「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【モンスター/チルドレンズ:ゼロシックス登場】
【モンスター/韋駄天伝令:デンレー登場】
【砦化廃ビル西側/ゾンビー掃討】
ガーヨクという指揮官を失ったゾンビーは、ただの数に成り下がっていた。
整然と行進し号令ひとつで一斉に突入できる、そんな統率された動きは過去のものとなり。
糸の切れた操り人形のように右往左往し、誰かの指示を求めて首を振り、あたふたとした動きは周囲の仲間にぶつかり、勝手に転がってそのまま踏みつけられ動かなくなる者まで出ていた。
鈍い動きをピュアたちの拳が貫き。瓦礫に足を取られた所へ容赦ない蹴りが叩き込まれる。
反撃を行うにも腰が引けた拳の振りは弱々しく、易々と殴り返される。
自分たちの数が多いというのに、恐怖の本能が伝播し逃げ惑わせ、その背中を次々に討ち取られてゆく。
もはやゾンビーたちは戦力ではなく、ただ狩られる木偶になり果てていた
「半分くらいは倒したんじゃない?」
「そうよね〜この様子ならさ、もうちょい減らせそ〜な感じってやつ」
瓦礫の上でピュアガーネットとピュアローズクォーツは、逃げ惑うゾンビーを次々と叩き伏せていた。
ガーネットの拳が唸り、ローズの蹴りが閃く。西側のゾンビー部隊はほぼ壊滅状態に陥っていた。
その瞬間───
闇を裂く鋭い風切り音。
数本の矢が瓦礫の影から飛来した。
「っ!!」
「きゃっ!」
ローズは胸元に一本の矢を受けるが、幸い浅く深手には至らない。
ガーネットは反射的に手刀で弾き落とすが、何本かの矢が体を掠め赤く血の線を走らせる。
矢が飛んできた方向へ視線を向けると、残っていたゾンビーたちが、なんとか体制を整え、纏まりながら撤退をはじめていた。
「これは……追っちゃダメよね」
「そうね~~思っていた以上に被害与えたし、回り込まれる危険は去ったから、役目おっけいてやつでしょ。痛っ油断もあったし引き際てやつ」
瓦礫を遮蔽にし、二人のピュアは顔を突き合わせる。
続けて矢が放たれる気配はもうない。
念のため意識を集中してのハセマセー感知も、残存したゾンビーが引き下がっているのがわかるくらいだ。
矢を射かけてゾンビーを引き下がらせたハラマセーの気配もない。
「当たっちゃったけど、大丈夫?」
「あ~~胸おっきくて、ウチよかったってやつ」
「そう…………ちっ」
ガーネットはローズの胸に刺さった矢を心配するが、ピュアとしての頑健さとローズの巨乳の厚さが内臓や骨に届かずに済ませている。
ガーネットは自分の標準サイズの乳房ならもっと深く矢が突き刺さり、ダメージが大きいものになっているかもと思うと、つい舌打ちをしてしまう。
「ここはもうよさそうだから、一度合流ね!」
「賛成~~ま、ケガもちょっとだけだしさ、これフツーにうまくいったってやつでしょ」
二人は頷き合い、深追いせず撤収を決めた。
ゾンビーによる包囲の阻止に成功し、彼女たちは去っていった。
【全滅回避】
瓦礫と廃屋の影を縫うように、デンレーは必死に走っていた。
東側強襲の情報を一刻も早く西側へ伝えなければならない。
だが───彼が辿り着いた時、そこは予想とは全く違う惨状だった。
「え? ガーヨク様?」
瓦礫の中で、ガーヨクの巨体が消滅しかけている。
その周囲では、ピュアガーネットとピュアローズクォーツが逃げ惑うゾンビーを次々と叩き伏せていた。
「間に合わなかった……それにしても、ガーヨク様がこんなにも早く倒されるだなんて……」
伝令としての責務を果たせなかった絶望が足を震わせる。
だが───
戦場の動きは誰も待ってくれない。逃げ惑うゾンビーたちは、このままでは全滅する。
「と、止めなきゃ! 少しでも」
デンレーは弓を構え……ピュアたちへ矢を放つ。
ピンクのツインテールで焼けた肌のピュアに突き刺さる。油断を突いてではあるが、ピュアに当てたのだ。
もう一人のピュアが何か叫んでいる。そちらに乱射するように矢を射かける。
払い落され、何本かは掠めるが、とても当てられるような感じがしない。
それでも牽制になればいいと矢を放っていると、ピュアたちは建物の影へと身を隠してくれた。
「し、指揮を引き継ぎますっ! み、みんな! こっちへ! 逃げてください! 逃げましょう!!」
デンレーの声は震え、指示も拙い。当然だモンスターに、自我に目覚めたのはついさっきだ。
