「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【告白】
「雨、降ってるな」
「そうねえ」
アキラの呟きが、教室の緩やかな空気に溶ける。
アヤが応じ、窓の雨粒を眺める。
くったりとした時間が、教室を包む。
「なんか……イベントでもないと、退屈だわ~」
「ふふふ…そういうの、フラグにしか聞こえないかな……」
雨音が聞こえる教室で、アスカが欠伸と退屈の訴えを漏らすと、リサが受けて微笑を浮かべる。
弾ける足音が廊下を駆け。
教室のドアが勢いよく開く。
「アキラ先輩! 私とつきあってください!」
小柄な下級生───ハナ───が飛び込み、告白。
ショートカットの黒髪、幼さ残る童顔、発展途上の胸が揺れる。
「お、季節の変わり目か?」
「アキラに告るやつ、たまにいるよな」
「今回は、下級生か!」
アキラは美形というわけでもない。
親近感のある、優しさのある顔立ち。
愛嬌とエロと、笑える冗談の、一緒にいての楽しさ。
ふざけていながらも芯があり、義理堅い人格。
頼りになりそうな包容力を具現化した、がっしりとした体格。
惚れる要素の百貨店的に、刺さる女の子を惹きつけ。
告白に踏み切る女子も、たまに存在する。
これまで告白は、アキラの「よーし、手始めに。乳尻太もも触らせろ!」のスケベノリで逃げられ。
アヤの突っ込みやリサの存在感で。
「正妻がいる」「側室までいる」
そう諦められるのが定番だった。
「気持ちはわかった、だが、断る!」
アキラの毅然とした拒絶に、教室がどよめく。
「アキラが断った!?」
「どういうことだ!」
「やはりあれか……」
「あれ、とはなんだ、知っているのか雷電!!」
「長年連れ添っていた嫁と、一線……いや三線は超えたという事だろうよ」
「なっなんだってぇぇぇぇぇ!」
「そう、いつかは来る、いつかは起きるはずだ」
「その証拠に最近三人、いや四人でつるんでいるのが多いだろっ!」
「確かにっ!!」
「そのため、今までの来るもの拒まずに対し、新たな境地が開かれたのであろうな……」
「そうか……そうだったのか……」
「おまえら、黙れ」
アヤがゆっくりと教室を見まわし。
冷ややかと呆れの混じった視線がレーザーとなって薙ぎ払うと、教室は沈黙した。
教室を静かにさせると、悠然と腕を組み。
アキラと告白してきた後輩を、見守りはじめる。
「さすがアヤ………ふぅ」
「惚れすぎでしょ」
リサは惚れ惚れと、アヤの仕草に見惚れ。
たまらず、アスカは突っ込む。
「先輩………どうしてですか? ハナにわかるよう説明してください!!」
「確かに私っまだまだ成長中です、むねだって、おしりだってさわられてもへっ平気ですっ!!」
「既におつきあいしている人達がいるのも知ってますっ!」
「そのっ……末席でいいんですっ!! 彼女にしてくださいっ!!」
告白してきた後輩ハナは、アキラに食い下がる。
確かに小柄で薄めの胸は発展途上、幼さの抜けない童顔もかわいらしくある。
事前に調べたのか、アヤ達の関係も承知で告白してきたのは、度胸か無謀か。
「ハナちゃんって言うんだ。俺には、俺達には、今やるべきことがある───」
「君をそれに巻き込むことはできない、わかってくれ」
静かに重厚に、そして長身をかがめ。
ハナの小柄な体に視線を合わせ、ぽふっと大きな手の平を、ハナの髪に添える。
「それを………手伝えないんですか?」
じっと見つめ、真摯に聞くハナ。
アキラはゆっくりと首を振る。
「わかり、ました……じゃあせめてっ! 一度だけでもっ! デートしてくださいっっ!!」
「その一度を………思い出に、します……から………」
「気持ちにけじめを付けさせてっくださいっっ!!」
ハナは最後の食い下がりと、最後は涙声になりながらも、訴えかける。
アキラは先ほどまでの真剣さが解け。
うわ~~~~どうしよう~~~という顔で、後方に助けを求めている。
「いってきたら、デート」
アヤの声が通る。
「えっ、いいんですか!?」「いいのか?」
ハナは涙を急停止させ、聞き返す。
アキラはまぬけな声で、聞き返す。
「ほんとーにいいのか? 一回じゃすまなかったらどうするよ」
「ふっ忘れられなく、させちまうかもだぜ」
急に軽いノリに切り替え、アヤの方を向く。
口調と違って、その表情は硬い。
「本人が一度きりって言ってるし、それを違えるような感じもないわ。楽しんできたらいいわ」
アヤは笑みではあるが、その表情はアキラと同じく硬さが見える。
「おぉぉぉぉぉ、正妻の余裕だぜー」
「やっぱりこれ、一線、いや三線超えてんな」
「いやまったく、揺るぎない信頼ってヤツ」
