※この作品はR-18です。

「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!?   作:白拍子

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【モンスター:尊大魔王子リオン登場】
【モンスター:二性桃泥従僕マーシェ登場】
【モンスター/チルドレンズ:ゼロワン登場】
【モンスター/韋駄天伝令:デンレー登場】


148「のこるよねつ」

【触手城へ至る廃墟街/走れデンレー】

 

砦化廃ビルの敗色が濃厚になった時、マネージミットの命を受けたデンレーは、触手城に向けて走り続けていた。

 

デンレーは戦略は知らない。

戦術も分からない。

政治も、駆け引きも、派閥争いも、何ひとつ理解していない。

 

彼はただのゾンビーだったが、自我が芽生え、少し器用で足が速いだけのモンスターに進化した。

デンレーは激しく胸を打つ鼓動を感じながら、ただ前へ、前へと足を運んだ。

彼の心はひとつの思いで満ちていた。

伝えなければ。

あの砦が、仲間たちが、いま危ないのだと。

 

デンレーは自分が何を背負っているのか、正確には理解していない。

だが、仲間が危ないその一点だけは、痛いほど分かっていた。

 

「わたしが走らなきゃ、誰も……知らせられない……!」

 

瓦礫の上を跳び、崩れた道路を駆け抜け、触手城へ続く坂道を必死に登る。

足は痛い。肺は焼けるように熱い。

それでも足は止まらない。

止まるという選択肢は、彼の中には存在しなかった。

 

デンレーは孤独だった。

自我を得たばかりの彼には、まだ仲間という感覚が曖昧だった。

だが、砦で共にいた者たちの顔が浮かぶ。

 

ガーヨクの最期。

ゼロシックスの焦り。

マネージミットの苦悩。

逃げ惑うゾンビーたちの叫び。

 

「みんなを助けたい、わたしにできるのは……走ることだけ……」

 

その思いが、彼の足を止めない。

 

デンレーは英雄ではない。

戦士でもない。

指揮官でもない。

 

ただ、仲間を救いたいと願っただけの、

ひとりのハラマセー。

 

だがその走りは、誰よりも真っ直ぐで、誰よりも強かった。

 

 

【絶望街/魔王子の散歩】

 

絶望街。

触手城の外縁に位置するスラム地区の中でも、最も荒廃した区域である。

かつては商業施設や集合住宅が立ち並んでいたが、いまや建物の多くは崩れ、瓦礫と汚泥に覆われている。

この地はハラマセー勢力圏にあたり、都市の浄化政策からも見放された人々が「生き延びる」というより「朽ちるまで留まる」ように暮らしている。

 

「う~~ぐぐぐ、身体がいてえ熱も引かねえ……早く楽になっちまいたい……」

「と、都市部の倉庫から盗んでこれたぜ、これで何日か食い繋げる」

「ね~~それ分けてよ、そしたらおまんこ好きに使っていいから~~」

「あったけぇ~」

「勝手に火にあたるなよ、廃材とか集めて火つけるの面倒なんだぞ」

「これであっためさせてくれよう」

「酒か……ちっいいぜ。おいそっちのちっこいのたち、おまえらもあったまりな」

「ほう、気前がいいね」

「最近少なくなっているけど、新種のウィルスに脳を汚染されて、女を襲うバケモノになっちまったやつとか。でっかいエロミミズが這い回っているとか……ろくな話がねえ」

「はっこっから抜け出すなんて、できねえんだよ、ぐぴっ」

「明日の朝には、向こうに転がってるヤツみたいになるなよ。このまえ野垂れたやつなんか、エロミミズがワラワラたかって気持ち悪いったらありゃしねえぜ」

 

身を寄せ合って震える住民たちに、徘徊するゾンビーや物陰からあふれる触手に浸食され犯され繁殖する。

そのハラマセーの襲撃もかなり少なくはなっている。

制圧しているからには、繁殖に使える人間は飼っておいたほうがいい、そう判断されているからだ。

 

 

リオンは、マーシェとゼロワンを連れて絶望街を歩く。

ここはまだ触手城に近いため、リオンは散策することを許されている。

触手城城主、ネームドという地域のラスボスといってもよい存在であるセキュリオンが、ピュアサファイアであるリサに産ませた息子。

産まれた時から高い力を潜在するモンスターとして生まれたハラマセー。

しかしそれをお披露目する機会を与えられることもなく、出歩く範囲を触手城近辺に限らせられているのが、彼には不満でしかない。

 

