※この作品はR-18です。

「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!?   作:白拍子

154 / 166
153「おとこのたたかい」

【サクラ寮:エレベーター→B2F道場/レギュレーション】

 

女の子たちに、女子会を開くと言われれば、男子が踏む込むわけにはいかない、踏み込むべきではない。

それ以上に二人は、好都合と思った。

 

どのようにして理由を付け男子二人になり、女子の介入ができない状況を作り出すか。

図らずとも女子の方から提案が持ち込まれたのならば、乗らない理由が無い。

 

アキラもユウヤも打ち合わせたわけではない。

だが互いが同じ考えを持っていると勝手に解釈し、それは正しかった。

 

食堂から通路へ。

エレベーターで地下二階へ降りる。

警備防災センターの前を通った時、視線を感じるが。

二人ともただ正面を向いて歩いた。

二人の足音だけが、道場へ続く通路に響く。

そして目的地、道場へと到着する。

 

「使用許可は取れたぜ」

「ギブアップ、気絶、明らかに立てない状態で決着」

「ヒーラーになるのは無しだ。あと一応、目と金的は狙わない」

「そんなところかな」

 

スマホの操作で道場を使えるようにし。

互いに並んだまま相手を見ず、取り決めを交わす。

 

道場の畳の上に上ると、二人とも衣服を脱ぎ捨て上半身裸となり正対した。

そこへ、静かに乱入者が現れる。

 

「偶然視察に赴けば、面白いことをしようとしているな」

「止めるなよ」

「あなたなら、おわかりのはずです」

 

カオリの父にして、財閥の当主トキジロウ。

戦勝の報告に寮の視察を兼ねて赴いていた。

 

「当然だ、見届け人としていよう」

 

静かに深く告げる。

それだけで充分であった。

 

 

【タイマン】

 

アキラの拳が、床を震わせるような勢いでユウヤの頬を打ち抜き刺さる。

ユウヤの拳も、鋭く速くアキラの顔面を穿つ。

 

ユウヤの頭が横へ弾かれる。

だが足は一歩も退かない。

小柄な身体が揺れながらも、そのまま前へ踏み込む。

 

アキラの首が後ろへのけぞる。

それでも体躯は微動だにせず、ただ拳を握り直す。

 

互いに回避しない。

防御もしない。

ただ、殴る。

そして殴られる。

 

アキラの重い拳がユウヤの胸を打ち抜き、

ユウヤの鋭い拳がアキラの腹をえぐる。

 

呼吸が荒くなる。

血が滲む。

視界が揺れる。

汗と血が飛び散る。

 

それでも。

二人は下がらない。

一歩も引かない。

一瞬も怯まない。

 

無言のまま拳を交わし、拳が肉に弾ける音が続く。

 

アキラのさらに重い拳が迫る。

何度も正面から引かずに受け、その瞬間を計り続けていたユウヤは、わずかに身を捻り軌道を外す。

同時に跳ね上がった脚がアキラの顔面に食い込み、衝撃でユウヤより頭一つ大きい体が揺れ。

そのままの飛びつきが右腕を絡め取るように掴み。

肘の関節を極めにかかり、体重を乗せて引き倒しにいく。

 

だがアキラは沈まない、倒れない。

重く足が畳を踏みしめ踏み止まる。

極められた右腕ごとユウヤの身体を持ち上げてゆく。

 

ユウヤの身体が宙に浮く。

次の瞬間、アキラはそのまま畳へ叩きつけるべく、腕を振り下ろした。

 

ユウヤは落下の寸前、極めていた腕を自ら解き、身体を丸めて畳へ転がり込み。衝撃を殺しながら滑るように立ち上がる。

 

アキラの猛烈な踏み込みが距離を詰める荒々しい前蹴りが襲う。

ユウヤのガードに上げた腕が弾き飛ばされ、さらに突き出される拳が身に炸裂するのを、後ろに飛び衝撃を逃がすが。

背後は壁となり逃げ場が無くなってしまう。

 

アキラの影が覆いかぶさる。

体そのものをぶつけるタックル。

 

左右へ逃げる隙はない。避けても腕が伸び掴まれる。

掴まれれば体格差が暴虐となって終わる。

 

ユウヤは踏み込みの瞬間に畳を蹴り飛ぶ。

 

アキラを避けその動きを身長差を埋める攻撃に繋げるため、アキラの肩を台座にして飛び越え、空中で身体を捻りながら背後へ回り込み。

 

