「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【サクラ寮1F:ラウンジ/女子会は続く】
「みんないい? ピュアが全員集まってるし、私、みんなと話したいことがあるわ」
アヤが立ち上がり、落ち着いた声がラウンジに広がった。
テーブルには、おかわりの飲み物が再度並ぶ。
しかしその香りとは裏腹に、誰もが羞恥と緊張を抱えていながら、空気は再度張りつめた。
アヤの声は凛として迷いはなく。
カオリは軽く頷き、次の言葉を待つ。
「まず……今回の戦いで、ヒーラーを入れ替えて戦ったこと。私、あれは必要な経験だったと思ってるわ」
「寮に集まったとはいえ、私たちは元々のチーム意識って強いわ。その垣根をぶっ壊すためにも、今回の戦いはものすごく意味があったの」
「違う戦い方を学べたし、今後、メンバーを交えて戦う下地になったわ」
アヤはカオリに深く一礼し、カオリもそれを重々しくそれを受ける。
「ユウヤの戦術眼は確かに鋭いわ……状況を俯瞰して、わたしたちをどう動かすかを即座に判断していた……」
「ウチもそう思うわ。戦いの組み立てが上手いっていうか。得た情報から手を打つ、ウチらの動き、敵の動き考えて今できるってやつを最大限にって。まあちょっと背負いすぎって感じあるよね」
「それを負担……分け合うのもピュアの役割……」
リサもアスカも、ユウヤの戦い方を評価し敬意を示す。
「アキラさんの言ってたこと……自分で見て、感じて、考えて動く……」
「本当に大事だって思った……だからこそ、ユウヤの考えて決断する苦しみ……わかったから……」
「あたしも思ったさ。アキラの言う事は、戦いで生きのこって勝つための感覚ってやつを育ててくれるぜ」
「それにケイの言う通りだ、一人が欠けたらなにもできなくなる、それじゃいけないってね」
「マリア、自分デ判断スルコト大切、今回ノ戦イデ痛イホド分カッタデス。今ノ内気ガ付カセテモラッテありがとうデス」
ケイもヒナタもマリアも、それぞれアキラの導きに。
学び考えさせられるところが大いにあった事を頷く。
アヤは資料に目を落とし、深く息を吸った。
「…………そして」
「私たちは───ヒーラーを変えてひーりんぐした」
静かな声が、ラウンジの空気を一瞬で凍りつかせる。
誰もが顔を赤くし。
誰もが視線を落とし。
誰もが心臓の鼓動を早めた。
「理屈じゃわかってるのよ、必要なの」
「戦いの中、無傷なんてありえない。誰も悪くないし当然なの」
「でもね、でもね、感情は別なのよ……」
「だから……今みんなとちゃんと話し合いたい」
「逃げずに、誤魔化さずに。私たち自身の気持ちを」
アヤのしっかりとした言葉は、ピュアたちの胸に突き刺さり、顔を前に向ける。
カオリは本気の意見を受け止め、静かに頷く。
【揺れ交わる】
「まあ……確かに普通はその、セックスする仲になった男が他の女の子を抱いたら。嫉妬して、悔しがって、責め立てて、怒って、荒ぶって、争わなければいけないじゃないの」
「その……独り占めしたいってやつ」
「その男の子を産むために、他の雌を排除するのは……理に適っているわ」
茶を一口飲み一拍の合間を置いて、アヤは続けると、リサが動物学的に受ける。
「だ~けどさー既に前提からして違うっちゃってるっていうかさ、ウチら、なっちゃってるじゃない、ホント」
アスカが肩をすくめ、ピュアとヒーラーが普通ではない関係を、あらためて実感させる。
「ともだち……以上で……まだ……恋人……に、踏み込む前にだったし……それも……同じように……見知っている女の子の友達同士も一緒に……必要な力……わかってる、わかってるし……これでもいいと思ったから……」
「それが一気に急に広がっちまってよ。あ~割り切るってわけじゃねえぜ。戦うのに必要ってやつだけどよ、命預け合うんだし、信頼できるって奴とじゃないとやっていけねえだろ」
ケイとヒナタが複雑な心境を口にすると。
マリアが静かに語りはじめる。
「マリア……最初ハ、嫌、デシタ」
「生キルタメニ処女無クシテ、納得ヨリモ引キズッテシマイナガラ、セックスシテ……」
「デモ徐々ニミンナトノ戦イモ、セックスモ悪クナイト感ジラレタカラ」
「ソレダケソノ、いい人タチダッテ、マリアわかりましたから」
