「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【モンスター/甲殻裁定:マネージミット登場】
【モンスター/机事管理:カン・リー登場】
【砦化廃ビル正面/ゼロシックスの視野】
砦化廃ビルの正面。
ハラマセーたちが再編成を終え、ゾンビーが障害物に展開している最中。
地鳴りが、戦場の空気を震わせた。
闇を切り裂くように姿を現したのは───
ブルドーザー
その運転席には、黒服の中でも最高の運転技術を誇る黒服5号。
その傍らに同乗するのは、ヒーラーフロストであった。
数を減らした弓兵ゾンビーたちが矢を放つが、盾のごとく掲げるブルドーザーが本来土砂を掬い取る前面バケットに弾かれ、矢は地に落ちてゆく。
「くらいなさいよっ!」
ピュアガーネットの掛け声と共に、ピュア達はブルドーザーを盾にしながら瓦礫を投擲し、ゾンビーたちを次々と撃ち落としていく。
コヒュッ! ガスッ!!
「嘘だろっ!? 矢が通らないっ! ちいっ!! このっ、このぉ!」
ゼロシックスはマネージミットの執務室から飛び出し、弓兵ゾンビーに並んで矢を射かけるが、驚愕を隠せない。
対人としては無類の貫通力を誇る彼の矢も、さすがに鋼鉄のバケット、しかもフロストの氷でコーティングされた装甲に阻まれ、突き刺さるだけで終わってしまう。
躍起になって矢を連射するが、ことごとくバケットに防がれてゆく。
「これでっ! どうだっ!!」
キュォォォォォォ! バシュッ!! グォンッ!!
限界まで弓を弾き搾り放つと、耐えられず弦が弾け弓が砕け崩壊する。
その一撃も氷を砕くも鋼を貫く事は出来ず、大きな凹みを作るまでとなった。
焦りと苛立ちがその視野を狭め、ブルドーザーのバケットをどうにかする事に固執してしまっていた。
【砦化廃ビル前:140話の時間/戦術の説明と実働】
───時間は少し巻き戻して、ヒーラーフロストが黒服5号に連絡を入れる場面。*1
「黒服5号さん、それとここを案内してくれた……」
「けっけっけっ、なんだいヒーラーフロスト、どこかに車まわせってやつかい?」
「黒服25号です、なんでしょうか?」
「相談したいことが……」
ヒーラーフロストが相談した瞬間、黒服5号は余裕のある不敵な声で、黒服25号は誠実な姿勢を感じさせる声で応じた。
「はあ? ブルドーザーを動かせるかって?」
「ええ、無茶な相談なのですが……」
「通りすがりに見たアレだな。けっ、まったく面白い事考えるってやつだ。いいぜ、ただ火を入れるのに少し時間がかかる。鍵無しでエンジンを動かさなきゃだしな、けけっ」
「5号さんは、その気になれば戦車だって動かせますよ。それにその……無断借用のしかたとかも」
フロストの切り出した、ブルドーザーを起動させて使用するという突飛な相談内容に。5号は愉快そうに応じて、25号は5号がいかに経験と特殊な技能を持つベテランかという事を語る。
直接戦うピュアやヒーラーとは違い、人間の技術と経験が戦況を動かす。
技術を生かし頼る事にフロストは頭を下げて、本来大人である黒服たちに相談し頼むことを選択した。
「中古だけど後で事後承諾で買い取る申請出しておけよ。まっ、書類や手の回し方はレクチャーしてやるってね、け~けっけっけっ。ん~~あのタイプの車種だと、緊急用のメンテナンススイッチがパネルを外せばあるから、それからの通電を主起動に回すようセーフティを解除して───まっ多少手順に時間がとられるってやつだ、鍵が刺さっていれば苦労なねえけどな、け~けっけっけっ」
「さ、さすがプロです」
「専門は、専門に頼りなってとこさ、けけけっ」
5号の軽口を交えながらであるが、手段を簡素に説明する様は、まさにプロの手際そのものであった。
足りない部分を補うのが組織力。
ユウヤはまさに、その威力と事実を感じ。こうした裏方で支えてくれる人たちの戦いがあってこそ、自分達の戦いがあると噛みしめた。
「それでブルドーザー持ってきてもらって、ど~するのよっ」
「戦車の代わりにする」
「いろいろと説明……足りないと思う……」
