「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【身も心も怪物】
「ちっくしょう、ちょっと遊んであげただけなのに、なに凄んでんだよっあいつらって感じ!」
「元々問題のある連中を弄ってやってんだから、楽しませろよってね」
「ちっ、あの褐色デカ女じゃ、話題に喰いつき悪くなっちっまったなって感じ」
流言と煽りを囃し立てる自分は人気者と、勝手に自負して。
それが損なわれたら、不機嫌になってしまう。
他人を弄るのはいいが、自分が弄られるのには怒る。
まったくもって勝手で、その道化っぷりが、今では嘲笑の噂ネタにもされている。
「これというのも、あいつらのせいだ。よけいな事しやがって、なんで邪魔するかなって感じ」
捏造ネタ投稿者は、自分の所業には、棚に上げっぱなしである。
「おやおやおやぁぁぁ、なぁ~~~んて腐ったエナジーでしょうねぇ、ふぇっ~~~へっへっへっ」
「なっなんなんだよ、おっさん」
下卑た笑い声が、響き渡る。
突然の笑い声に振り向く、捏造ネタ投稿者。
眼前には不審者としか言いようのない、軍服めいた恰好の30~40代くらいの男。
どこかでコスプレでもしてんのか? と首を捻る。
「うんうん、よいねぇ、その歪で自己中な思い……」
「それはだーいじなエネルギーだよ~~欲望を満たし、己の目指す頂に他人なんてどーでもいいっ違うかな? うん、そうだよねそうだよねえ」
「は、はい、そうですよね」
不審者の勢いに押されながらも。
先ほど自分が否定された所業を肯定してくれることに頷く。
「たぁぁぁだっ、己を叶えるにはそう、欲望と力が必用だぁ!」
「そうすればだれにも邪魔されずにすむっ!」
「そうですっそうなんですっ! あんな暴力で止めるなんて、許せないって感じぃぃ!!」
間違った歪んだ、自分だけの正義に染まり切っていて。
煽りを受け止め、力を渇望しはじめる。
「よぉ~~~し、いいだろやれるとこまでやってみろ」
「おじさんは、見守るだけだけどねっ」
召喚された触手達が、捏造ネタ投稿者に喰らいつく。
しかしそれを飲み込み吸収してゆく。
「ひゃあっはっはっはっっっ! あの奴隷女ぁ、無様な姿を記録してやるぜぇぇぇぇ!!」
「そして配信だぁぁぁぁぁぁぁ!!いっくらでも恥ずかしくしてぇわらいもんにしてやるぜぇぇぇぇぇってかんじぃぃぃぃ!!!」
「ふむぅ、モンスターにまで進化しましたが。どうも今一つな出来ですねぇ」
「まあ毎回毎回、大当たりってわけにもいかないでしょうし、ここからの成長を期待しましょうか。ふぇっ~~~へっへっへっ」
ハラマセー化した投稿者に、少々不出来な作品を作ってしまったか? と軽い悔悟はあるが。
いやいや成長の機会を見守るのも必要と納得し、不審者の姿は消える。
捏造ネタ投稿者は吠える。
ハラマセー、インフルヘイターの誕生である。
【一斗缶】
ケイはマリアに対して、続く思い出しを語った。
それを引き継ぐように、ユウヤとヒナタが話をしはじめる。
その後ケイは、いままでのいじめの心労と、レイプされかかった恐怖で、引きこもりとなった。
二人はケイに惚れた縁もあり、協力しながら、ケイの心を救い出す事にした。
最初は互いに角突き合わせてもいたが。
共通の目標のために、事に当たっていくうちに、友情も育まれ距離も近くなっていった。
特に争い事を通じて、互いに背を預けるに足る相手と。
男女の性別を超えた友情と信頼は、普通の付き合いでは得られないものだ。
「挟まれたな」
「橋の上に追い込むたぁ~あいつらも考えたわね」