マリアの今まで伏せていた押し殺していた当初の負の気持ちと。
徐々に打ち解けてゆき仲間へ理解と親愛になっていったことを口に出すと。
ケイとヒナタは気まずそうにマリアを見てしまうが、マリアは笑顔で二人に応える。
この国に馴染めない自分をどれだけ支えてくれて。
巨体のコンプレックスに、真っ向から向き合ってくれて。
寂しさに心を苛まれた時、傍にいてくれたかを。
負の蓄積よりも、みんなが頑張って支え、気にかけて助けてくれた事実が。
マリアにとって嫌悪を凌駕していったのだから。
「いつか訪れるべき時を恐れて抱え込むより、劇薬のようではあっても、直面することで覚悟を固めるほうがよい。わたくし、そう判断いたしましたの」
「ですが、その覚悟をいきなり押し付けてしまったのは、まことに非礼でしたわ」
「お許しあそばせ」
カオリが立ち上がり、謝罪の言葉と共に頭を下げたことに。ピュアたちは少なからず驚く。
当然でしょとでもいう、傲慢不遜な態度を取るとばかり思っていたが。
過剰で軽挙であったことを認め詫びたのだ。
「でも、わたくし……信じていましてよ」
いやそれは結果論でしょと、程度の差こそあれみんなは思うが。
先送りにするよりも問題を直視したのも確かなので。
少しの苦々しさはあってもピュアたちは、それもカオリらしさと飲み込んだ。
カオリの背後のコベニは。
『いや本当に最初はただの思い付きですからね、騙されちゃだめですよみなさま』
『それでもこの反省と謝罪は取り繕ったものでなく、本心からのものですから───主様は本当に、仕え甲斐がありますね』
使用人として毒づきながらも、仕えるべき主と認めていた。
【置く】
さらにアヤは言葉を続ける。
ここまできたら、とことん話す腹が決まっていた。
「普通はその……恋愛して、告白して、関係を深めて、セックスする仲になって……結婚してって、そんなのまだスタートラインじゃないの!」
「子供産んで育てて巣立つの見送って! おじいちゃんおばあちゃんになって幸せにくたばってゴールでしょ! 私たちまだスタートすらしていないわ!」
厳密に言ってしまえば、ピュアとヒーラーは恋人ですらない。
それ以前の付き合いも、恋人以前であるのを、全員が痛感する。
「それにその……男が自分と付き合う前に、どんな女を抱いたとか……気になっちゃう、聞いちゃう?」
いやいや、それはないだろう。
というか聞けるか!
そういう空気が蔓延する。
「逆に処女じゃなかったからって、初めての相手のこととか、経験人数とか聞かれたら……どうなのよっ!!」
「最低……」
「いやいや、ナシっしょそれ」
「嫌……」
「そんな奴こっちから願い下げってね!」
「困リ……マス」
「処女であることは価値でありますもの。こうなってはですが、無粋ですわね」
「そう! それよっ!!」
「ピュアとヒーラーであるからにはなんて、ノーカウントじゃないわ」
「セックスも経験としてちゃんと受け止めて。ハラマセーとの戦いがきっちりケリをつけるまではね!」
「恋愛の心は一旦置いておくの!!」
静かな爆発がラウンジを満たし…………
ピュアたちは口を開きはじめる。
「うん……置くの……忘れるわけじゃない……少しの間、封じておく……だけ……」
ケイがゆっくりとアヤの言葉を受け止める。
内気な少女が真っ先に答え。
先に言われたなという空気が、ピュアたちの心を代弁したことになった。
ユウヤの考え抜いての決断と、アキラの自分で考えて率先して動くということ。
ケイが間近に見て感じて取り込んでいき、行いを言葉に踏み出し。
ケイはアヤに対して、自分の思いを伝える事でそれを体現させた。
「ふふふ……私とアヤは既に二人とも妻だけど、それもお預け……しかたないわね」
リサが柔らかく笑い、アヤの言葉を肯定する。
「まっあたしたちもさ、三人ともお嫁さんじゃねえか。まともに式とかは出来ねえだろうけど、法律とか関係あるかってんだ」
「マリアも……イインデスカ?」
「家族でファミリーだろっ! 遠慮すんなって。ハラマセーを蹴散らして楽しみにしようぜ!」
「ハイ!」
ヒナタとマリアが、恋を満たすのも戦いに勝ってこそと気勢を上げる。
「ま、強制じゃないにしてもさ。こういう覚悟って、ほんと大事だと思うっしょ」
