「ピュアっとヒーラー」異世界からの孕ませ侵略者と戦ってエロで治療!? 作:白拍子
【ユウヤ】
正座の列に肩を揃え、ユウヤは薄い息を吐いた。白い肌に冷静で冷徹な影は消えないが、声は落ち着いている。
「アキラの言葉で、僕は正気に戻れた。正直自分の見立ての甘さ、十分勝てるだろうという身勝手な奢り、それまで苦しい戦いもあったというのに……なんとかできると慢心していた。その結果、ピュアのみんなを苦しめてしまった。みんなで脱出できたのは………必死な努力だけど幸運に助けられたのもある。これからまた戦い続けるならば………あんなひどい目にあっても一緒に戦ってくれるか、そのための時間はほしい。その前にセーフハウスの提供や、コベニさんの支援ありがとうございます。礼を申すのが後になってしまいましたが」
静かにカオリは怜悧な瞳でユウヤを正面に捉える。それでも怯みもなく視線が合わさる。
「相手の強大さは底知れない事、それを知る事が出来たのはとても大事ですわ。その戦いにこれからも寄与してもらえるか………十分に話し合ってもらえるとですもの。わたくしの希望としては、共に戦いたくあります。ええ、そのための投資ですもの」
カオリはユウヤの冷静な思いとこれからに向けての言葉に頷く。
「この宴は………生存の確認でした。そのために度を過ぎたことは確かです。しかしそれほどまでに恐ろしく悍ましい思いをして、本当に死にそうな目にあって。それに打ちひしがれ心が折れ砕けそうな時、彼は、力いっぱい敗北を認め感じそれから目を逸らさないようわからせてもらいました。僕は……みんなを……………狂わせるところだった。僕自身も」
それほどまでの惨さがあったのか、それを紛らわせるための騒ぎだったのかとカオリも怯みを隠しきれない。
「ならばぜひ、恐怖を越えた判断を決断を持てるようになって欲しいですわ」
希望と成長。それを見守り出資するのも大事。
さらに冷静さに潜む激情が危うくも感じる。それも含め彼と話し合えるようになれば、鼓舞するアキラと判断のユウヤという双璧になってくれるかもとカオリは思った。
「確かに金も施設も力です、ハラマセーに対抗するために戦うために必要です。だからこそ僕たちの意思で受け取らせてください」
まだ壁がある、慎重なのはユウヤも同じとカオリは感じた。同志ではあるが隷属ではない。感謝はあるが主従ではない。ユウヤの冷たい瞳はカオリにそう語っていた。背後のピュア達を彼は背負っている。その責任と仲間としての想いが伝わってくる。
【ケイ】
二列目に控えていたケイが、おずおずと発言する。
「わたし……アキラさんの話……胸にきました。ユウヤの言葉もちゃんと届いてます。わたし……もっと強くなりたい。守られてばかりじゃなくて、ちゃんと自分で戦って動けるようになりたい……酷い目にあった、もう犯される快楽に堕ちてもいい、この怖いのを紛らわせるために……ゾンビーのおちんちんに奉仕して……はやく終わってって………そんなこと、ないのに……」
悍ましく体に刻み込まれた体験の記憶は消えない。凌辱に責めこまれた痕はまだ残り見えている。
「その自分の嫌で弱い感触や心はまだ消えなくて…………でも、恐いからって止まってたら……またみんなに迷惑かけちゃう………だから……だからこそ強く……なりたい!」
カオリはケイの肩の震えと、言葉の端にあるハラマセーの快楽に飲み込まれる脅威と恐怖、その中にある強さへの渇望を感じ取る。
「恐怖を認めて前へ踏み出す意志は、評価に値いたしますもの。強さに寄りかかるのはけっして悪いことではありませんわ、利用すべきは力。あなたが強くなれる事で踏み込めるであれば、それが一歩目ですわね……いまは体も心も癒して、それからわたくしの言葉を聞いてください」
カオリにはケイがとてもではないがピュアとして戦う人には見えなかった。戦士に向いていない。それが一目見た印象だ。だが弱いだけではない、自分を物事を脅威を変えたいという意思が伝わってきた。応援しその成長を助けるべきだ。カオリはケイにそう感じた。
「はい……まだ……心も体も………整理がつかないです……もう少し時間………ください……」
厳しく悍ましい戦いから戻ってきた。安堵の大きな一息が漏れるのを見守るが………リサと同じく口元に残る精液の跡がカオリの情緒をかき乱す。
【ヒナタ】
正座が厳しくなったのか、胡坐をかいていたヒナタとカオリの視線がぶつかる。
「まっ言ってみれば、あたしはユウヤの剣。おっと誤解はなしだぜ、道具なんかじゃねえぜ。共に戦える相棒としてきっちり役割をやってるてやつ。で? あんたはあたし達をいい手駒にしてえのかい? 返答次第じゃいままでのご支援はありがとうございましたってやつだぜ」
ヒナタの姐御気質の言いようは、ユウヤの持つ懸念をよりあからさまにぶつけてきている。やってくれるとユウヤは笑みを浮かべる。
「まあ、これは随分と率直なお言葉ですこと。けれど誤解なさらないで。わたくしが望むのは従える駒ではなく、共に戦場を歩む同志ですわ。力を貸すのは義務ではなく、選んだ誇り。あなた方が剣なら、わたくしは城となりましょう。ただし、誇りを忘れぬ限りにおいてですわ」
