続けて感謝の笑顔を向けつつ、ポケットからなにか取り出す仕草で、スマホを取り出し連絡を入れる。
「黒服5号さん、それとここを案内してくれた……」
「けっけっけっ、なんだいヒーラーフロスト、どこかに車まわせってやつかい?」
「黒服25号です、なんでしょうか?」
「相談したいことが……」
【北側スラム廃墟街:砦化廃ビルファクトリー/ハラマセー軍議】
砦化された廃ビルの内部。
薄暗い空間に、矢を運ぶゾンビーの呻きと、這い回る触手のざわめきが響く。
その中心で、マネージミットは盛り上がった背中を軋ませながら戦況を見つめていた。
弓兵ゾンビーによる制圧射撃。ゼロシックス自身の弓の狙撃。
ピュアとヒーラーたちは遮蔽から出られず、動きが完全に止まっているように見える。
「ふむ……今が手の打ちようですね。ガーヨク、ゾンビーを一隊率いて背後に。退路を断って包囲します」
「へっ、まかせときな。あんなガキども、俺が一番乗りで捻り潰して犯してやらぁ」
ガーヨクと呼ばれた、大柄で下卑た笑いを浮かべる中年男のハラマセーが前に出る。
元はスラムの労働者で、強盗や強姦の犯罪経験があり、触手の浸食を受けゾンビーになった後、モンスターに進化した男だ。
身体能力の強化以外に特に能力はないが、スラムのチンピラを率いていた経験から、指揮力はあったので歩兵としてのゾンビーを率いる役を担っている。
「な~んでオレが行っちゃダメなんだよ。ゾンビーを率いるくらい、オレだってできるぜっ!」
「ゼロナインくん、君は来てから間もないです。ここのゾンビーの率い方も、この辺りの地形も把握していません。それに───あなたは最も早く最も強い白兵戦力です。どこにでも即応できる位置にいてもらうのが、全体としての戦力として安定するのです」
「っ……でもよう……」
「はっはっはっ、ナイン! 聞いておいた方がいいぞ! マネージミット殿の言う事は正しいって。ナインは切り札ってやつなんだよ。くぅ~~かっこいいと思う!」
「ぐっ……わかってんけどよう……」
「はっ、大事に留守番してな。前回もそうだったけどよ、ピュアを最初に犯すのは俺ってやつさ、がははははは」
マネージミットの丁寧な説明、ゼロシックスの認め、ガーヨクの嘲りに、不満たらたらではあるが、ゼロナインは渋々引き下がった。
「おい、行くぞォてめえら! ピュアもヒーラーもまとめて潰してやる! 前に来た四人も、俺たちで潰したんだ! 今回も同じだ、ビビるなァ! 殴れ! どつけ! 犯せ! 出陣だ!!」
ガーヨクがゾンビーの一団に大声で号令をかけると、ゾンビーたちも呼応するように大きな呻き声を上げ、僅かにでも残っている意識を高揚させている。
廃ビルの裏手からぞろぞろと出撃し、大きく回り込んでピュアとヒーラーの背後に回り込み退路を断ちに進軍していった。
「あいかわらず威勢いいな! あのオッサン!」
「ちっきしょう、馬鹿にしやがって」
「ガーヨクは粗野だが歩兵を率いる能力はあります、今は彼に任せるのが最善ですよ。前回と同じく、正面はゼロシックスの弓で押さえ、ゾンビーの弓で移動を阻害する。ガーヨクが背後から包囲してもらい、逃げ場を失ったところを一気に叩く」
ガーヨクを見送りつつ、つい毒づくゼロシックスとゼロナインに、マネージミットは戦術のおさらいを行う。
「了解! 前みたいに、ヒーラーを一撃で落とせれば楽なんだけどな」
「オレも早く戦いてえ……前回ってどうだったんだよ?」
「ふむ、ヒーラー一人にピュアが三人。今回と同じ構成でしたね。無防備に近寄ってきましたので、ゼロシックスが矢でヒーラーに深手を負わせました。動きが完全に止まってこちらの弓から逃れられない所を、ガーヨクに逃げ道を塞いでもらったのですが」
「ガーヨクのおっさん、こっちからゾンビーを出す前に動いてね~あの時は焦ったけど。結果として正解ってゆうか。まっ確かにあれはありって事だし」
「はあ? いったいなんでだよ? おっさんの抜け駆けだろ?」
ゼロシックスの前回の戦いにゼロナインは興味を示すと、マネージミットが説明しはじめ。
連携の取れなかったのが、結果として正解だった事に疑問を投げかける。
「ゾンビーを連れて前に出たらさ、矢傷で死にかけのヒーラーにピュアが跨って騎乗位で必死に治療していて。残りのピュア二人がガーヨクとゾンビーを押さえつけていたってやつ。慌てて射かけたらピュアの一人を頭ぶち抜いて即死させてしまってさ。それ見て固まったピュアをおっさんがぶっとばして犯して。ゾンビーがヒーラーとヤってる最中のピュアに群がって引きずり抜かせてくれたから、ヒーラーの目の前で犯してやったらさ。見事にピュア二人とも心がぶっ壊れてつまんないっていうかさあ」
「ヒーラーは?」
「ゾンビーになった」
結果論ではあるが、ひーりんぐを阻害する襲撃になり。ピュアの一人を即死させることで混乱と絶望に沈んだピュアたちの心が折れ、あっさりと敗北し犯され苗床となった。
ヒーラーはその場でピュアが産んだ触手に浸食されゾンビーと化し、いまでは弓兵のどれかであろうと判別をつけるほどでもない存在になり果てている。
「はぁ~~オレとしちゃ、もっと歯ごたえのある相手と戦いたいぜ」