背中へ脚を絡みつかせ組み付くと、両方のこめかみに拳を叩きつけた。

 

アキラは意識が飛びそうになる衝撃に襲われながら、ユウヤを背中に組みつかせたまま、アキラは体をそのまま後ろへ倒し叩きつける。

 

畳が鳴り、背中の重さがユウヤの体を挟み潰し沈めた。

 

アキラが半身を起こすと、小さく身体をひねり。

肉体と畳のサンドイッチに、まだ起き上がれないユウヤに。

肘が胸板に深く食い込み短い衝撃が畳へ響く。

 

アキラは立ち上がって、倒れたユウヤを踏みつけにかかる。

 

足が振り下ろされる瞬間、ユウヤの手が片足立ちになった足首を掴み重心を奪い払うと。

不安定になっていた体が宙を舞い転ぶ。

 

立ち上がったユウヤが転がるアキラの脇腹に蹴りを入れ。

次の一手をさらに蹴るか、組み付き極めるかで───

一瞬止まってしまった瞬間。

 

畳に仰向けのアキラは、腕で床を押し上体をわずかに浮かせる。

腹筋が収縮し、片足が天を突くようにユウヤへ向かって伸びる。

 

ユウヤはその一撃を、身体を斜めに滑らせてかろうじて外す。

足先が頬をかすめ、空気が短く裂け弾ける。

 

避けた瞬間、続けざまにもう一本の足が、軌道は低く速く鋭く、ユウヤの肩口を穿つ。

 

たまらず───ユウヤは距離を離し構える。

アキラは手で畳を弾き、体を飛ばせ。立つ姿勢に戻る。

 

汗が……滴り落ち、二人の呼吸が重なった。

 

 

離れた間合いで、アキラとユウヤが同時に踏み込む。

畳が短く鳴り、二人の渾身の拳が一直線に互いの顔へ向かう。

 

衝突の寸前───

掌が二本の拳を掴み止めた。

トキジロウの手だ。

 

「そこまで」

 

拳が止まり、二人の身体がわずかに揺れる。

アキラもユウヤも、トキジロウに邪魔された若い不満と激情が睨みつける。

 

トキジロウは拳を離さず、ゆっくりと、重く───言葉を落とす。

 

「そ こ ま で だ」

 

その声に、二人の肩が静かに下がる。

熱だけだった呼吸が、激しさを失っていく。

拳が下り、膝が緩み、二人は畳へ尻餅をつく。

 

道場には、静寂が広がっていった。

 

 

【酒】

 

道場に張り詰めていた空気が嘘のように消え。

畳の上には、ただ 疲労と安堵だけが残っている。

 

トキジロウが畳に腰を下ろすと、いつのまにか現れたメイド達が、慣れた手つきで盆を並べてゆき。

その一連の動作が、まるで儀式の後片付けのように自然なのを。

 

アキラとユウヤは簡易な治療を受けながら、座る畳の柔らかさを感じつつ。

透き通ったグラス、涼やかな音を立てる氷、つまみの彩り、水割りの薄いアルコールのほのかな香り。

 

その光景をぼんやり眺めていた。

 

メイドたちは去ってゆき、三人の男が残った。

 

「飲め、今は俺が許す」

「ごちになります」

「……いただきます」

 

トキジロウからの未成年への酒の勧めは、当然褒められたものではない。

この小さな酒の席が今は必要だと思ってくれて、その場をあつらえてくれた男に感謝と恐縮しつつ、アキラとユウヤは礼をのべる。

 

 

グラスをそっと傾ける。

氷が触れ合う小さな音がして、淡い琥珀色の液体が舌に触れた。

 

次の瞬間、二人は同時に咽る。

 

水割りとはいえ、喉の奥に広がる熱は思っていたよりずっと強い。

胸の内側がじんわり焼けるようで、鼻の奥までアルコールの香りが抜けていく。

 

アキラは目を瞬き、ユウヤは咳を吐く。

どちらも初めて、まともな強い酒を飲んだ若者の反応そのものだった。

 

咽た後に残るのは、少しの照れと、少しの笑いと、ほんの少しの大人になったような気分。

二人のグラスの中で氷が揺れ、トキジロウは静かに見守っていた。

 

 

「今回、ピュアを入れ替えて……治療……ひーりんぐ……いやセックスしただろ」

「必要だって分かってる。いつかはいつもの組み合わせじゃ、間に合わない時がくるって分かってる、わかってはいるんだ……」

「理屈はわかる、わかっている、理解している……覚悟だってしていたはずだ、だけどやはり直面すると…………」

「そうだよなあ、感情は別ってやつだ」

 