人間としての経験でも、人を率いたり指示したことなんてない。スラムの周辺に住む、少し器用なだけの普通の人間だったのだ。
偶然触手に襲われ、ゾンビーとなり果て。生前の器用さの残滓で弓兵になっていただけだ。
しかし、この状況を何とかしたいという必死さがゾンビーたちに伝わっていった。
散り散りに逃げ惑うゾンビーたちが、デンレーの声に反応して集まり砦化廃ビルへと向かってゆく。
「よかった……まだ全滅じゃない、全滅じゃない」
デンレーは矢をつがえたまま、ゾンビーたちの敗走を誘導していった。
【砦化廃ビル東側/サファイア回収】
ピュアサファイアはゼロナインが落下してゆくのを見送り、大きく深く息を吐いた。
「よし……ここまで……それにしても、慣れないことをしたけど……うまくいった……」
弓兵ゾンビーたちが退却していった今、砦化廃ビル内には突入しない。
弓兵の減少と敵戦力の分散、目的は十分果たした。がんばって慣れない挑発もしてみた、結構効果的だった事には自分に納得である。
「はい……25号さん、お迎え……お願いできますか?」
「了解、おつかれさまです。すぐに車を回します」
スマホでの連絡で、待機していた改造バンが瓦礫を避けて滑り込んでくる。
「お待たせしました、乗ってください」
「ドア開けなくていい……上に乗る……」
弓兵足場から崩れた瓦礫を伝い飛んで建物を降りてゆき、バンのルーフにふわりと着地。しゃがみ込みんでバーを握り、体を安定させる。
周囲を警戒しながら移動できるのと……なんとなく車の天井に乗ったままなのが、かっこよさそうに感じたという単純な気持ちも入ってる。
「さすがピュア、とても身軽…………!?」
「どうぞ、車を出してもらっても……大丈夫です……」
「あ、はい、そうですね、ご注意を」
「ありがとう……では、お願い……」
改造バンは今は静かになっているが。弓矢の攻撃が再開されるのを危惧して、砦化廃ビルの蔭になるよう、廃屋や瓦礫が邪魔になるように、エンジンもバッテリーでの静かで滑らかな走りをゆったりと焦らず急がずに行う。
その理由はもう一つあってしまって───
改造バンの天井部カメラ。
ピュアサファイアの着地を確認するためにオンにしていると───確かに期待はあった。しかもルーフに足を開いた状態で、カメラを跨る位置のまま乗るのは、うれしすぎる計算違いであった。
若い女の子の裸の股間がモニターにどアップで映し出され続けている。
盛り上がりのある恥丘に薄く広がる陰毛。太腿付け根からふっくらとした大陰唇。開いた陰裂から見える小陰唇は、格闘戦闘の影響もあるのか充血ではみ出し、クリトリスも包皮からちょろりと勃起した頭を見せている。汗と体液で濡れた粘膜のヌルったテカりが反射するのが年頃の少女とは思えないほど淫靡に見えてしまう。
黒服25号は、次の休暇に貧乳スレンダーな風俗嬢を指名することを心に決め───その理由は、敢えて口にしなかった。
【砦化廃ビル中央:執務室/戦況悪化】
戦況は崩れつつあった、その中で冷静に手を打つ者たち。
砦化廃ビルの中央部、司令部と言っていいマネージミットの執務室。
ピュアとヒーラーとの戦いに一区切りの時間ができ、周囲では倉庫から弓矢の予備を取り出し、次の戦いの準備に動き回るゾンビーたちの喧噪とは対照的に執務室は静かであった。
しかしそれは、敗色の足音が迫って来るのを、どう戦い抜くかと指揮を執る者の静けさだった。
「ゼロシックスもどった……東側の弓兵ゾンビーはほぼ壊滅。ナインのおかげで全滅じゃないけど……あいつも帰ってこない。消滅した気配はないけどさ、戻ってこれないのがどうしたんだって。すまない、わからない」
「西側報告します! ガーヨク様戦死! ゾンビーは半分以上を……失いました!」
「二人とも無事の帰還、ごくろうさまです」
ゼロシックスは東側から弓兵ゾンビーの撤退と一緒に戻ってきており。ゼロナインの行方不明も合わせ、ピュアとヒーラーに対し有効な打撃を与えておらず、結果の出せていない状況にいつもの明るい闊達さが鳴りを潜めていた。
デンレーも西側から戻ってきており、ガーヨクの消滅と包囲に出した戦力が半壊した結果を報告する。
マネージミットは帰ってきた二人の無事をまずねぎらい。曲がった背をさらに丸め目を閉じる。
展開した戦力がことごとく潰され、さらにモンスターが一名消滅、一名行方不明。
盛り上がった背が軋むように揺れる。
「状況は深刻に不利に傾いていますね」
「すまねえ! ヒーラーとの撃ち合いだけで、なにもできなかった!」