「これこれ、戦いは楽に勝てるのが一番良いですぞ」
「ナイン……言いたいことはわかる。けど試し合うじゃなくて、殺し合いだぞ」
「……わかったよ、わるい。オレが傲慢だった」
ゼロナインの軽口をさすがにマネージミットはたしなめ、ゼロシックスも兄として一言を入れると。ゼロナインはあっさりとそして真摯に謝罪し頭を下げる。
その素直さに、マネージミットもゼロシックスも微笑んで頷いた。
「さてと、不用意に頭を出したりとか、様子を見るにしても……って!」
ゼロシックスが窓から状況を見ようとした矢先、周辺の壁に氷の矢が着弾する。
「この着弾の角度……場所を変えたか? すまない! 動きながら対応する! 弓は適宜に射かけるのを続けて!」
ゼロシックスがこの場を離れ、弓兵ゾンビーに指示を与え通路を走る。場所を変えながら、相手の遠距離攻撃の主を狙撃する狙いだ。
「はぁ~~こういう待ちってやつが、一番堪えるよなあ」
「その時が来られたら、華々しく正門から出撃ですよ。今が我慢しどころです」
ゼロナインのぼやきにマネージミットは、動くべき時と動かないべき時を諭す。
戦況は刻刻と変化している。
【砦化廃ビルファクトリー前/感知能力確認と各所対応】
「さて確認だけど、ハラマセーを感知する能力、範囲・距離・精度についてだけど」
「私は距離も精度も普通って感じ。範囲って言われても、周り全部って感じだけど違う人もいるの?」
「わたしは……ガーネットよりも距離は短いわ、けど精度は高いみたい、数とか強度とかの感じ方かな……」
「はっきりいって、ウチはガーネットと似たり寄ったり。あんま参考にならないっしょ。それに触手城の中と一緒で、うじゃうじゃいるとさあ、反応しっぱなしであんま意味ないってだしねえ」
「僕は……距離も伸びるし精度もそれなりに高いけど、範囲が狭い。アクティブに探ろうとすれば、集中しながら意識をずらしていかなきゃが手間かな」
ガーネットの普通で基準と言ってもいい感知能力に、近距離ではあるが精度の高いサファイア。
触手城内ではアクティブに感知しても、反応が多すぎて逆に参考にならないとローズクォーツは思い出し、感知に関してはガーネットとほぼ同じで。フロストの感知は、角度を搾って距離を伸ばしたレーダーのような感じになってしまう。
「指向性があるからこそ、距離が伸びているという解釈……かしら」
「多分そんな感じ。確かに敵も数がいるみたいだけど、あの砦の内部は……感知できない、なんらかの阻害が施されていると思う」
「ふんふん、それで?」
ピュアとヒーラーに備わった、ハラマセーの感知能力。
触手の大量召喚、生殖行為、暴力行為を感知し、感覚的には『なにか嫌な感じ』を強く受ける事でハラマセーの活動を捉え、所業の現場に向かうのであるが。
個人によって感知する範囲・距離・精度が違うようで。さらに自ら感知しに行く場合の意識の集中の必要がある。
さらにゾンビーより格上のモンスターには感知を阻害する能力を持ち、ダルゲソンやマネージミットのように、範囲で阻害する能力を持った個体もいる。
廃ビルの内部は感知不能領域とばかりに沈黙していて、その周囲には、ゾンビーや触手のおおまかな反応があるが、肝心の中心部といえる部分は空白になっている。
「黒服5号さんと25号さんへの頼み事を待っている間、何度か走査してみたけど、結果はほとんど変わらない」
「ん~~~せめて中の様子がわかればねえ~」
「確かに中の様子はわからない。けどつい先ほど、まとまった数のゾンビーが建物の裏手から移動している……動きからしたら大きく回り込んでくる、という感じかな」
敵に動きが出た。
こちらの動きが固まっているため、包囲し退路を断ちに来たと解釈する。
「じゃあそっちを先に,ぶっ飛ばすってやつね」
「各個撃破は確かに正解、数を減らすのと……モンスターがいても撃退して引かせて、包囲できないと悟らせれば十分かな。全員で行く必要はないし二人ピュアが向かえば十分と思うけど。凶悪な戦力などで手強い要素があれば、逃げてもらう」
「二人って?」
「ガーネットとローズクォーツ。サファイアには別の事をしてもらうから。弓はともかく狙撃は僕が惹きつける」
「ん~~~わかったわ、危ないと思ったら集合。これでどう?」
「同感。引き際を見誤らないようにね」
役割を分担する、狙撃手の気を引きながらゾンビーの一団の動きを感知し、ガーネットとローズクォーツに連絡を入れるフロスト。
二人のピュアは、回り込んでくるゾンビーの集団を、逆に奇襲すべく移動する。
そしてピュアサファイアは───
「おまたせです、車をまわして来ました」
「25号さん、ありがとうございます。では、サファイア、打ち合わせ通りに」
「派手に……ふふふ、挑発してくる……」
廃ビルのハラマセーを発見し、ここまでピュアとヒーラーを案内した黒服25号が。
寮からここまでの移動に使った改造バンを、ヘッドライトを使わずエンジンもバッテリー駆動で、静かに動きを悟られぬよう乗り付け。
ピュアサファイアを乗せて……離れてゆく。
「戦力の分散になるか、各自が役割を果たすか……あいかわらず気が重いけど、考えないよりはマシだ」