夜も深い橋の中央で、武装した集団に挟まれるユウヤとヒナタ。
ケイを弄ぶ対象にしている一団から、不興を買っている。
まだ遊べるオモチャを取り上げようとしているのだ、相手にとっては愉快なはずがない。
二人が自分たちの遊びを邪魔するのに業を煮やし、ついに爆発させる。
そして二人も遊ぶ的として、数の暴力を行おうとしていた。
「ど~するよ、まっ何人かはぶちのめせるけどよ」
「相手は喧嘩するつもりは、なさそうだしな」
護身用の警棒、バットに角材、スタンガンまで用意している。
どいつもこいつも武器と人数の有利。
二人をボロボロにしたあと、どう楽しむのかの未来に、下衆な笑いを浮かべてる。
「おまえら、調子くれてっからさ~わからせてやろってんの」
「そうそう、二人ともまわして楽しんでやるぜぇ~」
「その様子、カメラに収めておくからね、大切に記録するお~」
突破しようにも結構な数だ、無理がある。
「逃げるか」
「どこによ」
ユウヤは、眼下の河を見る。
「たしかに、こいつらにつきあってらんないわ」
ヒナタは頷く。
二人は欄干を蹴り飛んで、川面に飛び込んだ。
水飛沫が暗闇に散り、水音が敵の怒声を掻き消す。
夜陰に紛れ川辺へ這い上がると、二人はずぶ濡れのまま、全速力で人気のない路地へと駆け込んだ。
服は肌に張り付き、靴の中までぐっしょり濡れる。
冷たい夜風が冷えきり、体温も同時に奪い蝕んでいく。
「っ、手が震える……」
「でもよ、あんたよ~く判断したじゃない、感謝しとくよ」
「礼なんか後でいい、このままじゃ風邪ひく……」
ユウヤは冷えの侵蝕の辛さを、身に沁みさせていた。
ヒナタも少しでも体温が逃げないようにと、自らの肩を抱えつつ震えた息を吐く。
ユウヤが震えながら方策を考えていると、路地奥に揺らめいている炎。
ホームレスが空き一斗缶に、廃材を燃料として暖をとっているようだ。
「あったかそ~だなあれ」
「よし、もらうとするか」
「てっどうやって?」
ユウヤの即答に、強い懸念を込めてヒナタは聞く。
ここで暴力とか使ってしまったら、あいつら以下だと思ったからだ。
「こうする」
ユウヤは財布から、濡れそぼってはいるが何枚かの紙幣を取り出し、ホームレスに声をかける。
最初は警戒していたホームレスも、納得したのか金を受け取りその場を去ってゆく。
「この火と場所を、買った」
「つっこみて~けど、取引ってやつかぁ」
「金で解決できる事なら、下手に話し合うよりも。いまは速攻性が必用だ」
「まっ確かに、急いでるときゃ、電車やバス待つより、タクシーひろうよな」
一斗缶の焚火で暖を取るため、炎にあたりだす。
ヒナタが肌に張り付いたシャツを脱ぎ、褐色の肌をさらしながら下着姿になっていく。
「お、おい」
「しゃーねーだろ、濡れたまま着てたら、風邪引くし乾かねえし、てめえも脱ぎやがれ」
「確かに……」
ヒナタの大胆さに驚きつつも、言っている事の正しさには納得するしかない。
夜の路地裏、一斗缶に揺らめく炎。
ずぶ濡れだった衣服を、ビールケースの上に広げて乾かし。
暖を取りながら、下着姿で身を寄せ合う若い男女。
意識しない方がおかしい。
いままで意識しなかったのは、互いにそれに目を逸らしていたからもあるが、無理やりにでも今は意識してしまうしかない。
ケイを救うための友、仲間、相棒。
だんだんとそれ以上に、信頼と信用を戦いの中築くと共に、お互いが持っていない魅力を、羨望し認めるようになるのと。
男として女として、相手を意識してしまっていることに、気づいてしまうのにそう時間はかかっていない。