マーシェは、初めての友であり、近習であり、侍女であり、玩具である。

砂のハラマセーであった父であるマウンテンは、ピュアローズクォーツであるアスカを強姦し孕ませ母とした。そのマウンテンは既に消滅している。

チルドレンズの長男であるゼロワン。

父であるハラマセーのフォールンは元ヒーラーで、パートナーであったピュアを目の前で犯され、彼女が快楽に狂う姿に絶望しハラマセーと化した。

そのパートナーであったピュアを母としている。

このピュアを母に持つ三人のハラマセーは、触手城の次世代として期待と興味を持たれ、無暗に戦いに投じないように配慮がされていたが、マーシェ以外は経験を積みたいのと興味の方が上回る若さであった。

 

 

「はあ……な~んかつまんないなあ。ママにでも会いに行こうかな?」

「リ、リオン様、あんまりその、不穏当な冗談を言うのは、おいらよくないと思うっす」

「あ~~はっはは。冗談、だと思う? けどさ、スラムの住民も減る一方で、人間社会への浸食はな~んか頭打ちって感じだし。僕が本来遊べるって所は、都市部に入ってこそだからね~冗談じゃなく真面目にママを攫うくらいのことができなきゃ、城で撃退したっていってもさ、結局逃げられちゃったし。また再戦だと向うも強くなってるなら、サプライズしちゃって焦らせたら面白そうじゃないか」

 

長く続く朽ちた壁に手を置き寄りかかり、リオンのどこかに遊びに行くかのような口調ではあるが。

不自由な状態に対する苛立ちを、生じた時からの付き合いで、色々と酷い目にあっているマーシェは怯えながらも意見を述べる。

リオンもそれなりにハラマセーの現状を憂いているのだが、遊び気分の方が大きいのが見えてしまう。

 

ゼロワンは無言でリオンの言葉を静かに聞いていた。

彼はチルドレンズの長男として、次世代を担う存在としての自覚が強い。

リオンの不満は理解できる。

だが、城主セキュリオンが外出を禁じた理由も分かる。

ピュアとヒーラーの襲撃は激化し、自意識あるモンスターの損耗は深刻だ。

リオンが不用意に都市部へ出れば、それこそ敵の標的になる。

しかし、リオンはそんな事情を理解しつつも、納得はしていない事にはゼロワンも賛同である。

人間からハラマセーとなったわけではなく、自分達のように人類から産ませられた中で自我を得たハラマセーの急速な肉体の成長に対し、知性があっても経験がない。

それ埋めるためには実戦あるのみであるが。ゼロファイブやテンなど、能力を生かしきることなく消滅した兄弟もいる。

リオンが興味と成長を欲している姿は、同世代としての共感は強いが、それが逸脱するならばマーシェにはとても制止できるとは思えないので、ゼロワンは自分が抑え役になるべきだと思っている。

思うのと実行できるのは、また別であるのだが。

 

 

【伝令との遭遇】

 

「はあ……はあっ! 触手城へ! 北側砦の危険を伝えに」

「へえ……そんなに危ないんだ」

 

その時だった。

廃墟の中を、息を切らしながら走るデンレーと、三人は出くわした。

リオンは当然とばかりにデンレーを止めるように命じると、マーシェは仕方なく泥で足を取らせ足を止めさせる。

最初は困惑したデンレーも、状況を必死に説明し。スラム街北側に構える砦化した廃ビルが、将であるモンスターが討ち取られ、ゾンビー等の戦力も大幅に減らされ陥落寸前であることを、触手城に伝える役目をリオンたちに説明した。

 

「なるほど、これは援軍を出さなければならない重大事だね」

「あのぅ、リオン様?」

「まさかと思いますが」

「もっとも近いぼくたちが、援軍として状況を確認しに行くのは当然だろ?」

 

リオンの思い付きレベルで、最前線になっている現場に向かう気持ちに、ゼロワンは眉を顰める。

 

「苦境に至っている味方を助けに行くのに、何か理由が必用かい?」

「そう言われると、そうなんですけど、おいらは反対っす。一緒に戻ってお話を聞くべきだと…………あう……おもしろくない、ですよね……はい」

 