「まあ、なんかあっても、側室が増えるってことか?」
「アキラの甲斐性すげーな」
教室は大盛り上がりだ。
「二人とも…………すばらしいわ……」
「もう突っ込まないわよ」
後方理解者顔で、リサは惚気ていた。
アスカは諦めつつ、窓の外を見る。
「まっデート当日、晴れてればいいっしょ」
アスカはまだ……
雨の降りしきる窓外を見つめた。
【デート】
アキラとハナは駅前で待ち合わせる。
ハナはスポーティーなジーンズにラフなシャツ。
女の子としての気合を入れるよりも、気軽な自然さが魅力だ。
アキラもカジュアルなシャツとジーンズで、普段着的な雰囲気を作ってる。
デート日和の快晴だ。
「ハナ、かわいいな。おっし、天気も快晴、さあ行こうぜ!」
「はいっ! お天気も元気ですっ! 行きましょう!!」
アキラの元気な掛け声に。ハナは頬を赤らめ、小走りで駆けだす。
「コースは考えてきましたっ! 着いて来てください!」
「おうっ! まかせた!」
屈強な熊を先導する、栗鼠であった。
駅近くの、アーケードの路地に入った小さなカフェ。
扉のドアベルをカランと鳴らし、こじんまりとしたテーブルにハナは向かう。
「へぇ~落ち着いていていいな、こういうところって、あんま来ないから」
店の静謐で洒落た様子を見まわしながら、アキラはアイスカフェラテを注文する。
「そうなんですか意外ですっ、もっとこういう所、慣れてるかと思いましたけど。期間限定の苺スムージーお願いしますっ」
「おっ美味そう~~一口くれ」
「ひっ一口と言わず、はんぶんこしましょうっ!」
そして注文の品が届いてから。改めてのハナの自己紹介を行い。
今後の予定、ちょっとした最近の出来事の話し合い。
小さなテーブルゆえに、距離を詰めた会話を進め。
気持ち的にも物理的にも接近した。
「つまり対象は、天候の悪い時間帯に出没しているようだ」
「ウーン、ソノワリニハ、シュツゲンと退去の目撃ガ、スクナスギナンデスヨネー」
別の離れたテーブルで、色白で小柄な男子と、アキラよりも背丈が高い、外国人の女子が。
テーブルに地図を広げ、何かを検討していた。
そして向かうは映画館。
「恋愛サスペンスと、恋愛アクションコメディですねっ、先輩、どっちにします?」
「恋愛アクションコメディだっ!」
アキラはジャンルの選択を、まったく悩まなかった。
荒唐無稽でありながら、笑いが絶えず。
アクションの連続に織り交ぜたエロシーンが、笑いのスパイスに加味されている。
初デートで選ぶには、どうかもなジャンルだが。
ハナも腹筋がよじれる勢いで、笑いを楽しんでいる。
ジェットコースターな内容にも、一息つける合間がある。
ハナは暗闇に紛れ緊張の中、アキラの腕にそっと触れた。
その触感に気づいたアキラは───ひょいっと、ポップコーンを差し出す。
「先輩……ありがとうございます…………ずるい……」
「いっぱい笑えましたねっ! すっごく楽しかったです!!」
ガッツポーズで満足を、体全体で表すハナ。
「いやー最近見たのって、配信ばっかだしな。映画館での迫力は、また違うよなっ!!」
「まったくですっ!!」
柊劇後の感想と興奮を、ロビーで確かめあう二人。
恋愛サスペンスの方も終わったのか、別のスクリーンからも客が退出している。
ジャンルの客層からカップルが多いが、誰もがやや気まずそうな感じがうかがえる。
「中盤からのその………ベッドシーン、凄すぎたね……」
「どう見ても尺稼ぎだよ、あれ……」
「あの部分だけポルノ作品だったよ、まったく」
色白で小柄な男子と、ほぼ同じ背丈で、巨乳と巨尻の隠せないふっくらとした女子も、連れ立ってスクリーンを出てきた。
「とりあえず、お茶を飲みながらだけど」
「特定の条件での被害に関して……だよね」
「それと………さ、暗いからといっても、こういう所で触りにきちゃその……ダメだよ」
「だってその……つい…………ね」
こつんと、軽い小突きが、女子の頭に落ちる。
恥ずかしそうに俯く女子。
二人は、映画館付属のカフェへと消える。
映画の後ショッピングを楽しみ。
蒼く闇が染み込んでゆく時間の公園。
楽しい時間は、あっという間だ。
「法則性がある敵なら、こちらから計画を立てて対処できるはずだ」
「しっかしさ~なんか出し抜かれてるって感じが、な~~んか見落としってんのかなぁ~~て」
色白で小柄な男子と、褐色肌の長身の女子とが。
公園内をトレーニングなのか、走り抜けつつ連れ立っている。
「それなんだよ、この間も袋小路に追い詰めたと思ったら」
「いなくなってんのょね~空飛んでるってわけでもね~~し」
二人ともかなりのペースで、公園内を走破していった。