「自分で組み立ててわかっている考えってやつをさ、ちゃんとプレゼンするの大事って、戦う前に納得して動けるのってそこ押さえとくのさ、普通に必要っしょ」
フロストの説明の足りなさに、完全にフルボッコである。
これには、黒服5号も25号も苦笑いするしかない。
戦術の骨組みを頭の中で組み立てていても、仲間が動くには、伝わりと理解と納得ができなければならない。
惨い言い方になるが、いままでの戦いはピュアたちがフロストの策を受け入れるのを、盲信と言ってもよいくらい信じていたからでもある。
「正面の門を堅固にしているからこそ、突破されたくないと言える。しかし敵の総戦力がまだ未知数で、しかも矢の制圧と狙撃があり、そのまま動くのは危険すぎる。それを軽減させるためにもブルドーザーを盾にして前に進むだけど……」
「現状では……それも厳しいと思う……これだけ矢が降り注いでいると、ドライバーの5号さんを守り切れないし……ゾンビーも取り付いて攻撃してくる……」
「そうだね、それにハラマセー感知で索敵してみたら、ゾンビーの一団が北側……裏口ににあたる所から既に出撃していて西側から回り込んでいるし、建物の外東側に弓が並んで矢を放ち、僕たちを足止めしようとしている」
「数減らさなきゃね!」
「そのとおり、だから……上策として危険はあるけど、こちらも戦力を分散して各所の撃破を狙う。そして相手の戦力を削ったら───」
「ブルドーザーで正面からガチでカチこむってやつね、力押しで押し切って~そんときウチの出番にするってやつ?」
「ご名答、期待しているので温存を」
フロストの言葉が整理されていくにつれ、リスクを背負うこの人数での攻略。
そのために敵の戦力を削り、正面突入を現実的にまで引き上げる策を、説明と整理が徐々に理解へと昇華してゆき。
みんなの表情にも戦闘前の緊張と集中が宿ってゆく。
「サファイアは25号さんと車で東に移動を、弓を減らすのと牽制をお願い。機動力で距離と時間を稼ぐ」
「わかった……無理はしない。そういう事……ね……逆にどれだけの戦力を出してこれるかを……観る」
「意図の飲み込みが早くて助かる。25号さん、改造バンでサファイアをお願いします」
「まかせられた、5号さんほどじゃないけど、ドライバーとしてもそれなりに自信があるから、無事送迎しますよ」
サファイアは静かに頷き、25号はすでに運転のルートを頭に描いている。
「まるで、デリヘル……」
「うわぁっと、で、ウチらは西側のゾンビーってわけね」
「僕が十分矢を惹きつけるので、その隙に南側から矢を迂回して接触を」
「当然よっ! 挟み撃ちになにかさせないんだから!」
「包囲を断念させるくらいでいいのだけど、調子には乗らないでほしい」
「はあっ!? 殲滅させたほうがいいでしょ!」
「それができる相手かどうかって話よね~無理そうなら、みんなで逃げるってとこだし、そのへんちゃんと理解しとこってっね。遊びじゃないし」
「そうね……わかったわ、ごめん」
ガーネットとローズクォーツは、西側の敵を迎え撃つために気持ちを切り替え。釘を刺してはの言い返しての殲滅への衝動も、撤退も選択という諭すローズの一言で落ち着きが広がる。
「まあ……勝てるために手は打つけど、それが無理そうなら拘らない方がいい。ピュアが捕まったりするよりも逃げる方が大事だ」
戦いは遊びではない。
勝てるなら勝つ。
無理なら逃げる。
その冷静な判断が、この少人数での攻略を可能にする唯一の道だ。
フロストは深く息を吸い、仲間たちの視線を受け止める。
作戦は整った。
あとは、それぞれが自分の役割を果たすだけだ。
そしてそれは実を結んでいた。
【砦化廃ビル正門前:接敵/ピュアがブルドーザーでやってきた】
瓦礫を押しのける轟音が、砦化廃ビルの正面を揺らす。
黒服5号の操縦する鉄の無限軌道が、ついに正門前へ到達したのだ。
「ちぃぃ! この角度なら!!」
ゼロシックスの焦りが声に滲む。新たに生成した弓を引き絞り威力を最大まで高めた矢で、ドライバーを貫こうとした。
ヒュッ───パシィン!!