ヒナタは長い脚を折りたたみ、炎をぼぉ~と見つめつつ、時折膝を抱え座るユウヤを意識する。
自分のいつもとは違う、焚火の炎に炙られた褐色の肌。
普段の力強さと躍動感とは違う、なめかましい艶を観察されているのが判ってしまう。
いま襲ってくるようなヤツじゃない。
そうわかっていても……女として見てくれているのを、嬉しく思っている自分に戸惑いつつ。
ユウヤを男として、好きになっているのを自覚した。
同性愛者の自分が男なんてと思うが、素直に男女関係なく惚れて好きになれる相手が。
ケイと共に同時に現れてしまった事が、困惑しかない。
ユウヤは揺らめく炎を見つめながら、気持ちが落ち着かない。
ヒナタとは戦友であったはずだ、惚れた女の子を救うため、共に闘っている。
共に戦い、時には衝突し、時には喜び、気を許せる相手という得難い人となった。
それと同時に……女としても惚れてしまっている。
護りたいケイと、共に戦えるヒナタ。
どちらも大事な人だが、どちらにも惚れてしまうのは、不誠実を感じる。
いまでも……ヒナタに隠すようにしているが、勃起が収まらない。
痛いぐらいに怒張し、ヒナタの肉体でその欲望を満たしたいと暴れている。
それはただの肉欲だ。そう言い聞かせ心を鎮めるしかない。
「まだ、寒いな」
「そうね~まっ寒いだけじゃないだろうけどね~」
炎のゆらめきが二人の間を繋ぐように踊っていた。
誰もいない静かな路地裏で。
二人の関係の温度は、確かに上がっていった。
「まっそれから、なんやかんやあってさ、連中を黙らせたってわけ」
「そんな……川に飛び込むなんて、はじめて聞いた……」
「まあ、伝えるような事じゃないし」
逃げるための橋からのダイブは、ケイも初めて知ったことなので、驚きと心配を過去の所業に向けてしまう。
ユウヤとヒナタの、心の接近の説明はないが。
既に今の互いの関係から、一斗缶の焚火にてなんとなく、ケイもマリアも察してはいるものの、それを口に出すほど野暮でもない。
「マアマア、モウ、過去のコトデスシ、心配ヨリモ無事デヨカッタシマショ。ソレニシテモ無茶シマスネー」
「そういうのが下火になっても、勝手に再燃するようなやつは。いつでもどこでもいるってやつか、たまんねえな~」
「まあ……モグラたたきしかないな。それでそういうのが無駄でつまらない事だって、わかってくれるまで……かな?」
マリアもケイに同調しつつ感心しながら、話を進める。
ユウヤが疑問形なのは、そういう連中のほとんどは反省しないし。
自分たちの楽しみを邪魔するやつが悪いと、他罰的な思考しかしてこないであろうからだ。
「でもね……そうじゃない、ひとも……いるよ……」
「ソウデスネーソウナンデスヨネースコシズツデモネ、世界は変わるデス」
「そうだよね……かわらないと嘆くのは、諦めているってことだ」
ケイに謝罪に来たサユリ。
少しずつでも、変わってゆくのではないかと。
ユウヤは自分のネガティブな拒絶感に対し、ちゃんと希望を掲げるケイの強さを眩しく思う。
「さ~~~てっと、今日はもう帰るっかな、一発ヤル気分でもねえし」
「あたしはこれで、またな」
会話がひと段落し、時間を確認なのか、ヒナタはスマホの画面を確認すると。
丁度よい区切りとばかりに、ヒナタはたまり場を辞する。
「まったく、こんなもん送り付けやがって、ま、のってやるけどさ」
ヒナタのスマホには『果たし状』とわざわざと古風な画像まで添え付けたメールが届いていた。
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