※この作品はR-18です。

「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!?   作:白拍子

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058「ごうりゅう」

【触手城内】

 

チャペルでの集まりは解散となり、リオンとマーシェはショッピングセンターの荒れた通路を歩む。

微妙な静寂に二人とも口を開かず、ただ足音だけが響いていたが、その沈黙をリオンが破る。

 

「そういえばマーシェ……チャペルから出る前に、泥の塊を踏みつぶしていたよね?」

「見てた、ですか?」

 

マーシェの肩が跳ねて、おずおずとおっかなびっくりに聞き返す。

リオンはマーシェの、巨体に似合わない小動物的な反応を楽しみながら。

 

「変な事しているから……気にしちゃダメかな?」

「こんなこと、言われたんで……」

 

首を傾げ、マーシェの顔を覗くリオンの笑顔は、純粋さと執拗さを滲ませる。

マーシェは目を伏せ、ぽそりと語り出した。

 

 

命の尽きたマウンテンであった砂山から、小さな泥の固まりが未練がましく這い出てゆっくりと脈打つ。

まるで心臓のように、執念だけで鼓動している。

一塊の泥になってもまだ生きていたマウンテンは、目敏く自分の遺伝子を受け継いでいるマーシェを見つけ。

 

「ぅああぉっ~~お前ぇ~~おれのガキなんだなぁ~そう、そうなんだよぉ~~だからぁ~」

 

マーシェにしか聞こえない、掠れた粘った囁き。

 

「吸収しなよぉ~~おれをぉ~ぜぇんぶ~~意識も、記憶も、存在も~~明け渡してぇ~~そうすればぁ~~お前の身体でぇ~おれはぁ~生きられるぅ~~げひひ~~いいだろぉ~~お前のためにもぉ~~なるんだよぉ~おれがぁ~~~お前になるんだからぁ~~」

 

説得でも懇願でもなく、生きる事への執着と支配と欲望だけが満ち溢れていた。

 

「やなこった」

 

マーシェは泥塊を踏みつぶした。脈動が完全に停止し消滅する。

 

 

「それで?」

「おいら、むかついて踏んずけて、粉々にすり潰してやったです」

 

リオンの静かな問いかけ。

マーシェは肩をすくめ、唇を尖らせる。

 

「いいよね……たとえ親でも……理不尽なら超えていくしかないし……ぼくも……マーシェがマーシェでなくなるのは嫌だよ……」

「はあ、そうっすね」

 

リオンは正面を向き、楽しさと嬉しさを滲ませる。

マーシェはその言葉に、少しだけ目を見開き、そして静かに息を吐く。

リオンに対する恐れと嬉しさが、自分でも理解しがたい事を煩悶した。

 

 

【敷地外】

 

「よ~~~し! 撤収っ撤収!! いい絵は撮れまくったし、これ以上留まるのは危険って感じ~ハラマセー達と鉢合わせしたら、洒落になんないってかんじだから、さっさと逃げるって感じ!!」

 

自身もハセマセーであるのに、インフルヘイターは手をパンパンと叩き、クロノス社情報収集工作員達に撤収を促す。

トレーラーから展開された、撮影映像情報収集機材が手際よく収納されてゆく。

 

「カメラ触手放棄、自壊開始。まっよっぽどでなきゃ、向こうのハラマセーにはバレないかな? あいつらはあいつらで、結構ヤバイ連中って感じだし……」

 

触手城内に潜ませた、インフルヘイター独自に召喚できる、先端がカメラレンズになった偵察触手達が弾け、外部からの潜入と撮影での情報収集の痕跡を隠蔽する。

 

「いや、すっごい絵が撮影できましたね! 触手やゾンビー、モンスター級との死闘! ピュア達を凌辱し、出産させ続け辱めるっ! そしてその絶望的状況からの脱出劇!! 普通ではありえない角度での撮影、ドローンじゃこんなのできませんよ!! これまでの戦闘とエロシーンも含めて編集しまくれば、凄まじいアダルトビデオ作品を作成できます!!!」

「そうだろそうだろ! ぼくも編集頑張るし、地下広報も煽りまくって。どれだけピュアが、アクションとエロ大盛のコンテンツキャラなのか、ビンビンに煽り倒してやるって感じぃぃぃぃ!!! それにドローンはドローンで空中からのアングルとか、すっごく頑張ってくれたじゃないか。やっぱりお互い技術を使い合うって必要だよ、同志よ!」

 

クロノス社工作員の興奮した声が上がり、インフルヘイターを持ち上げほめちぎる。

インフルヘイターも、クロノス社の技術と工作員達の手際を褒めたたえる。

 

「しかし逃げているピュア達の姿って。ぷぷ、全裸で走り回りで。しかも大怪我したのは駅弁セックスしながら爆走って、もうギャグですよね!」

「だよなぁ! 滑稽なシーンとして使えるって感じ! ま、近くを走り抜けられた時は、ヤバいって感じだったけど」

 

逃げるピュア達との微妙なニアミスも、チャンスとカメラは回り続けた。

 

「燃えてますねっ! 萌えてますねっ! この勢いでいい作品を、どんどんリリースしていきましょうっ!!」

「はははっっ楽しみって感じいぃ~~~~~」

 

ハラマセー、モンスター級・インフルヘイター。

クロノス社と連携し、戦闘アクション無修正地下アダルトビデオ作製に夢中であった。

クロノス社のトレーラーは無事撤収に成功した。

 

 

【セーフハウス/合流】

 

触手城の影を遠ざけ、アキラたちは最寄りのセーフハウスに辿り着く。

空気が変わった、戦いも粘つく恐怖も届かない。

人間の世界に、扉の内側に逃げ込めた。

 