狙いに晒した体と溜めこそが隙だった。
ヒーラーフロストの氷の矢が、ゼロシックスの肩を撃ち抜く。
弓は砕け矢は虚空に飛び去ってゆく。
狙撃は終わらせられてしまった。
「くっ……競り負けたってことか……」
苦しみ紛れに無事な方の手で矢を生成し投げようとするも、飛んできた瓦礫に邪魔され、それをなんとか避けて断念する。
怒りや恐怖よりも、正面に取りつかせてしまった悔しさがゼロシックスの胸を締め上げていた。
「けっけっけっ、瓦礫は整地するぜっ」
弓兵ゾンビーは潰滅し作業の安全が確保される。ブルドーザーが正門への道を阻んでいるトーチカのような瓦礫の要害へと取り付き、バケットがそれが本来の作業である瓦礫を押し退け掬い取り、障害物が次々に消えてゆく。
体格の良いゾンビーたちがそれを阻止せんと向かってくるが───
「邪魔よっ!」
「こちら……まかせて」
「は~い、正面あけてねって」
三人のピュアが、殴る、蹴る、叩き伏せる。
弓矢の支援の無いゾンビーたちは次々に破壊され、正面門の防衛は崩壊寸前となり制圧されてゆく。
しかし重厚で硬い門が、内部への侵入を阻むべく立ちはだかる。
「よ~し、時間かけられないしウチがなんとかするだし、後頼むってね」
ピュアローズクォーツのコスチュームが弾け飛び全裸となり、エナジーの吸収と臨界が金色の鱗粉のように煌めくブーストが発動し、正門に向かい合っていた。
【砦化廃ビル中央:執務室/残った希望の消失】
「まだ正面は破られていません、そこに滞留している状態ならば、残った戦力を左右から押し付ければ包囲できます。戦力のシフトを───」
執務室ではマネージミットが必死に状況を好転……は無理でも維持し、ピュアたちの攻めを鈍らせるため、正門での戦いに留まっている時間を使い、残存兵力を放出して疲弊させ後退に追い込ませる采配を行おうとするが。
爆裂した巨大な破壊音。
金色に輝くエナジーの放出。
粉砕され破壊しきった正門。
瓦礫とともに吹き飛び肉片となる、戦場投入のため集められていたゾンビー。
砦の中に流入する外気の風が吹き込んでゆく。
「嘘だろ……」
「正門が、正門が……」
負傷して戻ってきたゼロシックスと、カン・リーが、正門の破壊に棒立ちとなる。
ピュアローズクォーツが、エナジーを極限まで集中したブーストでの一撃破砕。
強敵であったハラマセー、ゴリアテを退け、マウンテンを粉砕した一撃が、拠点の堅固な正門を破壊しきったのだ。
「この戦いは終わったですね」
マネージミットは静かに目を閉じる。
その静かな声は、敗北を受け入れた指揮官の声であった。
「総員撤収。カン・リー、マニュアルの想定Zの項目に従い脱出を。ゼロシックス殿……脱出者の護衛をお願いします、僅かでも残った戦力と触手を、城にお届けください」
「は、はい! 緊急全面撤収を行います! ゼロシックス殿も早くっ!」
「まてよ……マネージミットさんは、どうするんだよ?」
マネージミットの撤退命令に騒然となる砦内を、カン・リーは掌握と脱出の進行に邁進する。絶望的な戦況の中、とにかく役目に体を動かす事で恐怖を紛らわせながら、準備していた触手の輸送を開始しはじめる。
ゼロシックスの問いに、マネージミットは薄く笑って。
「まだここで行う事がありますから。もちろん済ましたら後を追いかけますよ。ああ、そうですね、念のためこの文章を私の直接の上司、ソルトマンに渡してくれませんか? そのためにもあなたは触手城まで戻ってくださいね」
マネージミットはゼロシックスに『進退伺』と書かれた封書を渡し、触手城に戻る役目を押し付ける事で、この場に留まる事やゼロナインを探しに行くことを封じた。
【砦化廃ビル中央:正門跡】
「ひゃあ~~ブーストの後マジきっつい~あとさ、建物の中まかせるし、ウチは5号さんを守りつつ、このへん警戒しとくっから」
ピュアローズクォーツは、他のメンバーが建物内に突入してゆくのを見送り。停止したブルドーザーに全裸で寄りかかって、ブースト後の疲労から体を休めていた。
ブーストのリスクはあっても、破城槌として堅固な正門を見事に短時間で破壊したのだ。十分な役目を果たしたと言える。
「よっ、お疲れさん」
「あ、ありがとうございます……」
安全を確認しブルドーザーから降りた黒服5号は、上着を脱いでローズに被せる。
「気にすんなよ、可愛い女の子が真っ裸でへたりこんでちゃ恰好つかないぜ、け~けっけっ」
「ぅ…………意識させないで」