グラスを一度傾けるのが落ち着くと。

いままで腹に籠りながらも言葉に出来なかったものを、アキラとユウヤは語り出した。

 

「今までさ、まあ幼馴染だよ、友達だよ。だけど恋人でもないのにセックスして……それでも、少しずつ信頼ができて……俺がみんなを護るっ!て気持ちはもっともっと強くなったんだ……」

「わかる、僕もそうさ。関係も深く繋がるし、快楽もある……その…………それ以上の関係は、できていたんだよな……」

 

二人は、その関係がどれほど繊細だったかを、痛感していた。

 

 

「ピュアだって、いつも僕たちを選べるわけじゃない。傷の深さ、状態、タイミング……全部が噛み合わない時は、選びたい相手じゃなくても治療しなきゃいけない。それこそ見知らぬヒーラー見知らぬ男にもだよ……」

「それがその、つらいんだよな。あの子たちの気持ちも考えるとよ。俺らだって、大事にしたい気持ちがあるのに……それを選べない、選んじゃいけない。それでいて、友と戦友と言えるユウヤであっても、俺の女を抱いた男になっちまう」

「ああ……イラっときた。どうしようもない。納得しろ割り切れなんて、僕もピュアたちにも思えない」

 

トキジロウは黙し、二人の言葉を遮らない、ただ静かに聞いていた。

 

「……だから、今日のタイマンはさ。あれ、戦いじゃなくて……感情の整理だったんだよなあ」

「お互い、胸の中でぐちゃぐちゃになってたからな。誰にも言えないし……女の子たちにも言えないし……だから拳でぶつけるしかない、短絡的でも」

 

「殴り合って、お前なら任せられるって思えた。俺じゃ手の出ない戦いを勝って、みんなを無事連れて帰った。俺が抱いてきた女たちをお前になら任せられるって、そう思えた」

「僕もだよ。アキラなら……共に肩を揃え戦い、一人になってしまっても戦い生き残れるよう、なにをしなければならないのかを導いてくれた。僕が守ってきた女たちを任せられる、そう思えた」

 

グラスが軽くぶつかり、透き通った音が響き。

一息に飲み干す。

 

「正直! まだ整理なんてできねえぞ! こんちくしょう!」

「あたりまえだよっ! そんなあっさりできるわけないだろっ!」

「だがよ、確信した。女たちはお前の文句言ってない! なら、やっていけるってな!」

「ふふ……親友で、ダチで、戦友です。そしてヒーラーとして男として……アキラなら、女の子たちを守れる」

「ああ!」

 

グラスが強くぶつかり、氷が跳ねた。

 

 

「……ようやく、ヒーラーらしい顔になったな。戦う男の顔だ」

 

長い沈黙の後、トキジロウが水割りをひと口飲み静かに言った。

 

「え?」

「それは……」

「迷いながら、苦しみながら、それでも前に進み戦う。それが人を救う者の顔だ……その複雑さを抱えたまま進みピュアを抱け。それが、お前らの強さになる」

 

アキラとユウヤは、その言葉に少しだけ肩の力を抜いた。

 

 

【昔語り】

 

「……俺はな、最初からダチと二人でヒーラーをやってた。あいつとは、殴り合える義兄弟みたいなもんだった」

 

薄い水割りのグラスを指で転がしながら、トキジロウはゆっくりと口を開いた。

アキラとユウヤは黙って聞く。

 

トキジロウの語りは、どこか懐かしさと───強い痛みが混ざっていた。

 

「俺らが組んでたピュアは……一緒にダチとバカやれるスケバンもいたし、スラム育ちの女の子もいた」

「専属メイドもピュアとなり戦場に出てくれた。そして家の都合で押し付けられた俺の婚約者も一緒に戦った。カオリの母だ」

「カオリさんのお母さん、ですか……」

 

いまだ会った事の無い、元ピュアのカオリの母。

カオリの口に上ったことは一度もない。

 

「冷たくあしらったよ。おまえら以上に尖っていたあの頃の俺は、政略結婚なんて自由気ままに対する反発しかなかった」

「向こうだって借金の形に嫁がされたようなものだし。むしろ、ダチのほうがあいつと心が近かったくらいだ……あいつもダチの方に寄りかかっていた」

「複雑ですね」

「複雑どころじゃないさ。戦場で心が揺れると全部が崩れる」

「俺はそれが理解できていない、若くてバカなやつだった」

 