「つっ、着いた!」

「けほ………一息……つける」

「はああ~~ギリぽいけっど、ウチらがんばれた、がんばった~えらすぎっしょ」

 

アキラが息を吐きながら声を上げる。

リサは壁にもたれ、呼吸を整える。

アスカはその場にへたり込み、両手を広げて叫んだ。

その声には、命を繋ぎきった者の誇りと、張り詰めた感情の解放が滲んでいた。

 

アキラの腕の中で繋がりながら、アヤはくったりと身を預けていた。

顔色は悪く、唇は乾いている。

逃げ切れた安堵が、逆に彼女の体力を奪っていく。

 

「アキラ……アヤ危ないかも………助かった事で気持ちが緩んで、緊張感で気力と体力を維持していたのが……解けるのは……」

「より強いひーりんぐが、必用ってことだよな!」

 

リサの不安な声がアキラに届き、アキラはその言葉にすぐ反応する。

 

 

一歩遅れて、セーフハウスに辿り着いたユウヤ達が扉を開き、玄関先に雪崩れ込む。

 

「一番近いセーフハウス、着いた、これで一安心……!?」

「ようやく……ようやく……休める………うっひぐっ……え? なに?」

「はは、ヤバい状況からなんとか逃れられたし。ゆっくりひっくりかえりてぇ~~てっ!?」

「ソノ前ニ、オ風呂デス。カラダ中ぬるぬるデスシ。ひーりんぐスルニモ、オ湯ヲ浴ビテカ、ラ!?」

 

ユウヤが周囲を見渡し、思わず声を詰まらせる。

そこには、すでに同世代の男女達が、全裸の傷だらけで佇む姿。

ケイが涙交じりの安堵から、目の前の光景に戸惑いが散乱し。

ヒナタは腰を下ろすとアスカと目が合い、互いに驚き跳ねる。

マリアの風呂への欲求も、先客達の姿に言葉を止める。

 

互いに自分達以外のヒーラーとピュアには、謎の支援者の案内人であるコベニ以外には初めて出会う。

警戒と驚きが交錯するが、今はそれよりも、命を繋ぐことが先だ。

 

 

【トリアージ】

 

セーフハウス玄関先の空気は、安堵と緊張が入り混じる。

アヤの呼吸は浅く、アキラの腕の中で意識が揺れる。

肌は冷たく、唇は色を失っている。

 

「助けてくれ! おまえ、ヒーラーだろ? 俺だけじゃ足りない!」

「わかった!───ぁ」

 

アキラが助けを求める叫びが、空間を震わせるほどに切迫を訴えかける。

ユウヤはそれに即答した。

現在もひーりんぐし続けているピュア、アヤの負傷が深いのを見て言葉がすぐに出たが。

ケイ、ヒナタ、マリアが、断念、諦観、失望、落胆、割りきり、断腸、切迫、狼狽、動転、が入り混じる圧を、ユウヤの背に刺してしまう。

 

ケイは何か声に出してしまうのを、必死に噛み潰し堪え。

ヒナタは目を覆い、肩を震わせ俯く。

マリアは無言のまま、どんよりとした瞳でゆっくりと見まわす。

誰もが理解していた、今、ひーりんぐが最も必要なのが誰なのか。

それが判らないほど愚かではないが、自分達がこれから癒される期待を、横から奪われた不快感を圧し潰せる余裕が無い。

その空気を感じ、アスカも気まずく視線を逸らす。

 

 

「仕切り………………ます。トリアージ……します!」

 

リサは立ち上がり宣言する。空気がピシリと張り詰める。

 

「不満、文句、苦情、後で全部受ける……でも、いまを動かさなきゃ……だめ。そちらで亡くなったり、瀕死の方は?」

 

言葉は震えている、責を負うと宣言し、状況を確認する。

 

「こちらは、なんとか生還はしている。見たところ貴女は傷も少なく、精神も安定しているのと……医療関係的な判断力がありそうだ、僕は……従う。みんな、指示に従え!!」

 

ほんの短い言葉、態度。その観察でユウヤはリサに任せると判断した。

その決断が曇っていれば、それは自分の責任になる。

背後の今まで一緒に戦っていたピュア達、ケイもヒナタもマリアも、反論はしなかった。

納得はできなくとも、今は動くしかない。

だからユウヤは迷わなかった。問題が噴出しても、それは今は先送りにすると。

 

 

「アキラ! そちらのヒーラー……」

「ユウヤだ」

 

リサの言葉に震えが無くなる、理性的に効率的に指示を飛ばす。

 

「ユウヤと一緒に、アヤをベッドルームでひーりんぐを! アスカと……」

「ケイ……」「ヒナタだ」「マリア」

「四人は、先ずバスルームへ……これも、使って」

 

備品棚から携帯ビデの箱を取り出し、アスカに手渡す。身体の内外の洗浄が必用と判断。

 

「は〜いよってね。みんな、行っくっしょ! ついてきなってば〜!」

 

アスカは受け取り、努めて明るく声を張る。

 

「……うん」

「じっとしていても、どうにもならね~しね」

「頭ノ中、マトマリマセーン」

 

ケイが小さく頷き、ヒナタが顔を上げ、マリアも頭を振りながらアスカに続く。

誰もが傷つき、限界だった。

だが、今は動くしかない。

 

「給水と……ひーりんぐ以外でも、痛み止めになるものとか、紛らわせられるものを……」

 

リサは飲料水を並べ、医薬品の棚を探って、現状を改善できそうなものを探し続ける。

皮膚や粘膜に塗布する種類別の軟膏。

一時的にパニックを緩和する精神安定剤。

過敏な神経反応を抑える吸入スプレー等を取り揃えてゆく。

 

 

ひーりんぐは、はじまったばかりだ。




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