「けけっ、そんぐらい恥じらいがあるのが、可愛いってね。お~きたきた」
ローズは、あらためて自分が全裸だという事を思い出し。頬を染めながらギャル口調でなくつい丁寧で礼節に満ちた言葉を返し、上着の前を合わせ恥ずかし気に俯く。
黒服5号はそれを直視しないよう背を向け、煙草を取り出しジッポライターで火を付け紫煙を夜にたなびかせていると、改造バンで待機していた黒服25号から通信が入る。
「おまたせしました、黒服とメイドの制圧班も、もうすぐ到着の模様です。苗床になった人の捜索や救助はこちらに任せてください」
黒服25号は通信機を操作し、後続の黒服・メイト部隊へ連絡を送る。
しかし黒服25号の表情には、別の不安が浮かんでいた。
「黒服64号と連絡がつかない……ハラマセーと接触した現場に救助が必要な人がいるので、残ってもらったのですが、応答がないのが気がかりです」
ハラマセーに強姦された女の子と、殴打され倒れたチンピラたち。
それらの様子補見るために残ってもらった若手の黒服64号。
戦闘で後回しになってしまっていたが、そちらの確認も必要と、25号は一報を入れていてその結果……
「はい? なんですって!?」
後続の救護が現場を確認すると、昏倒した黒服64号とチンピラたち。
そして被害者の女の子は、その場にはおらず消えているとの事であった。
【砦化廃ビル中央:正門跡→通路/ゼロナインの帰還】
「逃がすわけないでしょッ!!」
門が破られ砦内に突入できた現在、戦いは掃討戦に移っていた。
ピュアガーネットは砦内部の通路を駆け、残敵を粉砕してゆく。
ハラマセーを減らす好機をであり、逃走せず残った敵の排除で、後に来る黒服やメイドの制圧を容易にし、苗床になっているであろう被害者の探索と救助もある。
そこに……意外な敵と邂逅する。
「テッ、テメエ……戻ってきたら、いったいどうなっちまってんだこれはっ! 説明しやがれってんだよう!!」
「その必要はないわ! 消えなさいっ!!」
ゼロナインが陥落寸前の砦に、全裸で傷だらけの体を引きずりながら戻ってきたが。既に撤退に入っている状況を掴めないままガーネットと出会ってしまう。
怒りと情けなさでの問いかけに、答える必要はないとガーネットはゼロナインに襲い掛かっていった。
【砦化廃ビル中央:正門跡→執務室/最後の一手】
砦の奥、司令部といってもよい執務室。
ヒーラーフロストとピュアサファイアは残敵をガーネットに任せ、砦に残された情報を抑えるためにこの廃ビル探索する。
指揮所である執務室を探しあて、静かに扉を押し開けると。
そこには───歪んだ背中を抱えるように後ろ手で立つ、静かに待っているマネージミットと対峙した。
「降伏を……もう逃げ場はありません」
「拘束されて尋問を受けてほしい。あなたたちハラマセーの情報が必要だ、命の保証は……情報次第だが頑張らせてもらう」
降伏を促す、サファイアとフロストの理性的だが冷徹な声に、マネージミットは目を細め微かに笑って受け止める。
「我々は異世界からの侵略繁殖生物となった。もはや人類とは相いれない存在だな。そんな我々に投降を求めるのは……危険ではないのかね?」
「危険だ。それでも情報がまだまだ必要だ。あなたたちの生態も、目的も……この世界を守るために」
「だからこそあなたは死ぬべきではない……理解して……」
説得というには冷たい言葉だが、マネージミットは納得するように頷き理解を示す。
「なるほど、よい覚悟のある若者たちでありますね。だからこ───」
話の途中。
マネージミットは後ろ手に隠していたスイッチを押す。
話している途中で何の脈絡もない不意打ち。
天井が軋みの悲鳴を上げ、次の瞬間執務室に瓦礫が降り注いだ。
【砦化廃ビル中央:通路/ゼロナインの危機】
「これでっ! 終わりっ!!」
「ちっくしょょょょょっっ!!」
ゼロナインがビルから落下したダメージは少なくない、その傷を負ったまま無理やり急いで戻ったが、既に砦は陥落も同然であった。
気落ちも大きいが、ガーネットの猛攻に体がついてゆけず、あと一撃で決着がつく。
ガーネットの渾身が入った右拳が真っ直ぐに伸びる、足がふらつき避けられない。
手甲を生成して弾く気力も残っていない。
そもそも受ける腕も上がってくれない。
ヤバイ、ダメダ、これはヤらレル。
ゼロナインは消滅を覚悟した。
その時───
「ケヒャ!!」
暗がりの横から伸びる脚が、ガーネットの腕を蹴り上げ───手首が砕けた。