マーシェが真っ当な事を言うと『つまらないこと言うね』と、にこにことした笑顔と冷たく澄んだ瞳の圧にあっさりと屈した。

ゼロワンは自分では説得しきれないこの状況に対し、未熟さを痛感するのみで。

まだ覆す言葉を突き付けてこないのが、リオンにとっては不満ではあった。

 

「大丈夫、大丈夫、ぼくにはマーシェとゼロワンがいる。それにさ……直接観に行くことに価値があるんだしね。ゼロワンの弟たちもいるんだから気になっちゃうよね」

「……分かりました、リオン様の護衛として同行します」

「お、おいらもっ!」

「ではっ! おねがいします」

 

観に行くだけとのラインを示したので、ゼロワンは深く息を吐き覚悟を決めたように頷く、現場で戦っている弟たちが気がかりなのも確かだからだ。

これ以上の意見が無いマーシェは、追従するしかない。

安心したようにデンレーは踵を返し、触手城に走りはじめたその背に。

 

「気をつけてね」

「はい!…………?」

 

リオンの声掛けにデンレーは振り向く。

リオンが触り続けていた壁が、理由も前触れも警告も無く大きく倒れ、砂埃が大きく舞い上がり───デンレーは下敷きになって潰れた。

 

「うん、これでこの話を知ってるのって、ぼくたちだけだよね。伝えに行ったけど不幸な目にあっちゃって、お城には届かなかった。さ~て急ごうか、後ろから邪魔が追って来る事も無いしね」

「リオン様……」

「うん? なに?」

「そいつ……潰しちゃう必要……あったの?」

「そうだね~マーシェもゼロワンも、ぼくの大切な仲間で友達だけど、彼はそうじゃないからね。これを避けてくれるくらいだったら、ちゃんと仲間に誘ったけど?」

 

リオンは振り返り、まるで天気の話でもするような調子で答える。

そこには悪意も残虐さもなく、ただ自分の基準で世界を見ているだけの純粋さがあった。

その純粋さがマーシェは、いちばん怖い。

彼は本気で仲間を大切にしている。だけど仲間の枠に入らなかった者は、同じように大切に扱われることはない。

マーシェは言葉を続けようとしたが、うまく言葉を作る事ができず、喉の奥で声がつかえて出てこなかった。

リオンはそんなのマーシェの沈黙に気づくことなく、ただ楽しげに笑っている。

 

「嬉しく思いますが試すにしても……もう少し手心を。それが王者の余裕ではないでしょうか?」

「確かにそうだね、次からは気に留めておくよ」

 

ゼロワンの進言を快く頷くいてくれる。

誠実に諭したいのに、リオンの無邪気な残酷さを前にすると、どんな言葉も薄っぺらく感じてしまう。

ならば王としてあってほしいと、ゼロワンは思う。

 

「よし、じゃあ行こうか。砦化した廃ビルに」

 

三人は触手城を背にして歩きはじめた。

 

 

 

【サクラ寮1F:ラウンジ/戦勝連絡】

 

サクラ寮のラウンジでは、南北二方面の戦況を統括するための地図、黒服とメイドたちが送ってくる情報を映すモニター、そして緊張に満ちた空気が張りつめていた。

カオリは、ミナミとコベニを両脇に置き、黒服とメイドたちの報告を受けながらピュアとヒーラーたちの戦いをバックアップしていた。

 

「付近の一般人を近寄らせない規制完了です、爆発物の撤去やガス漏れに対応する緊急工事など、情報操作も押さえました」

「制圧チームの編成完了です、ピュアとヒーラーたちが敵を撃破したらすぐにでも突入できます」

「南側、フレイムチームが交戦を開始しました」

「北側ですが、防御拠点として整備された敵拠点より弓矢が弾幕を形成。攻めあぐねています」

 

「ミナミ、コベニ───必要ならわたくしたちも出る準備を怠らぬように」

「はい姉様……ま、まだ一進一退ですから、戦況が大きく偏りができてしまった時にボクたちが予備兵力として動ける遊軍であることはだいじです。だ、だからこそ、敵の動きや強力なハラマセーの発生の確認、ピュアに重傷者が出た場合や……ヒーラーが脱落した時にはその……すぐにでも駆け付けるべきです。撤退するにしても、全滅を避けるために敵が追うのを諦めさせるのは……ひっ必要です」