男女の仲、ピュアとヒーラーであるからには、体の関係が先に来てしまう。

 

例え元からであったとしても、ヒーラーの数が少なければ複数のピュアを跨いでセックスする。

場合によっては複数のヒーラーでピュアを抱く。

 

そんな仲で簡単に、恋愛と親愛と戦友の感情を制御しきれるものではない。

目を背けていても、それはいつかは破綻しかねない危うさだ。

 

 

「……スケバンの子は、俺たちを庇って死んだ。スラムの子も不注意からの即死だった」

「どんなに強いピュアでも、死んじまったら生き返らない」

 

二人のヒーラーは聞き入る。

まだ誰もピュアを失ってはいないが、今後どうなるのかはまだわからない。

そして失った経験のあるヒーラーの言葉に……食い入り耳を傾ける。

 

「……そしてダチは、ハラマセーとの戦いの最中に。俺は……人は共に脅威と戦えると信じ、ハラマセーの脅威を訴えかけ、市井の仲間を募り人類の脅威に立ち向かおうと信じていた」

「確かに一部の市民の賛同を得た。だがな、恐怖が膨れ上がり、疑い・利己心・嫉妬が社会を壊す」

「そして正義の名のもとに歪んだ情報がダチの妹に及び、暴徒が押し寄せ家に火が放たれダチの家族は全て焼かれて」

 

「その炎が広がり、この街の傷となった大火の災厄になった、それを引き起こしたのは、他でもない俺だ」

「……!」

「……!」

「ダチは……丸焦げになった妹を抱きしめ、バケモノを退治したと凱歌を上げる、無理解な暴徒たちの前でハラマセーと化し……虐殺を行った」

「俺はなにもできなかった、カオルとベニに引きずられて逃げる事ができただけだ……」

「その後、ハラマセーには勝って殲滅し、この街から一掃した」

 

「ダチはいなくなってしまったけどな」

 

アキラは拳を握りしめ。ユウヤは目を伏せた。

壮絶な戦いの記憶を、直に本人から聞けているのだ。

たとえ過去でも……大きく辛い傷のはずだ。

 

「カオル……カオリの母だ。政略結婚だったが、正式に夫婦となり子供もできた」

「生き残ったからこそ、知っている者同士気づけば支え合ってた」

 

トキジロウは静かに笑った。

その笑みは、痛みを抱えたまま前へ進んだ者の笑みだった。

 

 

「ヒーラーとピュアの関係は、複雑で、重い。恋愛とも違うし、戦友とも違う」

「でもな……その複雑さを抱えたまま進むしかない」

「それが、ヒーラーの戦いだ。お前らは、俺らよりずっと優しい。だからこそ迷っていい苦しんでいい」

「それがヒーラーの強さになる」

 

アキラとユウヤは、その言葉を胸に刻むように静かに頷き、無言の乾杯をトキジロウに捧げた。

 

 

【猥談】

 

「湿っぽい話は終わりだ。どうだ、いつもと違う女の抱き心地は」

 

トキジロウの話の雰囲気の切り替わりの跳躍に、アキラもユウヤも水割りを吹き出してしまう。

 

「話変わりすぎっすねっ! そりゃあまあ……ケイちゃんの柔らかく愛で続けたくなって守ってあげたい可愛らしい巨乳の抱き心地とか。ヒナタの鋭く小股の切れ上がった漢気のあってそれでいて乙女な心の可愛さとか。マリアの巨体と爆乳爆尻に騙されちゃいけない、ほんわかとしながら繊細な所とか。すっごくみんなよかったですよ!」

 

「そうですよね……アヤのストレートな物言いながら複雑な心情のもどかしさと情熱的な所とか。リサさんの底知れない知性と多面的な感情と理性の魅力とか、アスカさんの周囲をよく見て感じて動いてくれる頼もしさとか。それにみんな結構エロくて最高……」

 

「いい女たちだろ! 結構激しくて!」

「いい女たちだったでしょう! 意外と積極で!」

「気持ちよかったぜ!」

「気持ちよかったです!」

 

酔いもあるかもしれないが、拳を交わしわかりあおうとし、そして直球なエロ馬鹿話になってゆく。

 

男って馬鹿だ。

 

 

トキジロウは黙って、二人の若いヒーラーがピュアのエロ話をしてゆくのを、

安心した微笑みで聞いていた。




励みになりますので、感想評価お願いいたします
目指す至近目標:お気に入り200突破

なぜ拳を交わすのか
男だから
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。