「でもさ、ちゃんとみんなに伝わったってウチは思ってる。今は、手引くならこのタイミングってとこだけどさ、誰もドロップアウトする気配ないじゃん」
「少なくとも、同調圧迫で言い出せないって子、いないみたいだし。そこはマジで安心したわ」
アスカが口調は軽いが、状況の重みをしっかりと受け止めて纏める。
「それに……ひーりんぐだけじゃなくその。おたがい必要だったりした時とか、やっぱりムラっとウズっときちゃった時とか、そういう付き合いも含めてって、やっぱりあっちゃうだろうし」
「うん……欲しいってなっちゃった時、体をゆるせちゃう理解できる相手がいるって……そうないじゃないっ! いや普通ないっ! けど、いま、あっちゃう!」
「妊娠もしないし、一緒に気持ちよくなれるなら、そういうのもありだし……」
「それにそれに……ハラマセーに犯されたりしたら、ヒーラーにもっと……気持ちよくしてほしいって欲しがって強請って……」
「それも含めて……ヒーラーだってたくさんの女の子たち背負って、がんばって治しているんだし。体力的にもキツイし、気を使わなきゃならないから心だって辛いはずよ」
「ハラマセーの被害者を、ひーりんぐしなきゃいけないんだし。それはそのピュアも男性の被害者をどうにかするのは一緒だけど…………」
「ヒーラーも心も体も癒されて気持ちよくなってもいいのよ。それで快楽だけに溺れないようにとか、心構えしなきゃいけないって、色々あるけどっ!!」
「だから、だからねっ、ハラマセーをぶっとばして、世界もみんなも幸せにならなきゃって───」
「うわ……なんで私、泣いてるの、かな…………」
「わたくしの語りたいこと。いえ、それ以上に言われてしまいましたわ」
「本当に、本当に…………もう……」
アヤの激烈で激情で本音で素直な言葉は、とりとめは無くなってきたが。
みんなの感情と理解を揺さぶり。
アヤ自身も涙を溢れさせ、感情の揺れ上がりを制御できないが。
言葉にした勇気と覚悟はピュアたちに十分に伝わり共感した。
カオリは席を立ちアヤを抱きしめる。
そのまましばらくの間、アヤの感情が収まるまで、優しく抱きしめ続けた。
【本音の議事録】
アヤの涙がようやく収まるころ……
「コベニ記録は取れまして?」
「はい、議事録及び音声もしっかりです、主様」
「ちょっとまていっ!! 記録!? 記録ってなにっ!?」
アヤは流した涙も引っ込む勢いで、カオリの胸倉をつかみ詰め寄る。
うぉぉ、胸おっきいぃぃぃちくしょう!!
そんな敗北感を勝手に思いつつ、質問に答えろと迫ってゆくと。
「当然でしてよ。大事なお話し合いなのですもの、記録を取るのは義務と言ってもよろしいくらいですわ」
「あら? なにか不都合でもかしら? でしたらなおさら、きちんと残しておくべきですわね」
「確かに正論……ふふふ」
この後、アヤとカオリの低レベルな言い争いがしばらく続き。
今後、合流したピュアやヒーラーに、今回の話を聞かせるのはよいが。
発言者は匿名にして、声も特定できないよう修正を入れるという所で妥協点に落ち着いた。
「ふあ~~なんかやっと落ち着いたってね~」
「大事デ本気デ、胸モ股モ開イテ話し合エタデス」
「そうなると……次は……ね」
「私たちの覚悟を伝えるのよっ! でないと意味がないわ」
緊張が解け、お茶のお替りを飲み干すと。
ピュアたちは席を立ってゆく。
「あの……調べたらその……道場……使って……ます……」
「あ~なるほどねえ。へっ男同士も覚悟決めて、やってるってことじゃねえか、熱いよねぇ」
「そうねえ~まっ、下手したらひーりんぐ必要ってヤツじゃないの~ってね」
ケイがスマホでヒーラーたちの位置を特定し。
ヒナタとアスカは、男二人は女とは違った、ぶつかり合いをしているのを察する。
「その時は。わたくしたちの結論を伝えるまでですわ」
「ええ、そうよ」
カオリの力強い声にアヤが応え。
ピュア達はサクラ寮の地下二階、道場へと歩を進ませてゆく。
そして、道場を目前にして───
「ピュアのばっかやろ~~~~~~~!!!」
アキラとユウヤの声が、響き渡った。
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目指す至近目標:お気に入り200突破
女の子だからこそ、覚悟するのです