ゼロシックスは大きく頭を下げ、戦況をなにも動かせていないことを謝罪する。
「いえ、おそらく敵の中核たるヒーラーとピュアの集団を足止めしていたのは役目として十分です。それよりも───敵がピュア三名、ヒーラー一名だけではなく、正面から見せた以外の戦力を伏せていたかもです。東西の戦力がほぼ同時に攻められたのは、未確認の戦力が動いた結果としてかもしれません」
「もっと戦場の情報を集める事ができれば……」
「その能力を担う者がいままでいませんでした。ゼロシックス殿は弓兵ゾンビーの練兵のため砦内にいる必要がありましたし、ガーヨク殿は……偵察には向きませぬ、実際援軍で来られたゼロナイン殿に周囲の警戒や偵察を頼みたかったですし、デンレー殿という斥候にうってつけの方が覚醒したというのに、その時期に関しては悔やんでも仕方ありませぬ」
彼らはヒーラーフロストの長距離感知による包囲の看破と、戦力を分散しての各個撃破と陽動の組み合わせを知らずにいる。
もしゼロナインの到着や、デンレーの覚醒が早くて。斥候偵察による戦力配置の情報が早くに伝われば、どこか一か所に戦力を叩きつけ、ピュアたちは惨敗し撤退となったであろう。
「このまま籠城し、持久戦に入りさらなる援軍を求めるか。まだ戦力がある状態で打って出て決戦を行うか。他の手段がなにかあるか、お二人の意見も聞きましょう」
マネージミットは指が机を軽く叩き、静かに二人へ視線を向け。状況の打開を考えさせる実務を実戦で問う。
「籠城に賛成。今、外に出たら各個撃破される。ナインの探索も救出も……今は無理だ、その余裕が無い」
「わ、私は、援軍を呼ぶべきですが……その……守りを固めながら触手城に逃げ込ませる必要があるものは、脱出した方がよい……かと」
「ふむ………………」
マネージミットは内線を取ると、苗床部屋で戦闘力は無いものの管理の補佐をしているモンスターに指示を送る。
「マネージミットです。今納品可能な触手をすべてまとめなさい、いつでも運び出せるように準備を、あと非常時のマニュアルを読み返しておいてくださいね」
『了解しました……あの、戦況はどうなっていますか?』
「そちらが気に病むことはありませんよ、また連絡しますね」
「逃げるにも準備は必要ってやつですね」
「最悪の場合は、常に備えるべきですよ。ふむ……ここからが正念場ですかね」
この小康状態の中で、双方がどう次の手を打つのか。
マネージミットは静かに次の一手を静かに模索していた。
【砦化廃ビル北東/ゼロナイン、転落】
「うおっ! ぐっ! がっ! げふっ! ぐぉぉっ!」
ゼロナインはピュアサファイアを追って、壁を蹴っての三角跳びのはずが壁を蹴破り、その勢いで建物から飛び出し飛び降りて落ちてゆく。
倒壊したビルの斜面を転がり落ち、ゼロナインは瓦礫の中に叩きつけられる。
鈍い衝撃が全身を走り、肺の奥から空気が強制的に押し出される。
人間なら死ぬか重症でもおかしくない落下の衝撃。だが、ハラマセーの肉体は頑健なのと、そして何よりも───彼は戦士だった。
「くそ、くそっ、くそぉぉ! 挑発に乗っちまった…………ちくしょう、オレやっぱりバカだよ……アニキたちに笑われちまう……いや怒られるか……ぐっ」
瓦礫の中、起き上がる事も出来ず拳を握りしめる。
悔しさが、痛みよりも強く胸を刺した。
ピュアサファイアの淫靡で露骨なな挑発に反応し、侮辱に冷静さを欠いた自分を悔やみ。
それでも殴り叩き伏せられると踏み込んでこの有様だ。
残った弓兵ゾンビーを逃がすことができた中、ゼロシックスアニキに状況が伝わってくれればいいがと思いつつ。
「心配……かけちまってるだろう、な……痛っ!」
自分が消滅すれば、それはチルドレンである兄弟には判るが、今のところまだゼロナインは生きている。
それでいて、すぐに戻れない状況は心配をさせてしまう。
ゼロナインは瓦礫に手をつき、ゆっくりと身体を起こす。
腕が震える。
脚が言うことを聞かない。
全身が打撲で悲鳴を上げる。
それでも───立つ。歩く。
「戻らねえと……戻らなきゃ……オレは…………」
よろけ、壁に寄りかかり、支えにして歩く。
何度も足取りはふらつき視界が揺れる、倒れそうになるのを奥歯を噛みしめ踏み止まる。
その姿は痛々しい。
だが同時に、瞳に燃える闘志は消えず。戦士としての誇りを捨てない若者の強さがあった。
ふらふらと、傷だらけで未熟ながら、ゼロナインは砦中央部へと、確かな意思を持って歩き出した。