「そうね……それだけでなく、勝つためにもう一押しが必用でしたら、わたくしとコベニというピュアが一撃し、ミナミがいままで頑張ったピュアを癒し救って現場のヒーラーの負担を減らすのも大事ですもの」

「……そ、そうですね」

「………………」

 

カオリは入ってくる情報に地図上の駒を動かしながら、状況にもどかしさを感じているのを、声は冷静を装っていても表情に出てしまっている。

ミナミは予備兵力として控える意味と意義を再確認し、二つの戦場のどちらにそれが必用かを、入ってくる断片的な情報の分析を行う。

コベニは淡々と入ってくる情報の優先度を見ながら、新たな情報をカオリとミナミに渡していった。

 

 

そして───

 

「南側、敵ハラマセー撃破!」

「北側制圧です。苗床の救助に移行しています」

「やった! 勝ったぞ!」

「ピュアとヒーラーたちが……本当に……頑張って……」

 

南北ほぼ同時に入る勝利の報告に、ラウンジが一気に沸き、黒服とメイドたちが歓声を上げる。

 

「みなさま……よく頑張ってくれましたわ。ええ本当に」

 

カオリの声は冷静を保とうとして、隠しきれない喜びにあふれていた。

ミナミは大きく息を吐き、コベニはこの後が大変なのですけどねと胸中で思っていた。

 

「ピュアとヒーラーたちは負傷者はいますが重症ではありません、また……凌辱被害を受けた方もおり、セーフハウスへと移送しました」

「そう……彼女たちが安心して休めるよう全力で支えて差し上げますわ。それと、ケアのために病院の手配を進めておきますように」

 

メイドからの報告に、カオリの表情が一瞬曇る。

戦えば被害はついてまわるが、一緒に出撃したヒーラーとのひーりんぐで済ませられる範囲に安堵する。

戦いに整えた環境のサポート、それも戦いであるが後方に控えていた事に忸怩たる思いではある。

しかし自分達が戦力として動かずに勝利した。それを評価しねぎらい、再会の時を喜ぼうではないかと気持ちを切り替える。

 

 

「北側の廃ビルですが……苗床化していた犠牲者はすべて枯死していました。治療の余地はございません」

「……痛ましいわね、残念ですわ」

「ですが南側廃倉庫では、まだ治療可能な苗床化被害者を複数。制圧班が救助保護しました、息のかかった病院に移送中です」

 

カオリは救えなかった女性達の報告に胸を痛めるが、まだ助けられる人達の存在を救う事ができると、ミナミに視線を向けて。

 

「ミナミ、あなたのひーりんぐの出番ですわ、頑張ってらっしゃい。あなたなら当然できますもの」

「…………はい。こういう時は、ボクがやらなきゃ、ですものね。いって……来ます……」

「ありがとう、本当に助かりますわ。苗床のみなさまを支えてくれるなんて、とても優秀ですもの。では、いってらっしゃい」

 

カオリの必要な作業と言わんばかりの指示に、ミナミは一瞬だけ目を伏せ……ほんの少しの皮肉の反抗を乗せた声で返し。

カオリはミナミの言葉の快諾だけを受け取って嬉しそうに微笑む。

 

(あ~あ、あ。これってミナミがかわいそうってやつだわ。いくら主様のご命令でひーりんぐの能力と役目とはいえ、他の女とセックスしまくれって言われて面白いわけないってやつですよね)

 

コベニは横で聞いていて、ミナミの拗ねた気持ちを、敏感に感じ取っていた。

カオリももう少し言い方っていうのがあるんじゃね?

コベニはそう思いつつも、ではどんな言い方ならというのは思いつかない。後でミナミに、プリンとかメイド秘伝の精力剤とかを差し入れてあげようとコベニは頷いた。

 

 

「はあ~これで一休みだ」

「まあ色々と後処理はあるけどさ」

「ですが、今日は勝利です。しかも二カ所同時に」

 

黒服とメイドたちは次々と残務に動き、ラウンジには安堵の空気が満ちていく。

緊迫のラウンジは、ようやく勝利の余韻へと変わりつつあった。

 

「ブルドーザーの無断拝借……傷もだいぶ入ってますね」

「なにこれ…………解体予定のクレーン倒壊全損?」

「廃倉庫とはいえ破損が大きく使用できなくなっている。持ち主を調べておく必要あるな」

 

残務は山積みである。

 




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