「ハナ、今日楽しかったぜ。ありがとな」
闇がじわりと包む時間、デートが終局に近づく時間。
アキラは明るく、感謝を伝える。
「は、はい、先輩、私もっです」
ハナは…………胸の鼓動を弾けさせながら───決意する。
ポーチから小さな包みを取り出す。
震える手でそれをアキラに示しながら、公園の出口の一つ、ネオンの煌めき瞬く一角に視線を飛ばし。
大きく息を吐いて。
願った。
「先輩…………………………最後に……お願いが…………最後にっ私とっラブホテルでっっ処女をっっっ奪って……く だ さ い…………………………………」
両手で大事に持って差し出す小さな包み、避妊用のゴム製品の包みだ。
言い切った───これで後戻りしないと。
アキラは膝をついて、小柄なハナと背丈と視線の合う高さにする。
俯いて震え、答えを待っているハナ。
「ハナの気持ちと覚悟、受け取ったよ」
「俺も……すごく嬉しい」
「嬉しくて大事だからさ……ちゃんと断る」
落ち着いた優しい声で、大きな手の平でぽふっと髪を撫で。
そして手に持つ避妊具を、ゆっくりとハナの手の中へ仕舞わせてゆく。
その近づきをハナは利用した。
顔を寄せ唇を合わせる、触れるだけのキス。
ほんの少し時間を止める。
「わかりました、わかったんですっ、先輩!! 今日の事は全部! 宝物にしますっ!!! 今日はありがとう、ございました!!」
唇が離れ、ハナは目を潤ませてはいるが、大きく笑う。
この恋の胸の痛みを昇華していくために。
「明日からも、がんばりますっ! それではっ!!」
ネオンの煌めきとは別の入口へ、ハナは去っていった。
アキラはその背が見えなくなるまで、見送った。
「はぁぁぁぁこんな棚ぼたなチャンス、以前の俺なら一発やっちゃってるだろうな~~」
「けどそうじゃない、それだけじゃないって事はさ……俺自身が知ってわかってる事だろ」
「それに対して無責任な事はできねえよな」
「たとえ、相手が望んでいる事でも」
独りたたずみ。緊張感がほぐれた独り言。
気持ちを整理するためにも、言葉にして漏らしてしまうものかもしれない。
「おっ? 雨か?」
雨が……降り始めた。
【惨雨】
雨が降っている。
振られてフラれて、傘もささず濡れながらハナは歩く。
そういう気分だ。
ハナは傷心と満足感が交錯していた。
失恋した。
結果はもう最初から分かっていた、意地汚く食い下がったのは自分の方だ。
さらに自分の純潔を捧げる事で、アキラに自分という傷痕が残ればというのは。
あさましくも必死だったと、いまさらに思う。
失恋したけど、実行して踏み込んでよかったと。
このデートは、一生に残る一日だったと。
胸の痛みはあるけど、満足感でいっぱいだった。
「おじょうちゃん、雨で濡れちゃうぞ」
声をかけられる、男の声だ。
振り向いてみると………いかにもホームレスな、小汚い男。
せっかくの気分が、台無しにされる感じに、それを無視して、角を曲がる。
先ほど後ろにいた男が、目の前に、いる。
小さく悲鳴を上げてしまう、さっきまで後ろにいたのに、どうやって先回りしたのだろうか。
考えるよりも先に、踵を切って角を出て走る。
どれだけ走ったのか、息が上がる。正面から歩いてくる人影……さっきの、男、だ。
追い抜かれてない、全力で真っ直ぐ走っているのに、どう先回りしたのかわからない。
なんだか、イヤな、弄んでいるような笑いを、浮かべている。
振り返り、逆方向に走り出すと。
男が目の前に、いる。
驚愕と恐怖で、叫びを上げる間もなく。
腹をしたたかに殴りつけられ、痛みで膝を折る。
男の笑いの粘度が高まりが、更に増した。
「ふぅ~~~雨はいいぜ」
下半身を露出し、粘液と精液と血にまみれた勃起をさらし。
ハラマセーのレイニーは満足の中、雨水に戦果を上げたちんぽを洗わせていた。
路上にはハナが茫然自失で倒れ、雨に打たれ続けている。
膣口からは、精液と破瓜の血がこぼれている。
「遅かったかっ!」
氷の矢とクナイが飛ぶ。
しかし、当たらない。
レイニーの姿そのものが消えている。
「だめっ、まわりにもいない」
「ちっくしょ、雨に隠れちまった」
「カクレタ、イウヨリ」
「………………………」
ユウヤ達、ピュアとヒーラーが駆け付けるが。
レイニーの姿は消え、強姦された少女のみが残った。
「コベニさん……申し訳ないが、お願いします。僕たちはヤツを追います」
「承知」
ピュアのコベニは、ハナを抱きかかえ、対応できる傘下の病院へと急いだ。
結局レイニーは、何度も何度も雨の中、姿を現しては消え。
ユウヤ達を、散々に引きずり回した挙句……
嘲笑を残し、逃げ去っていった。