ヒナタの挑発的な問いに、支配ではなく共闘であると。支援は補給と安息の城であると。真っ向から傲然と答える。
「はっそれじゃいいように使われないよう堕落しねえようにしなきゃな。それに今回馬鹿騒ぎしてたのはやっぱそれだけキツイとこ潜り抜けてきってヤツ、マジで犯されまくって嬲られ続けたぜ、ユウヤが……見捨てずピュア全員を負け逃げで尻まくってるのを引っ張って帰してくれた。そんだけあの城はヤバイってやつだよ。この喧嘩、勝つには確かにあたし達だけじゃ足りねえ。そっちだってそうだろ!? あたし達はとんでもない敵を相手にしちまってる、手を結びあわなきゃ無理ってね! だけどよ……その無理に付き合う必要もさ、ねえとあたしは思う」
カオリは触手城に挑みハラマセーを駆逐するという戦う姿勢をヒナタに示すべく言葉を返す。
「まあまあ、あなたの率直さ嫌いではなくてよ。泥にまみれてなお仲間と戦いきったその気風、確かに頼もしいですわ。けれど、触手城の恐ろしさ、わたくし軽んじるつもりはありませんわ。あの魔窟を潜り抜けるには、あなた方の力だけでは足りない。わたくしの支援もまた、勝利に不可欠なのですもの。同志として手を結ぶ、それが最も理に適った選択……そうお認めになってくださらない?」
獰猛な笑いを浮かべ、ヒナタはカオリを真っ直ぐに睨み返し。
「気に入らねえなその上から目線。だけどそれだけの力と財力があっるてんならさ、一緒に喧嘩しにいくってね!」
ヒナタらしい姿勢を表すのを、ユウヤはやれやれと小さく笑う。
【マリア】
なぜこうなってしまったんだろう?
確かに母国でピュアとして覚醒した。一つの村が壊滅し、そのなかの一人の少年を助け出す事が出来た。
たしかにそれは小さくとも満足……いやそうではない、恐怖だ。
自分になにかできないか? あのバケモノに追い回される幼い子供を救えないか? いま自分が飛び込んでも……どうにもならない。
この巨大なだけの身体を呪った、この巨体に意味があるのか?
声が届いた。ガイアの声。
戦い少年を救う事ができた。傷を癒すため痛みを散らすために、恥ずかしくも少年の精液を啜り飲んだ。
少年以外の人は救われなかった。もっと早く自分がこの力を得て、助けに行ければもっと救えた人がいただろうか?
そんな疑問を抱えつつ、この国に留学し入国した。
見知らぬ地に迷い……そして、襲い来るハラマセーを感じた。
助けられる人を助けなくては。その力をもっているからと、戦いに飛び込んだが。初めての戦いと比べようがない数の敵敵敵。
圧倒され傷つきながら奮戦し倒れ。もしユウヤ達がかけつけてくれなければ、死ぬかそれよりも酷い苗床になっていたかもしれない。
処女を失ったが癒され死を逃れ。そのまま彼らと共に戦う。
またハラマセーと遭遇したらと思うと、ヒーラーや同じく戦うピュアが傍にいた方がいい。
だけど状況に流されている、彼らは気のいい人たちだ。異国に馴染めない、そして元から巨体を持て余し、他の人とうまく合わせられない感性のズレ。
みんなはよってたかって世話をしてくれた。日常の相談。悩みの解決。好奇と虐めに走ってくる弄りの遮断。戦いの拙さの補助。性行為の……快楽。
どれもこれも嬉しくあるが。どこか私は……馴染めていないかもしれない。いや馴染もうとしていないのかもしれない。
触手城を脱出し、身体も心も壊されそうになって。カオリの理解を求める中に、圧力と高慢を感じる言葉は端々に鬱屈が母国の言葉で
『人の気も知らないのに……同志と言いながら、上から見ているように聞こえてしまう。私達がどれだけ恐ろしい思いをしてきたのか? 本当に理解しようとしているのか?』
『異国の孤独を嘆くのも結構ですわ。けれど、結局ここにいるのはどうして? それでも貴女は戦い抜き、この場にいらっしゃるのはなぜでしょうかしら?』
カオリの流暢なマリアの母国の言葉での返しに、マリアは息をのみ顔を伏せ羞恥に震える。
ユウヤがその会話の様子に気付き、カオリに向き直り聞く。
「重症をうけたピュアもいます、まだ医療の受け入れは整わないのですか?」
カオリの意識はマリアから逸れ、ミナミに状態を確認する。
「あ、あの、ドクターをふくめ、まもなくとの事です。そ、その、そろそろ移動を」
「わたくしも……いきなりな状態を見せつけられ取り乱してしまいましたわ。皆様との話し合いは後程ということで。まずは傷を癒し体力を回復して落ち着いてからにいたしましょう」
「コベニも一緒に精密な検査と経過をちゃんと見てもらうべきですわ」
方々から息が漏れる。重苦しさから解放されるとの安堵だ。
車の準備ができたためセーフハウスをゆるゆると歩き、小型のバスに乗り込んでゆく。
苛立ちと怒りをまだ燻らせつつそれを見守るカオリの姿は、年若き奴隷商人令嬢のようであったとコベニは記録している。
コベニも接合したとはいえ、腕を切断されたため一緒に病院へとバスに乗り込む。
コベニは思った……『なぜこいつら全員、全裸で正座してたの?』